猫と異世界物語

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1:& ◆nyDs:2013/12/26(木) 22:33 ID:V6o

桜咲け亀更新ですが続けますよ(月光はもう終わってしまった)

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序章 

「私はもうこの『平行世界』にサヨナラだ」

 そう言い何かを斬りつけた少女は
その華奢な体つきに似合わぬ大剣を背負い
満月に照らされる平原でただその満月を少し険しい目つきで見ていた。

2:吹雪 ◆4DCs:2013/12/26(木) 23:13 ID:V6o

第一章 目覚の朝

「夢……なのか」

 少女はどこか寂しい自分の部屋で目をあけた瞬間そう呟く。
ベッドは窓際に設置しているためカーテンを開け、窓を見る。
そこには見高な態度の黒猫と白猫が少女を見つめる。

「またかシロノにクロノ……」
 猫の名前を小さく呟いてベッドから足を出し床へと移動する。
「シルキー御嬢様。朝食の支度が出来て__」
「分かっている。身支度するから少々待て」

 金色に輝く髪を揺らせ
シルキーは召使いがドアを閉めた後
白い金色の装飾が施されている
クローゼットの取っ手を掴み服を引っ張り出す。
 青い色のシルクのワンピースは如何にも彼女らしいスタイルだ。
人形の様に白い肌に青い瞳、長くて絹の様な金色の髪。
美少女と呼ばれても可笑しくない顔つきだ。
尚彼女はまだ十四歳という少女だが十分大人びている。

 ゆっくりと華麗に歩き出し、ドアを開け下へ降りる。
だが妙な臭いがする事に少女は気づく。
明らかにこの二階から漂ってる臭い。
黴と埃の臭いにシルキーは噎せる。
 少しずつ臭いを辿ると何処か古めかしいドアがある。
「入ってみるか……」
 シルキーは金色の塗装が剥がれ落ちているドアノブに手をかけ開ける。

「鏡……? 」
 暗闇で包み込まれている部屋に
開けっ放しのドアから差し込む廊下の光で何かを少女は見つけ出す。
少女は目の前にある埃を被った何かを見る。
 手探りで照明のボタンを探して押す。幸いにも電気は付くようだ。

「これは……鏡か? 」

 シルキーは埃を被った少し大きめの鏡の埃を手で払いのけ
鏡を覗き込む。至って普通の鏡であるように見えるのだが
シルキーは口を手のひらで抑えその場に倒れ込んだ。

 __目の前が突然の眠気に襲われ暗くなった。
 

3: ◆4DCs:2013/12/27(金) 12:04 ID:V6o

「__きろ__起きろ」

 誰かが彼女の体を少し揺すりそう呼び掛ける
シルキーが目を覚ますと目に広がったのは
 青空に“見知らぬ少女”の顔だ。

「やっと起きたのか……」
「__お前は誰だ? 」

 シルキーは黒髪に耳より少し高い位置で二つに結ぶ少女にそう問う。
少女は少しムッと怒った様な顔を
 一瞬浮かべてから彼女の質問に答える。

「私は__クロノとでも言っておこうか。お前も名を名乗れ」
「__シルキー。シルキー・リーゼ」
 クロノはそう言い立ち上がり
シルキーに自分の手を差し伸ばす。
ここでシルキーは気づく。周りが辺り一面緑の草原なのだと。
 シルキーはクロノの手を借りて立ち上がる。

「クロノ、此処はどこだ……? 」
「んーとねぇ……君らが住む世界の
 平行世界……所謂異世界って奴かな」

 シルキーに背を向けそう言いながら何処かへ進んで行くクロノ。
シルキーは帰れる方法も分からない為
取り合えず彼女に着いて行く。
進んでも進んでも変わらぬ光景に違和感を感じつつも
 “御嬢様”という身分のせいか不思議と足取りも華麗になって行く。

「お前の世界へ帰れる方法は分からない。
 暫くはかかる。取り合えずは着いてきてくれ」

 シルキーは既にすぐに帰れないというのは分かっていたが
彼女から言われた為着いていく。

4:吹雪:2013/12/27(金) 18:10 ID:V6o

 草原を歩き続けると、霧がかかってくる。
霧はやがて濃くなり、一メートル先さえ危うい。
そんなのも束の間。今までの景色とは一変し、
人気の無い町の様な場所が展開される。

 そんなコンクリートで整備された道を進んで行くクロノ。
兎に角、今のシルキーには権力さえも存在するはずも無いので、
只クロノに着いて行くしかなかった。
 クロノは遂に足を古い一軒の研究所の様な所のドアで立ち止まる。

「__チヒロ客だ」
 そう言い鉄製のドアを強く手で叩く。
「叩かなくても開ける。入れ」
 呆れた顔で出てきた少年は少女より少し背が高く、
一六〇センチメートルはあった。
 クロノはそんな少年の声も聞かずに少し強引に中へ入って行く。

「人の部屋だって言うのにクロノ、お前は__」
「私への説教は後にしてくれチヒロ。
 自己紹介が先だ。悪いなシルキー」
 革製のソファに腰かけるクロノ。
彼女の着ている真っ黒なワンピースが
彼女の大雑把な性格のせいか、乱れている。
 クロノは二つに結っている髪をほどきシルキーに冷静な表情で語り始めた。

「今、シルキー。お前が居る世界は
 『ルフォン』という国だ。
 お前の元に居た世界の事をこの世界、ルフォンでは『ラール』と呼ぶ」

 クロノは淡々と語る。
その彼女が語る言葉にシルキーはまだ状況が飲み込めずにいた。

5: ◆4DCs:2013/12/29(日) 15:04 ID:V6o

「嗚呼すまない。自己紹介を忘れていたな」
「チヒロ……まあ研究所の職員だ」
 金色の髪に黒斑の眼鏡をかけているチヒロは
何処か面倒くさそうな顔を浮かべていた。

クロノはチヒロの自己紹介が終わると
 この世界の事をまたシルキーに語り始めた
「ルフォンにはこんな言い伝えがある。
『魔王アズレが出でし時ラールからの“勇者”がくる』とね」
 シルキーは此処まで聞きクロノが言いたい事を悟った。

「__シルキー・リーゼ。
 お前がラールから来た“勇者”なんじゃないか? 」
 手を組みながら、落ち着いて言うクロノ。

「__私には何も出来ない。
 無論、君らの言う魔王などを倒す事もな」
 シルキーは興味も無いような口調で
クロノの願いを切り捨てた。
クロノは立ち上がり、シルキーの胸ぐらを掴み
落ち着いた表情から一変、彼女を睨んで怒り狂った声で言う。

「お前……此処に暮らしてる奴等の気持ち考えろよ…………
 お前みたいな奴が居るからルフォンはこうなったんだ……!!」

 シルキーは少しも動かず只睨む彼女の瞳を見つめていた。


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