天帝の魔術師

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1:千鶴 ◆:2014/04/09(水) 00:26 ID:ez-xMo



一昔前、年端もいかぬある少年少女は言った。


『俺…絶対、天帝(シドラス)になってみせる』

『目指してんのはお前だけじゃない。俺がなってみせる』

『じゃあ私は――…どっちか一人の天子(エヴン)になってみせるね』


その夢はまだ、そのまた夢の先。小さな小さな刻の歯車たちが今動き出す――。

2:千鶴 ◆:2014/04/09(水) 00:32 ID:ez-LVE



▼first message.


お久し振りの千鶴でございます。

甘キスに続きまして今回は初めての魔法小説。題名であります天帝の魔術師≠ヘシドラスの魔術師≠ゥてんていの魔術師≠ニお読みください。

若干恋愛混じりの小説(となる予定)ですがどうぞよろしくお願いします。

3:千鶴 ◆:2014/04/09(水) 01:24 ID:ez-RbM



――――春。


「翼、放ってくぞ」

「待ってよなつめ」


鬱蒼と栄える桜並木の下、二人の少年少女はお互いの歩幅を、少年は気にすることもなく歩を刻み、少女は小さな歩幅をうっとうしいほど気にしながら歩を刻む。その様はまるで俊敏な猿の跡を追っていく鈍足なペンギンのよう。何かしらの面影が見える二人の行き先はただ一つ。


私立第一魔術高校


かつてあの天帝(シドラス)をも生み出したという、彼女たちの世代の魔術師たちにとっては憧れ且つ未来への架橋。そして血飛沫の戦場である。一人一人が身体に宿った超能力を遊び半分で第一校に通うのではない。天帝、天子を目指す少年少女たちがただ自分だけの未来のために、自分だけの栄光のために通うのである。


「新入生はこちらの受付で校章バッチを身につけてくださーい」

「今年はどんな金の卵が入ってくるのかしら…」

「浮かれすぎだぞ、宇津見…」


そんな中、既に校舎には新入生たちを待ち構える受付員たちがいた。強き魔術師、金の卵をお楽しみとして待ち構える副会長の宇津見綾(ウツミアヤ)。ただ懸命に任された仕事をこなす書記の冴木ミツル(サエキミツル)。そして…第一校全体をまとめる生徒会長の五十嵐湊(イガラシミナト)。彼らは五英傑と呼ばれる各超能力で仕分けられる種類のリーダー。五英傑は文字通り大きく五つの種類に分けられる。炎、草、水、光、闇。次いでその他の種類はすべて下僕と称される。

4:千鶴 ◆:2014/04/09(水) 22:50 ID:ez-lSg



しかし五種のマギック以外は返って希少(レア)扱いされるのだ。だがその扱いようは奴隷の如く有り様。希少が希少として扱われるのはそれほど下僕な魔術師がいないということになる。つまり、少人数だからという些細な理由だけで奴隷扱いされるのだ。その下僕として生きてきた者の未来への栄光の改革確率はほぼないらしい。


「でもさ…なんかヤバそうな予感すんのよねー…」

「お、宇津見が肝を冷やすなんて珍しいな…」

「余計なお世話よ」




「――私立第一魔術高校一年伊吹千景=v


とそこにいかにも急激な成長を遂げそうな匂いを醸し出す伊吹千景(イブキチカゲ)と名乗る男が現れた。スラッとした長身に若干癖のついた綺麗な黒髪。右耳からちらりと見える青いピアスはその彼の成長を遂げた後の大いなる力を表しているようにも見える。予知系マギックの能力を持つ最上級クラスの生徒会長、五十嵐は一瞬で闇の魔術師だということを視きった。


「伊吹千景くん…闇のエキスパートだね。君の活躍を期待しているよ」

「へぇ…アンタ予知無の…天帝になるのはこの俺だ。余裕なんかかましてられんのか?」

「ちょっ、アンタ新入生のくせして生意気な口叩いてんじゃ――…!」

「構わないよ。宇津見、冴木くん」


先輩に対して口の軽い伊吹に対し、気に障ったのか五十嵐の隣にいる宇津見と冴木が前に乗り出す。しかし五十嵐はなんともないような顔をして二人の一歩手前に足を踏み出した。


