魔術の小指

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1:紅蓮:2014/06/17(火) 12:32 ID:OWk

・若干のホラー要素有り
・ファンタジー要素有り
・BLにするつもりはないのですが、私が腐のつく人間なので自然とそうなるかも。
腐系が苦手な方は閲覧非推奨でお願いします。

誤字・脱字発見したら報告して頂けると嬉しいです。
長くなりそうなのですがよければ感想とか貰えたらな…と←

更新速度は基本ゆったりです。
それでも良い方のみ読んで下さい。
読んで下さる方がいたら嬉しいです!!

2:紅蓮:2014/06/17(火) 12:33 ID:OWk

第1話 電池が切れそう

時刻は21時、高校の授業など当に終わっているであろう時間に佐島 希沙良(サジマ キサラ)は高校の校門の前で空を見上げていた、空には満月と少しの雲が見えて、星なども見える。
ぽりぽりと頬を掻きながらも希沙良は校門に掛けられている錠前に手を掛けた。
今時校門に錠前など古いとも言われそうだが、希沙良が通っている藜(アカザ)高校は創立100年前後と言う事もあり古い状態、錠前は買い換えたと言うらしいがそれも昔の事だろう、錆び切ったそれはもはや錠前の意味さえあまりもたずに、少し引っ張ればいとも簡単に取れてしまった。

「脆いなぁ…」

小さく呟くと何度か辺りを見渡した後に希沙良は門を開き、学校の中に入っていく。
この時間になれば教職員さえもいないのだろう、職員室の方を見ていれば電気は灯っておらず校舎は真っ暗、光があまり見えない事から警備員もいないことを確認すれば希沙良は昇降口の方へと歩いていく。


希沙良が夜中、高校に忍び込むには訳があった。
それは佐島家に届いた一通の手紙が理由となっていた―、朝、ポストの中身を確認するのは妹の彩葉(イロハ)の仕事ではあるが彩葉が週の頭から友人の家に泊まりに行き不在な為、兄である希沙良にその役目が回ってきたのだ。
希沙良はなにげなしにそのポストを開くと、そこには母宛に叔母から届いた絵手紙。
その絵手紙と同時にひらりと地面に落ちた封筒、封筒には差し出し人の名前が書いておらず不思議になりながらも宛先は書いてあるらしい、そこに書いてあるのは希沙良の名前だった、“佐島 希沙良様”まるでワープロで打ち込んだような機械の文字に薄気味悪さを覚えながらも、見た目がただの茶封筒であることもあってか対して気にしていないようにポケットに突っ込む。

「希沙良、早くしなさい!学校に遅れるわよ!」
「わかってるよ!」

家の中から母親の怒鳴るような声が聞こえて、ポストを閉めると希沙良は家の中に戻っていく、家の中に入ってすぐに朝食の匂いがしてきて、希沙良の腹の虫が小さくなった。
ここに彩葉がいれば笑われただろうが、彩葉不在の今は笑う者もいないので自分の腹の虫だと言うのに、希沙良は小さく舌打ちをしてからキッチンにある椅子に座ると、ポケットからさっきの茶封筒を取り出した。

「あら、ラブレター?」

クスクスと笑いながらも母親の彩里(イロリ)は目玉焼きとスクランブルエッグが盛られている皿をテーブルに並べていた。

「違うよ、あと母さん、いっつも俺はバランス悪いから卵ばっか出すなって言ってんだろ」
「そうね、女の子にしては色気のない封筒だもの」

バランスの悪さに関してはいつも言われているからだろうか、息子に文句を言われても彩里に気にした様子は見られずにただ笑って、ラブレター疑惑のその封筒に関して言うだけであった、仮にこれが本当にラブレターだっとしたら差し出し人に失礼な事を言っているのだが、それもいいだろう、実際にラブレターではないのだから。
中身に書いてあったのは「今宵、22時、藜高校、貴殿の、来訪、待つ」と言う句読点だらけで、やはり人が直筆で書いたとは思えない文章になんの悪戯なのかと思う。
今時貴殿なんて言う言い方はしないだろうに。
希沙良はそんなズレた事を思いながらも、どうせ放課後は遊ぶ相手などいないのだから暇潰しに行ってみるか、そんな気軽な気持ちで夜の学校に行く事を決意した。

