甘い誘惑は控えめに。

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1:千鶴 ◆:2014/05/17(土) 13:29 ID:R4A




「お兄ちゃん…、」




繋がれた手と手に温かい感情を覚える。



イケない≠ニ分かっているのに、体がどうしても動いてしまう。




これは、神様の悪戯――

2:千鶴 ◆:2014/05/17(土) 13:43 ID:hK2




▼first message


初めまして、お久し振りです、こんにちは。千鶴と申します。

多分初めましての方が多いですね…元は若宮鈴音という名前で活動していました。


さて、完結作「海恋/*」に引き続きまして幼馴染み系しか書かない私が今回は禁断系を書かせて頂きます。苦手な方はお引き取りくださいませ。「天帝の魔術師」と同時進行で書いていきます。



…それでは。

3:柚季なつ ◆:2014/05/17(土) 16:26 ID:dcU




茜色の夕陽が射し込むとある日。一人でにスケッチブックとにらめっこしながらスラスラとペンを紙面上で泳がせる。描いているのはもちろん彼の似顔絵。



『出来た!』



描き終われば颯爽と椅子から立ち上がり、迅速に彼の元へと駆けつける。行き先はお兄ちゃんの勉強部屋。高鳴る鼓動を胸の奥底に隠しつつ私はドアノブに触れ、ゆっくりと扉を開けていく。



『お兄ちゃんっ、』

『ん…?唯か』

『あのね、お兄ちゃん描いたんだよっ』



にこにこと満面の笑みでお兄ちゃんの目の前に似顔絵が描かれたスケッチブックを差し出す。机の上には複数の教科書が積み重なっているように置かれているのでどうやら勉強の途中だったのだろう。しかしそんなことも気がつかずに私は両腕をお兄ちゃんの机に伏せて心待ちに口から感想が零れることを期待した。



『…うん。なかなか上手く描けてるよ』

『ほんと!?』

『あぁ。ありがとう』

『うんっ!』



待ちに待った感想があまりにも嬉しくてついにやけてしまう顔を必死に抑えるも我慢ならず精一杯の笑顔を露にする。私の頭上で上下左右に動くお兄ちゃんの大きな手。撫でられる感覚が身に染みてくる頃、勉強していたことにやっと気付けばドキドキする心も限界ということで私は『じゃあ、お勉強頑張ってね!』と一言だけ告げ、勉強部屋を後にした。



毎日お兄ちゃんと触れ合える嬉しさと喜び…

だけど、

私の隣にあなたはもう存在すらしていなかった。



お兄ちゃん。

あなたは一体、どこにいるの――?
この許されない恋が叶うならば、もう一度あなたに会いたいよ。

4:柚季なつ ◆:2014/05/17(土) 17:38 ID:lSg




「永瀬ー、お兄さんは見つかったのか?」

「ううん…全然」



お兄ちゃんが姿を消してから早五年が経つ。現在高校一年生の私永瀬唯(ながせゆい)は幼馴染みの小野寺新(おのでらあらた)と一緒に協力してお兄ちゃんの行方を捜索している。お兄ちゃんが私の前から消えたのは私が小学五年生の頃。小さい頃に両親を交通事故で亡くした私たち兄妹はいつも仲良く二人で頑張って生きてきた。そんなお兄ちゃんが突然理由もなしに私の前から消える訳がない。何か理由ありだということを信じ、今に至る。



「お前も大変だな」

「仕方ないよ。これも神様に与えられた試練だから」

「神様、神様って…お前まだ神様信じてんのかよ」

「神様はいるんだもん。昔、お兄ちゃんが教えてくれた」



…そう。神様はいる。お兄ちゃんは昔こう言っていた。『運命はいつも神様の手によって支配されている。それを塗り替えることは決して出来ないんだ』と。だからお兄ちゃんが突然消えてしまったのも何かしらの運命。逆らうことは決して許されない……だけど、私は必ずお兄ちゃんを捜し出す。何があっても必ず。



「そんなにお兄さんのことが好きなのかよ」

「当たり前でしょ。小さい頃からいつも一緒に育ってきたんだから」

「てか今お兄さんいくつなんだ?」

「私より二個上だから高校三年生だよ」


記憶が曖昧だけど、確か現在は高校三年生のはず。朝日が二人の影を作る中、私たちはいつものペースで学校に向かっていた。

5:柚季なつ ◆:2014/05/24(土) 15:23 ID:hK2




大きな校門を潜り抜ければそこはもう学校。条誠高校(じょうせいこうこう)という全校生徒約五百人をも超えるマンモス校で私たち一年生は校門から一番遠い昇降口へと入っていく。広くも狭くもない昇降口の扉からは生温い風が新緑の葉と共に吸い込まれるようになっている。お互いの靴箱まで何歩か歩けばキィ、という音を発てながら靴箱の引戸を開け、上靴を取り出し、下靴を中に入れる。すると突然新が「あ、」と小さな声を漏らした。何だろう、と思いつつ新の方へ視線を変えてみる。ちらっと見てみると一瞬にして私の表情(かお)は訝しくなった。――そう。新が手に持っていたものに視線が自然といったのだ。



「またラブレター?」

「あぁ、」



別に新に対して恋心を抱いている訳でもないのに表情が歪んでしまうのはきっと心が不安定なままのせい。しかもこれで何回目のことやら。今までのことも合わせてこれが約十回目になるだろう。はっきり言って新はモテる。小さい頃からずっと想いを寄せていた女の子は何人もいた。しかし立て続けに何度もお付き合いを断っていたらしい。可愛い女の子は少なからずとも多かったはずなのにどうして断り続けていたのかは幼馴染みの私でさえ分からない。



「……ま、こんなの貰ってもお前が気付くまで断り続けるだけだけどな」

「へ?何か言った?」

「何でもねーよ。さっさと行くぞ、バカ瀬」

「誰がバカ瀬だ」



聞こえないフリをし、そっぽを向くのも至難の業。微かに聞こえた新の言葉に何故か頬が熱くなるのをほんの少しだけ感じた。


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