もう一度だけ

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1:海莉:2014/01/14(火) 10:44 ID:Qpg

シーンと静かな教室にある
一台のピアノ

ドアと窓を閉めて周りに音が
漏れるのを最小限に抑える

だって、恥ずかしいじゃん

それに下手だもん

いつものようにドアに背中を
向けて座り軽く指をほぐす

……よしっ!

まずは軽く練習、練習!

制服のスカートで手を拭い
ピアノにそっと手を置く

静かな教室に響くピアノの音が
上手そうに聞こえる

やっぱ、この曲好きだな

……

ヤバイ

なんか

誰か見てる?

でもでも、今日けっこう調子いいし……

弾き終わったら振り返る!うん!そうする!

ポロロン

そんな感じの音を放ってピアノから手を
離すとすぐにドアに向かって走った

「誰だ!」

周りをグルグル見回すと
人の気配がない4階の廊下が少し怖かった

2:海莉:2014/01/14(火) 11:05 ID:Qpg

私は壁に立てかけておいたカバンを
持って音楽室を出た

ドアを閉め……ん?

白い紙がドアに貼り付けられていた

……呪いの手紙かもしれない

震える手で手紙を引っ張り
そっと中を開いた


『渚のアデリーヌ、感動しました。
 いつもすごいと思っています。』


呪いの手紙だと思い込んでいた私は
気が緩んで廊下にヘナへナと座り込んでしまった


……誰かが私の音を聞いてくれてるんだ

手紙を大切に胸元へと寄せ
もう一度眺めた


自然と笑が溢れ心がウキウキ
ワクワクなんてものじゃないくらい
嬉しさに震えていた

立ち上がりスカートについた
ゴミを払い落とし鞄を持って下駄箱へと向かった

3:海莉:2014/01/14(火) 11:30 ID:Qpg

靴を履き替え校門へ向かうと
いつもと同じように、まーちゃんが
壁によしかかって待っていた

「ゆめー帰るぞー」

「うん!」

まーちゃんは、高校生になって初めて出来た友達

家が結構近いからいつも一緒に登下校している

「正純(まさずみ)先輩!さようなら!」

「……ん」

「正純先輩!今日、カラオケ行きませんか?」

「……」

「まーちゃん、まーちゃん」

「ん?なんだ?」

「まーちゃん、モテモテだね!ヒューヒュー!」

「うるへぇ」

「ごめんなさーい」

「お前もヒューヒューだろ」

「そうかな?てかまーちゃん、冷たいよね……後輩ちゃんに」

……ヒューヒューじゃないと思うけども

「夢叶(ゆめか)さん!お疲れ様です!」

「あ、お疲れ様でーす!」

「夢叶さん、さようなら!」

「うん、バイバイ!」

「やっぱ、ゆめみたいに愛想振り撒けね」

「ほえ?」

愛想、か……

うーん……

「ピアノ、マジ最高でした」

「え!?だれ!?」

後ろを振り返ると
多くの人がいて誰かわからなかった

……綺麗な声

誰だろう

「ゆめ?」

「なんでもない……」

「それ、なに?」

「?」

「その手に持ってるやつ」

……あ

ずっと握っていたんだ

「これは、その〜……手紙?」

「……そ」

ポケットの中に折りたたんで
しまうと持っていた方の手をキュッと握った

4:海莉:2014/01/15(水) 14:41 ID:Qpg

「まーちゃん、まーちゃん」

「ん?」

「公園行こう?」

「暇だしな」

「うん!」

時間は4時30分をタッチパネルが表していた

うん、全然大丈夫

角を2回くらい曲がってすぐに
公園についた

4つもあるブランコの右側2つを占領

「ゆめっていつもそこだよな」

「なんか、これ好き」

「……そ」

私の領域よ!

とか、そんなんじゃないけど、ね

「しりとりー」

「り……りんご」

「ごま!」

「まくら」

「らくだ」

「だ……だ?」

さっすが、まーちゃん

急に『しりとり』始めてもちゃんとついてきてくれる!

「だんごむ……「はい、まーちゃんの負け!」

「で?今回の罰ゲームは?」

今回は……どうしよう

う〜ん……

「あ!ま〜ちゃんは〜」

「怖いな」

「ズバリ!気になる子いますかぁ〜?」

「なっはぁっ!?いねぇよ!」

「……え〜つまんないの〜」

夕日が差して、
私とまーちゃんの影が伸びた

5:海莉:2014/01/15(水) 15:21 ID:Qpg

   -正純SIDE-

今日も4階の教室から綺麗なピアノの音が
聞こえてウトウトと眠くなる

音楽室のドアによしかかって音に酔いしれていた

……だれなんだろう

俺の知らない誰かが、この音を奏でて
俺の知らない奴らが、この音に惚れてると思う

ノートの端をいつもよりも丁寧に
切り取って制服のブレザーの胸ポケットから
ペンを取り出し軽く、メッセージを書いてドアに貼り付けた

……捨てられるかな

まぁ、仕方ねぇか

校門行って、ゆめ待つか

バッグを持って校門へと向かう

「……あの、正純先輩」

ちょうど2階と3階の間で知らない女に声をかけられた

「……なに」

キッと睨むとその女は一層モジモジとした

「あのさ、早くしてくんねぇ?」

「あ、えっと、あの」

ああ、イライラする

このモジモジするのが可愛いとでも思うのだろうか

……なんか観客いるし

「ふぅ……」

「あ、ごめんなさい……」

「あのさ、俺人待ってなきゃダメなんだよね」

「それって、夢叶先輩ですか?」

「そ」

「……なんで、ですか?」

「あんたに言う必要ないだろ」

「あ、はい……」

「んじゃ」

クルリと背中を向け階段をまた降り始めた


「す、す、好きです!」

俯いて表情は読み取れないが、まぁ予想はつく

「あのさぁ、どんだけ友達に迷惑かけてると思う?」

「……え」

「……いいよな、あんたは。友達、大切にしろよ」

何言ってんだ、俺は

こんなに熱く語って、何がしたい?

「それから、俺にもまぁ、気になるやつくらいいるんで」

「……はい」

ポロポロ雫を落としながら俯くその子

「ごめん」

さすがに俺も心は痛む

「あ、や、ちが……私、応援してますから……!」

「あ……」

「めいわく、です、かぁ?」

「ありがとう」

俺はまた校門へ向かった

====================================

「振られちゃった……」

「まぁ、気にしない、気にしない!」

「また次の恋しよっ!」

「ごめん、アユカ、ミサト……」

「え?何が?」

「私、正純先輩のこと……大好きになっちゃった」

「……え?」

「正純先輩が、リア充に、なるまで……きちんと諦められない」

「そっか」

「ごめ、ん……」

「ううん!ウチらはいっつも、ホノカの味方!」

「……ん!頑張ってください、正純先輩……おうえん、して、ます」

====================================

6:海莉:2014/01/17(金) 10:03 ID:Qpg

靴を履き替えて壁によりかかる

これ、クセなんだろうな、きっと

チラチラと見てくる
先輩や後輩

……なんだよ

俺の顔に何かついてんのか?

……来た

「ゆめー帰るぞー」

「うん!」

ゆめは背が低いから自然と上目遣いになる

……それが可愛い

高校生になったのにすげぇ純粋だし

チラッと横目でゆめを見る

なんか、嬉しそうな顔してんだけど
良い事あったのかな

んー……誰かから甘いもんもらったのかな

ゆめ、甘いもの好きだからな

「正純先輩!さようなら!」

……ちっ

うるせぇ

「……ん」

こんなんいつまで続くのだろうか


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