深く愛して、終わりを遂げる

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1:愛莉:2014/04/05(土) 14:18 ID:exw






「 嫌いなんだよ 」


───そう言って彼は、拒絶した。

2:愛莉:2014/04/05(土) 14:22 ID:mDw




初めまして、愛莉(あいり)と言います。
ここで書かせていただく物語は
綺麗な恋愛でも、切ない恋愛でもありません。


ほんの少し歪んだ恋愛を書いていきたいと思います。
どちらかというとジャンルはホラーに入りますので
ヤンデレ系が嫌いな方はbackをオススメ致します。


更新率は低いですが、よかったら目を通してみてください。
それではよろしくお願いします。

3:愛莉 ◆ew:2014/04/05(土) 14:40 ID:FVs




序章





────少女は呆然と目を見開いた。


ぷくりと膨らんだピンク色の唇が、僅かに震える。
釣られたばかりの魚のように、少女は口をパクパクと開閉した。
──信じられない、とでも言いたそうな顔で。
少女の綺麗な瞳が小刻みに震え、赤色の線がじわりと浮かんでくる。
真っ赤に充血した目を見て、少年はピクリと肩を震わせた。




「なんで……」




気づけば少女はそう漏らしていた。
今にも泣き出してしまいそうな少女が目の前にいても、少年は動じない。
今までだったら誰よりも早く少女を抱きしめ、腕を震わせていたはずだろう。
けれど少年はそこから一歩たりとも動かずに、少女から視線を逸らしたのだった。




「……ど、して?」
「ごめん」
「わたし、なにか……した?」
「……ごめん」




声を震わせ拳を握る少女に対して少年は、謝罪の言葉以外を述べるつもりはなく、
「ごめん」の一点張りで会話を終わりへと導いた。
あまりの素っ気なさに、少女の胸がズクンと痛む。
あんなにも優しくしてくれた少年が自分に対してここまで冷たくなる姿を
一度も目の当たりにしたことなどなかった。
けれど今目の前にいる少年は、自分をまるで赤の他人ように扱う。
少女の瞳に溜まっていた液体をこぼすのには、十分すぎる状況だった。

4:愛莉 ◆ew:2014/04/05(土) 14:43 ID:exw



すみません、訂正です。

下から2行目の
「赤の他人ように扱う。」は正しくは「赤の他人のように扱う。」
です。すみませんでした。

5:愛莉 ◆ew:2014/04/05(土) 15:53 ID:WMI





「っ……く、う……」




嗚咽が静寂に包まれた廊下内に大きく響く。
少女はこぼれ落ちる涙を手で掬うようにして、顔を覆った。
けれど少年はやはり動じない。
少しは興味がこちらへ向けられると思っていた少女にとって、
これほどまで悲しいことはなかった。
────本当に、私、振られたんだ。
今になって、ようやく少女は実感した。




「……じゃ、行くから」




それからすぐに、少年は背を向ける。
まるでこれ以上少女になんて付き合っていられないと言っているようで、
少女はその背中を追いかけることができなかった。
ようやく発せられた言葉がそんな突き放したものだなんて。
なぜこんな仕打ちを自分が受けなければいけないのか、と少女は運命を恨んだ。
顔を覆った指の間から、ぽたり、ぽたりと涙がこぼれ落ちる。


────少女の嗚咽は、それからしばらくの間止むことはなかった。

6:愛莉 ◆ew:2014/04/06(日) 11:21 ID:u/s




第1章





────私は、あんな言葉が聞きたかったわけじゃない。


左胸の奥がズキズキと痛み、それは他の箇所へも影響させた。
身体中が痛みを放っているようで、少女は苦しみのあまり顔を歪める。
朝はいつも、隣に愛する人の姿があったというのに。

ぽっかりと空いた左胸を埋めることができるのは、少年だけだった。
しかしいつもの待ち合わせ場所に少年の姿はなく、少女の希望はあっさりと打ち破られたのだった。




「……好きだって、言って、くれたのに」




乾燥した下唇をこれでもかというくらいに、強く噛み締める。
口の中に広がる鉄の味と、じわじわ痛み始める唇。
少女は毎日、身体のお手入れは欠かさずやっていた。
しかし悲しみからそんな気にもなれず、見ての通り唇はカサカサ。
こんな毎日が続けば、真っ白で綺麗な肌もあっという間に乾燥してしまうに違いない。

それぐらい、昨日の出来事は少女にとって悲しいことだった。

7:Roa:2014/04/06(日) 12:21 ID:2xw

主人公の女の子の気持ちというか…悲しみが読んでいる此方にも痛い程分かるような気がして…涙脆い私は涙腺緩みました((←
とても面白いです!
更新楽しみにしてます!

