光を忘れた少女

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1:あや:2014/02/15(土) 19:45 ID:NMA

__人の声

__空の色

__周りの自然

そんなものは、

とっくに忘れた。

自分の姿、声も忘れた。

同時に、“光”も忘れた。

2:あや:2014/02/15(土) 19:56 ID:NMA

「……」

ただただ、

腫れ上がった手で、

開くわけない重厚な

鉄の扉を、涙を流しながら

叩き続ける。

『出して、出して。

 ここから私を出して』

声はもう、

とっくに枯れて、

出てこない。

光の当たらない

この場所。

私は“自分”をも忘れた。

3:あや:2014/02/15(土) 20:31 ID:NMA

食事も、

遊びも、

運動も、

全部自由に出来ない。

私は暗く狭い、

鉄の壁に覆われた

壁にへたりこむ。

疲れたのだ。

死にたいのに、

死ねない。

出たいのに、

出られない。

辛い生活を、

私は何年したのだろう。

4:あや:2014/02/15(土) 22:58 ID:NMA

天井から、

ゴゴ……ッ

と、音がした。

だが“闇”しか見えない。

そこから落ちてきたもの。

それは、ひと切れのパンと、

何かの飲み残しのような、

腐った臭いのする水。

「……」

私は壁から離れ、

落下物に手を伸ばす。

「……ッ」

私はひと切れのパンを、

小さく千切りながら、

口に入れた。

これだけでも私は、

満足だ。

ただ、水は飲めないが。

5:みみ:2014/02/17(月) 17:00 ID:A1.

なんか、切ないような、心を揺さぶる?そんな話ですね。
かわいそうな少女。
ハッピーエンドがいいですね。
がんばって!

6:あや:2014/02/17(月) 17:58 ID:NMA

>>5
 コメントありがとうございます。
 切ない、心揺さぶる……!!
 そんな話だと思っていただけて
 嬉しいです。かわいそう…ですね。
 happy endの予定です。
 はい、頑張ります!!

7:あや:2014/02/17(月) 18:05 ID:NMA

端に、飲めなくはないが

危ない水を置く。

そして一息ついて、

また壁に寄りかかる。

開いた天井も、

いつの間にか閉じたのか、

閉じる気配がしなかった。

「……」

いつまで、

ここにいるのだろう。

自分の親の顔も忘れた私は、

この先もずっと、ずっと、

こうして一人でいなければ

いけないの?

ドアも施錠されたまま、

開くこともないの?

私が死なない限り、

ずっとここにいなきゃ

いけないの?

今も私は、

存在している価値が無い、

捨てられた人間だ。

だからどうでもいいんだ。

8:みみ:2014/02/17(月) 22:01 ID:A1.

本当にかわいそう・・・

9:あや:2014/02/18(火) 16:56 ID:NMA

 >>8
  これから良くしてみせますっ←

10:あや:2014/02/18(火) 17:03 ID:NMA

「君はいくつだい?」

ビクッ、と跳ね上がった。

私は辺りを見回す。

暗くて何も見えない

__はずだった。

一つの蝋燭のような

光が隣にあった。

「……!?」

私は逃げるようにして、

前方へ走る。

「おや、逃げないで下さいよ」

フッ、と蝋燭のような光が、

横に来る。

蝋燭のような光は見える。

だかま、それを持っている

人の姿が見えない。

__幽霊?

私の脳裏に浮かぶ言葉。

幽霊を信じたことはない。

存在するものだとは、

思えなかったからだ。

「……」

私は黙って、

隣に触れる。

感触はない。

__ということは、

蝋燭が上から吊らされてるか、

浮いているだけ……?

