クローバー〜幸福と復讐〜

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:&◆JE:2014/05/13(火) 19:34 ID:vPs

初めてですが頑張ります!

*。ルール 

*暴言 荒らしはアク禁の対象です。

*色々アドバイスお願いします。

*温かい目で見てあげて下さいね!

スタートです!!

2:&◆JE:2014/05/13(火) 19:39 ID:vPs

*プロローグ*

あなたはクローバーの花言葉を知っているだろうか

そう、『幸福』 『復讐』

この真逆こそが後の世界に悲劇をもたらすことになろうとは

あなたは考えもしないであろう

あなただけではない

この世に生きる全ての生命が知り得ない

神でさえも...

3:&◆JE:2014/05/13(火) 19:48 ID:vPs

*第一話 『手紙』

少年は何もない荒れ地にただ一人たたずんでいた

『カヤ!カヤ!どこにいるの、カヤ!!』

母親が遠くで呼んでいる。

どこにいるかって?

わからない

自分が今どこにいるかそんな単純なことがわからない....

何も見えない

なにも聞こえない

真っ暗な空間に押し込められて

出ることもできない

なぁ、母さん。

俺、どうすればいい?

何も分かんないんだ....

伸ばした手は哀しく宙を掴む


     続く

4:&◆JE:2014/05/13(火) 22:06 ID:vPs

ここはどこなのか...

荒れ地に立っているのは分かる。

でも心が真っ暗でそれ以外何があるか分からない。

(いや....分かれない...)

少年がたたずんでいると母親の姿が見えてきた。

『カヤ!どこにいるの!カヤ!!』

叫んでいる。

(何言ってるんだ母さん....)

(俺ならここにいるじゃないか。)

『カヤ!!こんなところにいたの!もう、こんな天気の日に海なんか来たら危ないじゃない!』

(海?何の話をしているんだ母さん?

ここに海なんかないのに...)

直後、いきなり大波が押し寄せてきた。

『カヤ!!!!危ない!!!!!』

俺の体が強く押され、数メートル飛んだ。

(母さん、無駄に力が強いんだよ)

衝撃で閉じた目を開けると、そこに母親はいなかった。

「か...母さん..?どこ行ったんだよ..?母さん!!!!!」


「カ.....きて....はや...お..て...」

(誰かがなんか言ってる....)

(母さん...?)

「母さん!!!!!!」

カヤは飛び起きた。

すると、従兄弟のジュリがそこに立っていた。

「大丈夫かよ、ずいぶんうなされてたぞ」

(夢だったのか....)

「ああ、大丈夫だ。それよりジュリ、何でお前がここにいるんだよ?」

「それを言おうと思って今ここに来たところだ。いいか、落ち着いて聞けよ?」

おかしい。いつも大雑把なジュリがやけに慎重だ。

「何なんだよ?」

「実は、警察がお前を探しているんだ。お前、捕まえたら1億ルドンの賞金首になってる。」

「俺なんもしてねぇよ」

「わかってる。だからお前を助けにきた。」

「どうやって助けるんだ?かくまってんのがバレたらジュリも処刑だろ?」

「そうだな。だが、もう仲間を集めたんだ。だから一緒に来る以外の選択肢は処刑しかねぇな」

「仲間....?」

カヤはいぶかしげに聞いた。

「そう。長いことお前いみたいな人材を必要としているんだよ。一緒に来るよな?」

「お、おい待てよ。誰なんだ、その仲間ってのは?」

「それはなぁ........」

             続く

5:猿吉:2014/05/13(火) 22:24 ID:HGk

来ました!!
ちょくちょく見させてもらいます!!

6:夏樹:2014/05/14(水) 06:40 ID:1BE

きたでーw
小説読ませてもらったけんw
ほんまに面白かったわーw
続き頑張ってやーw
これからも読んでいくさかいw

7:&◆JE:2014/05/14(水) 19:09 ID:Ri2

猿吉さん、夏樹、ありがとう!!

ちなみに、ここで出てくるお金の数えかたは日本と変わらないからね!

一億ルドン=一億円みたいな。

最後まで続けられるか分からないんやけど、読んでって下さいね!