>>愛莉様

8:愛莉 ◆ew:2014/04/06(日) 12:49 ID:FVs



Roa様
まだ始まったばかりなのに、感想までくださって
ありがとうございます。
のろのろ更新ですが頑張りたいと思いますので、
よかったらまたいらしてください*

9:愛莉 ◆ew:2014/04/06(日) 13:32 ID:FVs





──少女、桜田千花(さくらだ ちか)と少年、友瀬彼方(ともせ かなた)が
付き合い始めたのは、中学3年生の夏ごろ。
受験という大変な時期でもありながら、初めて同じクラスになり隣の席になった二人は
会話を交わしていくうちに、お互い惹かれていった。
告白は彼方からだった。
放課後、受験に向けて図書室で勉強することにした二人。
教え合いながら教科書の問題を解き進めていく二人の姿は、傍から見れば恋人だった。




お互い、もう気づいていたのかもしれない。
空が茜色に染まり下校時刻も近づいてきた頃、彼方はようやく口を開いた。
「好きだ」と。




それから二人は付き合うようになった。
手を繋いで帰ったり、週末に顔を合わせたり、メールでやり取りをしたり。
受験生にも関わらず、恋人らしいことを繰り返してきた。
かれこれ付き合い始めてから一年は経つだろう。
同じ高校を目指し同じクラスになったと思ったら、彼方の態度が一変。
だんだんと冷たくなり距離も遠くなっていっていることに、千花は気づいていた。
気づかないふりをしていた。




そしてついに千花を振った彼方は、理由さえも告げることなく去ったのだった。

10:愛莉:2014/04/06(日) 14:50 ID:mDw





「……っ」




────だめだ、耐えられない。
そう感じたと同時に、千花は教室を飛び出していた。
廊下には少なからず人がいたため、視線の的。
けれどそんなこと、気にする間も余裕もなかった。
大粒の涙が、後ろへと飛んでいく。千花は走っていた。
向かうあてもなかったけど、ただ走って、それで気が晴れればいいと思っていた。
けれど現実はそんなに甘くなくて、涙はこぼれるばかり。
ドラマや漫画なんかでよく見る屋上は鍵が空いていないし、
空き教室も鍵が閉まっていて入れない。



自分には、どこにも居場所がないのだと、千花は途方に暮れていた。
もうすぐチャイムが鳴るというのに、戻る気にもなれない。
教室にいた人達には、廊下にいた人達には、変に思われなかっただろうか。
それだけが気がかりたった。
突然走り出したのだから、もしかすると彼方も千花に気づいたかもしれない。
そう思うと辛くて、胸の奥がキリキリと締め付けられる感覚に襲われた。



「あいつは未練がましい女」。彼方の目には、そう映っただろう。
千花は人のあまり通らない静かな廊下にしゃがみ込み、顔を伏せた。
涙は次々と溢れてくる。
彼方との思い出は色褪せていってしまうのだろうか。
千花はどうすることもできなかった。
ただ、思い出が色褪せるのなら、この苦しみも共に消えてしまえばいい。
そう願った。

11:愛莉:2014/04/06(日) 14:53 ID:sHs


すみません、訂正です。
最後の行の「そう願った。」は正しくは「そう思った。」です。
すみませんでした。

12:愛莉:2014/04/06(日) 19:58 ID:WMI





***





あれからどれぐらいの時間がたったのだろうか。
千花のいる廊下は教室とは遠く離れたところにあるため、静かだった。
熱血教師の怒鳴り声も、ここまでは聞こえてこない。
そう思うといつの間にか眠っていた千花は、目を覚ましたとき、
ふと自分がどこにいるかわからなかった。




「……あ、そう、いえば、」




彼方に振られたことがあまりにも悲しくて、耐えられなくて、教室を
飛び出してきたのだった、と少したってから理解する。
まだハッキリとしない視界は、目をこすることでようやく開けてきた。
それからゆっくりと息を吐き出し、再び顔を伏せる。
こうしているだけで教室にいるときよりは安心が感じられ、楽だった。
人目もないから、ほんの少しリラックスできる。
説教は後で受けよう、なんて馬鹿なことを思いながらまぶたを下げたとき、




「もうすぐお昼だけど、よく寝るね」




ふと、聞き覚えのある低い声が千花の頭上から降ってきた。

13:愛莉:2014/04/07(月) 16:14 ID:Qy6



目だけを左に恐る恐る動かす。
現在は授業中のはずだ。なのに、自分以外に人がいるなんて。
千花は警戒心を剥き出しにしながら、頭を左に動かした。
そこにいたのは、




「……律くん?」
「うん。戻らないの?」




彼の顔には、見覚えがあった。
────桐沢律(きりさわ りつ)。
成績優秀スポーツ万能という、学年でも超有名な男子だ。
顔も整っているため、律を好く女子は数え切れないほどいる。
温かい瞳、整った鼻筋、薄い唇、長い手足。
律はいわゆる「完璧」な男子だ。


