化け猫少年と騙されし少女

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1: ◆Xo:2014/03/23(日) 19:15 ID:tcg

ネーミングセンスが無いのは気にしないで下さったら幸いです((

_______________


とある小さな町に、人間が嫌いな一匹の真っ黒い猫がいた。
その猫は人を騙すのが好きで、色々な動物や物に化けて、住民を困らせていた。

そしてある日、人間嫌いなその化け猫は、一人の娘に恋をした。
その娘は、親から日々虐待を受けている、とても可哀想な娘だった。

どうしたらあの娘に好かれるだろう、どうしたらあの娘の側に居られるだろうと、一生懸命に考えた。
来る日も来る日も考えて、やっと辿り着いた結果を、化け猫はぼそりと呟いた。


『いっその事、人間になってしまえばいい』と。

2: ◆Xo:2014/03/23(日) 19:27 ID:tcg

ー主な登場人物ー

*尚谷 独 ~hitori naotani~ ♀
化け猫で、人を騙すのが好き。
人間は大が付くほど苦手であるが、とある娘に恋をした。
話す事が好き。運動神経もなかなかのもの。足は速い。
水が嫌いで、触れる事も出来ない。


*阿倍 鈴
優しい性格。あまり怒らないが、怒ると物凄く怖い。
猫が大好き。動物になつかれやすいのか、家には沢山の動物が住み着いている。
親から虐待を受けていて、『自分は不幸な人間だ』と思っている。

3: ◆Xo:2014/03/23(日) 19:28 ID:tcg

>>2
阿倍 鈴 ~rin abe~ ♂

上記を訂正します。

4: ◆Xo:2014/03/23(日) 19:47 ID:tcg

【独side】

7月8日。
今日の気温は30c°を越えていた。
店のガラスには『熱中症対策にはコレがイチバン!』とか『熱中症の対策は出来ていますか?』だのと、これでもか、という程の大文字で書かれたポスターが張り出されていた。

とにかく暑い。暑過ぎる…
地球温暖化が進んでいる証拠だろうな。去年の7月上旬はまだ20c°前後だったぞ。

そんな町をウロウロと彷徨く一匹の猫、…名前は無いがな。
誰にも飼われてない。野良猫は気ままで楽だ。飼い猫なんて、首に首輪というものを付けられて自由を奪われているんだ。
全く…いくら逃げられたくないと言っても、そんなんじゃ理不尽だろう。人間のほうが有利じゃないか。



知らない内に、山の奥まで来ていたようだ。
薄暗くて少し気味が悪い…誰かがいる気配もない。
涼しい風が吹きと追っていて、夏バテしそうな今日のような日には快適な場所であろう。
体感気温だけは。

「…ちょっくら此処で転た寝でもしようか…」
そう独り言を呟いて、地面に仰向けに状態で寝転がる。
地面も冷たくて気持ちが良い。ただ凸凹としているのが気に入らない。

「…神よ…この凸凹を何とかして下さらぬか……」
こんな願い、神に願う程でもないか。自分でも出来そうだ。



「………い…ッ!?」
「きゃぁぁっ!!ごめんなさい…!!痛かったでしょ…?ごめんね猫さん……」
何処の誰だ。折角ゆっくりと気持ち良く寝ていたのに、邪魔する無礼者は。
「わぁ…ちょっと怪我してる……ごめんね…本っ当にごめんね……」
目を開けてよく見てみると、そこには、我輩を見て泣きそうになっている娘の姿が映った。
「……。」
「看病してあげるね…!ちょっと家までおいでよ!」
娘はそう言って、我輩をヒョイと抱き上げたのである。

5: ◆Xo:2014/03/23(日) 20:16 ID:tcg

何処だ此処は。

娘が連れて来た場所は、全く見覚えがない古い建物の前だった。
「ちょっと待ってて!救急箱取って来るから!」
そう言い残し、娘は家の中へと姿を消した。
「……。」
上手く現状が読み取れない。

知らない内に、奥へ奥へと入って行ってしまった山で転た寝をしていると、突然娘に尻尾を踏まれ怪我をした。
それを心配したのか、娘は知らない建物の前へと我輩を連れて来た…