3:紅蓮:2014/06/17(火) 12:34 ID:OWk

昇降口の近くに行くと携帯の時計を確認する、時間にはまだ余裕があるがそもそも肝心な場所などに関しては書いていなかった。
来たものの何処に行けばいいかわからずに希沙良は折りたたみ式の小型の非常用懐中電灯を出すとスイッチをいれた、規模は小さいが誰かに見つかるよりはこれが一番無難だろうとそのまま希沙良は、歩き出しながらも周囲に誰かいないか確認した。
教師や警備員に見つかればアウトかも知れないが、差し出し人ぐらいはいるだろう。
教師や警備員が差し出し人ではない限りなのだが…、しかし場所を書いていないこの手紙だけを頼りに一体学校の何処へ向かえばいいのだろうか。
当てもなくただ歩いているのは疲れるだろう、何処かで考えられる場所を見つけたほうがいい。
近くを見渡すが校舎内に入る以外に休憩場所は見つからないだろうと何処か空いている窓はないか、そう思った希沙良は近くの窓に手を掛けた、ガタガタと動かすが開く気配は見せない。
左右隣とも同じ事でやはり窓の戸締まりぐらいはしっかりするか、錠前とは違いまだか窓を壊す訳には行かずに仕方がなしに昇降口まで歩いていくと、なんと昇降口は開いていた。
他の窓が戸締りされているのに何故に昇降口だけ開かれているのか。
これは差し出し人が関係しているんだろうか。
色々思う節はあるのだがそれでも昇降口に入れるのはこれ幸いと中に入る。
自分の上履きを取り出し床に置く、トンッと小気味良い音が夜に響く。
そのまま目的地などは決めずに歩いていると、希沙良とは違いペタペタッとまるでスリッパで歩いているとも思えるようなそんな音が響く。
その足音はどんどん希沙良へと近づいてくる、近づいてくるその音に警戒しながらも希沙良は右手の拳をキツく握り締めながらも足音が止まった途端、希沙良は勢いよく振り返りながらも殴りかかろうとすると…。

「わぁ!?…っと、えっ!?希沙良!?」
「は…?鎧?」

希沙良は顔面スレスレでその殴りそうになった拳を止めた、そこにいたのは黒江 鎧(クロエ ガイ)。
希沙良の親友と言うか昔からの腐れ縁と言うべきか、小学校の高学年の時から一緒だった。
それも高校になった今でも一度とてクラスが離れた事はなく、部活も一緒だ。
部活が一緒なのは鎧の方が意図的に希沙良と同じ部活を選んだから。
その部活は希沙良も鎧も男子バレー部、二人とも平均以上の身長の為にバスケかバレーの二択で選んだと言うわけではなく、ただ単に希沙良の方が勧誘の粘り強さに負けただけ。
そこに便乗するような形で鎧が同じ部活をやると言ったのがキッカケだ。

4:どんぐり◆cU:2014/06/17(火) 16:59 ID:5zU

とても読みにくいので改行をした方が良いですよ
お話はとても面白いですね

頑張って下さい
応援していますb

5:紅蓮:2014/06/18(水) 12:47 ID:OWk

>>4
応援と感想の書き込みありがとうございます!
ただアドバイスに関してなのですが、これが私の書き方なので書き方を変えるつもりは申し訳ありませんが、こちらとしてはまったくないです。

6:紅蓮◆as:2014/06/18(水) 13:31 ID:OWk

鎧が意図的に自分と同じ部活にしたとは言えど、希沙良が部活動に出る時間は極僅か。
入ったものの、やる気などがないのである。
顔面スレレスレで殴りかかりそうになった自分の拳を希沙良は引っ込めると、懐中電灯で鎧の足元を照らす、学校の名前が入っているオレンジ色のスリッパ、職員玄関の近くに置いてある来客用のスリッパである、さっきの足音の原因は鎧の履いているスリッパによるものだろう。

