大好きな……君へ

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1:柚音:2014/04/16(水) 22:59 ID:QdU


――――――――――――――――――――――――――
 プロローグ



大丈夫だから。
君は、もう1人で羽ばたいていけるはずだから。
私が居なくても、きっと輝いていけると思うから。

ずっと君のそばにいた、私が言うんだよ?
間違うはずがないでしょ。

もう後ろを向かないで。
心配しないで。
君が笑っているのなら、私もきっと笑っているはずだから。


ねえ、空みてよ。
私も同じ空、見てるからさ。


私の、大好きな……君へ
どうか、幸せになって。


―――――――――――――――――――――――――――

みなさん、はじめまして。
元ヒヨドリの、柚音です。

最近小説を全然完結させられないので、今回は頑張りたいです。
更新がノロノロになってきたら、コメントください。
スピード速くなります(笑)

2:柚音:2014/04/16(水) 23:21 ID:QdU


「朝比奈!!」
「はい……」

 先生と目が合い、ドキリとする。

「おまえ、またこの点数か! ちゃんと勉強したのか?」

「はい……」

「おまえは先生に恥をかかせる気なのか? お願いだから、きちんと勉強してくれよな」

「はい……」


 私は静かに席に戻った。

 ……3点。

 選択問題で、なんとか合っていた。0点じゃなくてよかった。
 じわりと涙が滲んで、私はそこに伏せた。

 通院ばっかりで、勉強なんかまともに出来ないよ。
 どうして先生は分かってくれないの?


「理沙」

 頭をポンポンと、優しく叩かれた。


「通院大変だっただろ? しょうがないって」

「雄飛……」


 前の席の雄飛は、私の幼馴染。
 いつも一緒にいてくれて、とても優しい。私の事を一番分かってくれてる人だと思う。

「ありがと」

 私はそう言ってぶっきらぼうに返す。
 
 私は、昔からこんな雄飛が好きだ。
 優しくて、頼りになる。


「雄飛は何点だった?」

「90点」


 雄飛が笑いながら答えているのが目に浮かぶ。

「また、家来るか?」 
「うん、行く」


 こんな会話でも、すごく幸せだと思う。
 これが、ずっとつづけばいいのになーとか、高望みしてしまう。

3:柚音:2014/04/16(水) 23:24 ID:QdU



 雄飛は、努力家だ。


 昔から、頭が良い訳でもないのに勉強が出来る。それを、みんなは天才って呼ぶ。
 でも、私は分かってるんだよ。

 球技にしても、走るにしても、君が努力家だから、良い結果が出るって事くらい。



キーンコーンカーンコーン




 ノートを取るのに必死で、書くだけで授業が終わってしまった!!
 先生の話を全然聞いてない。


「こっさー、行こう!」

「あ、うん!」
 私はノートと教科書をまとめて、立ち上がる。
 私の事を、こっさーと呼ぶ美優は、お昼をいつも一緒に食べてくれる。

 中学に入学して、最初の友達だった。
 

「おい! 当真、雄飛!! 待ちなさい、おいて行くんじゃない!!」

 美優が、雄飛と当真君に言った。
 雄飛と当真君は、いつもつるんでいて、仲がいい。そして、美優と当真君は幼馴染らしい。
 美優ちゃんが積極的だから、私と雄飛は一緒にお昼を食べる事ができる。


「なんだよー美優、またくるのかよ」
「はいい!!?? 何ていった!? いいでしょ別に!」
「ダメだなんて言ってないだろー!!」
「ダメって言ってるようなもんだでしょー!」


 美優と当真君の口喧嘩がまた始まった。

 私は雄飛と見合わせて、2人とも噴出す。
 相変わらずだねって。


「そうだ小里、今日の弁当お前の好きなの入ってるから、母ちゃんが一緒に食べろって」
「え、本当!? あ……いつもごめんね?」

「いいって。 あっちはほっといて、先行こうぜ」
「うん!」

4:柚音:2014/04/16(水) 23:28 ID:QdU


訂正します。>>2の、14行目、「理沙」は、「小里」でした。

×「理沙」
○「小里」

ヒロインの名前は、朝比奈 小里です。 
―――――――――――――――――――――――――――


 階段を登る雄飛についていく。

 雄飛が屋上のドアに手をかけた時、ふと思った。 

 いまさらだけど、雄飛、背伸びたなあ。
 前は私と同じくらいだったのに。


「あーっ、やっぱ屋上は気持ちええなあ」
 雄飛が軽く伸びをしながら言った。

「そうだね、春って感じだよね」

 いつもは気持ちいいと思うのに、今日は何故かそんなに気持ちいいとか考えられなかった。
 ……なんでだろ。


 私達はいつも座っている場所に座った。丁度ここで美優と当真くんが来た。
 当真君は、ブツブツなにかを言いながら、美優は怒りっぽい口調で何か言いながらこっちに来た。
 
 
「はあっ? 何だよお前、82点なの? だっせー」
「ええっ? 何よ、8点高いだけで自慢しないでよ!! なんなら、100点取りなさいよ!」
「無理」
「じゃあ、言う資格ないっ」

