世界で一番嫌いな本

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1:海莉:2014/01/18(土) 13:06 ID:Qpg

「あれー、あんた今日も学校来たのぉー?」

「もう来なくていいよっ♡」

「……え?誰のこと言ってるの?みんな。そこには誰もいないよ」

「あ、ほんとだぁー!誰もいなかったー」

ドンっとわざとぶつかってくる、6人の女

「あれ、なんかぶつかった!」

「ほんとだ!……あ、なんかいたし」

「え、なにこれ?こんなキモい奴初めて見たー」

=====================

これは、私が小学5年生の時買った漫画のストーリー

あの頃の私は____こんなことは世の中にあるはずがないと思っていた___

2:海莉:2014/01/18(土) 13:17 ID:Qpg

一人でゆっくりと歩く歩道

憂鬱な空の色

塀を歩く黒色の猫

こっちを見てクスクス笑うように
葉を揺らす、木

ああ、この世の全てが

___汚れている___


足元の黒いもう一人の自分

ねぇ、あんたと入れ替わりたいよ

あんたは私についてくるだけでしょ?

目が隠れるほど伸びている前髪がうっとうしい

背後には自分の負のオーラを漂わせゆっくり、ゆっくり歩く

目の前に近づく白い校舎も

偽善者ぶっている教師も

楽しそうに笑う生徒も

___全部大嫌い___

3:海莉:2014/01/18(土) 13:28 ID:Qpg

「おはよう!」

「……うっす」

教師に軽く会釈して校門をくぐり抜ける

下駄箱には真っ黒になってしまった靴

……もう、どうだって良いや

踵に書いた名前はもう見えない

壁に沿って目立たないようにして教室へ向かう

すこし遠い教室はひどく汚らわしい

キュッとカバンの持ち手をつよく握る

音を立てないようにそーっとドアを開ける

1箇所だけ不自然に机がない

もちろん、私の机

もう、この光景は慣れてしまった

今日はどこかな

ゴミ捨て場?

体育館裏?

器具室?

倉庫?

中庭?

私はもう一度つよくカバンをつよく握った

4:海莉:2014/01/18(土) 13:52 ID:Qpg

一度、わざと探さないでセンセーが来た時に
「私の机、誰かに隠されました。」

って言ったら犯人探しやら、
机探しが始まった

犯人は……まぁ、あいつらだってわかっていた

でも、私からは言わなかった

あいつらが自分から「ハイ」って言うのを
少しだけ期待していたからかもしれない

……そんなことあるはずないのにね

結局、センセーは誰が犯人かは知らない

私はいつもと比べられないくらい
酷い『罰』を受けた

次の日、ボロボロになった足で頑張って登校し
教室に入るとまた、机がない

フラフラと机を持って戻ってくるとセンセーと出くわしてしまい

___私はまた『罰』を受けた___



だから、朝は少し早めに登校して色々な所を
見回って机を探す

最近は『ゴミ捨て場』に持って行かれる

真っ先に向かう

……なかった

どこ?どこ?どこ?

私はまた___

いや、想像しない

時間はまだ20分ある

一番近いところ……体育館裏

私は体育館裏へ走った

「……ここも……ない」

次……器具室

息が切れるくらい走った

「な、い」

倉庫にも中庭にも、ない

どこ?どこ?どこ?どこ?

足はフラフラして真っ直ぐ歩くことが出来ない

過呼吸になるくらい、走った

もう、いやだ

一体、いつからだろうか

こんなのが続くなら

___死んだほうが、マシ___

5:しょこら:2014/01/18(土) 14:02 ID:Htg

すごい!小説お上手ですね!

6:海莉:2014/01/18(土) 14:06 ID:Qpg

>>しょこらさん

ありがとうございます!