「希沙良、なんでここにいるの?」
「お前こそなんでここに?」

二人の疑問は一致している。
なんでお互いが深夜の校舎に、特にどちかが連絡して待ち合わせをしていたわけでもないのに、何故落ち合ってしまったのか二人の疑問である。

「俺はこれだよ」

そう言って鎧が取り出したのは希沙良が受け取ったものと同じ茶封筒。
彩里曰く色気が皆無のラブレター、である。

「俺もそうだよ、俺は家に置いてきたけど…中、見てもいいか?」
「別にいいよ」
「悪いけど、これで照らしてて」

鎧から茶封筒を受け取ると希沙良は懐中電灯を鎧に渡す、それから茶封筒開いた、ワープロで打ち込んだと思われる文字の羅列、ただ内容だけは希沙良が受け取ったものと違うものがあった、それは文章の最後である、希沙良が受け取った茶封筒の最後には「待つ」で終わっていたそれが、鎧のにはそれ以降にも続きがあった。
「真の光に導かれ」とまるで付け加えられたようなその文字を希沙良は何とも言えない表情になる。

「どうしたの?そんな険しい顔して」
「なんだ、この真の光って」
「あー、それ?俺も気になってたんだけど、あ、今何時?」

時間を聞かれて希沙良は携帯を取り出す、時間を確認すればあと数分で22時。
待ち合わせの時間になるのだが、鎧の方が長い文章だとすれば鎧の方に書いてある、この真の光と言うのが何か待ち合わせに関係しているのだろうか。
そんな事を思いながらも携帯の画面を見ていると、その画面を覗き込んだ鎧が一言。

「あ、電池切れそう」

希沙良は考えるのをやめて黙った。
黙った後に無言で鎧の頭をひっぱたく、緊迫感がない、なくて当然かも知れないのだがここは一応深夜の校舎、不法侵入だと思われても仕方がない事をやってのけている希沙良達だ、もう少しぐらい緊迫感を持てと言いたくなりながらも、頭を抱える。
と、そこである一つの事実に気づいた、入ったのは昇降口からだとしてどうやって鎧は学校の敷地内に入る事が出来たんだろうか、脆いと言えども希沙良が入ってきた時には校門にはきちんと錠前がしてあった。

7:紅蓮◆as:2014/06/18(水) 13:32 ID:OWk

それを考えるとまさか鎧が錠前を破壊して敷地内に入ったと言う事はまったくもって考えられない、では何処から入ったと言うんだろうか。

「何処からって顔してるね」
「え?」

何故考えていることがバレた。
そう思って顔をあげると鎧は憎たらしいほどにニコニコと言うよりはニヤニヤと言った方がこの場合の表現としては近いかも知れないが、そんな表情で笑っていたので希沙良は少し苛立ちのようなものを感じたのだが、聞きたい事なのは間違いないので頷く。

「腐れ縁を舐めないで欲しいね!」

胸を貼りながらもそんな事を言う。

「で、何処からだよ?」
「それはもちろん!壁の穴さ!」
「壁の穴…?」
「あれ?知らないの?この前、ラグビー部の先輩がぶつかった拍子に壊れた壁」

知らない、と言うかそんなに脆い壁だったのか。
希沙良は自分の通っている高校がどれだけ脆いものか改めて思い知った、錠前は明らかに年数の入ったものだからわかるとするが何故、壁がぶつかったぐらいの衝撃で壊れてしまうのだろうか。
ぶつかった人物がラグビー部の人だったと言うのが原因なのだろうか、いや、おそらくは高校の壁が脆いと言うのが根本的な問題で別にラグビー部の人がぶつかった衝撃で壊れたと言うのはただの偶然にしか過ぎないだろう。
しかしまるで知ってて当然とでも言うような鎧の態度である。

「そんなに学校の中で出回ってる話なのか?」
「この前、新聞部の人から聞いたんだけど、今度号外も出すらしいからまだ知らない人の方多いんじゃないかな?ま、校舎の裏になってるらしいから普段は人通りも少ないし教師だって、そうそうそんな場所を歩いたりするわけじゃないしね」

そうなればこれは出回る話か否かで言えば、出回っていない話。
しかしそんな何故教職員も通らないような道をラグビー部の部員は通りかかったのか、希沙良が謎を掘り起こそうとすれば更に謎が出てくるので、考えるのをやめて手をあげた、その瞬間、鎧宛の茶封筒が希沙良の手から抜け落ちた。

「落とさないでよー」
「おお、悪い」

落としたそれを拾おうと鎧が灯りで照らした時だった。
その茶封筒は突然輝きだした、突然というのではあまりにも可笑しいかも知れないが懐中電灯の灯りで確かにその茶封筒は輝きだしたのだ。
その刹那、茶封筒の周りに大きな穴が開いた、一度は図鑑などで見た事があるだろうか、ブラックホールと一般的には呼ばれるものがあり希沙良と鎧はそのブラックホールのような黒い塊に吸い込まれた。

第1話fin

次回から2話書きます。
また、今回よりトリップもわかりやすくつけさせてもらいました。

8:ミケ:2014/06/18(水) 18:39 ID:nL2

初めまして!読ませてもらいました!

