非リア物語

葉っぱ天国 > 小説キーワード▼下へ
1:りんちょ:2014/04/21(月) 21:54 ID:Tb2


こんにちは。りんちょです。
小説は初心者ですw

恋愛ものをかいていこーかなって思います!
下手ですが楽しんでいただければ幸いです!!

では早速、どうぞ(^-^)ノ☆

2:りんちょ:2014/04/21(月) 22:07 ID:Tb2


まずは…
≪登場人物紹介≫

春日井花梨(カスガイ カリン)

なんの取り柄もない中学2年生。
もちろん非リア★
日南葉と仲が良い。


宇野日南葉(ウノ ヒナハ)

花梨の親友。
運動神経が優れている。
こいつも非リアでさらに毒舌。


福田智弘(フクタ トモヒロ)

花梨が好きな人。
何でも適当なぼーっとした性格。
でも無駄に几帳面。


佐藤正輝(サトウ マサキ)

日南葉が好きな人。
男女問わず人気があり皆からはさとまと呼ばれている。

3:りんちょ:2014/04/21(月) 22:28 ID:Tb2


ある時は
A「もうさ…別れたいんだよね。」

またある時は 
B「ねぇ!聞いてよ!!今日一緒に帰ろうよって言われたよーぉぁああっ↑↑↑」


……なんなん?ほんとマジで。
イヤミだね!イヤミだよね!!


私は春日井花梨。
リア充に飢えている中学2年生。
つまり非リア。((ハア…
周りの子はリア充ばっかでつまんないです(^⁻^)
はやくリア充になりたーーーーーーーい!!!!
だってもう中2だよ!?
え、なに早い?はやくね―――よ…!!

そんな事を考えながら放課後の部活に向かっていると

「かっすがっいさーーーーん♪」

甲高い声が後ろから聞こえてきた。

「おっ、宇野さーん!!」

これは宇野日南葉。
私の数少ない非リア仲間だ。
心強くはないが味方でもある。心強くはないが。決して。

「やっほーやっほーーー♪」
「どしたのwやけにテンション高いなー。」
「あのさ…聞いてもらうとね?」

宇野が急に真剣な顔つきに…なっ……てもないな。そんなに。
まぁ大事な話するってことは察した。



「私、さとまに告ろうと思うんだけど!」

4:新菜:2014/04/21(月) 22:53 ID:U9g

可憐side

「ここはどこだろ?」

私は今、中庭っぽいところにいる。でも見たことがない場所だなあ。あれー?なんでここにきたんだっけー
確か〜…
職員室の前で千叶ちゃんが日誌届けに行ってる間にチョウチョが入ってきて追いかけたら…知らないところに……てことは…

「迷子になっちゃった……」

教室を探そうにも優秀な生徒が通うこの進学校は無駄に広いんだよなぁ。だから下手に動けないし。
しょうがない……見回りさんが来るまで待とう。そうして私は壁にもたれかかるように座り込んだ。
___……

あれからどれくらい経ったかな…
もう1時間はここにいるよな。良かった今日が四時限だけで……。空はまだ明るい。
でも…
___寒い
まだ冬の余韻が感じられるな。
肌がスースーする。お昼、暑かったから合服に着替えたから……ハア。我慢しとけば良かったなあ。
もう、このまま誰も来ないのかなあー……。
千叶ちゃん…
空君……
玲君……

玲…君……
会いたいなあ…て思っても来ないのにね。
そう思いどっと寂しくなった。
ホントにこのまま誰も見つけてくれないかもしれないなあ。

「う、う〜……」

涙が溢れてくる。
うう〜。ヤダよ〜。誰か…


「可憐!!」

5:新菜:2014/04/21(月) 22:55 ID:U9g

あ、すいません!!
この作品を読んでいたまま気付かず自分の作品の本文を書いてしまいました。
本当にすいません!。

6:りんちょ:2014/04/22(火) 18:32 ID:Tb2

いえいえw
てか、読んでくれたんですね!嬉しいです(^‐^)

ストロベリー味の恋、私も読んでいます。
お互い頑張りましょうね!!

7:りんちょ:2014/04/22(火) 18:43 ID:Tb2


「私、さとまに告ろうと思うんだけど!」


え?ちょ、はっ?
わけわかめ。や、こんな古い言葉使ってる私ももはやわけわかめ。
……っていや、そーじゃなくって!!

「なっ…んでそんないきなりなのよ!焦んなくても良きよ!?」

そりゃ周りの友達が(今は敵。イマは…)皆リア充になっちゃうんだもん。
焦るわな。でも、でもさ…?

「宇野にはまだ私がいる!仲間じゃなかったのかよおぉぉぉ…」
「春日井と仲間とか…やだし。」
「ぐさ。」
「口でゆーなし!!」

宇野はそう言って笑いながら部活に遅れるよと私の手を力強く引っ張った。

8:りんちょ:2014/04/22(火) 20:18 ID:Tb2


帰り道。
私と宇野はしばらくなにも言わずに並んで歩いていた。
正直、さとまの事もっと色々聞きたいけど…何となくで切り出していい話かが分かんない。

なんせ私たちは今まで【恋愛】なんて言葉は似つかわしくもない生活を送ってたんだから。
宇野がさとまの事好きだって聞いたのもつい最近の話だ。
聞くところによると小6の時から好きだったらしい。
私と宇野が出会ったのは中1の頃だから詳しくは知らんが。


最初に話を切り出したのは宇野の方だった。

「春日井、最近ふくとどーなの?」
「ぶはっっ!!」
「動揺しすぎ。」

宇野がそう言いながら苦笑する。
我ながら今の声は生まれてきてから初めて聞いた音だった。
予想外すぎてぶはっとか言っちゃったよ。くそ、宇野め。

「どーって言われても…進展なんかあると思う?」
「ないと思う!」
「大正解。」
「うん。知ってて聞いた。」
「宇野さんひどい!笑」

遅れたが、ほんとにめっちゃ遅れてるな。
ごめんなさいなんだけど私にも好きな人位いる。

名前は福田智弘。
通称ふく。
男子バスケットボールのエース。の反面普段はぼけーーーっとしている。
のくせに無駄に几帳面で繊細。
なによりこの男、何事も「そこそこ」で終わらす事が多い。

「あ、出来たわ。俺天才。」
と真顔で言ってしまう割には

んーーー…まぁそこそこいーんじゃね?
って位の出来ばえ。
あ、あとシャイ。人前に出るの嫌い。


とまぁ気付けば10行も彼について語っている自分が恐ろしい。


「……私にはむりだよ。」
「え、なに春日井。なんか言った?」
「べッつにーー。で、宇野さんは?どーなの。」
「何が。」
「さとまだし!もうここまで来たら分かれよ!!」
「あーーー………告ろうとは…思う。」

うん、そーだね。
そこはぶっちゃけどーでも良いよ?