優しく明るく、クラスのムードメーカー的存在。
千花はそんな律の隣の席だった。
千花が律の隣になったことで、もちろんたくさんの女子が羨ましがった。
しかし、よくある「いじめ」というものには発展はしなかった。
それには、理由がある。




「もう少し、ここにいるから」
「ふーん。じゃあ、俺もここにいよう」
「律くん、優等生なのにサボったりなんかしたら、」
「残念でした。今は休み時間」




律曰く、あと1限授業が入ったらもう昼休みだという。
しゃがみ込んだ千花を見下ろしながら、律はふと笑みを浮かべた。
それがあまりにも優しいものだったので、千花は咄嗟に目を逸らしてしまう。
律はそんな千花を見てまた密かに笑みを浮かべたあと、同じように隣にしゃがみこんだ。
肩と肩がぴたりとくっつく。
その辺の女子がこんなことをされたのだったら、恥ずかしさで昇天するに違いない。


しかし千花は何も言わず、恥ずかしがることもせず、なんてことない顔で
ぼーっと前の白い壁を見つめていた。

14:& ◆ak:2014/04/07(月) 16:17 ID:Qy6



訂正多くてすみません。


1行目の「目だけを恐る恐る左に動かす」という文は
必要ないので省いて読んでください。

15:愛莉:2014/04/09(水) 20:04 ID:yYs





「千花ちゃん」
「……うん、?」
「彼方と何かあったでしょ?」




ぼんやりとしていた意識が、律の言葉によってハッキリとする。
これでもかというくらいに目を見開いた千花は、律の顔が見れなかった。
俯きがちになりながら、千花はもごもごと口ごもる。
立てた膝の上に顎を起き、必死に答えを探した。


────律と彼方は、中学生からの親友だった。


千花と彼方の関係は中学三年生から始まったが、律と彼方は中学一年生の頃から
ずっと一緒にいた。いわゆる、腐れ縁ともいうやつだ。
二人は小学校も同じだったため顔見知りで、そこから交流が始まったのだった。
千花なんかよりも、律の方が彼方との付き合いは圧倒的に長かった。



だから、なのだ。──千花が真実を言えないのは。




「え、っと……」
「別に遠慮しなくていいんだよ?」
「っな、何もないよ」
「嘘。何もないのに、どうして口を開くまでそんなに時間がかかったの?」




律の最もな言葉に、千花はもう何も言えなかった。
膝の上に被せた両手が小刻みに震え、じわりと生暖かい汗が滲んでくる。
いつの間にか千花は唇を噛み締めていた。
血の味がじんわりと広がる。
律は横にいる千花をじっと見据え、視界から逃がさなかった。
もう、言い逃れなんてできない状況だ。

16:愛莉:2014/04/10(木) 20:09 ID:Osw





「素直に言ってよ」
「……」
「千花ちゃん」
「っ」




低く特徴的な律の声が、今までにないくらい近くで響く。
耳の奥にまで吐息が行き渡り、千花は身体をびくりと震わせた。
恐る恐る横を見れば、律の整った顔はもう目の前だ。
今までニコニコしていた律の顔は、いつの間にか真剣な表情になっている。


整った美しい顔を目の前にして、赤面一つしない理由。


それは一つしか考えられない。
──千花の瞳の奥には、もう既に彼方という男の存在しかないからだった。




「……千花ちゃん」




ふわり、と律の柔らかな髪の毛が揺れる。
綺麗なブラウンのそれは、どこからか吹いてくる風にそよそよ揺らされる。
どこかの窓でもあいているのだろう。もしくは、隙間風に違いない。
同じように黒色のセミロングを揺らす千花の表情は、焦りと迷いが灯っていた。


言っても、いいのだろうか。


その想いだけが千花の胸の中をぐるぐる回り、言葉に出すのを躊躇させる。
律が千花の言った言葉をすべて信じるかは別として、あれだけ仲の良かった二人が
別れたなんて聞けば、まるで彼方が悪もののように思われてしまうかもしれない。
千花は、そうならないか気が気でなかった。

17:愛莉:2014/04/11(金) 16:31 ID:Ma6



しかしこの強い瞳に捕らえられては、もう何も言えなくなってしまう。
頭に浮かべていた言い訳も全て飛んでいった。
血が滲むくらい強く唇を噛み締めたあと、千花は思い切って口を開いた。




「……別れようって、言われたの」




そう口にしただけで、たまらなく胸が苦しくなる。
彼方のことを語るときはいつも胸の奥がほっこりして、温かかったはずなのに。
今は名前を呼ぶだけで、胸が張り裂けてしまうほどに悲しい。
千花は言葉を発したと同時に律から視線を逸らし、意味もなく上靴の先を見つめた。
膝に乗った手には、ますます力が籠る。気づけば爪をも立てていた。


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