あー...ちょっと嬉しすぎてなのか、言葉が見つかりませんorz

本当にありがとうございます(*´∀`*)

7:海莉:2014/01/18(土) 14:25 ID:Qpg

もう、いい

重くなった足を一歩、また一歩前に出す

廊下に落ちた雫は汗なのか
涙なのか……わからない

ポケットからティッシュを取り出し
額と目を擦る

いつかみたいにそーっとドアを開ける

「こら!お前!遅刻とはいい度胸だな!お前、名前はなんだ!」

「あんたの名前はなんだよ。」

いつもの、まだマシな優しい女のセンセーじゃなく
メガネをかけた男の教師

「お前の名前はなんだって聞いてんだよ!」

教師が使う机を蹴って言うソイツ

「名簿見ろよ。っつーかお前の名前なんだよ。」

「先に生徒のお前が名乗るのが礼儀だろ!?」

「はぁ?人に名前を尋ねるときは先に自分が言うのが礼儀だろ。」

「コイツ……!」

「あぁ?なんだよ。」

「もういい。席につけ」

「おう。」

そんな私と教師のやり取りを見て笑う、クラスの奴ら

……あれ、席ってあるの?

そんな思考がよぎったが私がさっきまで
一生懸命探していた物がそこにはあった

ニヤニヤ笑う6人

初めてのパターンに心臓が破裂するくらい音をたてた

8:海莉:2014/01/18(土) 15:18 ID:Qpg

「HRはじめる!えー、まずは俺の自己紹介!」

偉そうに話す教師

……頭、薄いくせに

「名前は田村宏。35歳、娘が2人になる!そんな感じで、よろしく!」

シーンと静まる教室

まぁ、どんな言葉を返せばいいのか分からない

「よろしくです」とか言おうか迷ったが
言えなかった

「えっと、担任だった藤田先生は産休のため、担任を持つことになった。」

……で?だから、なに?

「えー、そんなわけで、よろしく!」

さっきから流れる沈黙

「……よろしくっつーのが聞こえねぇのか?」

なにこいつ

なんですぐキレんの

「名前呼ぶから返事しろ。」

誰も、一言も言葉を発しない

「……阿部春香」

「はいっ!」

……吐き気がする

教師の前ではイイコのフリ

「石崎慎之介」

「うい」

「池野彩花」

「はーい」

キモいキモいキモいキモい

「岩崎愛美」

少しざわついていた教室が無言になる

チラチラこっちを見るクラスの奴ら

「岩崎ー」

「ういっす」

投げるように発した返事

「……へぇ、お前か。」

「……なに」

「何で机に物をしまっていない!」

「……っ!」

入らないんだよ

ゴミが詰まって

でも、そんなこと言えるはずがない

「何で黙る!しまえ!」

「うるせぇ……」

「あ?」

「うるせぇっつってんだよ!」

「なんだその口の利き方!」

ゆっくりと近づいてくる新しい担任

右の頬に痛みを感じると左の机にぶつかる

池野彩花の机に……ぶつかる

「ひぃっごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」

今度は池野彩花に震えている足を蹴られる

「……きたねぇ」

私にだけ聞こえる声で池野彩花は言った

急に襲ってくる嗚咽感

「ほら!立て!」

床に手をついて力を入れるが
力が入らない

「……はぁ……はぁ……はぁ……っカハ」

過呼吸

喘息の症状

「お、おい、どうした!」

フラフラと立ち上がり担任を睨みつける

「おまえ、きょうしに、むいて、ない。」

「……なんだと?」

「死ね」

それだけ言ってカバンを持って
教室から逃げ出した

9:海莉:2014/01/18(土) 18:31 ID:Qpg

朦朧とする意識

生きている感じがしない

収まらない嗚咽感と喘息の症状

「……嫌い、嫌いっ」

生徒玄関にぶつかると震える手で鍵を無理やり開けた

ドアを開けたまま無我夢中で走り続けた

__こんな世界消えてなくなれ__

憂鬱だった空の色は今の私の心と同じように
『雨』という名の涙をたくさん流していた

静かな街にバチャバチャと響く一つの音

水溜りには目も当てられないくらい
ひどい顔の1人の女

「ハァ……カハッ……」

ブランコ、鉄棒、滑り台、桜の木

狭い公園に詰め込まれた遊具を使う人は、いない

今はもう、緑色の葉を茂らせている桜の木のそばに座り背中を預ける

どんな格好をしていたかは、分からない

「……んで、わたし……も、や」

何で私だけ?