「直で?」
「やだよ!恥ずかしすぎるでしょ…それは……」
「じゃーLINE?」
「さとま携帯持ってない。」
「あそっか。」

そーいやあいつ、頭良かったっけな。
勉強ばっかやってんだろーなーきっと。気持ち悪。

「だからね、手紙が無難かなと。思うんだけど…いーよね?」
「うーーん…いーんじゃない?携帯ないなら仕方ないだろ。」
「え、春日井さ。今のダジャレ?」
「は?」
「もういい…私こっちだから。じゃーね。」
「? おう。ばいばーい」


……宇野は明日告るとか言ってたな。
多分さとまと同じクラスのAちゃんと協力して机にこそっと入れてもらうんだろう。
Aちゃんは口が堅いからな。信頼できる。でもリア充。敵。




翌日、さとまの机の中には薄ピンクのバラの絵が描いてある小さな小さな手紙が入っていた。

9:Ruka RJK:2014/04/22(火) 20:23 ID:H1.

はじめまして。Rukaっいいます。ておもしろいですね!さすがです。頑張ってください!

10:りんちょ:2014/04/22(火) 23:31 ID:Tb2

Rukaさんへ

コメントありがとう!
これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!

11:りんちょ:2014/04/25(金) 22:40 ID:Tb2


キ―ンコーンカーンコーン……


最後の授業が終わった。
宇野…どうなったんだろ。

朝は私が寝坊した為、朝練で話せなかった。
放課後部活で聞き出そっかなー…


放課後になると私は体育館の方向へ足を急がせた。

「はっはっはっ」

もう…なんでこんなにも体育館までが長いんだって。
走るの嫌いなんだけど。

バァンッ!!
体育館のドアを思いっきり開けた。

「おねがいしまっす!!!!」


「威勢がいいなぁー!春日井!!…でももうちょっとおしとやかにな。」
顧問の霜田(先生)がそう言った。
と、同時に先についていた宇野が声を殺して爆笑していた。

「くは…っ!ひぃーーくっ!!」

くはくはうるせーよ。
お前なにこんな早く来てんだよ。いつも遅いくせに。

「はは…すいませーん……」
そう言った私は宇野に駆け付けた。

「宇野宇野!…っておい。いつまで笑ってんの。」
「くくっ…だっ…てお前……はっっずか…ぶはっ!!あっはははは!!」
「う、うるさいよ。」
「ひぃーー…ふぅ。さ、なんですか?」
「あ、あぁ…えと……さとま。って…どうなったのかなー?…と。」
「え、あぁ。告白は……したよ。まぁ手紙入れてもらっただけだけど。」

Aちゃんありがとうございましたー。

結果…はその日に返ってくる事はないか。
今日告ったんだから。

ま、宇野は色々あるかもしれんが。
私も私で色々あるからな。宇野が話してくれるまで待ってよう。

「あーー…そっか。良い結果になるといーな。」
「うん。そーなるといい…」

春日井!宇野!集合しろーーー!!

「「チッ」」


いつの間にか皆集まっていて体育館からはバレーボールのパスする音が聞こえてきた。

12:りんちょ:2014/04/27(日) 11:42 ID:Tb2


やっっっっばい。
腕が筋肉痛…昨日サーブ打ち過ぎたかもーーっほぉお…これやばいな。
割とマジで痛い……

…………休むか!学校!!


「なんて考えてるんじゃないだろーな、おい。」

ビックゥウッッ!!!!
朝だからかょっと低めの声で話しかけてた宇野に動揺を隠しきれなかった私は

「そんな事ないってーーー汗」

とうまい良い訳も作れずに無難な返し方をしてみた。


「朝から騒がしいな。春日井は。」
「宇野、お前もな?
 ……や、もうアレだ。騒がしいのは私達ではない。そこらでチュンチュン鳴いている小鳥たち!!
  意味不明な言葉並べて騒いでる今どきのJK!!そして通勤ラッシュ真っ最中の車のみなさん!!」
「つまり?」
「世界は音で満ち溢れている!!!!」

「……素晴らしいネ。」


いつもとなんの変りも無い会話がそこにはあった。
今日もきっとなんの変りも無い日常g…


がこっ
「ぎゃっ!」




「保健室に…逝ってらっしゃい。」

13:りんちょ:2014/04/27(日) 16:58 ID:Tb2


「ったぁ〜…」

何で通学路にあんなでっかい石があんのよ。
もうあれ、岩レベルじゃないか?

私は朝登校している時に思いがけないハプニングのせいで今、保健室にいる。
また部活の朝練行けなかった…

昨日も確か寝坊で参加してないな。
霜田に説教されないよな?


「はぁ〜…にしても派手に転んだな。保健の先生いないし。勝手に処置してもいーのかな?」
「何を処置するって?」
「え?だからこの怪我をさーー……わぁっ!!」

そこにはふくこと、福田智弘くんが立っていた。

「あー…怪我ね。えぇ!めっちゃ痛そうじゃん!」

そう言うと福田君は笑った。
まさかこんなタイミングで…怪我して良かったぁ!

胸がドキドキうるさい。
顔が赤くなっているのが分かった。
ちょっと待って。会話会話。自然に、なるべく自然を装って…

「福田君は?」
「え?」
「どーして保健室に?」
「あー…手。バスケでやらかした。」
「へー!バスケって突き指とか多いの?」
「や、俺位になると全然突き指とかしないけどね。」
「今してるじゃん笑」

あ、やば。
これ以上会話したら心臓もたない。
会話はいつの間にか止まっていてさらに心臓がうるさく聞こえた。

「先生…」
「へっ!?」
「先生、来ないな。」
「あ、あぁ…そーだね。」

……話掛けてくれたのはこれで3回目。
今のとさっきのと…あと入学式のとき。


入学式。私が緊張している中ノートを落としてしまった。
それを近くにいた福田君は拾ってくれて…

「春日井…かなし?なんて読むのこれ。」

って話かけてくれた。
多分もうその時から私は福田君が好きだったんだと思う。

好き。私はそう実感できた。
私に恋を教えてくれた人。

「ぉぃ…おい春日井!」
「はっはいいぃ!!…な、何?」
「さっきからお前、大丈夫か?なんか顏赤いぞ?」

福田君はそう言ってしゃがみこんで上目使いをした。
もう…なにその必殺技。反則だよ……///
さらに私の心臓は心拍数を早くしてゆき、苦しくなる。

「だ、大丈夫だよ。で、なに?」
「あのー…怪我。俺が手当てしよーかって。」
「え!?いーよいーよそんな!!」

なに言ってるの福田君!!
そんな事したら私多分これからの運使い果たしちゃうよ!!