「彼は魔術に対しての意識範囲が限りなく広い…だけどこの世界は君の思考通りに上手くいかないことを…甘くないということをこの俺が証明してあげるよ…」


台詞を言い終えたあとのその眼力さは計り知れないほど強い。未来を予知する黒き刃――その男、五十嵐にとって伊吹は好都合な相手なのかもしれない。

5:千鶴 ◆:2014/04/13(日) 16:46 ID:ez-lSg



「おはようございます」


荒れ狂う空気の中、一人の少女と一人の少年が動く。おはようございます、と礼儀を正しつつ深々とお辞儀し挨拶をするも五十嵐と伊吹の今にも潰されそうな鬼神な迫力に圧倒しているその他五英傑プラスギャラリーに気付かれることなく刻一刻と時間は過ぎていく。とそこで面倒くさくなったのか伊吹は五十嵐と交わすいたいけな視線を外し、「…新入生、来てるぞ」と呟くように一言告げ、去っていった。


「えっ…あっ、おはようございますっ」

「なんか猛獣同士の闘いみたいだったんですが…何かあったんですか?」

「あぁ…いきなりさっきの新入生と五英傑総長の争いが始まって…」

「争いじゃないよ。ただのお遊びだ」


乱闘のようなものが行われていた現場の原因、すなわち発狂されたタネに対し、その少女――香月翼(カヅキツバサ)は小首を傾げ、五英傑の一人である冴木に問いかける。その質問に対して冴木は安い喧嘩と称すもどうやら五十嵐本人はただのお遊びだったらしい。つまり猫のじゃれ合いと同じ原理なのである。


「てか彼奴……どこかで見たことあるぞ」

「え?」


伊吹の存在を脳内で改めて捜索する忍野なつめ(オシノナツメ)。その言葉をすぐ横で耳にした香月は自分も同じことを思っていたという表情で忍野の顔をゆっくりと見上げる。忍野はうーんと声で悩まし考えながらも香月はスカートのポケットからあるネックレスを取り出す。そのネックレスは玩具のネックレスで少し錆びているが一番目につくハート型のロケットになっているものを指でそっとなぞった。息を呑むとそのロケットを慎重に開けていく。するとそこには――


幼き頃の忍野、香月、そしてもう一人。ツンとした表情をしている少年の姿があった。

6:千鶴 ◆:2014/05/06(火) 17:13 ID:hK2




すみません、上げます

7:千鶴 ◆:2014/05/09(金) 23:56 ID:LVE



「(間違いない……彼はきっと――…)」


あの男の子≠セ。








――私立第一魔術高校第112回入学式。

伝統受け継がれる第一校ではもう既に100回をも越える入学式が行われていた。本日、112回目の入学式は忍野たちが主役だ。講堂にあるような席が広々と立ち並ぶ広大な体育館内には祝福を表す紅白の横長の横断幕が壁に張られている。小学校、中学校とはまた違ったきらびやかな雰囲気が醸し出る。各クラスの先生による放送でクラスごとに一列ずつ並べば一斉に着席し、他クラスの入場を静寂に待つ。実は五種のマギック以外にもクラス構成があり、それは普通の頭脳面の能力でクラス分けがされる。つまりやっていることはごく一般の学校と変わらないのだ。…ということは第一校では魔術だけでなく教科勉強もするということが分かる。


「新入生、起立」


と、ここで起立の合図が入る。講壇の上に立つ理事長の方を全員が見れば「着席」の合図で静かに着席した。プログラム的に次は生徒会会長の挨拶になるが静寂が続く体育館内の端の通路から生徒会長の五十嵐がピン、とした背筋で地を歩けばそのスラッとしたスタイルに新入生の女子たちが小さな黄色い声を発し始める。やがて五十嵐が階段を登り、講壇に立てばマイク元で「新入生の皆さん、おはようございます」と初発の一言を発した。

8:柚季なつ ◆:2014/05/24(土) 14:46 ID:J/6



「風薫る立春の朝…本日も我ら第一校の生徒は清々しい朝を迎え、誠実に静寂ながらも登校しております」


爽やかな顔立ちで一言一言を美しい言葉で繰り出す彼は一気に館内の不安さとおぞましい空気をまるで若葉が生い茂った森林のようにフレッシュな空気へと入れ替わる。それは優しい新緑の森林浴をしているよう。彼にみとれる女子たちも徐々に堅い表情から緩い表情へと変わっていく。五英傑光のエキスパート≠ナある彼の魔術力の影響ではない。彼の、彼こその言葉力が全体の空気や心、表情に影響しているのだ。


「さて、新入生の皆さん。魔術にはそれぞれ種類があり、マギックというものが存在します」


まずは基本的基礎を説明し、最も重要であるマギック≠ノついて話し始める。そのマギックでも第一校に入学する生徒たちは事前学習ということで基本的なことはもちろんのこと知っているがここから先、五十嵐が話すことは全て自身が体験した深入りの話。それも話したことがあるのは生徒会兼五英傑のみという。伊吹さえもまだ知らない奥の深い、不思議な話――


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