8:&◆JE:2014/05/14(水) 19:25 ID:Ri2

「で、一体誰なんだよ?もったいぶらずにさっさと言えよ」

「まぁそう焦るなって。今ここで言うことはできない。だから俺と一緒に来い。」

「なんで言えないんだよ?」

「どこで誰が聞いてるか分からないだろう。それに、これは機密情報だ。」

「機密情報....?おい、そうとうヤバい奴らなんじゃないのか?俺、そういうのに
 首突っ込みたくねぇよ」

「お前、自分の立場考えて言えよ。もう、いつもどうりの生活は無理だ。」

そうだった。指名手配中なんだった。

「.....そいつら、100%信頼できるんだろうな?」

「ああ。大丈夫だ。みんないい奴らばっかりだし。すぐ馴染むだろう。」

「かなり腑に落ちない点がいくつかあるが、仕方ないか....分かった。」

「交渉成立だなっ!」

「そんなことどうでもいいからさっさと案内しろよ」

喜んでいるジュリを蹴飛ばしながら歩みを進める。

                 続く

9:&◆JE:2014/05/19(月) 09:44 ID:X0w

(十五時間くらい歩いただろうか

 今が何日なのかも定かではない。

 まさかまだ夢の続きを見ているんじゃないだろうか

 もうすぐめが覚めていつもどうりの日常がはじまるんだ。)
 
そんなことを考えていると、誰かに肩をつかまれた。

その人物を見た瞬間、現実に引き戻された。

「ジュリ.....いくらなんでも時間がかかり過ぎじゃないのか?もう十五時間くらいたったぞ。
 それに、さっきから同じ所を何回もまわってるきがすんだけど。気のせいか?」

もうすっかり日はくれていた。

どうやらカヤたちは森の中にいるらしかった。

「いや、気のせいじゃない。」

「迷ったのか?」

「.............ちょっと黙れ」

「そうなんだろ?はっきり言えよ」

「だから黙れって」

「何時間も歩かせておいてそれかよ!」

その時、道の向こうから小枝を踏むような音がした。

「!?今のジュリ、お前か?」

「いや、違う....」

「じゃ、今のは一体誰なんだよ?」

「さっきから同じ所をずっと歩いてんのはそれだよ」

「....?どういう事だ?」

「つまり、あとをつけられてる。」


                   続く

10:&◆JE:2014/05/22(木) 19:51 ID:34A

「俺たち、道に迷っちまったみてぇだな。この辺に誰かいねぇかなー?」

「おい、ジュリ!声がでかいだろ!」

小声で叫ぶ。ジュリはカヤを一瞬見て微かに口元を悪戯っぽく上げた。

「お前、このまま逃げられるとおもってんのかぁ?」

「どういう意味だよ!」

すると何か企んでいるようにジュリはカヤにウインクした。

(........なるほど。意味が分かった。つまりこれはカムフラージュってわけだ)