「や、いーよ。俺保健部だし。勝手に手当てする許可もらってるし。」
「そーゆー問題じゃなくってね!?」
「じゃあどーゆー問題なのー。」
「……っ///自分で出来るから!!///」

私は消毒とバンドエードを掴み取り、サッと手当てを済ませササッと出て行った。
「失礼しました!」

バタンッ


「……なんなんだあいつ。」



タッタッタッ

…………ピタッ
ひぎょええぇぇえぇっ//////
うそでしょ!?福田君と約15分一緒に居れた!!
奇跡だよーーーーー!私の時代来るよ〜っ!!!!

早く誰かに言いたい!
宇野!宇野おらんか!!

朝の会が始まりそうになっているのにも関わらず
私はお構い無しで廊下で飛び跳ねていた。




一方の保健室では…

「俺…嫌われてんのかな。」

14:りんちょ:2014/05/02(金) 17:32 ID:Tb2


宇野っ宇野っ!
あ、いた。

「宇野ーーーーっ!!」


…………ん?
宇野…さん?
宇野はいかにも「私悲しんです」アピールをしていた。
オ―ラがダダ漏れ過ぎて怖かった。

「ん…何だ春日井か。やっほ。足は大丈夫か?」
「まぁ、うん。…て、お前どうした!明らかに様子がおかしいぞ!」
「はは…まぁそりゃ……ね。」

ほんとにおかしいぞ、宇野。
いつもなら
「おー。春日井か。その足はもう腐ってしまったのか?どれ、私がお前の足に砂を大量にぶっかけてやろう。」
とかゆーくせに。

大丈夫かってなんだよ。
なんで心配されなきゃいけないんだよ。

…………まぁ、大体予想は付くけど…
「宇野、何があった?」
「……察してくれよ。」
「あーーー…ごめん。頑張ったな。」
「何それ春日井に言われるとめちゃめちゃムカツク。」
「ひっどい!!!」

いつもの空気が戻ってきた。
でもそこにいつもの宇野はいなかった。

宇野はさとまに振られたんだ。
きっとすぐには癒えない傷かもしれない。
さとまと宇野が気まずくなるのも必然的になる。


でも宇野はちゃんと言った。
好きだって伝えた。
その時の宇野が


私は誰よりもかっこよく見えた。

15:りんちょ:2014/05/02(金) 17:54 ID:Tb2


あれからどれぐらいの時間がたっただろ…

確か…数学で「どーせ当てらんないだろ。」って思ってなにも分からず挙手してたら
急に当てられて数学の大河を恨んだ事と…
掃除してたら異様な髪の毛のごみが出てきたのに驚いた事と…

あ、もうわけ分かんない。
給食が思い出せない。
今日なんだっけか?あーー…もう絶対思い出せない。


そんなこんなで家にいる春日井です。

ピロンッ♪
宇野からメッセージが来た。

『私さ…新しい恋をするよ。』
『おー。頑張れ(^<^)』
『春日井はどーすんの。ふくの事』
『勿論このまま好きでいくよ。』
『告れ。そして振られろ。』
『だが断る!!』
『なら仕方ないな。死ね★』

安定の会話。

しかし友達の失恋って…案外どうでもいーんだな。
や、宇野に関心がないってわけじゃないんだけど…
結局、皆自分の事しか頭にないのかも。


私はベットに飛び込みやっぱり今日保健室であった事を思い出した。

「私ってもう片思いのままでもいーのかな…」

16:りんちょ:2014/06/23(月) 09:22 ID:Tb2


「夏!夏だよ宇野さーんっ!!」
「うるさい知ってる。」

夏が来た。
周りを見渡す。リア充1,2,3,4,5…
そこに私は含まれていないのが現状。
勿論宇野も。

あれから何ヶ月かが経ち、宇野はようやく立ち直れたところだった。
でも宇野はまださとまを好きでいる。
バカすぎるだろ。
振られても好きでいるメリットって何?
良く分からない。

「…だってまだ好きだし。」
「てかさ、新しい恋は?あれどーなったの。」
「無理して好きな人作る必要はないと思う。」
「なんだそりゃ。」

いつもの恋話。
これほど女子を活発的にするものはない。

そして一方の私はとゆーと…
あれからの進展は一切なーーーい。
まぁ、あってもなくても付き合わないか。

「…ん?春日井春日井っ!」
「なんだ……ょ」

前から来たのはなんと福田君だった。
さっきまでとは違った心臓の音が……?
聞こえない。なんで?聞こえないよ…

「春日井?なんで突っ立ってんだよ。動揺くらいしろよ。」
「…………宇野さん。」
「はい。」
「どどぉおしよおおおおぉおぉぉぉっっ!!」



「宇野の相談所、開店…」

17:クリン:2014/06/23(月) 22:00 ID:ipg

始めまして。
読ませてもらっています。
とても面白いです!
続き楽しみです。

18:りんちょ:2014/07/25(金) 08:20 ID:Tb2

クリン様

遅れてすみません!!汗
そしてありがとう!