何で私なの?

何で皆笑えるの?

何で私は……生きているの?

何で私は幸せになれないの?

「……ヒック」

___この世の全てを呪ってやる___


「ウエッ……ハァ、ハァ……」

なんで

「きらい……」

なんで私は

「みんな……嫌い」

なんで私はあなたに

「……どうしたんですか?」

なんで私はあなたに会ったのだろうか

10:海莉:2014/01/18(土) 18:39 ID:Qpg

誰だよ、コイツ

顔は見ない

見れない

相手の顔を見るってことは
自分の顔を見せなくちゃいけない

……こんな顔誰にも知られたくない

涙で
雨水で
右頬にあるアザで
いろいろな感情で
ぐちゃぐちゃになったこんな顔、誰にも知られたくない

顔を隠すように俯いて泣き続ける


誰かが隣に座った

11:海莉:2014/01/18(土) 19:17 ID:Qpg

早くいなくなれよ

哀れんでフリなんだろ

……気味が悪い

「ハァ、ハァ」

寒さや恐怖で震える手を握る

「大丈夫?」

そいつが自分の制服のブレザーを
私の背中にかけた

漫画の主人公だったら、恋に落ちたりするんだろう

でも、私はブレザーを
握って近くにぶん投げた

べシャッと音を立て泥に塗れる

「……どっか行け」

冷たい言葉っを発した

でもそいつは動かない

===================
主人公
名前 岩崎 愛美 (いわさき あすみ) 
性別 女
一人称 私
その他 入学してすぐにいじめられる
    一人称は女だが男っぽい
    帰宅部所属


===================

名前 田村 宏 (たむら ひろし)
性別 男
一人称 俺
その他 頭が薄い
    すぐにキレる
    新しい担任

=================== 

名前 藤田 薫 (ふじた かおる)
性別 女
一人称 私
その他 愛美たちの元・担任
    産休のため担任を外れる 
    若いがしっかりとし、優しい先生だった

===================

名前 阿部 春香 (あべ はるか)
性別 女
一人称 ウチ
その他 愛美をいじめる
    バレー部所属

名前 池野 彩花 (いけの あやか)
性別 女
一人称 アヤ
その他 愛美をいじめる 
    バレー部所属

====================

これからどんどん新キャラ出てくるので!

12:海莉:2014/01/18(土) 22:29 ID:Qpg

「寒い……」

ポロリと発した言葉

寒い
心もカラダも冷えて悴んでいる

学校を出てからどれくらい経っただろうか

でも、いいや

涙はもう出てこない

空っぽの心

私、生きてんのかな?

何も考えれない

ただただ、ボーッと手首を見つめる

傷だらけで真っ赤に充血している手は
誰にも見せることが出来ない

乱暴にカバンを寄せ筆箱を取り出す

カチカチと音を鳴らせて出てくる刃

ゆっくりと手首に当て勢いよく手前に引く

ツーっと赤い液体が流れ出る

『これは、私が頑張って生きている証拠』

今度は刃を長くし根元の一番切れるところを
手首に当てカチカチと刃を戻す

さっきよりも多い赤い液体が流れる

『私はちゃんと生きているんだ』

13:海莉:2014/01/18(土) 22:51 ID:Qpg

私が携帯している切れ味のいい愛用カッターを筆箱にしまう

桜の木に手をついて立ち上がる

一瞬、視界が歪んでもう一度座り込む

___眩暈がする___

朝からずっと走り続けている足が
池野彩花に蹴られてアザができた足が
悲鳴をあげている

どうやって帰ろう

「……あの、大丈夫ですか?」

……ああ、忘れてた

コイツいたんだ

「ん」

「家に帰るんですよね?」

「……は?」

何でコイツわかったの?