「なぁ、カヤ。答えろよ。逃げられるとおもってんのかってきいてんだよ」

「なんで俺が逃げる必要あるんだ?」

わざと大きな声で応答する。

するとジュリも嬉しそうにニヤニヤした。

「お前その気色悪いからやめろよ」

「悪いって。冗談だ、冗談。気にすんなって。」

『ところで、これでいいのか?』

小声で聞く。

『ああ、全て順調だ。あれを除いてはな』

『あれ...?あれって一体なんだ?』

『今はある秘密で言えない。だがいずれお前も知るときが来る。』

            続く

11:&◆JE:2014/05/24(土) 12:08 ID:7iU

少々あれというのが気になったが、そんなことを気にしている場合ではないと察し、それ以上詮索しないことにした。

『おい、まだダメか?敵がいるからわざとあんな仲間割れみたいなことやってんだろ?』

『もうちょっと俺との喧嘩を演じてろ、カヤ。』

『分かった。嫌な予感がするんだよ、さっきから』

『多分アイツら攻撃仕掛けてくんだろ』

『!?俺が賞金首だからか!?』

『いや、コイツらはただの山賊だろう。足音をさせるなんて頭はよくないみたいだな』

『そんな山賊がいるかよ。いくらなんでもバカすぎないか?それも作戦だとしたら?』

『それはないな。』

『なんで、そう言いきれるんだジュリ?』

『相手は俺を知らないはずだ。だから攻撃仕掛けてくるんだ。』

『どういうことだ?』

『俺が誰だかわかっていたらまず、攻撃してこないな。だから、ただの間抜けだ』

『お前の正体って....?』

『俺はアンゴレラのボスだ』

『アンゴレラってあの最強殺人団か!?』

『失敬だな、殺人団じゃない。暗殺団だ』

『どっちにしろ殺人だろう』

信じられなかった。幼いころよく遊んでいたあの従兄が暗殺団のボスだなんて。

                    続く

12:&◆JE:2014/05/25(日) 08:48 ID:c1s

『それにしてもよく暗殺団なんて....っっ!?』

言いかけてカヤは反射的に、突然足を止めた。

ほぼ同時にジュリも動きを止める。

『カヤ。お前も気づいたか?』

『ああ。あっちは気配を消してるつもりなんだろうけど、バレバレだな』

そう。カヤたちは、周りを囲まれていたのだ。

『どうする、カヤ?』

カヤは不敵な笑みを浮かべ、言いはなった。

「もちろん、道を通してもらうよ。嫌だとは....言わせない」

                 続く

13:&◆a.:2014/05/27(火) 23:45 ID:SEQ

うん、あげ

14:&◆JE:2014/05/28(水) 20:44 ID:z/M

>>13
こんばんはー(*^^*)

15:&◆JE:2014/05/29(木) 17:30 ID:o6.

ちぃちゃんは見てくれたかなぁワクワク

16:ちぃ:2014/05/29(木) 17:32 ID:v6k

ふーん。
けっこー面白いな。
ま、頑張って書いて(笑)

17:匿名さん:2014/05/29(木) 17:33 ID:o6.

うっぜぇw

18:&◆JE:2014/05/31(土) 13:19 ID:oJs

少女は立ち止まる。

どうやら、存在に気づかれてしまったようだ。

(でも.....)

そう、相手は明らかな勘違いをしていた。

(ジュリ・ラスガレドル。あんたバカね....)

その時、もう一人が言った。

『ジュリ、お前はアホか?確かに足音はするけど、気配は....』

『『一人』』

『だろ?カヤ。それに....』

『なんだ、分かってたのか。そう、一人だな。しかも少女だな。足音からして、、、15歳くらいだな。』

(なっっ!!!!ば、バレてたの!?!?しかも年まで言い当てるなんて!ただ者じゃないわ、カヤ・ドメンセル....)