 そう言って、美優が当真くんの腕を突いている。 

 82点って……さっきのテスト!?
 すごい……。
 
 美優と当真君が、言い合いをしながら私達の輪に加わった。

「弁当食う時くらい、静かにしてくれよ」
 
 雄飛が苦笑いしながら言う。私も笑って頷く。


「だってさ、聞いてよこっさー、こいつが90点取ったからって自慢してくるの」

「えっ、雄飛と同じ……すごい」

 当真君も、やっぱり頭いいなあ。


「えっ、じゃあ、こっさーは何点なの?」

「えっ………………3点……」
「へっ?」

 美優が一瞬、信じられないような顔をした。
 そうだよね、だって今までテストの点数隠してたもん。

5:柚音:2014/04/16(水) 23:44 ID:QdU



「うう……」

 心底落ち込んだ。
 私だって、ちょっとはさ、ちょっとくらいはさ……勉強してるのにな。


「小里はお前らなんかより努力してる」

 雄飛が私の方を向いて、ニカッと笑った。
 それにドキドキして、口元を手で覆って目を反らした。


「そんなに私、努力なんかしてない。でもいいもん。帰ったら雄飛に、連立方程式教えてもらうんだから」

 すこしふてくされた様に言って、私は立ち上がった。
 べつにテストの点数悪くても…いい。

 みんなと比較されたくない。気分が悪くなるだけだ。


「何処行くの? こっさー」

 美優がお弁当のおかずをつまみながら、聞いてきた。

「飲み物、買ってくる」


 美優とは目を合わせないで、ツカツカと屋上の出口の方に歩いていった。
 つかさず雄飛が立ち上がり、私に着いてくる。


「大丈夫だよ」

「いや、大丈夫じゃないだろ」

6:柚音:2014/04/16(水) 23:57 ID:QdU


 私は会談を2、3段降りた。
 その瞬間、目の前が真っ白になった。

「小里!」


 間一髪。私は雄飛の腕の中に納まった。
 心臓が張り裂けそうなほど、バクバク言っていて、冷や汗が出てくる……

 しまった……発作だ……。


「大丈夫か? 待ってろよ、今保健室連れて行くから」

 そう言って、雄飛は私を抱きかかえたままゆっくりと階段を下りた。

7:柚音:2014/04/28(月) 23:11 ID:QdU


 なんでいつも……雄飛にはお見通しなんだろう。


「いいよ、大丈夫だから」


 発作と言っても波がある。
 自分で保健室くらい行けるんだから。

 私は雄飛から離れて、階段の手すりに摑まりながら降りた。


 こんな自分の体が、時々ものすごい嫌になる。自分の体なのに、痛くて、苦しくて。それを止める事も出来
無い事が、すごくもどかしい。



 あ、やべ。


 もう、




 意識遠くなってる―――――――…

8:柚音:2014/04/28(月) 23:26 ID:QdU





 ……消毒薬の匂い。
 ベットの周りを囲っている、薄いピンク色のカーテン。


 保健室だ。
 体がベットに沈んでいるように、体が重い。まあ、いつもの事だけど。


「……あの…………」


 カーテンの向こう側に向かって呟いてみた。
 人が居るような気がしたからだ。たぶん、保健室の先生だと思う。

 シャッ…とカーテンが開いた。
 バックの窓から差し込んでくる西日が眩しくて、思わず目を細めた。


「え、雄…飛」

「そうだけど」

 雄飛は一度溜め息をついたけど、すぐに少し笑って
「大丈夫か?」
 と聞いてきた。

「うん。 ありがとう。 ごめんね、重かったでしょ」
 
 たぶん、また私をここまで運んでくれたんだ。
 そう言いながら起き上がろうとする私を、雄飛は支えてくれた。

「全然。 むしろ、痩せただろお前…」

「……夏だから」

「まだ早いけど」


 雄飛には何でもお見通しだ。
 10年以上の付き合いだから、嘘はつけない。


 私の病状が悪化してるって事も、たぶん雄飛には分かっているのだと思う。

9:柚音:2014/04/29(火) 22:07 ID:QdU


 雄飛に甘えすぎちゃいけない。

 そんなこと分かってる。でも、まだ……もう少しだけって、いっつも思っちゃう。