引き続き、お付き合いして下さると嬉しいです(^‐^)

19:りんちょ:2014/07/25(金) 08:56 ID:Tb2


私は宇野。

ご存知の通りあのバカに振り回されている身の者だ。
あのバカ、何でもかんでも私に相談してくるもんだから…
大体の相談内容の把握が出来るようにまでなってしまった。
人に頼るという事は良い事だとは思う。
勿論、頼られる事も。

しかしあのバカはそれが多い。多すぎるのだ。
人に頼ってばかりではいけないと思う。


『私さ…新しい恋をするよ。』

ピロンッ♪
『おー。頑張れ(^>^)』

「…………」
『春日井はどーすんの。ふくの事』
『勿論このまま好きでいくよ。』
『告れ。そして振られろ。』

ピロンッ♪
『だが断る!』


……でも、その過程で
『なら仕方ないな。

私はまた相談にのってしまうのであろう。

……死ね★』

20:りんちょ:2014/07/25(金) 17:31 ID:Tb2


「私さ…どーしよーーー!!助けて宇野えもーん!」
「誰が宇野えもんだ。」
「いやだってさ!さっき福田君とすれ違ったじゃん!?」
「そこでドキドキしなかったと。」

びっくりした。なんで宇野は私の言いたい事が分かったんだろう。
確かに私はよく『分かりやすい奴だ』なんて言われる。
だけど、そんなにピシャリと当てられてしまったら…

私はそんな宇野が、友達として。親友として。
ただただ気持ち悪かった。


「……なんで分かったの?」
「………単細胞だからじゃない?春日井が。」
「ふふふ。ありがとう宇野さん。良き友だよ。」
「きも。……きも。」
「ニ回!ニ回言った!!」

かわされた。
私はたまに宇野が分からなくなる。
…ん?

「話の方向が変わってきている…!」
「え、気付くの遅。」
「…で!どー思う?」

私は話を切り替えるように言った。

「は?何が。」
「だから!福田君のことだってば。」
「あーー…どーって言われてもな…」

それから宇野はいくつか私に質問してきた。
その感情はいつからか、最近はいつ話したか、
そしてなぜか…クラスでのリア充は何人か。

「んー…あれだな。『諦め』だな。」
「『諦め』…?」
「うん。多分だけど春日井は福田君を好きでいる事を諦めようとしている。」
「そっ、そんな事ないよ!」
「まぁその気ではいるんだろうけど…自分でも気付いてなかったのか、流石。
 ……例えば最近、不安になる事はなかった?」
「不安?」

不安なんてものは私の中にいくらでもあった。
勉強、部活。あとは…

「あ…私、不安あったわ。」
「どんな。」
「このまま片思いでもいいかなーって。どうしようかって思ってた。」
「だろうね。きっとそれだよ。春日井はふくを好きでいる事に疲れたって事。
 や、正確にはいつまでも一人だけにこだわっている事に疲れてたんじゃないの?」

好きでいる事に不安を感じ、こだわっている事に疲れ……
そして私は『諦め』に走った。

「私はどうすればいいの?」
「や、あくまで私の考えだから。これからどうするかは春日井次第なんじゃないの。」
「んー…私次第、かー。」

…ん?
あれ、ちょっと待て。
それなら宇野だってさとま一人にこだわってるじゃん。
疲れたり、諦めたりしないの?

「それなら宇野だってさとま一人にこだわってるじゃん。疲れたり、諦めたりしないの?」

声に出てた。

でも、率直な疑問だった。
ましてやもう告って振られている。
なおさらこだわる事に嫌気がささないのだろうか。

「あー。あれ、言ってなかった?さとま、彼女出来たんだよ。」
「…え?え!?そーなの!!?」
「うん。まぁ私も流石に引けてきてさー。とっくに諦めてるよ」

…ですよね。
結局好きでい続けるメリットはなく、『奪う』という発想はあるはずもなく、
最終的には新しい恋にまた出会うんだ。
そーやってみんな生きてるのかもしれない。
 

じゃあ私は?
どうやって生きていく?

21:りんちょ:2014/07/31(木) 20:59 ID:Tb2


『諦め』というのは『逃げ』とイコールで結びついてる気がする。

なんらかの理由付けをして「仕方ない。」とか「ここまで頑張ったから良いか。」とか
どこかで逃げてると思う。

でも、本当に仕方がない事だってある。
あるマラソンランナーが足を骨折して、これ以上走るともう一生動く事すら出来ないとなったら。
当然、一時的だが『諦め』は必要だろう。

私達はそれに近付けようと考える。
でも結局は逃げている事になる。


なお、これは私のキレイ事ではなく本のパクリである。


「…………」
「春日井。おい春日井!」
「ん?」
「いや、ん?じゃなくてさ。そんな思い込まなくてもいいと思うぞ。」
「…宇野が言ったんじゃん。」
「そーだけどさー…そこまで思い込むと思ってなかったんだよ。」
「あ、宇野。この本面白いぞ。【就職出来ない事】。」
「なんつー本読んでんだよ!」


宇野はそう言ってカラカラの笑い声を上げた。
その乾いた笑顔はなんとなく気を使ってくれている事を感じさせた。

「恋愛ってむずいな…」
「嫌だ、あなた本当に春日井さんですか?ちょっと近づかないで下さい。」
「人が真剣に悩んでるのにーーー」
「まだ私達中2なんだけど。これからでしょ、まだ。」
「そっかー…うん。まぁそーだよね。」
「おう。てかさ。そんなんで悩んでる様だったらいずれ好きじゃなくなっちゃうんじゃない?」
「…やっぱり?」
「やっぱり。」

そっか。やはりか。
これは恋じゃない。だって恋は楽しいもんでしょ。

「春日井!一緒に新しい恋しよーぜ!」
「……うん!!」

「そーそー!福田なんて○○○○じゃ〜〜〜〜ぃ!!!!」
「そこまでは言っていない!そして宇野!声でかい!!」


そこには少女二人の甲高い笑い声があったという。

しかし私はまだ知らなかった。
これから起こる喜劇とも言える出来事に出くわすなんて。

22:りんちょ:2014/08/08(金) 15:12 ID:Tb2


私は逃げた。性格に言えば諦めた。
だがなんだ。だから何だってんだ。

私は好きな人をまた作ろうとしている。
……とは言いつつも…誰だ????
「お笑い系」、「体育会系」、「インテリ系」、「ネクラ系」…
人って自由過ぎる…
もっとコンパクトにまとめてほしいものだ。

こんなに多けりゃ探すレベルではない。
さらに同級生は勿論、先輩や…後輩だってありうるんじゃない?
あああああああもう駄目だ!