「送ります」

そう言うと無理やり私を背中に乗せる

足が使い物にならない今はコイツに頼るしかない

「……ありがとございます」

「いいえー」

「あ、そこ右です」

「ハイ」

「んで、真っ直ぐ歩く」

「ハイ」

道案内は簡単だが少し距離がある

……あ

左の手首、コイツの目の前だ

「ごめん」

慌てて左手を引っ込める

「気にしなくて良いですよ」

「……ん」

引っ込めた左手からはまだ血が流れる


こんな光景、周りからすれば滑稽だろうか

大雨の中女の子をおんぶする男

女の子の左手にまとわりつく、血

「ここです。」

「あ、はい」

少しの段差を上ってもらうと鍵をぶっ刺す

ゆっくりと玄関に座らせてくれた、コイツ

「ありがとうございました。」

一応顔を見て言った

もう、いいや

どうせコイツとはもう二度と会わないだろう

「……あ」

顔を見て気がついた

コイツ、目が真っ赤で雫が流れている

14:海莉:2014/01/19(日) 09:27 ID:Qpg

「では、行きますね」

「え、あ、」

「ブヘックシュ!」

大きなくしゃみをした、そいつ

「風呂、入りますか」

靴を脱ぎながら言う

人とまともに話したのは
いつぶりだろうか

一つ一つの言葉を発するたびに
心臓が高鳴る

壁に手をついてゆっくりと立ち上がる

「ついてきて」

「あ、帰ります」

「いいから来いっつーの」

小さく「お邪魔します」と言うと
上がってきた

とりあえず、まぁ居間に連れて行く

「座って」

次に風呂にお湯を入れる

ずっとシャワーだけだったせいか
すぐにお湯が出てこない

5分もあればお湯がたまるうちの風呂は
大きくも小さくもない、中途半端な大きさ

「フゥ……」

今日は色々なことがありすぎた

もう、明日から学校なんて行かなくて良いよね?