自分も腐のつく人間なので問題ないですw
とゆうよりも、ここで書いてある自分の小説の方が腐ついますw
男ばっかなのでwあ、別にBLじゃありません
面白いですね。次も読ませてもらいます。頑張って下さい!

9:猫又◆Pw:2014/06/18(水) 23:01 ID:KCM


こんにちは。この頃手当たり次第にコメントして回っている迷惑な人。――猫又と申します。

というわけで、『魔術の小指』読ませていただきましたが……。
 現在、小説版に投稿されている作品の中で、個人的に一番文才のある作品だと思います。
情景描写、心理描写、状況説明。どれをとっても不自然な点はありませんし、
ストーリーも先が楽しみです!!(吸い込まれた先は一体どこなのかとか、二人の掛け合いとか……)

 ただ……。その、ちょっといくつか気になる点があったので、アドバイスをあくまで『提案』として、
(このレベルになると、書き方は人それぞれになってきますので……)
 書かせていただいてよろしいでしょうか? (アドバイスOKとは書かれていませんでしたので今は書きません……)

 よかったら、切りのいいところでお返事くれるとうれしいです。……では。

10:紅蓮◆as:2014/06/19(木) 15:10 ID:OWk

ミケさん、猫又さん感想ありがとうございます!

>>8
はじめまして、感想ありがとうございます!
ミケさんも腐がつく側の方でいらっしゃいますか…!
いいですよね!BLって素敵だと思います、男の子同士の絡み素敵です!

私もミケさんの作品を読ませて頂こうと思うので、よろしければ
タイトルを教えてください←

>>9
猫又さんこんにちは!

一番文才があるなんてとんでもないです><
きっと、私よりも文才がある方はたくさんいらっしゃるのではないかなと思っています。
小説板では初投稿の超ド素人なものですから。

アドバイスは大丈夫ですよ!
文章の書き方は中学の頃から文系部で書いていたやり方なので、書き方はこれで安定していますので
書き方だけは改善出来ないとは思いますが;

11:ミケ:2014/06/19(木) 15:30 ID:A4Y

「妖日和」です。
文章は、下手くそです。文章を上手く出来るように勉強してますが、まだまだです
一話が結構駄作になってますが、二話から最初に読んで下さった方に指導をしてもらえて
マシになった程度です。それでもよければ、どうぞ

12:猫又◆Pw:2014/06/19(木) 20:44 ID:KCM


 早めの返答ありがとうございます。
ちょうど一話と2話の間みたいなので、気になるところをあくまで提案としてアドバイスしたいと思います。

 1つは冒頭。
 希沙良は昇降口の方へと歩いていく。
と、学校の校門を抜けた主人公が、昇降口へと歩いて行くシーンのはずなのに。
 希沙良が夜中、高校に忍び込むには訳があった。と、いきなりシーンが切り替わり、
その先に、家族との会話や朝の主人公の言動が入るなど、回想というよりはまるで時間がまき戻ったかのような展開になっている所でしょうか……。

 回想は『そういえば朝……なこと言って(やって)たっけ……」ぐらいに留めておかないと、前後のつり合いが取れなくなる可能性があります。
 どうしても書いておきたいときは、話と話の間(つまりココ)等々で『主人公が気絶中にみてた夢』として書いてしまうと、
本編とは切り離されますので、問題なく書けると思います。

 そしてもう一つ、『行頭一字空け』です。
書き方は変えないと仰っていたので、これも提案ということになりますが、
 日本語の基本事項として、段落の始めを1字分下げなければならないというルールがあります。

 とくに小説は少ないもので10行ごと、最近の小説ではおおよそ4行ごとに『行頭一字空け』があり、
主に読みやすさへの工夫として用いられています。

 ですがこの小説には今のところ『行頭一字空け』が見られません。
もちろんネット小説ですので、ワードなんかに書いたものをそのまま貼り付けると、行頭が空かないのは分かります。
 が、このままだとせっかく良い描写があっても読みにくかったり、威圧感があったり、どこから始まっているのか分からなくなるような気がします……。
 一切、強制するつもりはありませんが、ある程度文に区切りを付けないと単調なイメージを持たれかねないと私は個人的に思いました。

