未完結な小説たちの叫び

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1:宮代 ◆eey.:2013/11/17(日) 00:30 ID:4T.

3年間、私は趣味で小説を書いている。
だが、それが完成したことは一度もなかった。
書き出しはアイデアが次々と浮かび、筆が乗っているのだが、続けている内に自分の作品に魅力を感じなくなり、投げてしまうのだ。
私はこれまで完結作品0にして、未完結の作品を50は生み出した。
それでも続かない。しかし何故かやめられない。
そのことを悩み苦しみながら日々を送っていた私の目の前に、3冊の本を手にした少女が現れた・・・

2:宮代:2013/11/17(日) 09:56 ID:4T.

#.プロローグ


なんだか、眩しい光が差してくる・・・
気がついたら、私は自分の勉強机の前に座っていた。
辺りを見渡すと、四畳半ほどの狭いとも広いともいえない部屋に、必要最低限の家具だけ殺風景に佇んでいる。
これは私の部屋だ。
そしてこのぼーっとした感覚は・・・夢の中か?
私は夢の中で「これは夢だな」と気づくことが度々あったが、その夢を自力で覚ますことは毎回できない。
私は椅子を揺らして立ち上がった。

「こんなところで横着していても意味がないぞ、私!」
「そうだね。ところであなたに頼みたいことがあるんだ」
「うわっ!」

独り言だったのに背後から返事が飛んできて、私は驚いて素早く振り返る。
立っていたのは、黒髪を束ねたうら若き美少女だった。
黒髪の乙女は私に驚かれたのが不服なのか、少しだけムッとする。

「失礼ね」
「無作法ですよ。突然話しかけるなんて」
「まあいいよそんなことは」

黒髪の乙女は着ている白いワンピースのスカートを直しながら言った。

3:宮代:2013/11/17(日) 10:29 ID:4T.

「頼みたいことがあるんだよ、あなたに」
「どうせ私は従わなければ夢から覚められない」
「察しがいいね」

私は夢から長い間戻れなくなったことも多々ある。
そういう時は大抵『目的』を達成しなければ帰れない。
『目的』のヒントはいつも近くにあったが、今回のヒントはこの黒髪の乙女なのだろうか。
私は尋ねた。

「頼みたいこと、とはなんです?」
「あなた、小説を書いているでしょう?」

会話のテンポが少しずれているな・・・と私は感じた。

「はい。完成したことはないですが」
「それはなんで?」

黒髪の乙女は笑みを浮かべて聞いてくる。
どうせここは私の意識世界の中。
私は飾る気もせず、ありのまま答えた。

「魅力を感じなくなるのです」
「・・・そう。寂しいね」
「私にはもともと向いていないので」
「でもやめられないんだよね」
「中毒みたいな感じです」

黒髪の乙女の言う通り、考えてみれば寂しい。寂しすぎる。

4:宮代:2013/11/17(日) 19:37 ID:4T.

小説歴は3年間。
これまでに生み出した小説は、形になっているものだけで50個を超える。
しかし、1つも完成した作品は無かった。

「他の人の作品は最後まで楽しめるのにね」
「さすが私の中の誰かさん。しかし、読むことと書くことは違います」
「・・・そうかもしれないね」

何やら神妙な表情になった黒髪の乙女は、前髪を耳にかけながら囁いた。
その仕草に少しドキッとする私がいた。

「さて、ここに3冊の本がある」

黒髪の乙女はそう言って赤い本、青い本、黒い本をどこからともなく取り出して私に見せる。
私は首を傾げた。

「それはなんです?」
「3つともどっかの誰かが書いた、未完結の小説だよ」
「未完結・・・」
「感慨深いかもしれないけど、ちゃんと説明を聞いてね」
「分かってますよ」

すると、黒髪の乙女は咳払いを1つして、間をおいてから話し始めた。

「最初に言った『頼みたいこと』はね、この3つの本をあなたが読むことなの」

5:Siki:2013/11/17(日) 19:51 ID:APM

すごく面白いです!更新ファイトです!

6:宮代:2013/11/17(日) 20:10 ID:4T.

>>5
おお!それはとても嬉しいです!!
題名からいやーな説教臭さが滲み出てしまっているのですが、私は題名をつけるのが苦手で^^;
sikiさんの小説のタイトルのような魅力的なものが頭に浮かんでこないんです・・・
内容については私なりに頑張るので宜しくお願いします^_^

7:宮代:2013/11/17(日) 20:13 ID:4T.