「…よく分からぬ」
腕を組んでしばらく考え込む。すると、娘が帰って来た。
「持って来たよー!」
何か四角くて白い物を持っているようだ。
「いま治療するからね!ちょっと待ってて〜…」


「よし!出来た!」
やっと出来たか…じゃあさっさと此処から姿を消して…
「でもまだ無理しちゃダメだよ?怪我したらまた来るんだよ!」
娘はそう言って笑った。

どうしてそこまで我輩に構うんだ。別に他人事じゃないか。怪我をしたのは見知らぬ小汚ない黒猫だぞ?
一体何者なんだ。この娘は…



時刻は8時を上回った。
全く…今日は何で日だったんだ。
しかし、あの娘の笑顔…少し安心出来たような……
「…えぇい!!馬鹿馬鹿しい!我輩の頭は一体どうしてしまったというんだ!?」
自分の考ていた事に頭を抱えて大声を上げる。
「もう…寝るか…」
一晩寝れば忘れるだろう、という単純な考えであった。これで忘れられるなら楽なものだ。酷い出来事も忘れられる。
…そんなのはどうでもいい。寝るか……

「…神よ、今夜も我が良い夢を見られますよう、見守っていて下され」
そう言うと、すぐ目を閉じ、深い眠りへと陥っていった。

6: ◆ac:2014/03/24(月) 15:54 ID:tcg

日が登り始めた午前5時。何故か目が覚めてしまった。
いつもなら午前6、7時頃に起きるのだが。

「……暇だ」
『早起きは三文の得』なんて世間では言っているが、何が得だ。我輩など早起きのせいで暇を持て余しているのだぞ。一体どうしてくれよう。
というか、周りの人間がワーワーと騒いでいるのが悪いんだ。
…己の責任か…いくら人間嫌いでも他人に押し付ける事は許されぬ。

さて、何をしようか。遊びに行くといったって、まだ他の猫らは寝ている。
なんなら化けて遊んででも来るかな。

そしてふと、昨日の娘の事を思い出す。
思考から追い出そうとも、追い出せないのが厄介である。

「…人間も悪くはないな」
無意識にぽろりと呟いた一言は、昨日までの我とは全く異なる考えだった。

あの娘は……
「えぇい!喧しい!一体どうしたというんだ!!」
何故かは分かりかねるが、昨日娘と出会ってから、娘の事を考える事が多くなってきてしまっている。
それに動悸まで……病気か?

どっちにしろ、もうあの娘とは会わない。
「…朝の散歩でもするか」
屋根から降りると、早速昨日歩った道を再び歩き始めた。
ここの道は気に入っている散歩コースだ。だが、人間共が我輩の通り道を塞ぎ、上手く前に進めなかった。
が、今はどうだ。人通りも少なく、快適な散歩コースだ。いつもこんな感じなら良いんだがな…



何故か今日は体力の消耗が早い。まだ歩き始めて2分の所で、もう息切れしてしまったようだ。
しかも歩っているのに。

フラフラとふらつきながら歩っていると、耳が痛くなる程大きい音が聞こえた。
人間界では『クラクション』とかいったっけな?

あまりにも煩いので、音がする方を見てみる。
するとそこには、一台のトラックが我に迫ってきていた。

7: ◆ac:2014/03/24(月) 16:23 ID:tcg

恐ろしさのあまりに、硬直して体が動かない。
その時、トラックのブレーキ音が耳に響いた。



我輩は他界しまったのだろうか。
目の前は真っ暗で、何も見えない____
「____ったた……大丈夫…?」
聞き覚えのある声だ。誰が我輩を助けてくれたのだろうか…
「ね、生きてる?死んじゃったの…?ねぇ……!?」
昨日の娘だ。
娘が我輩を助けてくれたというのだろうか。随分勇気がある奴だ。
現在、その娘に抱かれている体制になっている。
「……?」
「い、生きてる…!良かったぁ…心配したよ…」
その娘は、昨日と同じような優しい笑顔になった。
その表情に、何故か動悸が起こる。
「怪我、してない?こんな朝にどうしたの?」
娘の口からは、次々と言葉が溢れ出てくる。
勿論、我輩は喋れるような特別な猫ではない。
「…喋れる訳ないか…ごめんね。怪我はしてないようだから。今度からはちゃんと気を付けるんだよ?」
そう言い、笑顔のまま姿を消した。
「………」
よく分からない。どうして昨日に引き続き、こんな小汚ない猫を助けるのだろうか。
それにこの動悸の正体も明らかになっていない。
…聞いてみる他ないな……