「雄飛、部活は?」

「行かねーよ。 今日はお前を送って帰る」


 驚いて目を見開いたのが自分でも分かった。
 今まではそんなこと無かった。だって雄飛は部活一筋だったから、私が雄飛の部活が終わるのを待って、
一緒に帰っていた。
 
 ……そんなに雄飛に心配かけてるのかな……。


「いやいや、ダメだよ。 部活終わってからでいいから」

「いいよ、俺の勝手だし」

「ダメだよ。 ちゃんと出ないと!」

 首を振って私も引き下がらない。
 でも、それで雄飛も引き下がるわけもなくて……

「心配で手なんかつかねえよ。 そんなに俺に部活出てほしかったら、早く病気治せよ」

「…………わかった」

「じゃあ荷物持ってくるから、ここで待ってて」

 そう言って、雄飛は保健室を出た。


 ……もうばれてた。私の病気が悪化してる事。


 行き違いで保健室の先生が入ってきた。


「あら、起きてたの。 具合はどう?」

 先生はなにやら紙を見ながら、心配そうに聞いてきた。

「まあ、少しは楽になりました」

「そう。 今 中川くんが来るから、少し待っててね」


 中川くん、とは雄飛のことだ。

「あ、はい」

 適当に返事をしてから、私は布団をどかして靴を履いた。

10:柚音:2014/04/29(火) 22:15 ID:QdU


10スレ突破〜


今までの人物を少しだけ振り返ってみます。
(内容説明が不十分ですみません)


ヒロイン  
朝比奈 小里(あさひな こさと)

ヒーロー
中川 雄飛(なかがわ ゆうひ)

ヒロインの親友
横山 美優(よこやま みゆう)

ヒーローの親友
佐々木 当真(ささき とうま)



です。  途中名前間違ってしまったりしてすみません。
間違えないように気をつけたいです。

今後とも応援よろしくお願いします。

11:クリン:2014/05/08(木) 21:31 ID:v0s

始めて読みました!
とても面白いですね。
ヒロインとヒーローのこれからの展開にワクワクします。
時々読ませてもらうので、がんばったください!

12:柚音:2014/05/08(木) 22:17 ID:QdU

>>11  

初コメなので、涙が出るほど嬉しいです。
ヒーロー家族!の作者様ですよね? 前々から読んでいて、すごく憧れでした。

コメントもらえて嬉しいです。
更新頑張ります(^^)b

13:柚音:2014/05/08(木) 22:36 ID:QdU




「小里、帰るぞ」

「あ、うん」


 ドアから顔を覗かせて、私の荷物を担いでいる雄飛に応答する。
 荷物持つよ、とジェスチャーしても、雄飛は渡してくれない。なんだか、迷惑ばかりかけていると思うと、
少し悲しくなってくる。しかたがないっちゃあ、しかたが無いんだけど。

 学校のジャージ姿で、チャリ置き場までツカツカと歩いていく雄飛。
 私もその後ろを、だまって付いて行く。



 自分達のチャリの前に来た時に、ようやく雄飛が口を開いた。

「乗って」

「え?」

 へ?なのか、え?なのか分からない、拍子抜けた声になった。

「後ろ」

 雄飛が荷台を軽く、ポンポンと叩く。すばやく跨って、乗るように目で指示した。


「………」

 ここで否定しても、どうせ乗ることになるし……だからって、乗るのもちょっと……、なんて頭の中で考え
ていたら、なぜか答えるのに時間がかかった。

 雄飛はそんな私を見て、少し表情をゆがませた。


 こういう時、雄飛はいつも厳しい……というか、笑わない。

 昔からそういうところはあったけれど、最近はそれ以上だ。


 心配してるの分かってる。でも、もう迷惑かけたくないんだよ。

「…………お願い」

 少し後ろめたさを感じながら、雄飛のチャリの荷台にまたがった。
 

「気分悪くなったら言ってな」

 そう雄飛が言ったのを、なんとなーく覚えていた。

14:クリン:2014/05/09(金) 18:04 ID:v0s

憧れだなんて、嬉しいです!
それに私の小説を読んでくれてありがとうございます!