私は何だかバカバカしくなり、

その場にうずくまった。

__じゃあ、あの声は……?

11:あや:2014/02/18(火) 17:15 ID:NMA

「……」

目をつぶっても、

開いても、

闇の濃さが変わらない、

私のいる部屋。

私は、眠っていたのだろうか。

頭がボーッ、としている。

__あの蝋燭のような光も、

きっと夢だったんだ。

私は回りを見るように、

頭を動かした。

そして、壁際に沿って歩き、

ジャラ、と鎖の音を耳にすると、

私は、扉を叩く。

『出して。

 ここから出して。

 私が何をしたのですか』

声が出ない。

だからクチパクで言う。

クチパクじゃあ、

声は聞こえない。

だから助からない。

あの声に、

従っていれば、

私は出られたのだろうか。

それとも、あの声は罠だと、

悟って良いのだろうか。

__あの光と声は、

まちがいなく夢であろう。

12:あや:2014/02/19(水) 12:19 ID:NMA

「……」

今の時刻や、空の色。

朝も昼も夜も分からない。

天窓も、何もないから。

不思議なことに、

酸素が無くならない。

苦しくもない。

だが、嬉しくもない。

楽しくもない。

遊ぶものも何もない。

『外に、出たい__』

クチパクで、唱える。

「だから、

 出してあげましょうと、

 昨日から言っておりますのに」

機械的音声が、

流れる。

蝋燭のような光も。

だけどそれは、

昨日に増して眩しくて。

思わず目をつぶったら、

右手に暖かな感触が。

それは誰かの温もりか。

蝋燭のような光を、

つけられたのか。

目を開けたくても、

開けられない。

光の眩しさが、

目をつぶってもわかるくらいに、

光っているから。

天井から、重たい音がした。

「侵入者だ!!侵入者だ!!」

久々に聞いた、

生の人の声__……。

13:あや:2014/02/19(水) 15:33 ID:NMA

「……!?」

私は寝ていたのか、

目を開けてみると、

ものすごく眩しい光が、

私の目に写った。

「……っ!!」

顔を背けて、

後ろを向いた。

私がいたのは、

あの真っ暗な部屋じゃなかった。

「……」

私はザッ、と立ち上がり、

回りを見回した。

「はじめての外?

 それとも、久しぶりかな?」

私は隣に、

機械的音声がしたから

驚きでしりもちをついた。

「あ、ごめん」

その人は、

ガスマスクみたいなのを

はずした。

彼は、

男の人みたいだった。

「……」

私はボケッ、と見ていた。

「僕の名前は、

 エルフ」

彼はガスマスクみたいなのを

投げ飛ばすと、

蒼い色の目を細め、

唇の端を少しだけあげた。

「君に、

 世界を見せに、

 来たんだよ」

エルフと名乗った彼は、

水色のマントみたいな上着を

ひるがえした。

14:あや:2014/02/19(水) 21:45 ID:NMA

「今、僕らが歩いている場所はね、

 土でできた道なんだよ。

 回りは草で、向こうに見える、

 あの空に向かってそびえたつ、

 茶色い屋根、分かる?

 あれはここら周辺で有名な街の

 ベルと時計塔なんだ。

 回りを取り囲むのは、

 砦である塀と、樹齢何百年の樹」

エルフは右手の人差し指で

色んなところに指差しながら、

説明していく。

私は燦々と輝く太陽というものを

防ぐように右腕で遮る。

「眩しいかい?

 そうだよね、ずっと暗い、

 不自由な生活をしていたもんね。

 まぁ、慣れるよ」

エルフはそう言って、

前を歩いていく。

私はエルフの背中をつついた。

エルフはこっちを向いてくれた。

「……っ゙」

やはり声が出ない。

私はその場で屈んで、

人差し指で土の地面に、

伝えたいことを書いた。

『水が飲みたい。

 綺麗な綺麗な水が飲みたい』

私はそう書いて、

エルフの顔をうかがった。

エルフはニッコリ笑い、

「行こうか!!

 スピチャイルの街へ!!」

と、あの空に向かってそびえたつ、

茶色い屋根を指差した。

私もニッコリ笑い、うなずいた。

15:あや:2014/02/20(木) 12:10 ID:NMA

小さな門を開いて、

街の中に入る。

受付みたいな場所があり、

そこには大きな男の人がいて、

「ようこそ、

 スピチャイルの街へ!!」

と陽気に言ってもらったら、

エルフは優雅にお辞儀をした。

「君は……エルフだったかい?

 前にも武器を買いに来たね。

 また買うのかい?」

男はエルフに言った。

「あれは姉様の遣いとして、

 この街に来ただけですよ。

 今日は彼女をここへ、ね」

エルフは私に顔を向けた。

私はとりあえずうなずいた。

「名前は?」

男が私を見る。

「……」

私は黙った。

自分の名前が分からない。

呼んでもらった覚えがない。

「人見知りらしいです」

エルフはそう言うと、

男に軽く挨拶をし、

私の前を歩いていった。

あの男の姿が見えないくらいに

真っ直ぐ進むと、

エルフは止まった。

「君の名前は?」

私はまた屈んだ。

『分からない』

それだけ書いた。

エルフは口を開けていた。

「驚いた!!

 君には名前が無いのかい!?」

エルフは私をマジマジと見て、

そう言った。

私はうなずいた。

「困ったなぁ……。

 でもとりあえず、

 水飲みに行こうか」

私はうなずいて、

エルフについていった。

16:あや:2014/02/20(木) 12:53 ID:NMA

しばらく進むと、

木の根の通り道が見えた。

それも通ると、

奥には大樹を切った、

切り株が見えた。

その中は掘ったのか、

空洞になっていた。

「1日で無くなってるなんて。

 昨日は祭典でもあったのかな」

エルフはブツブツ呟きながら、

手を切り株の淵に当てた。

その瞬間、エルフの足から

僅かな風が吹き出て、

エルフの手からは光が出た。

その光は、あの暗い部屋にいた時の

蝋燭のような光と同じだった。

「『出でよ』」

エルフがそう言うと、

切り株の底から、

透明な液体が、

キラキラと輝きながら

わき出てきた。

17:あや:2014/02/20(木) 16:33 ID:NMA

「この液体が、

 水、というものだよ。

 あの部屋は暗かったから、

 水の色が見えなかったんだね」

私はうなずいた。

「あ、飲むものがないね。

 ついでに声が出るものも、

 買いにいこうか。

 こっちきて」

エルフはそう言うと、

来た道を戻り、

右に曲がった。

そこには、木の上に、

家のようなものがあった。

「ツリーハウスさ。

 さ、中に入ろうか」

エルフは木の棒でできた

ドアを開いた。

「エルフじゃーんっ!!