「……は?」
「…え?」
「いやいやいや春日井。それはおかしいだろ。」
「何が。」
「えー…マジかお前。……はぁ。」

とため息をついてから宇野は力を込めて言い放った。

「いやだから。好きな人って頑張って作るもんじゃなくない?」
「じゃーどーしろと!!」
「無理に作ったら作ったであとで後悔する。変な黒歴史も作る。春日井はそーゆー奴。」
「真顔でやめて…!」

そうかー…好きな人ってのは作るものじゃなくて自然に出来るもの…………って事?
だよね…?
まだよくわかんないけど、「絶対にこの人!」って人が現れるのを待つ。
というのが私の中で結論付けされた。








そうして私は3年生になった。

23:りんちょ:2014/09/02(火) 18:45 ID:Tb2


え?ひょっとして今私3年生?
ええええええ…………待ってるのが馬鹿らしいんですけど。
2年生はほんっとに何もなく過ぎていった。

「えーーーと私のクラスは………あっ、1組?」

そして…

「あ、福田くんも…1組。」

何か目で追ってしまっていたけど、私はそんなに嬉しいとは思っていなかった。
宇野さんとは違うクラス。
といっても隣なんだけどね。

「かーーーりーーーーんっ!!!」
「わっ!!…驚かさないでよ、里伊。」
「ごめんごめんwやーーー同じクラスだね!一緒に教室まで行こーぜ!」

この子は里伊。まぁざっくり言うと友達だ。
え、私宇野さん以外にもちゃんと友達居ますからね?…………え?


また今日から新しい生活が始まる。
気になる隣の席は〜〜〜〜〜〜……なんてこった。
まさかの志野旗。これは最悪だ。

志野旗とは。
私とは幼馴染でもなければ特別仲が良いという訳でもない。
だけど良く絡んでくる。なんか知らんけど、かなり絡んでくるのだ。
はっきり言って迷惑なだけなのに。

「げっ。春日井かよーーーー」
「…すみませんでしたーーー」
「どういたしましてーーー」
「…………」

私が席に着くと志野旗は小声で私に囁いた。

「この席、結構ラッキーかもな……お前にとって。」
「は?」
「ほらだってさ。関もいるしーふくもいるしー…良い奴ばっかじゃん。」
「はー?志野旗君がいる時点ですでにラッキーではないよね。」
「がんっ。なんて事言うんだ…」

…でも、まぁメンツ的には良いかも。
…………………ん?あれ、私の後ろって…

「福田君…?」
「はい。」

振りかえると福田君がそこにいた。
「…なに?」
「あ、いや…何でもないよー。ごめんね。」
「なんだそれ笑」

…なんてこった。

「おおお!花梨同じ班じゃーん!!よろしく☆」

こいつを忘れていた。

「まさか里伊と同じ班とはね〜〜〜…」
「まさか花梨と同じ班とはね〜〜〜…」
「「うぇーーーい」」
「お前ら、似てるよな。」
「…クスッ」
「あっ!ふくちゃん笑ったー。ひっどいなーーー。」

福田君は首を横に振っているけれど完璧に笑っていた。
なんだか楽しい班になりそうだ。

24:Ruka:2014/09/07(日) 11:04 ID:H1.

続き楽しみにしてます!!

25:りんちょ:2014/09/14(日) 12:06 ID:Tb2

Ruka様

再びありがとうございます!
これからもっと更新していくつもりですのでよろしくお願いします<(_ _)>

26:りんちょ:2014/09/14(日) 12:19 ID:Tb2

ここで新章に入りましたので登場人物紹介♪

志野旗 孝助(しのはた こうすけ)

花梨とは去年も同じクラス。
お調子者で楽観的。意外にも頭が良い。


関 里伊(せき りい)

花梨の日南葉以外での友達。
こいつもおめでたい奴だが肝心な時に勘が冴えている。
好きな人はいない。


田村 伸悟(たむら しんご)