2時間後、やっと猫や人間が起きてくる時間帯となった。

現在地は知り合いの猫の家だ。というよりも住処だろうか?
来ている理由は、あの娘の事と動悸の正体だ。

「我輩の体はどうしてしまったのだろうか?」
「私にも分からないわ。ただ、貴方は恋というものをしているらしいわね」
「…恋?」
「えぇ。ある者は好かれ、ある者は惹かれていく。その事を、人間界ではそう呼んでいるらしいのよ」
よく理解は出来なかったが、大体は把握できた。
「…とりあえず、我輩は恋というものをしているのだろうか?」
「…そういう事になるわね」

8: ◆ac:2014/03/25(火) 12:04 ID:tcg




話にならん。
この我輩が『恋』をしているとは。アイツに相談するんじゃなかった。

…しかし、その可能性も0ではない。動悸の正体も『恋』のせいなのかもしれない。
我輩には全く似つかわしくないが、そう考える他なかった。
病気とも考えたくないし…
まず病気だとしたら、今頃この場に倒れているかもしれないしな。



その日を境に、我輩はよく考えるようになった。
どうしたらあの娘の側に居られるか、どうしたらあの娘に気付いてもらえるのか。
人間はまだ好きになった訳じゃないし、化けたら嫌われてしまうかもしれない。
いや、化けてもバレなければ宜しい話ではないのだろうか?

「いっその事、人間になってしまえばいい」
こんな事を発したのは、生まれて初めてだ。
まさかこんなに動揺していたとは。
あの娘は、我輩の人間嫌いを克服させてくれたのだ。



「動きにくいな……」
いつもは四足歩行だったが、人間という者は二足歩行をする動物だ。
そのため、歩きには全く慣れない。
「…その内なれるだろう」
そう言い、あの娘の元へと走り出した。

9: ◆ac:2014/03/25(火) 19:19 ID:9eA

きっとあの建物に居るんだろう。
そう思い、前連れて来られた建物にやって来た。
見つからないように忍び足で行動する。

すると突然。
「痛い…っ!!やめて!!」
娘の声だ。
一体何事だ、と、入り口から少しだけ顔を覗かせる。

「…!?」
いつもと違う娘の姿に驚く。
体や顔には傷、傷、傷。見知らぬ人間に殴られ蹴られを繰り返されていた。

「私何もしてないよ!!何でこんな事するの…!?」
「煩いわねっ!!何よこの点数!?アンタこれでも優等生なの!?」
人間の女性がバンバンと叩く紙には、赤色で大きく『85』と記入されていた。
「いつもより15点下な事くらい良いじゃん!!お母さんこそ昔は全然頭良くなかったんでしょ!?」
「…チッ…ちょっと此方に来なさい」
「痛い!!痛い!!!止めろ!!このクソババァァァァァ!!!!」
その言葉には、娘の本性が表れていた。
髪を引っ張られ、何処かへと引きずられて行く。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!」
我慢しきれない。
大声を出し、娘を引っ張る女性の顔面を本気で殴り飛ばす。
「だ…誰!?」
「早く来い!殺されたいのかっ!!」
強引に娘を引っ張り、何処か知らない場所へと連れて行った。

10: ◆ac FL1-118-108-236-173.myg.mesh.ad.jp:2014/03/30(日) 09:52 ID:9eA

【前レス急いでたので適当です…!】

我輩も知らぬ場へと逃げてきてしまった。
「あ…ありがとう……?」
「…礼は要らん。何故あのような関係になっていたんだ。あいつらは一体誰なんだ?」
苛立ちが収まらないからか、次々と問い詰めてしまった。
あいつらがもし、この娘の関係者じゃないならば、アレは『ただの暴力』というが宜しいだろう。
しかし、あの様子からすると、娘が何かやらかしてしまったようにも見えた。
「あ…あれは、私のお母さんとお父さんだよ」
「…は?」
父親と母親が自分の子供に虐待をしていたということか?
なんだか『85』と赤い大文字で書かれた紙を叩いていたような…

