浅き夢見し、眠れよ森の乙女

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1:宮代 ◆BBs.:2014/02/08(土) 09:16 ID:nvs

【主要登場人物】

月見 草二郎(つきみ そうじろう)

水瓶大学三回生。阿呆な男子。一人称は「私」。
方向音痴なのに放浪癖があるという厄介な特徴を持つ。
これまで迷子になった回数は三桁を超えている。
迷い込んだ森の奥で、女子大生の志乃と出会う。


鈴森 志乃(すずもり しの)

隣町の大学の二回生。和やかな性格の黒髪の乙女。
過眠症を患っているため、気を抜くといつでも眠ってしまう。
一日に少なくとも十四時間は寝ないとダメらしい。

2:宮代 ◆BBs.:2014/02/08(土) 10:08 ID:nvs

放浪癖と方向音痴が組み合わさると本当に厄介である。


私はさっきまで水瓶市の住宅街を歩いていたはずだが、いつの間にか木々が生い茂る森の中を彷徨っていた。
なにをどう間違えればこうなるのか。
私は自分に心底呆れた。
知らない場所を行けば行くほど興味がそそられて先に進みたくなるのだが、頭の中に位置情報が全くと言っていいほど残されておらず、どうにも簡単に帰れそうになかった。
私は自分の体内の羅針盤がグルグルと暴走するのを想像し、ため息をつく。
ふと気がつけば、目の前には天使が舞い降りたような木漏れ日がたくさん差し掛かかっていた。
無数の木漏れ日は森のずっと奥まで続いていて、私を神秘的な余韻にどっぷりと浸らせる神々しさを放っている。
それを見て、何かが私を呼んでいる気がした。

しかし、私は直感は十中八九外れる。

それは、これまで迷子になった回数が三桁に及んでいることから痛いほど理解しているつもりだ。
それでも自分の足が森の奥へと進んでしまっているのは、私は今世紀最大の阿呆であるからに違いない。

3:宮代 ◆BBs.:2014/02/08(土) 11:12 ID:nvs

無心になって森の中を歩き続けていると、左手に拓けた場所を見つけた。
周りと違って木は一本も生えておらず、切り立った崖から水瓶市全体が見渡せる。
また、いつのまにか夕方になっていたようで、赤く焼けた太陽が遠くの山へ落ちそうになっていた。
水瓶市の道路、建物、人、車の全部が全部オレンジ色に染め上げられている。
私は目の前の光景に思わず見とれて、その拓けたスペースに足を踏み出していた。
地面に張り巡らされた白詰草がクッションみたいに柔らかい。
その柔らかさを踏みしめながら崖に近づいていくと、自分のいる場所の標高が意外に高かったことに気づいた。
目測だが、高さ10mくらいはあるんじゃないだろうか。
それにしてもこんな場所に出会えるなんて、なんて運がいいんだ。
私の放浪癖と方向音痴が転じて吉となったと思うと、嬉しくてたまらない。

4:宮代 ◆BBs.:2014/02/08(土) 11:31 ID:nvs

「・・・すぴー・・・すぴー・・」

気のせいだろうか。
今、誰かの寝息が聞こえたような気が・・・

「すぴー・・・すぴー・・・」

確かに聞こえた。それにしてもわかりやすい音である。
相当爆睡しているのだろうか。
誰かいるのかと思い、私は付近を見渡したが、誰も見当たらない。

「あれ、気のせいか・・・?」
「ん、うーん・・・」

私の足元で何かがモゾモゾとうごめく。
突然のことに、私は驚きのあまり「わっ!!」と叫んで尻もちをついた。
尻の鈍痛に耐えながら、さっき急にうごいた謎の物体に目をやると、草の上で一人の黒髪の乙女が丸まって寝ているではないか。
私は景色に気を取られていて、彼女の存在に全く気づけなかったのだ。

5:森見登美彦さんの:2014/02/21(金) 20:37 ID:4aY

夜は短し歩けよ乙女に似せてあるみたい。


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