紙飛行機と空

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1:亜梨子:2013/11/28(木) 18:24 ID:7Ws

*Plorogue

 一つの紙飛行機が、青空を駆け抜ける。
真っ直ぐ真っ直ぐ、行き着く果ては地面と知りながら。

 一つの紙飛行機が、ゆっくりと下降していく。
ゆっくりじわじわ、少しでも前へと進めるようにと。

 一つの紙飛行機が、動きを止めた。
さらりと、どこかあっさりと、進めるだけ進んで。


 紙飛行機は、止まらない。
空を駆け、堕ちることを悟っても、迷うことなく、一直線に。
ただただ後悔も、希望も残さずに、確実に遠くへと。



 紙飛行機は何を思うか。
 紙飛行機は、何を悟るか。
 紙飛行機は、紙飛行機で、紙飛行機は____





どこへ向かうか。

2:亜梨子:2013/11/28(木) 20:28 ID:7Ws


第1章

 雨が降る。ただただ、雨が降る。
普通でないといえば、「血の」雨というだけだ。

__『悪いのはお前だ』

そう空は告げていた。
恐怖心だとか後悔は無く、ただ、この先の進むべき路を進むだけだった。

 果たしてここはどこなのか。
そして不肖はどこを目指して進んでいるのか。

不肖にはまったくもって、分からない__分かろうとも思わなかった。


ただ歩く。
ただ進む。

不肖はただ、「Master」の為に。
「Master」だけの為に。



          *



「……っ…………梦か」

 目を覚ますと、ベッドの上だった。撃たれたはずなのに、傷は無い。
ただ、腰に下げていたはずのパースエイダーは手の中にあった。銃弾も明らかに減っている。

あの梦は夢ではない。そう、銃が告げている。
支給品の寝巻きのワイシャツは汗ばみ、体にペッタリと貼り付いて、肌を透かしていた。

この肌に『血が流れていない』と思うと、少し不気味さと後悔に囚われる。


 けれど、すぐにそんな考えを振り払って、シャワーを浴びる為に、風呂へと向かった。

3:亜梨子:2013/11/28(木) 20:56 ID:7Ws

初めまして、亜梨子(ありす)です

ここまでで、ちょっと漢字の読みと説明です

不肖(=ふしょう):一人称。自分のことをへりくだっていう言い方。
梦(=ゆめ):夢の異体字。

パースエイダー:銃のこと。
Master(=マスター):主人

これぐらいでしょうか?
何かあったら、感想、意見、楽しみに待ってます

宜しくお願いします(´ω`*)

4:Siki:2013/11/28(木) 22:00 ID:APM

面白いです!更新ファイトです!

5:亜梨子:2013/11/29(金) 19:01 ID:7Ws

>Siki様

ありがとうございます(*・ω・*)
初めての感想嬉しいです!!

更新頑張ります
よろしくお願いします(`∀´#)

6:亜梨子:2013/11/29(金) 21:13 ID:7Ws


 冷たい水が体を打つ。梦の中の雨よりも冷たく、そして、居心地がどこか悪かった。

__『お前の居場所はそこじゃない』

あの梦の空と共に、「Master」の声がどこからか聞こえた気がした。
分かってます。そう心の中で呟くと、すぐに風呂を出た。

不肖は汚れたままでいい。
殺人鬼になることを条件に拾われた不肖は、汚れてなくてはならない。

汚れを祓うことは、不肖の死だ。



だから、安心してください。
不肖は貴方の為に。貴方だけの為に。



          *



 支給品の制服に身を包みこんだ。砂の香りがほのかにしている。
腰のホルスターにパースエイダーを下げると、ベストを羽織り、ブーツに足を入れ紐をキツく結んだ。

今日も1日が始まる。
いや、そもそも、梦と現実のどちらが不肖の人生なのか定かではないけれど。


ともかく、現実の1日の始まりだ。

7:亜梨子:2013/12/03(火) 18:33 ID:7Ws




          *



 学校、というよりは訓練所に近い場所。
不肖の住まいは、そこの寮だ。詳しい住所も知らないし、分かることは1つだけ。
ここが、どこか深い深い森の奥にあるということだけ。普通の人は知らないし、きっと衛生写真からも見つからない。