「なんか、前より点数が下がってたみたいで…怒られちゃった」
娘はぎこちない笑顔になる。恐らく作り笑顔だろう。
「あ、名乗り遅れたね!私は阿倍鈴っていうんだ!宜しくね!
君はなんていうの?」

【ここで訂正。>>2>>3でどちらも性別が逆になっていた←】

勿論、野良猫である我輩に名前などは無いのだが。
「…そんな事を訪ねられても困る。我輩に名前など無いんだぞ」
我輩がそう言うと、何故か娘は笑い始めた。
「あっはは!『我輩』だって!面白い一人称だねぇ!」
「からかっているのか!人を笑うでない!」
怒りのあまり怒鳴りたててしまった。が、娘は一歩も引く様子もなく、引き続き笑っている。

「ふぅ…でもさ、始めて見たよ。変わってるね。君」
「当たり前ではないか。我輩はそんじょそこらの人間とは異なる種族なんだ」
「へ〜!難しい言葉使うね?
あ、あとさ、名前がないなら私が付けてあげよっか?」
「…え?」
名前を付けてもらえるのか?
我輩で言えば飼い猫のように、主に名前を付けてもらえるのだろうか。
「じゃあねー、ちょっと1つ出してみるよ?ん〜…尚谷独…とか?」
「…お前馬鹿にしているのか?」
随分馬鹿馬鹿しい名前だ。何が『独』だ。
「だ、だってさ、独りで居たじゃん?『尚谷』は適当だけど」
「……」

11: ◆ac:2014/03/31(月) 10:22 ID:9eA

独りでいた…か。
それほど我輩は孤独だったというのだろうか。
「我輩を馬鹿にしているのか、と聞いているんだ。名前の由来など聞いていない」
「あー!あとそれと、その『我輩』っていうの可笑しいから止めた方が良いと思うな」
人の一人称にまで愚痴を入れるのか…?
何故我輩は、このような娘に恋をしてしまったのだろう。
これは『性格』とやらが関係しているらしいが、…そういえば、我輩の『性格』はどんなんだろうか。

「私的にはね、『俺』って言ったほうがカッコいいと思うんだ〜!」
「…俺…?」
「そうそう!自分の事をいう時、これからは『俺』って言ってね!
我輩だと変な人だと思われて遠ざけられちゃうかもしれないから」
娘は…いや、鈴は笑顔でそう言った。

「ならば、宜しくな。鈴」
「うん。宜しくね!独!」



さて、ここからどうしようか。
名前を付けられたからには、もう猫に戻って一生を過ごす事も出来ない。
鈴は我…俺の名前を呼んだ後、「今日からずーっと友達だよ!」と言い、『指切り元万』とやらを求めてきたのだ。
結局してしまったのだが。

『嘘ついたら針を千本飲ます』
約束というものは、それほど硬いものたのだろう。最後の『指切った』という言葉が少々気になるが、まぁどうでもいいだろう。

「……今は何時だ…」
先程、鈴を全速力で避難させてきたからか、体感温度は相当暑くなっていた。
現在時刻は、午前8時58分。まだそんなに暑くならない時刻だ。
全身は汗でびっしょりと濡れており、何故かは分かりかねるが、息切れまでしていた。
それに、着ている服も体にぺったりと貼り付いている。
何だか妙に気持ち悪い気もしてきた。

12: ◆ac:2014/04/02(水) 11:32 ID:9eA

人間は『風呂』というものに入っているみたいだが、どのようにして汚れや臭いを取り消すのだろうか。
風呂は水なのか…?