15:柚音◆u3s:2014/05/17(土) 16:48 ID:QdU

>>14

いえいえ(^^)
こんどそちらのスレに窺いたいと思います・

16:柚音:2014/05/17(土) 18:16 ID:QdU


 私は雄飛の腰に、手を回す。

 額を雄飛の背中にくっつけた。頬に当たる風が、すごく気持ちがいい。
 もう、このままどうなってもいいや、と思う。


 もし、このままゆっくり死ぬことが出来たら。
 誰にも気づかれずに死ぬ事ができたら。

 少し楽になるかな…………なんて、発作が起きた時はいつも、非常識な事を考える。


 底からは思考が止まったかのようだった。
 ボーッと、私の視線は動かず、静かに色々考えているだけだった。


「小里」

「…………何」

 私の声は掠れていて、自分でも何を言っているか分からなかった。

 いきなりチャリが止まって、雄飛が鞄から学ランを取り出した。そして、素早く私に掛けてくれた。
すこし驚いて雄飛を見ると、

「体冷えてる。 寒いだろ」

「え……あ…」

 ありがとう、とは言えなかった。
 こういうのは、はっきり言うとどう対処していいか分からない。


 再び、雄飛がチャチをこぎだした――――――――――――







次に目が覚めたのは、夕飯の支度が整ったくらいの時間だった。

17:&◆Wk:2014/05/26(月) 19:45 ID:Et.

初葉です♪

ななななんですかこれは!!!
上手すぎます!!Σ( ̄□ ̄;)

プロローグからもう引き込まれて、夢中になって見てました!

18:柚音:2014/05/31(土) 21:31 ID:QdU


>初葉さん

コメントありがとうございます!!
見に来てくれたんですね。。。 すごくすごく嬉しいです!

更新頑張ります(≧д≦)b

19:柚音:2014/06/13(金) 23:09 ID:QdU

頑張るとか言っておいて、更新しなくてすみませぬ。

テスト終わり次第更新します。

20:柚音:2014/06/23(月) 17:21 ID:QdU



「小里、小里、起きな」

「……え」


 重たいまぶたをゆっくり開けて、天井を見る。私のベットの隣では、お姉ちゃん(朝比奈 美里)
が私の顔を覗き込んでいた。
 一体何時間寝ていたんだろう。

「お姉ちゃん、私……」
「今回は重かったみたいだね。 お母さんには連絡したけど……まだ帰ってきてないんだ」

「そっか」

 雄飛がここまで運んできてくれたんだ。
 後でお礼のメール送っておかないと。

「どうする? 夕飯出来てるけど……先に病院行く?」

「いや、病院は行かなくていいよ。 入院させられたら面倒だもん」

 入院なんて話になったら、学校に行けないし。雄飛に勉強だって教えてもらえないじゃないか。
冗談じゃない。
 でも、その方が…雄飛に迷惑かけないって分かってるのに。

「でも、入院するほど重症だったら大変でしょ?」
「……………」

 お姉ちゃんは溜め息を一つつくと、私の頭を撫でた。

「最近食欲も減ってるんだから。 入院はしなくても、薬だけはもらっておかないとね」

 お姉ちゃんのいう事はいつも正論。
 だから、私はいつも黙って従う事にしている。


「……わかった」


 私は頷くと、重たい体を起こしてベットから出た。

21:柚音:2014/06/23(月) 17:44 ID:QdU


 