今度は兄貴の部屋に向かって
適当に服と下着を持ってアイツの所へ向かった

15:海莉:2014/01/19(日) 09:39 ID:Qpg

「もうそろそろ良いと思うから行って。あと、制服少しでも乾くようにこれ着て」

「ありがとうございます」

そいつの表情は読めない

私が足元ばかり見ているからだろう

私専用と言っても過言ではない救急箱から
シップと包帯を取り出す

……いや、今はやめておこう

私もシャワーをはいることにする=シップをはがす=無駄使い

そんな方程式が頭をよぎった

ソファーに体を預け天井を仰ぎ見る

『家では学校のことは思い出さない』

そう決めた

だから何を考えて何を思えばいいのか
わからない

16:海莉:2014/01/19(日) 10:52 ID:Qpg

あー……暇

暇の方が良いよね

プルルルルと嫌な音が部屋に鳴り響く

あいにく、予想通り『学校』の文字が
表されていた

……出るもんか

絶対絶対でない

何回コールが鳴り響いたか分からない

でも10回なんて回数じゃ足りないくらいの
音が耳障りに響いた

またボーッとどこかを見る

どこを見ているのか分からない

何も頭に入らない

あれ、いつも以上に頭がボーッとして
クラクラする

「上がりましたー……」

「あ、そ」

へぇ、よく見れば綺麗な顔してんじゃん

「あんたこれからどーすんですか」

「あ、アハハハハ……」

イラッ

「あたしもシャワー浴びてくるんで、その辺で待っとってください。」

「あ、はい」

「物色しても何も出てきませんので。」

それだけ言うと部屋から服と下着を持って風呂場へ向かった



温かい……

そろそろ髪、切りたいな……

視界が遮られて私にとって良いのか悪いのか分からないけど邪魔

あーあー、池野彩花に蹴られたとことが……痛々しい



およそ6分くらいで上がって居間に戻る

どこか一点を見つめているコイツは
何を考えているのか分からない

「……あのー」

「……へ?」

あら、気がつかなかった

とでも言いたげな表情でこちらを見た

風呂に入ったせいか、一層クラクラする視界に腹が立つ

「そこにドライヤーあるんで使ってください。ブラシもあるんで」

「あ、はい」

今時のサラ男はドライヤーもブラシも使うらしいから使わせた

……自然乾燥でいいだろ……

私はさっき使わなかったシップを足に貼った

「つめた」

そういえば、今日はいろいろなところがズキズキする

右の頬に保冷剤を当てた

机にぶつけた腰にもシップを貼りたいが……出来ないので、我慢、我慢

日を重ねるごとに痛みを増し、新たな傷を負って帰ってくる

さすがに、そろそろ限界だよ

ゴォーという不快な音に嫌悪しながらもそんなことを考える

手首は……どうすればいいのだろう?

なんてことを考えているうちに頭がズキズキと痛む

額に手を当て「フゥ」と小さくため息をついた



その瞬間、家の床がぐにゃりと気持ち悪く歪んだ

17:海莉:2014/01/20(月) 14:25 ID:Qpg

一人、静かに読書を楽しむ

最近は大人びた分厚い本を読むようになった

パラパラと挿絵を読むもさすがに飽きた

「ねぇ〜愛美ってさぁ〜キモくない?」

「あ、わかる〜」

「なんか『私イジメられてます』オーラダダ漏れだよね〜」

「うっわ被害者意識ヤベェ!」

「私たちだけ悪いのかっつーの!」

わざと聞こえるように言う悪口も
もう慣れた

机に突っ伏して一人の世界に浸る

ポンと頭に何かが当たった

目をこすりながら『何か』を見る

クシャクシャに丸めた紙

……馬鹿だろ

気にしないでまた一人の世界に浸る



今度は『当たる』ではなく『引っ張る』
という痛みに顔を歪ませる

「痛い……」

「ふーん」

さらに強く髪を引っ張られる

18:海莉:2014/01/22(水) 00:13 ID:Qpg

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「おおお!?」

目の前の光景を見て呼吸が乱れる

「ハァ……ハァ……」

夢でよかった……

あれ、でもなんか頭がボーッとする

風邪か

「あの……お父さんかお母さんは……」

「ああ、父さんは、いない。母さんは仕事で帰りが遅い」

「あ、そうですか」

「うん」

シーンと静まる部屋に
時計の針を刻む音が響く

額に手を置くと風邪という
ウイルスにやられたと改めて実感した

ゆっくり目をつむり
もう一度眠りについた

19:海莉:2014/01/22(水) 00:20 ID:Qpg

「ん〜……」

あー、家?

何?あ、4時だ

4時!?

ま、いっか

ゆっくり起き上がり重い頭と
共にキッチンへ向かい水を飲む

「あ、置きましたかぁ〜?」

「ブフォオ」と言う効果音でもつくんじゃないか
と思うほど漫画のように水を吹いた私

あ、いたのね

「あのー……お粥食べますか?」

「あ、間に合ってます」

20:海莉:2014/01/25(土) 15:37 ID:Qpg

「部屋で寝たほうが良くないですか?」

「そだね」

一体コイツはいつまでいるつもりなんだ

午後4時なら、ともかく午前4時ですよ?

ゆっくり起き上がってからストーブの上に
私の真っ黒い学校の中靴が白くなって置いてあるのに気がついた

なんで中靴あるんだ?

あ、履いたまま帰ってきたんだ

なんかすげぇ綺麗

思わずジーッと見つめる

「あー、ごめんさい。洗剤借りました」

「……やってくれたの?」

「暇してたので……」

21:海莉:2014/02/08(土) 00:06 ID:.bA

「ありがと」

とだけ言って部屋に向かった

おろおろと戸惑うコイツに『おいで』
と言い部屋に連れてきた

「名前、なんていうの?」

「後藤蓮(ごとう れん)です。はじめまして」

「今更はじめまして……まぁいいや。岩崎愛美」

私はベッドにダイブした

頭がグラグラして起きていられないほど私は
ウイルスに侵されていた

「あの……」

おもむろに話しかけてきた後藤蓮

「なんだ」

「どうして手首、切るの?」

イラッ

「……薬。生きてる感じがする」

「痛くないんですか?」

「だいぶ慣れた」

普通、こういうの聞く?

