MOBU-モブ-

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1:タロさん ◆WDl6:2014/01/26(日) 17:20 ID:406

初めまして。
タロと申します。

ほんとにはじめてなんで、アドバイスお願いします。

長編小説です。
ティータイムのような気分で、お気軽にお楽しみください。

2:タロさん ◆WDl6:2014/01/26(日) 18:29 ID:406

1話

これは、一人の少年の人生にまつわる話である──。


入学式。それは学校生活においてのスタート地点となる行事である。クラスを見て喜ぶ者もいれば、回りの雰囲気に圧倒されてつぶれそうになっている者、友達と仲良く話す者…。数えきれないほどの人が一つの学校に集まっている。そのなかで、完全に背景に溶け込み、目立とうとしない者たちがいた。そう、漫画や絵で後ろにいるやつら…モブだ。彼らは目立とうとしても目立てない人たちだ。可愛そうな存在である。名前すらあかされない可愛そうな人たちだ。その中の一人、についての話。
彼の名前は細海茘枝(ほそみらいち)。眼鏡をかけているモブ。だが、彼だけは他のモブとは違ったのだ。彼は目立つことが嫌いだった。だから、モブになった。しかし、
「茘枝!お前なん組だった?」
彼の気も知らずに堂々と話しかけてくるやつがいる。
猫田正人(ねこたまさひと)である。そのとなりに長身の静かな青年がいる。かれは和島津軽(わじまつがる)。二人とも昔からの親友だった。
「君たち、迷惑だから僕に話しかけないでくれるかな?」
それを聞いた正人は首をかしげ「なんで?」と聞いた。
「茘枝、目、悪かったっけ?なんで眼鏡してるの」
津軽は眼鏡を指差し茘枝に問いかけた。確かに、中学生の時はかけていなかった。だが、そのせいで目立ってしまっていた。毎日のように下駄箱には手紙が入っていた。茘枝はそれが苦痛で仕方がなかったのだ。眼鏡をかけたのは自分をモブにし、目立たないようにするためだったのだ。
「なんでも。目立たくないんだ」
「茘枝は、眼鏡はずしてた方がかっこいいよ」
津軽は引き下がらない。いい加減諦めてほしい。茘枝はそう思った。
「ま、にゃんでもいいっしょー!高校入ったら可愛い彼女見つけるんだー!お前らいくにゃん!」
「あ、どうぞ。ご勝手に」
正人は茘枝の言葉を聞いていないらしく、津軽と茘枝がついてきているかのように独り言を話していた。まず、第一印象は変人かな。大人しくしていればルックスもいいし、モテるのに。だが、正人の辞書に大人しくするという言葉は載っていない。

津軽はふと、後ろを振り返った。何かに見られている──そんな気がしていた。
気のせいかと思い、前に視線を戻すと、茘枝の姿はなく、代わりに数人の女子が目の前に立っていた。
「あのっ、なん組ですか?」
「…三組」
津軽は身に危険を感じていた。

いつの間にか二人とはぐれ、完全にモブと化した茘枝は一年三組の教室を目指していた。教室の中は、我こそは主人公、ヒロインだと言う人が数名。心では主人公、ヒロインだと思っていても他の目立つ人のまわりにつく取り巻きとなっている人数名、主人公とか、ヒロインとかどーでもいいやって人数名、残り、モブ。といった割合だった。もちろん茘枝はモブの分類に入る。ちなみに正人と津軽も三組である。同じ中学校で仲の良かった人たちで集まっているのがほとんどだった。
いきなりガラッと勢いよくドアが開いた。何事かと思ってドアの方を見る。そしてそこにたっている人の手には折り畳み式のナイフがあった。そしてその人が女だと気づくのに0,5秒、彼女何をしたのか理解するのに3,5秒の時間がかかった。彼女は手に持っていたナイフを茘枝めがけて投げたのだった。壁に突き刺さったナイフを抜き、彼女は茘枝にこう言った。
「目障り」
と。

3:タロさん ◆WDl6:2014/01/29(水) 20:04 ID:406


「目障り」
彼女はそういうと、一番後ろの席に座った。同じクラスだったらしい。
皆が彼女のほうを見ていると、彼女は見ているほうを睨み返した。
なんと恐ろしい奴なのだろうか。
彼女に睨まれた人たちは何かおぞましいものを見てしまったように気付かないふりをした。
「なんだ?ライチ。あの子のこときになるのかにゃ?」
「正人。話しかけるなって言っただろ?」
「あの子かわいいなぁ。名前なんていうんだろ、聞いてこいよライチ」
正人はさっきの現場を見ていなかったのか、あるいは見ていたから自分で聞くのが恐いがために、ライチに行かすのか…
いや、前者の可能性が高い。
どちらにせよ、正人は自分で話しかけには行かないだろう。ああ見えて意外と臆病なのである。
「嫌だ」
ライチは鞄の中から一冊の本を取り出し、栞を挟んでおいたページを開いた。
正人は舌を軽くだし、ライチの所から離れていった。
入学式は9時からなのであと1時間ほどの余裕があった。
それまでにSHRがあり、自己紹介が行われる。
ずり落ちてきた眼鏡を少し上にあげると、また文を読み始める。昔はあまり本は好きじゃなかったのだが、いや、今も好き
ではない。しかし、少しでもモブっぽくみせるためには、こうでもしてないと雰囲気の関係上見えないのだった。
どうやら、モブアイテムをつけていないとだめなようだ。
それでも、気付く人は気付くのだった。



SHRが終わり自己紹介へと移った。
クラス担任は杉野高志(すぎのたかし)。年齢は30歳程度だそうだが、見た目は40代後半くらいだった。つまりは
ふけ顔である。数学が得意なようだ。好きな食べ物はハンバーグと意外と内面は若かったりもする。
続いては出席番号一番から紹介をしていった。
ライチは『ほ』なので後ろらへんだった。
五番目くらいであのナイフを投げてきた女が立った。名前は笠見ナギ(かさみなぎ)だそうだ。ナギは名前だけ言って座っ
た。まじまじと見てみるとそこに恐さはなく、おしとやかで可愛らしい外見だった。しかしライチは知っていた。人間、
外見だけで判断してはいけないことを。  

津軽が自己紹介をしたところで、ちょうど9時になる十分前になった。杉野先生が合図をすると、皆一斉に動き出した。
当然のごとくライチが行こうとすると、正人と津軽もついて来るのであった。
あれだけ言ってもまだ来るのかと、ライチは思った。
だが、ライチも不思議と嫌な気持ちにはならなかったのである。
残念なことに「いい友達を持った」と思ってしまっていた。入学する前にたてた、二人とはほとんど行動しないをもはや
破りそうになっていた。
だけど、そんなことは忘れているかのように、楽しそうに笑った。
この行動により、彼がライチだと気付いた女子は多かったもよう。


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