 私はお姉ちゃんの運転する車の助手席に乗って、雄飛にメールをうった。

【今日は迷惑かけてごめん。ありがとね】

 簡単にまとめて送信しようとした。
 でも、手が送信ボタンを押さない。

「こんなところまで私の事考えたくないかな」

 家の中でまで、私の事を考えたくもないよね。かまいたくもないよね。

 私はケータイを握り締めた。
 今頃、みんなとメールのやりとりしてるかもしれないし。私のメールの返信なんて気にしている暇は
無いかもしれないしな。

「重く考える事…無いと思うよ」

「…………うん」

 なんていいつつ、私は打ち込んだ内容を削除した。
 思い通りに行かなくて。


 人生なんて本当に面倒くさい。

22:クリン:2014/06/23(月) 21:57 ID:ipg

やったあ!続きだあ!
と、これからも頑張ってくださいね!
楽しみにしています。

23:柚音:2014/06/24(火) 00:02 ID:QdU


>>クリンさん

見てくださってありがとうございます!
すごく嬉しいです。
更新頑張ります!!(・〇・)b

24:柚音:2014/06/24(火) 00:11 ID:QdU






「じゃあ……薬出しておくから安静にしていてね。 もう少しで完治しそうなんだから、
 気をつけないとだよ」


 禿げちゃびんのおじさんは、紙にスラスラと何かを書きながら言った。
 そうか、もう完治しそうなんだ。
 
 完治したら……

「完治したら、もう再発しないんですか?」

 お姉ちゃんが、私が思ったのと同じタイミングで言った。


 おじさんは難しい顔をしながら、薄い髪の毛をわしゃわしゃ撫でた。


「うーん。 しないとは言い切れないけどね、確率的にはかなり低いよ」

「本当ですか?」

 だとしたら。
 もう一度、元気だったあの頃になれるかもしれない。

「おお。 ちゃんと言われたとおり薬を飲んで、安静にしていればね」

「よかったね、小里」

「うん……!」



 診察室を出て、薬をもらって。
 車の中で雄飛にメールを打とうと、ケータイを取り出した。


「…………新着メール?」

 メールが一通届いていた。
 



【小里、調子はどうだ?  あんまり無理するなよ】


 雄飛だ。
 なんだか、心の底から暑くなるような感覚を覚えた。なんて表現したらいいか分からないけど…。

 嬉しくて、少しニヤついたままケータイを握り締めた。
 言いようの無いこの気持ちが。消えてしまわないように。ケータイを持ったまま静かにまぶたを閉じた。
この時間だったらもう寝ているかな……明日朝になったらお礼を言っておこう。

 

心地よい睡魔が、ゆっくりと小里を包んだ。 

25:柚音:2014/06/27(金) 07:11 ID:QdU








「雄飛」

 学校の廊下を雄飛が歩いていたから、呼び止めようとした。
 でも、振り返った雄飛の顔は、暗くて。

「…………何だよ」


 そうだ、この光景。
 昔見たことあるかも。


 雄飛の少し後ろで、同級生の男子が靴を脱いだ。そして、その靴を雄飛に向かって投げようとしていた。


「雄飛! 後ろ!」

 
 後ろを振り向いた雄飛は、難なくその飛んできた靴を手で受け止める。
 本当に、靴が飛んでくるのが分かっていたかのように。

 そうだ、こいつらは―――――――――― 


「ったくよお、背後から狙ってもお前取るかー?」

「普通に当たればいいじゃん」

 ギャハギャハと数人の男子が、周りで笑った。
 雄飛は何か言いたそうだけど、ずっと黙ってこの様子を見ていた。

 雄飛の顔は、ずっと無表情だった。


「ちょっと運動できてさあ、勉強できるからって…調子に乗ってるからさあ」

 西倉 海斗(にしくら かいと)が、雄飛のそばでボソっと言った。


 さすがに頭にきた……!


「雄飛。 行こう」

 私は、雄飛の手をとって男子の居る方とは反対の方向に歩き出した。


「おい、待てよお前ら」

 海斗が私の腕を掴もうとする。

 私はそこから全力ダッシュだ。


「おい! 逃げるなよ!」


「ちょっ……小里……」

 雄飛も少しびっくりしているかもしれないけれど。


 ダッシュしたまま、私は屋上の方に向かっていた。

26:柚音:2014/06/27(金) 23:35 ID:QdU





「あいつら、本当最低。 自分が運動できないからって」


 私は屋上のドアを開けた。
 屋上には立ち入り禁止だけど、私は普通に入っている。

「やっぱり、屋上は気持ちがいいな」

「小里……何やってんだよ」


 雄飛はそう言って、手を離した。
 
 私はそんな雄飛を見て笑った。
 この時は、まだ全然病気じゃなかったから。全力で走った後も、こんなにすぐに笑顔になれたんだ。


「ごめん。 海斗たちにイラついたから」

「ったく。 あんなやつら、ほっとけばいいのに」


 雄飛が息を吐き出した。
 さっきの雄飛の無表情が、何を思っているかなんて私には分かるのに。分からないはず無いじゃん。
ずっと雄飛のこと、見てきたんだから……。なんて言えないけれど。