『おとなしく出てきなよ?どーせ一人なんだろ?俺らに勝てるわけないってさ』

『ジュリ、そそのかすの止めとけ。ま、正体バレるバカならそんなに危険でもないがな』

『それはどうかしら?わざとっていう可能性も否定できなくてよ?』

『君は.....アリス・フィルミドスっていうんだね?もっと野蛮なのかと思ったよ。なぁ、ジュリ?』

『そうだな、野生っぽくなくていいわな。アリス?』

『な、何でわたくしの名前を知ってますのよ!?名乗ったつもりはなくてよ!?』

『アリス、俺が知っているのは当たり前だろうが』

『団長はいいんですのよ!!そっちのあんたに聞いてるんですわ!!何でですのよ!!』

『俺?俺は....』

『カヤ。言わなくていい。こいつに知る権利はない。アリス。お前もあんまり詮索すんな。』

『詮索って失礼ですわね!!わたくしはただ....』

『団長命令だ。聞けないのなら、処分するまでだ』

『す、すみません......』

『分かればいい。カヤもあんまり聞かれたことに何でもかんでも答えるな。危険だ。お前を狙ってる奴等は沢山いる』

『ああ、分かった。でも、さっきアリスさんは団長って言ったよな?仲間か?』

『そうですわよ。わたくしはアンゴレラの団員ですわ。』

『じゃあ、ジュリ!お前はさっきから山賊だとか、嘘ついてたのかよ!?』

『まぁまぁ、そうきれんなって。』

『アホ!!!!』

               続く

19:&◆AA:2014/09/27(土) 12:02 ID:vh2

「まったく。迎えに来いと言ったのは団長じゃありませんの!」

アリスは不服そうな顔をしながら言った。

「すまない。カヤを試したかっただけだ。」

「それならそうと、言っていただけませんの!?」

「お前もアンゴレラの一員だろう。察しろ。」

「団長の口癖は察しろですの!?まったく、女々しいですわよ!」

「おっと。俺は勘違いをしていたようだな。アリス、一人じゃなかったのか」

「今頃気づいたんですの?団長にしては遅いですわよ」

「ちょ、ちょっとまて。なんの話だ?」

わけのわからなくなったカヤが割り込んだ。

「なんだ、カヤ。お前だってわかっているだろう?」

「俺にわかるのは、このガキとそこ、その木の後ろに一人いることくらいだ」

「ガキってなんですのよ!!わたくしはガキじゃなくてよ!」

「うるさいぞ、アリス。正解だカヤ。おい、出てこい」

ジュリが指を指す、木の後ろから一人の少年が現れた。

「まぁーったく、団長は人使い荒いんだから。ねぇ、ふぃるちゃん?」

「そうですわねぇ、、っていい加減その呼び方やめてもらえませんの!?」

「気に入ってるのにー。かわいくていいじゃん」

「可愛さを求める時じゃありませんわよ!」

「怒られちゃった〜。あ、団長!」

そこで、ジュリが口を開く。

「レド。俺に気づいていなかったのか?」

「今気づいたっす!あ、この人がカヤさん?よろしくっす!」

「よ、よろしく。えっとジュリ?この人は、、」

「もうだいたいわかるだろう?団の一人だ。」

「俺はレディルド・カンノル。よろしくちゃーん」

「別名、ちゃらんぽらんですわよ」

カヤが吹き出す。

「あはははは!!だれだそのあだなつけたの!」

「おれだ。」

「ジュリ!!お前かよ!」

「ふぃるちゃん?ちゃらんぽらんとかいわないのー」

「本当のことでしょう!それに、ふぃるちゃんじゃありませんわよ!」

その四人を草影からじっと見つめる十二の瞳。

そのうちの一人が言った。

『バカが油断してやがる。まてよ、あとすこしだ』


                 続く

20:&◆AA:2014/09/27(土) 12:19 ID:vh2

(はぁ。あれでも気配消してるつもりなんすかねぇ。ばればれじゃん)

レディルドはため息をついた。

するとアリスが小声で言ってきた。

『どうしますの?殺りますの?』

『やっぱり、気づいた?』

『当たり前ですわよ。団長だって気づいているはずですわ。』

『だよね〜』

『あれ気配消してるつもりなんですの?ぜんぜん消えてませんけど』

『それ俺も思った〜。わざとなのかバカなのか』

『とりあえず団長に聞きましてよ。』

二人はちらっと草むらに目をやり、それからジュリを見た。

ジュリは目で指示をだす。

(焼くなり煮るなり好きにしろ)

そのとたん、二人は微かに嘲笑うように口元を上げ、草むらに飛び出す。

「パーティーは楽しめるんすかねぇぇぇ!!!!???」

レディルドが相手を避けながら、攻撃をする。

「じゅうぶん楽しいですわよ!!!」

アリスは相手の顔面に蹴りをいれている。

「ジュリ!?なにが起きているんだ!?」

まったくわけのわからないカヤが叫ぶ。

「落ち着け。山賊だ。だがアリスは見た目に似合わず野蛮だな。」

「しょうがないじゃないですの!これぐらいで丁度いいんですのよ!!」

あっという間に六人倒したレディルドとアリスは全員捕まえた。

「お前、グレンじゃないか。なにやってるんだよ。」

ジュリが山賊の一人に言った。

「なんですの、団長。このサンゾクと知り合いですの?」

「幼馴染みだ。こいつとは赤ん坊の頃から一緒だ」

               続く

21:&◆AA:2014/09/27(土) 12:42 ID:vh2

みなさん!よかったらアドバイスください!

よりよいものにしたいです笑笑

これからも、どんどん更新していきますので

ぜひ最後まで読んでください!

22:&◆AA:2014/09/27(土) 16:33 ID:qJA

「えぇー!!!なんでもっとはやく言わないんですのよ!!!」

森にアリスの声が響く。

「ふぃるちゃんうるさいってば〜」

「レディルド!その呼び方やめないと踏みますわよ!!」

「そう怒んないの〜。かわいい顔が台無しだよ?」

「どうでもいいですわよ!それより団長。詳しく説明してもらえませんの?」

「そうだよ。ジュリ!どういうことなんだよ。こいつが山賊じゃないって。」

「話せば長くなるな。明日になる頃にはここを出発しなければいけないが。」

「団長だからっすよ〜。そこの山賊モドキさんに話してもらえば?」

「......俺は山賊モドキじゃない。」

それまで黙っていたが、男は口を開いた。

「....山で薪を拾っていた。そしたらジュリがこの若造を連れて歩いていった。そのすぐ
あとにこの娘もな。
それで、何故か妙な気配を感じて目を凝らしていたら
お前たちの行った跡を探るように無数の白い影がさ迷っていたんだ。」