 えーっと、一週間ぶり!!

 元気にしてたー?

 今日は何をお求めで?」

金のキラキラ光る髪の毛を

している女は言った。

「テシーナ、今日は僕が

 用事がある訳じゃないんだ。

 彼女に薬をあげたくてさ」

エルフは私の背中を押した。

「へぇ……」

テシーナと呼ばれた女は、

私を睨んだ。

「……」

私はそれになんの感情も

持たなかった。

「早くくれないかな。

 名前も聞けなくて、

 困ってるんだよ」

エルフがそう言うと、

テシーナは私にツンと鼻を向け、

奥の部屋に入っていった。

「素直じゃないよね、

 テシーナはさ」

エルフはフッ、

と笑いながら言った。

18:あや:2014/02/20(木) 18:11 ID:NMA

しばらくして、

テシーナは奥の部屋から、

こちらに戻ってきた。

「どうぞ、エルフ。

 なんでエルフは小さな

 この子といるの?いくつ?

 しかも汚い服ねー……髪型も。

 あたしが何とかしてあげるよ」

私はテシーナに手を引かれ、

ひとつの扉の前に立たされる。

「まずお風呂入りな。

 蓋開けて、椅子座って、

 石鹸で髪の毛を洗うの」

テシーナのジェスチャーを見て、

私はうなずき、扉を開けた。

上がったとき、前にきらびやかな

ワンピースがおかれていた。

『それ着て』

扉の向こうから声がした。

私はうなずいて、

頭からかぶった。

そして扉を開いた。

「綺麗になったね。

 じゃあ髪の毛も結おうか」

私はうなずいた。

19:あや:2014/02/20(木) 18:27 ID:NMA

綺麗に二つ結びにされた、

私の髪の毛。

私はエルフのしていたように、

お辞儀をした。

「フン」

テシーナは鼻で笑った。

私はエルフの待つ場所へと戻った。

「おぉ、戻ったか、テシーナ。

 ……ん?あれ、君、服が……!!」

私は口の両端を上げた。

「綺麗になったでしょ」

テシーナは自慢げに笑った。

「綺麗になったところで、

 水飲み場に行こうか」

私はうなずき、扉を開けて、

外に出た。

「ね、あたしも行きたいから

 ついてくー!!」

テシーナは靴をガタガタ鳴らして、

外に出た。

20:みみ:2014/02/21(金) 19:30 ID:A1.

よくなったな・・・(泣)

21:あや:2014/02/21(金) 19:32 ID:NMA

テシーナを連れ、

私たちは切り株へ行く。

「へぇ、昨日は長老の生誕祭が

 あったからスグに水がなくなって

 困ってたんだ」

テシーナは目をキラキラさせながら

言った。

「やっぱりなにかあったのか」

エルフはフゥ、と言った。

「あ、チビに薬飲ませたら?」

テシーナは私に指差しながら言った。

「だね。

 ほら、手で水をすくって、

 飲んでみて」

私はエルフの言う通りにし、

薬を手にした。

「……っ」

私は飲み込み、

息を吸って、はいた。

「……!!」

私は水を飲む。

「どうだい、チビ」

「どう?」

私は地面に書いた。

『声が出ない』

と。

「なっ。

 あたしの薬でも駄目か!?」

テシーナはじだんだを踏む。

「あ、まさか」

エルフはハッ、

と顔をあげた。

「エルフ、どうした?」

テシーナはエルフを見た。

「彼女がいた場所は、

 牢屋だった。

 テシーナ、牢屋には

 誰がいるか、わかるよな?」

テシーナはうなずき、

「エルフみたいな、

 魔法使いがいる。

 ……このチビ、

 魔法で声が出なく……!?」

テシーナは目をギョッとさせて

言った。

エルフも静かに、

「そうかも」

と呟いた。

22:あや:2014/02/21(金) 19:33 ID:NMA

>2
 本当、そうですよね……!!

23:あや:2014/02/21(金) 19:50 ID:NMA

私はわたわたと、

『私の声は

 助けてと叫んだ末に

 出なくなった声だから

 魔法なんて関係ありません』

と、書いた。

「魔法でダメになったことも

 考えられるよ」

テシーナは私を見て言った。

「僕はそんな魔法、

 勉強しようともしなかった」

エルフが自分の右手を見ながら

言うと、

「ダメエルフ」

とテシーナが言った。

「うるさいなぁ。

 じゃあテシーナがやれば?」

エルフは吐き捨てるように言った。

「あたしには魔力が無いから」

私はギョッとした。

『魔力ってみんながあるわけじゃ

 無いんですか』

私が地に書いたら、

テシーナが気づいたが、

「声が出てから教える」

とだけ言われた。

24:みみ:2014/02/22(土) 22:38 ID:A1.

すごいですね
魔法だなんて・・・!


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