「分かってるよ」

「え?」

 あなたが努力家だって事。天才なんかじゃないって事くらいさ。
 努力もしないで、雄飛の悪口を言うやつは嫌いだ。


「連れ回してごめんね。 教室戻ろう」

「いや……小里。 もういいから」

「え? 何が?」

 雄飛と視線があったけど、すぐに反らされた。



「俺の事、かばわなくていいから」

「え……なにそれ。 かばうってどういう事?」

「だから、海斗達の輪に近づくなって事だよ」

「それって……」 


「俺にも近づかないでって事」

それだけを言い残して、雄飛は私の横を通り過ぎた。
 

27:柚音:2014/06/29(日) 11:04 ID:QdU










「雄飛」

 そう呟いて目を開けると、見慣れた風景が広がっていた。むろん、自分の部屋だ。
 窓からやさしく朝日が差し込んでいる。

 起きて窓を開けると、少し涼しい風が部屋の中に入ってきた。

 時計を見ると6時半過ぎだ。学校に行くには丁度間に合うか、間に合わないか、ギリギリのライン
だけど。今日はあまり体調が優れない……かな。


 というより、夢のことでなぜか気分が悪い。

28:柚音:2014/07/03(木) 19:54 ID:QdU


 
「あの夢は……」

 小学校の時の夢だ。
 まだ、私の体が病気になっていない時だ。


 窓の外を見つめる。私の家の隣が雄飛の家だから、玄関のドアの辺りを見つけていた。
 もしかしたら、雄飛が出てくるかもしれない。なんて、ちっぽけな希望を持って、
窓際にしばらく立っていると……

「あっ…」

 まじか。雄飛が出てきた。

「雄飛!」

 窓から雄飛に向かって叫んだ。
 雄飛は何処から声がしたのか分からなかったらしく、少しあたりを見回してから、私に気づいた。


「小里」

 平日なのにユニフォームを着て、大きな鞄を背負っていた。
 そんな雄飛は、私を見ると少し驚いて笑った。


「体調はどうだ?」

「あ……うん。 けっこう……良くなったよ」

「おー、そっか。 なら良かった。 今日授業はずっと自習だろうから、家でしっかり休めよ」

「……うん」

29:れい:2014/07/11(金) 19:44 ID:Srg

切なピュア??♡♡

30:珈琲:2014/07/12(土) 21:04 ID:InY

とっても面白いです!
なんだか目が吸い込まれる?ような感じで・・・
頑張ってくださいね!

31:柚音:2014/07/12(土) 22:16 ID:QdU

>>29
分からんw でも、久しぶりだから頑張るb

>>30
コメントありがとうございます!
頑張ります(^^)

32:柚音:2014/07/12(土) 22:50 ID:QdU





「じゃ、行って来る」

「うん、行ってらっしゃい」

 雄飛はチャリに跨って、またその笑顔で笑った。
 私は軽く手を振って、見送る。

 雄飛の姿が角を曲がったところで見えなくなる。その事に、少しだけ寂しさを感じる。
 
 本当に私、雄飛のことが好きだな。

 と、少し熱くなった頬に手を当てながら思う。


「……あれ」

 そういえば今日、なんで雄飛はユニフォームだったんだろう。今日は……平日なのに。

 気になって、机の横に張ってある年間予定表を見てみた。

33:柚音:2014/07/12(土) 22:53 ID:QdU




「……市内大会!!!???」

 えっ、今日? 今日だっけ、市内大会。 あれ、6月の後半じゃなかったっけ? 嘘、えっ?
なんで? あ、だから今日は学校行っても、自習なのか。

 私の学校(と、言うべきなのか、地域と言うべきなのか)は、ほとんどの部活が市内大会や
地区大会は平日に行われるらしい。それが、今日だった、と。


 
 どうしよう、昨日。市内大会前なのに、雄飛に部活休ませちゃったよ。


「私の所為じゃん。 どうしよ」


 恥ずかしさで胸がいっぱいになる。と、同時に心臓が痛くなってくる。

 早く治せばいい。


 そう思うことで、私の心は軽くなる。
 雄飛に迷惑をかけないように。 早く治したい。


 私は軽く伸びをして、部屋から出た。

34:柚音:2014/07/19(土) 13:54 ID:QdU


あああ、小説に悪戦苦闘。。。

35:柚音:2014/07/19(土) 23:03 ID:QdU



「お姉ちゃん」

「あ、小里。 …今日はちゃんと寝てなさいよ」

 お姉ちゃんが皿を洗いながら振り返る。
 私は視線を反らした。平日の朝っぱらから寝てなんか居られない。

「いや、今日は調子がいいから」


 そう断って、テーブルにおいてある朝ごはんに手を付ける。と、言ってもあまり食欲はない。
軽くバンをかじって終わりにした。


「ごちそうさま」

「もういいの? 全然食欲ないじゃない」

「今日はやらなきゃいけない事があるから」


 コップに水を入れて、昨日もらった薬を飲む。喉に薬が通っていく感触が気持ち悪い。
 でも、そんな事言っていられない。

 気を引き締めなくちゃ。


「やんなきゃいけない事ー?」

「勉強、するから」




 遅れていた分、今取り戻さなくちゃだ。

36:柚音:2014/07/25(金) 17:50 ID:QdU

小里が動いてくれないw

やばい。

さてさて、そろそろ新キャラ登場させるか。。。

37:捺褻:2014/08/01(金) 11:49 ID:wM.