花梨とは初対面で同じ班。
おとなしい性格で本が好き。
ド天然、無神経。唯一のリア充。



以上3名と花梨、智弘を合わせた計5人が主となる人物です。
この5人はいずれも同じ班です。

では!引き続きお楽しみください。

27:りんちょ:2014/09/14(日) 19:51 ID:Tb2



「そーいやぁ春日井ってさー。」


1時間目が終わってからの10分休み、志野旗君から話しかけられた。


「な、なんですか。」

「お前って好きな人いる?」

「はっっっっっ!?別に。いないけど………」

「…ふーーーん」


いきなり何ですか。志野旗君。
まぁそりゃちょっと前まではいたけどさ。

「前は福田君LOVE❤だったんだけどねーーーっ☆」

…とか………絶対に言えない!!
本人後ろなんですけど!?みたいな…はは。


「あのさ、お前の事好きって奴がいるんだよ。」

「へぇ……ん?ええええぇ!!!?」

「いやいやwまじだから、これ。」


まじだからって…そんなこと言われても……


「初耳だよ?それ、もしかしなくても嘘なんじゃないの……」

「だって俺初めて言ったもん。」

「……だっ、誰…とかって……分かりますかね…?」

「それは言えない。本人に口止めされてるからなー。」

「そっか……まぁそうですよね。」


信じられないな。あんま期待しないでおこう。
あとでやっぱ違いましたってなった時の事も考えて…私って慎重。

「…………」


「かっりーーーん!!次体育だよーっ!」

「……うん。行こっか。」

「どうしたーーー。元気ないぞ!」

「まぁうん、ちょっと。」

「…………ほーん。」


あれから全く集中できない。期待しないとか言っておきながら。
だってそんなん…ぜーんぶ、志野旗君のせいじゃん。


「あれ?里伊…?」


―その頃―

「おい志野旗!!」

「わっっっっ!?…って関かよ。なーーにーー。」

「まだ教室に居て良かったよ。もーーめっちゃ走ったし!」

「いや、しらねーーwで?何なんだよ。」

「あんた…花梨になんか吹きこんだでしょ。」

「は?別に何も…」

「いーやっ!私こーゆー勘は当たっちゃうんだけど!!」

「…あのさ「おい志野旗!何やってんだよ体育の伊藤が怒ってる…ぞ…てあれ?何やってんのお2人。」

「あ、ふくちゃん。やーそれがね?志野旗が春日井に「あーはいはい伊藤な!あいつ怒ると怖いよなー!」

「志野旗…?……あっ!!私も怒られる!じゃねー男子所君!!」

「あ…ちょっと……」



―場面戻りまーす…―

遅っいな里伊。とっくに体育始まっちゃってるんですけどー…

「遅れましたーーーっ」

「遅い!何してたの里伊。」

「んーーーとね…ヒミツ☆」

28:りんちょ:2014/09/15(月) 09:27 ID:Tb2


自分で言うのも何ですが、私の事を好きになってしまった馬鹿の人がいるようです。
でも語尾に(半信半疑)が付く感じで…ただからかわれているだけなのかも。

その方が色々考え込まなくて楽。むしろ。
でも志野旗君は嘘付かない性格だしなーーー…


「はぁ…」

「何ため息ついてんだよ。」

「や、だからそれは〜志野旗君のせいでしょっ…て……あれ、福田君!?」

「志野旗が何?」

「かっ、関係ないよ。てか福田くん!君いつも突然の登場すぎるんだよ!!」

「……ごめん。」

「え、や、そこまで攻めてないから…春日井ジョーク?」

「なんだそれ笑」


あれ、今ちょっと自然に喋れた?
前までとは違う感覚がそこにはあった。
考えてみたら私は今まで正面から福田君を見た事がなかった。

ああやって笑うんだ……

…ん?今なんかキュッてなった?
まぁ確かに嬉しくはあるけどなんか…それだけではない何かが……
違う感覚もあったけど…懐かしい感覚にもとらわれた。


「はよーす。」


気が付くと隣に志野旗君が座っていた。
志野旗君は剣道部だから、竹刀やらなんやらで重そうな荷物を抱えての登場。


「おはよ。」

あいさつはしっかりする主義の私。


「今日朝練休んじゃおっかなー…」

「え、剣道部の顧問ってめちゃめちゃ怖いんでしょ?行った方がいいんじゃ…」

「あー…いーよいーよそんなん。それより春日井は?部活。」

「今日は朝練ありませーーーん。」

「ゆるいよなー女バレは。」

「ふふふ…羨ましいかーーー」


なんて言ういつもの会話をしていながらも、志野旗君はいつもとはちょっと違う気がした。
何かあったのかな…って志野旗君に心配するフリでもしてみる。

その時、ふいに福田くんと目が合った。
…………気がした。

29:りんちょ:2014/09/16(火) 17:34 ID:Tb2


【志野旗目線】

俺はいつも物事を簡単に考えていた。
いや、難しく考えるのが嫌いなんだ。

「私は人権についてもっと考えるべきだと思います。今では……」

新学年になって春日井が隣の席になった。
春日井は何事にも結構一生懸命な気がする。当の本人はそれを自覚していないみたいだけど。


「この事から私は人権問題についてのプロジェクトを提案します。」

「…はい、春日井さんありがとうございました。」


ガタンッ
…春日井はホントに自分の意見を言えるな。
そんな事を考えていると隣の春日井が俺に向かってつぶやいた。


「人権問題だってー…ウケるぅーーww」

「自分で言った意見じゃねーか笑」

「私の意見な訳ないじゃん。なんとなーく挙手しなきゃいけない雰囲気だったから挙げてただけだし。」

「そしたら当たったと。」

「うん笑」


なんだ。春日井もやっぱそんなもんじゃないか。
や、俺の方が頭いいけどね。

時間は流れるように過ぎて1時間目が終わったその時、俺は自分でも信じられない言葉を発していた。


「お前の事好きって奴がいるんだよ。」


………えええぇぇえ!!?
なんだそれ!何故そうなったんだ俺!!
あぁぁ春日井が物凄い感じになってる…
嘘に決まってんだろぉ…って、なんでこんな嘘ついちまったんだ?

…分かってた。と思う。
今振り返ればあれは完全に……独占欲。
いつか言ってやりたい。嘘ついてごめんって。



「お前の事好きな奴ってのは俺なんだよ…」

30:りんちょ:2014/09/16(火) 18:12 ID:Tb2


「志野旗君さ、なんかあった?」

「は、なんで?」

「なんか今日元気なかったから…違うんだったら良いんだけどね。」

「…ん。ありがとな。」


え、何今の。怖い。ただただ恐ろしい。
あの志野旗君が……ありがとう!?
お礼なんて初めて言われたかも知れない。言えるんだ…お礼。
…ってなんだか失礼極まりないな!自分!

なんて考えている間にもう帰れるのか。
なんだかあっという間だったなーー…
今日は部活行きたくないな。
バレーシューズを持ち込みいつもの明るい元気なあいさつ!はしずに


「おっねがいしまーす…ってあれ。」


そこにはバレーボールではなく、バスケットボールのダムダムって音が響き渡っていた。
えーーー…まさかの…今日部活中止?や、それはないか。
と立ちつくしていた私に声をかけてくれたのが


「今日はバレー部は外じゃなかったっけ。」

なんとここで初登場の田村君。
皆様覚えているだろうか。この少年、じつは私と同じ班になった田村伸悟君である。
そーいえばバスケ部だったかな。話した事は一切なく今が初対面…


「あ、そーだったんだ。ありがとうね!」

「そんな…全然。」


こーやってよく見るとやっぱ美形だなー…まつ毛長いし、鼻スラッとしてるし…
おまけに優しいし。こりゃリア充でも納得いくな。
私はしばらく田村君の顔をジーッとみてから立ち去ろうとすると


「あ、花梨。」

「っっっ!!!!!???」

いきなり呼び捨てですか田村君…流石リア充はフレンドリーだな。
……いやいやいくらなんでもそれはない!私でもわかる。
だってましてや田村君の性格で……


「志野旗君にこう呼ぶと面白いものが見れるぞって教えてもらったんだけど…」


…志野旗君め。見てろよ。


「なんも出てこないよ!?てゆーかなんで信じちゃうの…」

「あ、でもさっきの顔。ちょっと面白かったよ。」

「…え?今けなした?私をけなしたの?」

「えっ、違うよ!僕はなんとか春日井さんを元気づけようと…ごめんね。」



まじか、私は慰められてたのか。でもフォローにすらなってなかったよ、田村君。
田村君って…天然?みたいな。


「や、なんかありがとう田村君。」

「うん。でね、春日井さんって志野旗君の事どう思ってる?」

「………は?」

31:りんちょ:2014/09/21(日) 09:57 ID:Tb2


「春日井さんって志野旗君の事どう思ってる?」


読み込み中……
読み込めませんでした。


「ん?どうって…どーゆーこと?」

「や、なんとなく。思っただけだけど…」


どう思ってる…って……なんで?ほんとなんで?
言ってる意味が分からないよ。
あ、特に意味はないのか。なんとなくって言ってるしね、田村君も。
ならば……


「うーん…どうって言われてもなーーー…きらいじゃないよ?」
「そっか。てか春日井さん、部活大丈夫なの?」
「え?……あぁ!!!大丈夫じゃないよ!やばいやばいやばいぃぃ…」