「…!」
トコトコと町を探索していると、目の前に『銭湯』と書いてある看板が見えた。
確か銭湯というものは、『温泉』だとか『風呂』だとか…
しかし、『お金』というものが必要なようで、そのお金を払わなければ『警察』とやらが『逮捕』というものを…
「…訳分からん」
俺はお金を持っていない。このままでは入れない。
しかし、風呂には入りたい…汗で濡れた服が体に貼り付いているのは気持ち悪い。
「はぁ…」
溜め息を吐いて、暫く看板を見つめていると、突然見覚えのない人物が話し掛けてきた。
「ど…どうしたの…?」
「あ…」
身長はほぼ同じで、他人から見たら『双子だろう』と思われる程、俺に似ていた。
俺が声を漏らすと、その少年は「ひぇぇ!!ごめんなさい!失礼しました…!」と怯えて逃げようとしていた。
「お、おい!待て!貴様に聞きたい事がある…!」
「僕なんて美味しくないですよ…ひぃぃ…食べないで下さいぃ…ごごご、ごめんなさい……」
どうしてこんなに弱々しいのだろうか。何故同種の奴に怯えなければいけないのだろうか。
「今回はどうか見逃して下さい……今度会ったら食べて良いですので…あぁぁまだ生きたいんですぅぅ…」
ペコペコと頭を下げながら何故か謝っていく。
「…そろそろ頭を上げてくれないか…本当に食うぞ」
「スミマセン…!スミマセン!本っ当にスミマセン…!!僕おおおお美味しくないですスミマセンぁぁぁぁぁぁ……」
涙をボロボロと流しながら続いて謝り続ける。何なんだコイツは。
弱いだけなのか、何かがトラウマになってしまったのか。
単なる馬鹿なのか…
「お…お前の名前は…?」
「ひぇぇぇ…あ、な、名前ですか…?ぼ、僕は『桐塊 龍(きりかた とおる』って言いますぅ…お、恐れ入りますが…貴方は…?」
「俺か?俺は……」
鈴に貰った名前を述べるのか。
『名はない』と述べるのか。
…折角付けてもらった名だ。一回ぐらい名乗ってみよう。

「俺は尚谷独だ」
そう言うと、今まで流していた涙を止め、顔を青くした。
「ひ、独っ…!?わわわ…スス、スミマセン…!スミマセン……!!」
「は!?どうしたんだ!?独りがどうした!?」
「独りで居るのが掟だというのに名前を聞いたり話し掛けたりして悪かったと言いますか…わわわわわ、スミマセンスミマセン…!!」

13:kido ◆ac:2014/04/02(水) 17:52 ID:9eA

…は?掟?
まさかコイツは酷い勘違いをしているのでは?
「掟などない。何を考えているんだ貴様は」
「ひぇぇぇ…!!間違ってました!?ごめんなさい!ごめんなさい…!!なんて事を僕は…!」
「あー…もし分かったから謝るのを止めろ!」
龍の態度に少々腹がたち、頭を軽く殴った。
「はぇ…あ…スミマセン…で、では、僕は立ち去ります…」
涙を止めて、しかし顔色は悪いまま、俺の目の前を立ち去ろうとした。
「…っておい待て!!」
「ひぁぁぁぁぁ…っ!!ごめんなさい殺さないでぇぇぇぇぇ…!!!」


「あ、銭湯ですか。…って戦闘!?そ、そんな事する気ありませんよぉぉ…!!」
「バカかお前は!銭湯だ銭湯!人間でいう『温泉』の事だ!!」
何故コイツなんかに話を聞いているんだ…これだったら鈴のほうがまだマシだ。
「あ…お、温泉ですね…はぁ…ビックリした……で、…え?」
「は?」
突然ポカンとした顔で首を傾しげる龍。
「…どうした」
「あ、いえ…。…何を聞きたいのでしょうか…?」
そういえば、俺が知りたい内容を教えていなかった。
内容を把握していなかったから首を傾しげたのか、『銭湯って何だっけ?』と思ったものの、また口を挟まれそうだったので止めたのかは、きっと相手にしか分からないだろう。
「…あぁ…まずは、風呂って何だ?」
「はい…!?…うぁぁぁぁぁぁ!!!スミマセン!突然意味不明な事を口走られるので…うわぁぁぁぁ!!スミマセン!!」
もうダメだ。早くここから立ち去ろう。
方向転換をし、龍に背を向ける。
「…スマン、もういい。ありがとな、龍」
「ご、ごめんなさい…役立たずで…」
最後であろう会話の言葉のシメはそれだった。もっとマシな言葉はなかったのだろうか。