男はそこまで話すと深く深呼吸した。

「なるほど。それでわたくしたちの跡をつけてきたってわけですわね。えっと、、」

「俺の名前はグレンだ。俺の隣のこいつがジェビル。その隣がガルドル。ルイス、ジバル、マイクだ。」

「グレン。お前こんなところまで薪を拾いにきたのか?こんな大勢で?」

ジュリが訪ねると、ガルドルと呼ばれた男が言った。

「最近この辺の治安が悪くてな。俺たちは見回りだ。」

「なるほどねーぇ。なんとなくわかったよ、俺。」

「みんななんとなくわかってますわよ。それで、これからどうしま......!?」

「危ない!!!!!!」

レディルドが叫ぶ。カヤはとっさに身を翻し、飛んできたものを避けた。

「なんなんですの!?」

アリスが飛んできたものを見る。

「!!!!これは.........非常に危険ですわ」

                  続く

23:&◆AA:2014/10/03(金) 19:23 ID:QIU

幸福か。それとも......


 『復讐』か....


「おぎゃあ!おきゃあ!!」

メイデリア王国の城に威勢のいい産声があがった。

「リア様!!おめでとうございます!!元気な男の子でございます!!」

専属の助産婦が嬉しそうな声をあげる。

リアと呼ばれた女性は死んだかのように

一瞬にして力が体から抜けていくのを感じた。

(やっと...やっと生まれてきてくれたのね....)

女性は赤子をしっかりと抱き、乳を与えた。

目を閉じながら飲んでいる赤子の姿は実にほほえましいものであった。

女性は自分の頬に雫が伝うのに気付いた。

(わたしの...わたしのカヤ....わたしの子....)

女性は命を包み込むかのように赤子を大切に大切に抱き締めた。

(どうせなら...もっと幸せな生活を用意してあげたかった....)

こんな、穢れた黒に染まり果てた血ではなくて.....

ごくごく普通の、幸せな笑顔が絶えないような

そんな生活をさせてあげたかった。

(なにもいらない....せめて....せめて自由にしてあげたい....)

そんな母の想いが届くことは決してない

そんなこと女性には分かっていた。

シストロ家は呪われている。

幸福か。それとも復讐か。

この二択しかないというのに

生まれたばかりの赤子とその母は選ぶことすら許されなかった。

母は誓った。

『命をかけて、この子を自由にする。』と。

             続く

24:&◆AA:2014/10/04(土) 12:56 ID:L8w

(.....歌...か..誰か歌ってるのか....)

一人の美しい女性が縫い物をしながら歌っている。

(誰だ....見覚えが......)

そこに幼い男の子が走り込んできた。

『母さん!!お腹すいたよ!』

『そうね。夕食にしましょうか。マリエッタを呼んできてちょうだい』

『うん!!今日のごはんはなに??』

『あなたの大好きなシチューよ。』

『ほんとう!?やったー!!マリエッタお姉ちゃーん!!』

そう言って男の子は走り去って行く。

その様子を母と老人は悲しげに見送った。

『リア様。この生活があと何日続くか.....』

『ガド。ここは王宮ではないのよ。わたしはもう、リアではないの。』

女性は老人にそう言ったが

まるで自分に言い聞かせているようだった。

『しかし、私はリア様の執事でございますゆえ。』

『わたしはもう王女ではないのよ.....あの生活はもう戻ってこないわ』

『私は何があってもリア様をお守りすると決めたのでございます。
 例えリア様が王女でないとしても私はリア様について行きます。
 これは私の意志なのでございます。どうか、お許し下さい。』

『そうね。わたしもガドがいて心強いわ。ありがとう。』

女性は窓の外に輝く夕日を見ながら言った。

『カヤの無邪気な笑顔を見ると心が痛むの。
 マリエッタは物分かりがいいから、
 だいたいわかっているのでしょうけれど。
 本当のことを知ったとき、カヤが受け入れられずにいたら
 どうすればいいのかしら。って考えると夜も眠れないわ』

『時が来ればいずれカヤ様も知るでしょう。
 そのときはもう、立派になっていますよ。』

『そうだといいのだけれど。』

幼いカヤがマリエッタを引っ張って戻ってきた。

『母さん!連れてきたよ!!いいにおい!ね、お姉ちゃん!!』

『そんなに引っ張ったら伸びるわ!』

『ほら、二人とも。食べるわよ』

ガドがシチューを皿によそい、カヤたちの前に置いた。

『いただきます!!』

カヤとマリエッタが挨拶する。

『おいしいねぇ!!お姉ちゃん!!』

『お母様、また一段と料理がお上手になったのではなくて?』

『あら、そんなに喜んでもらえて嬉しいわ。』

『まぁ、カヤったら。もう食べ終わったの?はやいわね。』

『おいしいんだもん!!』

暖かい、家族団欒。

(カヤ.....マリエッタ...?お姉ちゃん........!?)