そう言って私は一目散に外へ飛び出して行った。
田村君には何も言わずに。
まぁさっきお礼言ったし…いっか。

私はその時忘れていたんだ。
福田君もバスケ部に居た事を。
そして、田村君の話を聞いていたことも。


―翌日―

そろそろ球技大会の季節です。
クラスが一丸となって日々汗を流し……たくないわ!
なんなの!なにが球技大会だ!!
わざわざ暑い日の中球技したくないわ〜…


「「球技大会だーーーっ!わああぁぁ!!」」

「…わー。」

「ちょっとちょっと!?もっとテンション上げてこーよ花梨!」

「なんでそんなにテンション高いの…若いっていいわぁ。」

「うわ春日井ババァじゃん!笑」


疲れ切った頭と体はもはやこいつらのノリについていけない。因みにこいつらと言うのは里伊と志野旗君。
夏ってだけでテンションあがってた2年の頃とはもう違うのだ。
みんな自覚がないかもしれないが今私達はいわば受験生だ。
いや、自覚というか実感がわかないって感じかな。
だから勉強も頑張らないと…
でもそうも言ってられない。なんたって中学校生活最後の行事になる一つなんだから。


「私達の最初の競技バスケだってー。やだなー私バスケ苦手だなーっ」


残念そうに言う里伊はあからさまに落ち込んだ犬みたいだった。
や、別に里伊が犬って思ってる訳じゃないけど。…たたた多分。
私もバスケは得意な方ではない。
おまけに相手チームはバスケ部多数。これは負けを覚悟しての試合だな。


「私もそこまで得意じゃなーい…」

「…あのさ。」

「おー。どったの福ちゃん。」


私達の話を聞いていたのだろうか。
福田君が話しかけてきてくれた。


「俺でよければ教えようか?バスケ。」


……まじですか。

32:りんちょ:2014/09/28(日) 20:01 ID:Tb2


確かに福田君はバスケ部のエース的存在で、なんなら全国で通用するレベルのプレイヤー。
教えてもらって損はないんだけど…

「えっ、まじ?助かるわーーーっ!ありがと福ちゃん!!」

あっさりOK。里伊……
でもいつ?そんな時間なくない?


「今日から放課後部活ないもんね!体育館貸し切りできるかな?」


あ、そっかそれか。
何を慌ててたんだろ私。
あ、そうだ先生の許可とか必要だよね。

「じゃあ私先生にいって体育館借りてくるね!」

「や、貸し切りは難しいだろ。」


いきなりの志野旗君。


志「今の期間は体育館が予約制なんだよ。みんな練習したいのは同じだからな。」

里「えー、どうすればいいの!練習したいーーー!」

福「…なんかごめん。俺ばっかり張り切っちゃって…」

花「……っ!そっ、そんな事ないよっ!!」


思わず大声をあげてしまった。
みんなは驚いてこっちを見ている。でも一番自分がびっくりしてる。


福「…ありがとな。」

花「あ、そんな!大声だしちゃってごめんね。」

福「そんなん気にする訳ないじゃん。」


福田君のその時の笑顔があまりにカッコ良くて…
思わず目をそらしてしまった。
うわ…今のはちょっと感じ悪かったかも。


田「僕の家、体育館的なのあるけど。」

「「「「ぅわあぁっっっ!!!!??」」」」


いきなりの登場やめて下さい。心から。

33:りんちょ:2014/10/02(木) 00:04 ID:Tb2


田村伸悟くん。
成績優秀、スポーツ万能、美男子。
これだけのスペックが揃っているっていうのにおまけに金持ちときたもんだ。


「…?あの?」


突然の田村君の登場にしばらく全員が硬直していた。


「……あ、ごめんごめん。えっと、なんだっけ。」


そう言って先陣をきったのは里伊だった。
里伊は今の衝撃で話がぶっ飛んでしまったらしい。


「いや、だから僕の家。練習場所くらいなら確保できるけど。」


君の家はどうなってるんだい、田村君。
一度は思った事があるだろう。『体育館に住みたい!!』と。
…あれ、ないの?

まぁそんな話はどうでもいいとして。
それから私達は学校が終わったら田村君の家に集合という事になって、一旦お開きになった。


―――放課後―――

早く鞄を片付けて集合しなくちゃ。


「花梨!ごめ〜んっ!今日部会の会議があったのすっかり忘れてて…当分終わりそうにないから先行ってて?」


勢いよくそう発したのは里伊だった。
この期間は里伊と一緒に帰ろうと思ってたんだけど…どーせ目的地同じだし。
誘う前に断られちゃった。
あれでも里伊は生徒会副会長様だ。

…でも困ったな。
一人で帰るのは別にいいんだけど誰かに練習してるの見られたら……
一人よりは二人の方が心強いというか…
一応不正行為なんだよね。田村君気付いてないけど。


「おっ、春日井じゃん。一緒に帰ろうぜ。」


そう言って話しかけて来てくれたのは志野旗君だった。
あ、そうか。そう言えばみんな向かうとこは一緒なんだ。


「んー、いーよ。」

「…え、マジ?」

「えぇw誘っといてなにそれ!」

「いや、うん。じゃー行こ。」


そう言って歩き出した志野旗君はなぜだか足早になっていた。

34:りんちょ:2014/10/06(月) 08:37 ID:Tb2


学校の校門を出ると少し小ぶりの雨が降っていた。
あれ、学校出たはいいけど…


「…田村君の家ってどこ?」

「は!?俺も知らねぇよ!」

「えっ、知らないの?」

「おう!!」


いや、おう!!じゃなくて…どーすんのこの状況。
まず右と左どっちに行ったら良いの。
ええぇ……よし!