頑張ってください!
すごい面白いです!!

38:柚音:2014/08/09(土) 21:26 ID:QdU

>>37

ありがとうございます!!
更新サボっていてすみません……

39:柚音:2014/08/09(土) 21:33 ID:QdU



「海斗……?」

 私は部屋に閉じこもってシャーペンを手に持ちながらも、夢のことが頭を離れなかった。

 あれは小学校の時の夢だ。でも、本当にあったかどうかは定かじゃないし、海斗と話したことがあった
かどうかも覚えていない始末だ。

 薬の所為で頭がボーっとしているからかもしれないけれど。


 今日は体調が悪い。

 軽くワークをしてから、二度寝しようかな。

40:柚音:2014/08/09(土) 22:09 ID:QdU









 その日は朝からなんとなく体調が優れなかったけど。市内大会中の3日間をすべて休んでしまったから
まずいと思い登校した。
 入院していたのを除けば、3日間も休むのは初めてだった。

 これは私の病気の悪化を意味していた。



「おはよう」


 玄関を出るといつも通りに雄飛がそこに居て。それだけで私の心は少し弾むんだ。


「おはよう。 市内大会どうだった?」

「おー、もちろん一位通過だ」

 そう笑って雄飛が答えるから、私もついつい笑みがこぼれてしまう。


「地区大会っていつだっけ?」

「確か……7月の下旬だったかな。 けっこうすぐなんだよなあー」

「そっか」

 答えながら、スクールバックをチャリの籠に放り込んでチャリに乗った。

 こんなに他愛も無い会話でも、心臓が跳ね上がるように動き出すんだ。でも、この思いには鍵をかけな
きゃってこと。分かっているのに。

 雄飛に迷惑かけないようにしなくちゃいけないのに。

 この思いを恋って思っちゃいけないのに。


 とめられないや…。


「行こう」

「…………あ、うん」


 少し送れて返事をした私は、やっぱり何かおかしいのだろうか。
 今日はいつも以上に頭がボーっとしている。

41:柚音:2014/08/27(水) 23:12 ID:QdU







「雄飛、ここの問題ってどう解くの?」

「ここは、aを求めたいわけだから……」

 久しぶりの学校の朝。今まで遅れていた部分の復習を雄飛としているところだ。
 今回の休みは、大体が自習だったためかなり楽だけど、私は3日間で今までの勉強のほとんどを
忘れてしまっているという………。

 雄飛に迷惑ばっかりかけちゃって…。


 でも、私の病気が治ったら、雄飛に恩返しをするんだ。絶対に。

 今度は私が、雄飛が苦しくなった時に支えてあげられるように。

42:柚音:2014/08/27(水) 23:32 ID:QdU




「小里、おはよう! よかった、体調は平気?」

「あ、おはよう。 うん、まあまあかな」


 丁度、雄飛に教えてもらったところをノートにまとめ終わった時、美優が話しかけてきた。
 雄飛は自分の机で本を読み始めていた。


「知ってる? 今日ね、転校生が来るんだって」

「転校生?」

 どおりで、朝から教室が騒がしいわけだ。

「うん。 確か、小里と同じ小学校の人だったよ。」

「ふ…、ふーん…」

 一瞬誰かが頭の中を過ぎった気がした。


「なんか附属中学からの転校みたいだよ。 なんか学校が合わなかったとか」


 くっきりと、はっきりと。
 西倉 海斗(にしくら かいと)の顔が浮かんだ。

「嘘でしょ…」

「え、どうしたの小里」

 私の頭の中では大パニック。
 緊急会議が頭の中で繰り広げられている。


 どうしよう。
 どうしよう。
 あのいじめっ子、あの陰険なやろうが……

 この学校に来るだって!?


 あの夢は……まさかまさかの、正夢で。

 そんな……


 頭の中がもみくちゃにされている時、HRを知らせるチャイムが鳴った。

「あ、私戻るね。 後で話してよ」

「…うん」

 
 でも、もしかしたら人違いかもしれないし。


 教室のドアに人陰が見えた。
 先生の後ろについて入ってきた人は


「………………誰?」


 自分で声に出したのにも気が付かなかった。

 教室に入ってきたのは、私の知らない人のようだ。


 教室中が……静まり返る。

43:猫又◆Pw:2014/08/30(土) 10:16 ID:FQs

 こんにちは。エントリーありましたので来ました。猫又です。
感想とアドバイスということなので、まずは率直に感想を述べさせていただきます。

 まず文章面で言ってしまうと、文がちぐはぐですね。
物語を必死に先へ進めようとしているからなのか、本来書くべき部分を主人公の心理描写でごまかしている部分がありました。
物語が頭の中にある柚音さんならともかく、読者にとっては違和感のもとになりますので注意して下さい。