14:kido ◆ac:2014/04/02(水) 17:53 ID:9eA

>>13の六行目
『「あー…もう分かったから謝るのやめろ!」』
です。(

15: ◆ac:2014/04/03(木) 18:53 ID:9eA




何だかんだで疲れてきた。
あの龍とかいう奴に話を聞くものの、あまり有料な話は聞けず、そのまま撤退。
そしてその後、変な奴等に散々絡まれ、『車』という乗り物に乗らされた。
そして、その車のドアを開け、飛び降りてここまで戻って来たのだ。勿論、相手にバレぬよう猫に化けてきた。
流石の俺でも疲れてくる。ていうか何故俺だったんだ…?
化け猫って事、バレてたりしてないだろうな…

「……何やってんだお前」
「え?あ、ごめんごめん。何してたかは俺にも分かんないけどさ。あはは」
さっきから視界に入ってくる人物が邪魔で仕方がない。
さっさと頭を整理させて、昼寝してしまいたいもの……
「…誰だよ…」
「ハッハッハ!気付かなかったとはね!ていうかもう何か撤退したほうが良い感じ?ねー、そうなの?」
何だ、コイツから溢れ出してくる『ウザい感』は。

「今考え事をしているんだ!邪魔なんだよ…さっさと自分の居場所へ帰れ」
「居場所なんてないよ」
ここまで言えばアイツも何処かへ去って行くだろう。いや、絶対……
「…え…?」
『居場所が無い』と聞こえたような…気のせいか。

「聞こえなかったー?俺に居場所なんて無いんだよ〜!ねー!!」
「居場所が…。…ってお前誰だよ!?名を名乗れ!!」
こんな事聞いている場合じゃない。初対面の奴に何故こんなにも話しているのだろうか。
「俺〜?俺はね、『直井 爽(なおい あきら』っていうんだよ!ついでに女の子ね!」
ドヤ顔をして胸を張る。その理由は分かりかねるが、コイツが女だとは予想外だった。
「よく男の子と間違えられるんだけどね。列気とした女だからね!?そこら辺覚えといて!?」
一人称が『俺』、声は男のように低く、整った顔立ちをしている。
「男と見間違えるなんて礼儀知らずだよね…で、君も女の子なんでしょ!?」
「…とっとと消え失せろ」
「ごめん、男の子だったんだね」
爽とかいう奴は、右手で頭を掻き始めた。
随分不思議な人物と出会ってしまったものだ…

16: ◆ac:2014/04/06(日) 15:53 ID:9eA

「…て訳なんだけど、これからも宜しくね」
「あぁ…宜しくな……。…は?」
『これからも』って何だ…?ずっと此処にいる気か?
「いや、は?じゃないよ。俺此処に住む気でいるんだけど」
「はぁぁぁぁ!?」
ていうかコイツが此処に居ること時代が可笑しいんだ。そろそろ帰ってもらわねば…

「大丈夫だよ!余命3日だから。3日後には消えて無くなるよ!」
ニコッと笑いながら不気味な事を話す。余命3日とはどれ程短いか把握しているのかコイツは…
「己…よくそんな事笑って言えるな…」
「ん?そりゃそうだよ。俺さ、友達も味方も家族も居ないし。浮いた存在だし…誰も俺の事分かってくれないんだ」
悲しそうな笑顔で、自分の事を述べ始めた。
「…俺の家族さ、俺が生まれてすぐに自殺したんだ。多分だけど、俺が育つ姿を見たくなかったんだろうね」
「…何故だ?親というものは、子供の成長に喜ぶのではないのか?」
そう言うと、爽は目を瞑り、少し附くと首を左右に小さく振った。
「俺の親は違うんだ。まぁ俺も育てて欲しくなかったって、今は思ってる。自分の子供を殺した奴等だから」
その話によると、コイツには兄や姉が居たという事になるのだろうか?

…いや待て待て、『自分の子供を殺した』とはどういう事だ…!?やはり兄や姉が居たのでは…?

「別に良いんだよ。あんな奴等…死んでしまえば良かった。もし生きてたら、今頃俺は此処に…」
爽は、歯を食い縛り、右手拳を強く握った。
「…お前は何故その出来事を知っている?何故そんなに、お前の親に詳しいんだ」
気になった。爽が生まれる前なら、何故その事を知っているのかを。
腹の中に居たならば、外の世界は見えていない筈だ。
「あぁ〜、俺もそう思ったよ。何で知ってるんだろう?って。だってさぁ、可笑しな話でしょ?お腹の中にいるのに、何でそんな事知ってるのか。…不気味な話だよね」


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