「図書館で勉強しよう!!」

「え?正気か。」


正気なんです。まぁびっくりするのも無理はない。
だって私達は今からバスケをしに行く筈だった。
それがとんだ手違いで真反対の勉強をしようと言い出してくるのだから。

だってそれで道迷ったりしたら余計面倒じゃない?
人に聞いてもきっと知らない子がほとんどだと思うし。


「あ、田村君ってもう帰っちゃったのかな?」

「あいつ、一番に帰ってったぞ。」

「まじかー…じゃあ待ってても意味ないね。」

「……よし、まぁ仕方ないか。福たちには悪いけど。」


そう言って志野旗君は図書館の方向に向かって歩き出した。
私は志野旗君の斜め左にくっついて歩いた。

35:匿名希望:2014/12/30(火) 13:27 ID:Tb2


「何だよこれ!!何でこうなる!?」

「ちょっ、志野旗君声大きい…!」

「あぁ、ごめん。…それにしてもおかしいな。ちゃんと教えたはずなんだけど…」


ごめんなさい。これが私の精一杯なんです…

今、私達は事情が事情で図書館でお勉強中だ。
今年で受験生だしね。本気になってもおかしくないよね。
…で、学年上位の秀才志野旗君に勉強を教えてもらってる訳なんだけど……

「まっっっったくもって意味不明!!」

「今までの自分を恨むんだな。」

「…志野旗君はいいよね、頭良くて。」

「ばーかお前、俺は努力型なんだよ。」

「なにそれー笑」

「もともと頭良い奴っているよな?でも俺はそんな要領よくないから…ここまで必死こいて頑張った。」

「……ふーん」

志野旗君は私から見ても努力家だと思う。
いつもはふざけてて、しょーもない奴に見えちゃうかもだけど…
きっと、本当は良い奴で誰よりも頑張ってる。


「自分で言っちゃうんだね、それ。」

「おう、言っちゃった。」


…でもやっぱり彼は彼だ。

それから時間が経ってすっかり辺りが暗くなった。


「うっわー…暗いな」

「そーだねー、それだけ頑張ったって事で!」

「え、なにその。もう勉強はいいや的な。」

「え、違うの?」

「違うだろ!帰ってまた勉強するの!!」

「ええええ…もういいよーーー…」

「受験生だろ!今日のお前見て思ってけどお前結構集中出来る奴だから!」


…ほんとかよ。とか思いつつ結構嬉しかったりする。
なんかお母さん見たい笑
そんな志野旗君を可愛いと思えてしまった。


「だから…家まで送ってやるよ。」

「…え?」

「だから!お前が寄り道しないでちゃんと勉強やるか見張ってやるって言ってんだよ!」

「えー信用ないなぁwちゃんとやるってー笑」

「…それに暗いから一人じゃ危ないだろ。」

「え…あ、うん。そうかそうか。なら、お願いしようかな。」

「おう。」


あまりにも志野旗君が心無い事を言うからびっくりしちゃったよ。
いきなり女の子扱いしちゃってさ。
あーこわこわ。ちょっと…ドキッとしちゃったじゃん。

それからはいつもとなんの変りの無い会話をして別れた。
私は志野旗君の姿が見えなくなるまで家に入らなかった。


「ねぇ、あれ…花梨と志野旗じゃない?」

36:りんちょ:2014/12/31(水) 19:11 ID:jxo


帰宅して私は結局、志野旗君の約束通りに勉強をした。


「ふぅぅ…こんなもんかな?」


志野旗君も勉強をしているのかな。
……って、何考えてるの私。どーだっていーっつの!!
私はそのあとすぐに寝ちゃったけど…その時、大変なことになっていたと知るべきだった。

――翌朝――


「おはよーございまーす…」


朝、いつものように教室に入ってくるのは私だけだった。
見渡すと周りは私に視線を向け、一瞬間が空いたかと思うと一斉にこちらに押し寄せてきた。


「「ちょぉぉぉおおおおっ!!花梨!!」」

「…はぁ。なんですか。」


私が唖然としている中、女子の群れを潜り抜けて里伊が話しかけてきた。
里伊は申し訳なさそうに手を合わせ得意のてへぺろ顔でこう言った。


「ごめん花梨、みんなに言っちゃった☆」


……だから、なにをぉぉおおおっ!!?

37:ハニー:2015/01/02(金) 09:44 ID:Ims

続き気になります!楽しみです**
私恋愛もの好きなんです!
これからも頑張ってください!

38:りんちょ:2015/01/10(土) 13:59 ID:Tb2

ハニー様

コメントありがとうございます!!
これからも頑張っていきたいと思いますので!
ぜひぜひ楽しんで下さいね♪♪

39:りんちょ:2015/01/10(土) 14:41 ID:Tb2


何が起こっているのかも分からずに私は自分の席に着いた。


「…で、何がごめんなの。里伊。」


心当たりはたーーーっくさんあるのだが私は里伊を少し不安げな目で見つめた。
里伊はう゛っというような表情をした後に淡々と喋った。


「まず謝るのはそっちの方ではないのかな?んーー?」

「…あ!そーだったすっかり忘れてたわ!!」


そういえば、昨日は田村君の家でバスケットボールの練習だったんだった。
いくら田村君の家が分からなかったとはいえ、なんの連絡もなしに放置してた事は悪かったなぁ…


「忘れてたじゃないわ!!花梨のばかーーーっ!!」

「ほんっとーーーにごめんっ!田村君の家わかんなくって…」

「…まぁ、これから私も謝んないといけない事があるんだけどね?」

「そうだ、結局何だったの?ごめんって。」

「それがね……」



……つまり要約するとこう。
昨日、里伊はバスケの練習のあと福田君と一緒に帰っていた。(家が近いらしい)
そしたら図書館帰りの私と志野旗君に会って…
「バスケさぼって何してたんだこらーーーっ!」って感じでクラスの話題で出してしまったらしい。
本人には意図はなかったんだけど…春日井♡志野旗という訳のwからない事に。



「…てことでね、私もこうなるとは思ってなかったのよ!あっはは!!」

「笑いごとじゃねぇぇ…」


……ん?てことは気まずいじゃん。その相手、隣の席なんですけど。
志野旗君はすでに教室にいて男子達にからかわれていた。


「おーいみんな!夫婦が揃ったぞ〜っ」


夫婦って…小学生か君たち。
くだらない冷やかしに過ぎないと分かっていても志野旗君がどう思っているのかな。
とか、ちょっと気になってしまう私もいて…


全員が席に着き先生に話を聞いている狭間で今まで黙りこんでいた志野旗君はボソッとつぶやいた。


「……気にすんなよ。」

40:りんちょ:2015/01/10(土) 14:48 ID:Tb2

前の文章に訂正がありました(-_-;)
以下の二つに承知して読んで頂けると幸いです!

【訂正】

18行目…訳のwからない→訳の分からない

27行目…先生に話を→先生の話を

41:たむらしんご:2016/03/11(金) 18:06 ID:QwU

とっても面白い話ですね☆
楽しく読ませていただきました♪


書き込む スレ一覧 サイトマップ ▲上へ