不肖は、「Master」に助けられてから、ずっとここにいる。
戦術を身に付け、「Master」のために働くために、ここにいる。




 ベルが鳴った。始業ベルだ。騒いでいた「Team」が席に着くのは、ほぼそれと同時だった。

「Team」、それは戦いの仲間。
仲間、というには少ない5人だけれど。つい先日、1人死んでしまったから6人ではなくなってしまったけれど。
とにかく、私の仲間。


扉が開き、中に入ってくる教師__そう呼ぶにはあまりにも小さく、まだ6歳ほどだが__が入ってきた。

いつものように肩までのショートカットがフワフワと揺れ、一生懸命背伸びをして、空欄だった今日の日付を埋めた。

それと同時に号令を掛けようとすると
「いい、座っていろ」
遮られた。幼く高い教師の声に。

不思議というような、全員の視線が教師に降り注ぐ。
それに答えるように、教師は口を開いた。

「この前1人減っただろう。東ゲートが手薄になっていたからな、一人入れることになった」

無責任で、命を軽く言うような無情な発言。
それが、悔しいとか悲しいとかムカつくとか、思わない不肖もきっと最低だ。

でも、いつか自分のことが言われるから。
自分はただの、小さな盾だから。時間稼ぎの存在だから。

『まるで人形だな____』

そう言ったのは誰だろうか。覚えていないけれど、きっと仲間だ。きっと、新米の。



そんなことを考えていたら、また誰かが入って来た。
一人の少年……今回の新米だ。ここに一番いる不肖が今回の教育係になるだろう。

そして、不肖はまた言われる。
最低だと。ここの皆がしてきたことを聞いたら、絶対に最低だと、言うだろう。

8:亜梨子:2013/12/03(火) 19:56 ID:7Ws

登場人物、でもしておきます


*新「Team」

闇雲 黒仍(やみくも こくよ)___コードネーム、黒

年齢:Masterに拾われた日から成長していないのでよく分からない
容姿:肩までの黒い髪、つり目の黒い瞳(左、視力なし)。いつも制服。
   仕事がいつか分からないため、パースエイダー常備。
備考:一人称は不肖。命の恩人、Masterのため戦い続ける。


間宵 夜(まよい よる)___コードネーム、夜

年齢:14でMasterに拾われて、物語中ではまだ数ヵ月。
容姿:焦げ茶髪、黒い目。パースエダー二丁。制服+マフラー
備考:一人称は、オレ。生きることに必死。


すみません>>9に続きます

9:ひな◆KU:2014/12/24(水) 21:35 ID:Y1U

名前を変えました。
かなりの間放置してしまいましたが、籠の中の渡り鳥と共に書きたいと思います。
やっぱりゆっくりな更新になると思いますし、文章も間が大きかったため変化していると思います。
良いように変わっているといいのですが、自分で納得できなかったときは、サイトの方でリメイク、という形で書かせていただきます

10:にっきー:2014/12/25(木) 20:18 ID:bi6

もしかして
籠の中の渡り鳥を書いてる作者ですか?

とわいえ描写が綺麗ですね!
冒頭から惹かれちゃいました

11:ひな◆KU:2014/12/25(木) 23:15 ID:Y1U

はい、そうです^^
籠の中の渡り鳥の前に書いてた作品は書いて止めての繰り返しだったので、
大掃除として探していたら発掘しました。
続きが書けそうだったので、これと掛け持ちしようと思います!

嬉しいです
結構昔のだったので恥ずかしいです(/ω\*)
色々厨二的表現満載で……これからも読んでいただけたら嬉しいです

12:ひな◆KU:2014/12/25(木) 23:37 ID:Y1U



「……間宵夜だ」

宜しくとも言わず、ただ「言わされたんだ、俺は」という表情でどこかを睨みつけていた。
よくある、本当によくある典型的な反応だ。
不肖みたいに受け入れも、馬鹿のように喚くこともない、彼もまたいい「piece」になる。

「闇雲。お前が相手しろ」

有無を言わさぬ物言いで、それだけ言い残すとそのまま教室を出て行った。
転入生を歓迎するような学校の雰囲気ではなく、ただ他人事のように、彼には哀れみの目が向けられる。

ここに来たことを、後悔するんだな――。

言葉にしなくても感じ取れた。
ただその空気は無視し立ち上がった。

「闇雲だ。コードネーム、黒。任務でも生活でも暫くは君のフォローをする」

彼の目の前、距離30センチほどをとって右手を差し出した。

「……コード・・・ネーム?」

が、彼はその手を掴むことなく訝しむような視線をこちらに向けた。

「説明……1時限目は出なくていい。屋上で、一通りを説明する」

不肖はやや無理やりながらに彼の腕を引く。
彼も抵抗はしないようで大人しくついてきた。

チャイム音が響く前に、不肖らは青空への扉に手をかけた。


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