すると、黒髪の乙女は咳払いを1つして、間をおいてから話し始めた。

「最初に言った『頼みたいこと』はね、この3つの本をあなたが読むことなの」
「・・・読む? それだけですか?」
「ただ読むだけなワケがないでしょ。体験して貰うんだよ、この小説たちの世界をね」

体験する・・・?
私の頭の中にはてなマークがポン、ポン、ポン、と大量生産された。
黒髪の乙女は私の心情を理解していたようで、ため息をつく。

「口頭では伝えにくいんだ。とりあえず1冊目を体験してもらうよ。私もついていくけど」

よく分からないが、とりあえず黒髪の乙女に任せることにしよう。
私はそう思って「はい」と短く返事をする。
黒髪の乙女は3つの本のうち赤い本だけを手に取り、他の2冊は机に置いた。
黒髪の乙女の腕に抱えられた赤い本の表紙には『氷の都』と書かれている。

「これは、小説のタイトルですか?」
「そう。けっこう最近に作られた未完結の小説だよ」

黒髪の乙女はそう言って赤い本を開いて私に見せる。
その刹那、周りは暗転し、私は本に吸い込まれるかのような変な感覚を覚えた。
私は周囲がめまぐるしく暗転する最中、唯一しっかりと目の前に立っている黒髪の乙女に訊く。

「1つだけいいですか?」
「なに?」
「名前を教えてください」
「・・・『七海(ななみ)』だよ。よろしく」

七海、そう名乗った彼女と、私はどっかの誰かが創った未完結な世界へと足を踏み入れた。

8:Siki:2013/11/17(日) 20:39 ID:APM

>>6
私、実はこの小説の名前に引かれてやって来ました!
本当ですよ?←

魅力的だなんて……
そんなことないですよ!あれ、たまたま浮かんだ題名ですから←

はい!頑張ってくださいね!

9:宮代:2013/11/18(月) 07:40 ID:4T.

#1.氷の都

【マナフィアはレンガ造りの建物が立ち並び、その間を運河が流れる街だ。
美しい景観が心に潤いをもたらせてくれるマナフィアは『水の都』とも呼ばれていた。
そんな水の都に住む少年と、その家族は今まで幸せに暮らしていたが・・・・】

黒髪を束ねたうら若き美少女の七海は、私が読んでいた赤い本をパタンと閉じ、取り上げる。
私は「あっ!」と思わず声を上げてしまい、七海に問い詰めた。

「なぜ最後まで読ませてくれぬのです」
「内容を知らないまま体験しないと意味がないの」

何のW意味がないWのだろう?
私は疑問に思ったが、七海はきっと教えてはくれない。
夢の中から戻れなくなった時、『目的』を自分で見つけ出して達成する以外に帰る術はないのだ。
七海はゆっくりと一回転してマナフィアの光景を眺めた。

「それより、ほら。この街並み綺麗でしょ?」
「そうですね。まるで物語の中みたいだ」
「実際に物語の中なんだってば。未完成だけど」

10:宮代 ◆eey.:2014/02/09(日) 14:08 ID:nvs

今、私が立っている場所、マナフィアは、僕が過ごしてきた平凡な街とは比べものにならないほど幻想的だ。
レンガで造られた建物とそれを繋ぐ大きな運河は複雑に入り組んでいて、まるで迷路であった。
運河にはたくさんのゴンドラが浮かび、その上では街の住人が朝食パーティーを開いたりして、和気あいあいとしている。
さらに人々はマリフィアでの一般服っぽい、鹿の毛皮をを繕ったような服を着ていた。
夢の中なのに物凄いリアルな感覚だ。
それを見ていると、なんだか私の気分もハイになってくる。

「七海、ゴンドラに乗りませんか?」

私はウキウキしながらゴンドラを指差して七海に尋ねる。
しかし、七海はあまり乗り気でない様子だった。

「そ、そうね・・・。この話の主人公に会いに行かないと話の進行が分からないからね・・・」
「なんで急にローテンションなんですか」

事情があるのよ・・・、といった暗い表情で、七海は運河の陸側に付けられているゴンドラに乗り込んだ。
そのゴンドラには1人の大柄な男性が既に乗っていて、オールを片手に持っている。操縦者のようだ。


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