 次にストーリ面。アピールポイントで『ヒーロー、ヒロインの心情の変化』と書かれていましたが、
私が見る限り、ヒーロー側(雄飛)の変化がほとんど感じられませんでした。
 というより『なんでいつも……雄飛にはお見通しなんだろう』という理沙の言葉にあるように、
今のところヒーロー側が完成しすぎていて、何かしらのマイナスイベント(裏切り・暴走等々)が起こらない限り変化が見られないのではないかとすら思いました。
 白馬の王子さま的な彼氏はよく恋愛モノに出てきますが、何もしないと主人公がただ憧れて引っ付くだけで終わってしまうので注意が必要です。

というわけで、そういうことを踏まえながら私に出来る限りアドバイスをして行きたいと思います。

1 場面・舞台を大切にする。
 まずこの物語の顔である冒頭、>>2 で(おそらく教室なのでしょうが)一切場面のことが書かれてないことが問題です。
一体『どの年代』の『どんな地域の』(都会? 田舎?)『どんな雰囲気の』『どんな場所なのか』
 数行で説明できるそれを全部すっ飛ばして(おそらく)先生と小里のセリフだけで冒頭を済ませるのは、いくらなんでも無理やりすぎます。

 他にも屋上の扉に手をかけた瞬間、屋上に居たり>>4  車かと思ったらいきなり診察室に居たり>>24
いきなり雄飛に勉強を教わっていたり>>41 と、場面を飛ばすのはともかくそこで物語が切れている部分が結構ありました。
 たった2・3行で説明できるので、場面と場面の間はきちんと繋ぎましよう。

2 主語がない
 例えば >>2 の1文『頭をポンポンと、優しく叩かれた』(おそらく雄飛)や、
>>3 の『中学に入学して、最初の友達だった』のように、主語が抜かれているせいで分かりにくい文が多々見られました。

 『僕はその道を右に曲がり、僕は左に曲がってから、僕はまた右に曲がり』と言うように、繋がりのある動作なら主語を省いたほうが良いですが、
繋がりのない文章(>>3 では上に美優のことが書いてありますが、昼ごはんを食べることと、最初の友人であることは別です)
では、主語(名前や彼女・それなどの代名詞)を入れることをオススメいたします。

 他にも >>4 で当真君と美優が『何かを言ってる』と書きながら、その会話の内容がきちんと書かれてることなど、
まだまだ気になる点がありましたが、それは柚音さん自身にお任せするとして、最後に一言だけ。
 小里の変化、心理描写は見ていて面白かったです。ですが物語を左右するのは主人公だけではありません。
細かいとは思うかもしれませんが、回りの雰囲気や文法的なところも物語を崩さない程度には気にしましょう。

 ということで文字数制限もありますので私はこの辺で……。では、

44:柚音:2014/09/01(月) 20:22 ID:QdU


丁寧にアドバイスしていただき、本当に感謝するばかりです。

これから気をつけたいと思います。
ヒーローの心情の変化はこれから書いていくつもりです。

自分の気が付かないところを指摘してもらえてよかったです…

お忙しい中ありがとうございました!orz

45:柚音:2014/12/13(土) 21:34 ID:8FY

放置してたんですが…

久しぶりに書いてみます(笑)

46:柚音:2014/12/14(日) 16:51 ID:Jso


「今日からこの学校に通うことになる、西倉海斗くんだ」

「……」

先生が紹介しても、海斗は黙ったままだった。
クラスに重い空気が漂った。

47:柚音◆3ts:2014/12/18(木) 20:49 ID:QdU





「まあ……来たばかりだし、分からない事もたくさんあると思うから。同じ小学校だった小里と雄飛、校
 舎を案内してやってくれよな」

 先生はそう言って、海斗を窓側の一番後ろの席に座らせた。そこは昨日は無かった場所だ。

「……分かりました」

 雄飛も気の抜けた返事で承諾した。
 私もハイ、とだけ言っておいたが、内心焦りまくって思考回路が停止していた。

 なぜ、あの海斗が転校してきたのか。附属中学にいったはずなのに、なぜまた私と雄飛の前に現れるの
か、どう頭を捻っても分からなかった。
 海斗の顔を見ると、虚ろな瞳をしていて何かを考えているようだが…私には検討もつかない。本当にあ
の人は、西倉海斗なのかと、疑いの気持ちの方が大きくなっていた。


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