「あの、やめてください……」

つくずく腹が立つ

22:海莉:2014/02/08(土) 17:53 ID:.bA

「なんでアンタに言われなきゃなんないの」

「だって……」

それから先は何も言わない感じだった

だってなんだよ

「じゃあ、やめさせてよ」

「え?」

「やめてほしいなら、やめさせろって言ってんの」

真っ直ぐ後藤蓮を見ながら言ってやった

「冷たい……目してるね」

「は?」

「愛美さんの目、光がない」

「あるわけないだろ」

「生きようとか思わないの?」

ああ、よくイジメにあったことのない奴が言うセリフだ

「『死のう死のうとか思って手首切る勇気あるなら、精一杯生きようとか思える。』とでも言うわけ?」

「は、はい」

「……よく言うよ」

「だから、頑張って生きれるはずですよ!」

「……うるさい」

「少し、前を向いてみませんか?」

「うるせえって言ってんだろ!私だって、初めは『明日になったら皆仲良くしてくれる。今日だけだ。
 前を向いて生きよう』とか思ったよ!でも全然違う!いつになっても皆私をゴミ扱いする!
 死にたいしか思えねぇんだよ!」

気がついたら視界がボヤけていた

目から水が大量に溢れ制御は効かなくなっていた

「もう、友達なんていらない。人なんて信じない。……皆消えればいいんだ」

ゴシゴシと目をこすり続ける

すると後藤蓮は私を哀れんだのかギュッと抱きしめてきた

「……なに。離せ」

「嫌だ」

肩が少しずつ濡れるのを感じた

それはこいつが涙を流しているから

23:海莉:2014/02/09(日) 15:33 ID:.bA

「愛美さん、実はあの」

「……なに」

「ごめん、なんでもない」

「……あそ」

誰かの温もりを感じるなんていつぶりだろうか

……温かい

「愛美さん」

「愛美でいい」

「……愛美、あのさ、もう少しこのままでいい?」

「……別にいいぞ、蓮」

24:海莉:2014/02/09(日) 17:41 ID:.bA

しばらくしてからベッドに
上半身だけ寝かせた

「蓮も来いよ」

「うん」

並んで横になった

「あれ、この本何?」

蓮が手にしたのはブックカバーで
包まれた

私が捨てたくても捨てれない



世界で一番嫌いな本

「……だめ!」

覆いかぶさるようにその本を
強引に奪った

「なんで?」

「これは……」

「いじめの……本?」

「……うん」

「ごめん」

「これはね、5年生の時に買ったの。読んだときは『こんなこと、実際あるはずない』
 って思った。そしたら気がついたらその主人公と同じになってて、それで……」

「もう、言わないで」

「気がついたら誰もいなくて一人ぼっちになってた。もう何を見ても面白くない。
何も考えれない。思えない」

「やめろ……」

「いつからなのか分からない。何が原因か分からない。」

「やめろ!!」

大声を出した蓮は荒い呼吸をしていた

「なんなの……」

「ごめん……今の忘れて」

「やっぱアンタも皆と同じなんだ」

そうだ

私に

友達なんて

出来るわけないんだ

25:海莉:2014/02/11(火) 10:15 ID:.bA

「……帰って」

私は蓮に冷たくあしらった

「やだ」

「帰って……」

「……俺の話、聞いて?」

軽く首を一回縦に振った

「実はさ、俺も小学生の頃いじめられてたんだ」

「え……」

いろいろ驚きを隠せなかった

こいつもいじめられてたのか

……そうか

26:海莉:2014/02/17(月) 17:04 ID:.bA

「今は……」

その先を蓮は話そうとしなかった

気を遣ったんだろう、とその時は思ったんだ


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