「母さん!!!!!!!!!!」

          続く

25:みちる:2014/12/15(月) 15:15 ID:utc

急に目の前が真っ暗になって次の瞬間視界が明るくなった。

「カヤ?大丈夫ですの?だいぶうなされてましたわよ。」

アリスが心配そうにカヤの顔をのぞき込んでいる。

「俺...寝てたのか」

「.....カヤさん頭大丈夫っすか?」

「レディルド!失礼ですわよ!」

アリスとレディルドが言い合いを始める。

「お前ら。やめないか。カヤは病み上がりなんだぞ」

「おいジュリ。勝手に病み上がりにすんな。」

そんな話をしていると、いきなりアリスが口を閉じた。

「そもそも、ふぃるちゃんはアタマが固いん....」

レディルドの口をアリスがふさぐ。

『静かにして。レディルド、聞こえませんの?』

きっとここにいる誰もが気づいただろう。

こちらへ向かってくる足音に。

その時、ジュリが言った。

「レド。アリス。大丈夫だ。敵ではない。」

『でも...!』

「誰にでも聞こえるような足音だ。」

「そうだよ〜俺でも気づいたもん」

レディルドが脳天気に言っている。

「レディルドは気づいて当然ですわよ!!!」

アリスが食ってかかる。

レディルドは軽やかにかわしながら言った。

「いったい誰なんでしょうね〜」

「あ...あの.....」

声がした方を見るとそこには中年の女が立っていた。

「わたし旅人ですが、あなた方もですか?」

ジュリが、

「まぁ、そんなもんだな。」

と答えると、女は

「もしよければすぐそこに町があるのでいきません?いい所だって聞きました」

ジュリとレディルドが顔を見合わせる。

「...ラム酒はあるのか?」

女はにっこりと頷く。

「ま、い〜んじゃないすかぁ〜?腹へったし。」

女が

「それでは、行きましょう」

と言ったので皆歩き出した。

カヤが押し黙って歩いているとアリスが小声で言ってきた。

『あの女性...信用してはいけない気がしますわ...』

実のところ、カヤも同じことを考えていた。

『女性がこんな夜更けに森の中を一人で歩いているなんて
いくら旅人でもありえませんわ。危ないということくらい
旅人なら分かっているはずですもの。』

カヤとアリスは暗闇の中でお互いの顔を確認し

そこからは黙って歩きはじめた。

続く

26:みちる:2014/12/15(月) 18:53 ID:utc

『....』

「ん?」

『..わ....のよ..』

「?な、なに?ふぃるちゃん」

『声を落として。』

声の主はアリスだった。

『どーしたのさ?』

『方向音痴にも程がありますわ。わからないんですの?』

アリスがふてぶてしく言った。

『わたしたち、さっきから同じところをぐるぐるまわってますのよ。』

すると女と話していたジュリが振り向かずに言った。

『今は何も言うな。』

それからしばらく歩いて行くと視界が開けて町が出てきた。

「こ、ここは!」

「ったく、しゃーねーな。ふぃるちゃんどーするこれ」

「なんのことだ?ここは一体. . .」

わけのわからないカヤが二人に聞く。

「ここは、アンゴレラの本気地がある場所。
わたし達の生まれ育った場所ですわ。」

アリスとレディルドの顔が一気に光を帯びた。

まるで世界中を敵に回したかのような。

いや、実際そうなのかもしれない。

アンゴレラのような暗殺団が生まれるような町なのだから

敵もそのぶん多いのだろう。

ジュリが呟いた。

「アリス...レディルド...わかっているな」

レディルドが答える。

「分かってますけど〜。約束できるかはわかんないっすよ〜」

「約束してくれ。団長命令だ」

「いくら団長命令でも無理かもしれませんわ」

アリスが殺気立った瞳で周囲を見渡す。

その瞳が一瞬カヤに向けられたときカヤは

味わったことのない恐怖を感じた。

レディルドはそれよりは穏やかだったが

やはり何かが許せない、とでもいいたそうな顔だった。

(こいつら...何があったんだ?)

さすが、アンゴレラの生まれた町だけあって

かなり治安は悪そうだった。

どこを見ても顔に傷のある男だらけ。

女もいたが"呪い殺すぞ”と言った感じで睨んでくる。

カヤは何も知らなかったが

『安全な所ではない』

ということだけはわかった。

続く


書き込む 最新10 サイトマップ