 ……余計なこと言ってすいません。
でも、本当にいい作品だと思うので、もっと読みやすくなったらいいな……と勝手に思って提案させていただきました。

 気をわるくされたらごめんなさい。では、

13:紅蓮◆as:2014/06/20(金) 14:56 ID:OWk

>>11
読んできました〜。
素敵な文章だと思います!
登場人物である妖怪達が非常にユニークで楽しいですっ。
特に個人的には「ぬらりひょん」が好きです。

>>12
一応、朝の事と次の「昇降口の近くに〜」の間には改行を入れましたが
分割して投稿しましたので反映されていなかったようです。
改行をして時間軸が戻ると言うのは私が好きで読んでいる作家さんも
似たような表現をされますので、それを参考に書いたものです。
私としては回想を交えてその内容だと思うので、そこを曖昧にしては
逆に読み手にはわからなくなってしまうのかと考えた上での投稿でした。

行頭一文字開けに関しても同じ事なのですが…
あとはそれで納得が行かないようでしたら
私の書いている作品と相性が合わないと言うような事だと思います。
単調に感じるのも文章の書き方ではなくそれは
私に文才がない為そう感じさせてしまうのが原因かと。

14:猫又◆Pw:2014/06/20(金) 19:30 ID:KCM

そうですか……長々と邪魔してすいません……。

15:紅蓮◆as:2014/06/24(火) 07:22 ID:OWk

>>14
こちらこそ何だか喧嘩を売っているような言葉の返し方でお気を悪くさせてしまったら申し訳ないです(;_;)

16:紅蓮◆as:2014/06/24(火) 11:55 ID:OWk

第2話 小人の住む島

ブラックホールのような何かに吸い込まれて、着地した先の足元の感触はぐにゃり。
足をあげて下を見る、人の腕のようなものが見えて思わず口元を引き攣らせる希沙良。
でもまさかこんなところに腕が落ちているわけはない、そう思って希沙良はふとある事に気づいた。
何故この辺りはこんなにも明るいんだろうか、見上げるとそこは学校の天井ではなく太陽が見えた、青空が見えた、白い雲が見えた。
つまりはここは屋外と言う事になるが、次に目の前を見ると明らかに校舎と思しき欠片も見当たらない。
むしろそれどころか地面に何かきらりと輝いているのものが見える。
何だろうか、希沙良は気になりその地面に輝くそれに近づくとそれを拾い上げた、刑事ドラマとかでよく見かける金色に近いソレは恐らく銃弾、それを鼻に近づけると僅かに火薬の匂い、まだ撃たれてそれほどの時間は経過していない、希沙良は瞬時にそう判断すると自分がここにいるのも危ういのではないかと考える、それと同時に一緒にいたはずの鎧の姿が見えない、ぐるりと辺りを見渡す。

「鎧!」

大きな声で呼んでは見るが返答はない、風により草木が揺れる音と自分の声が反響するだけ。
山びこのような事をやっていても仕方がない、返事がいないし何よりもここまで消音なのだから鎧がいる様子はまったくない、では落ちた場所が違うんだろうか、そう思いながらも自分が着地の際に踏んづけた恐らく腕に視線を落としてから、手の中にある銃弾を見て希沙良は走り出した。


走り出したとして行く宛などあるはずがない。
ある程度走って小川が見えたきたところで走るのをやめた、今までいた場所では有り得ない程大自然。
空気も澄んでいる、景色も綺麗だ、だけど何処か危ない感じがするのはこの未だに手の中にある銃弾のせいだろうか。

「お前は誰」

ふと聞こえた声に希沙良はバッと勢いよく振り返ると、そこには誰もいなかった。

「こっち」

もう一度声が聞こえて希沙良は視線を足元に落とすと、そこにはちょうど銃弾と同じかそれとも僅かにそれよりも大きいかと言うような微妙な大きさの、小人がいてただ二つの目でこっちをじっと見ていた。

17:紅蓮◆as:2014/06/24(火) 11:55 ID:OWk

その小さな手には爪楊枝程の長さの短剣か長剣かは希沙良からは判断できないほどの剣とようやく肉眼で判断できるそれを持っている小人を見つけ、希沙良はしゃがみこむ。
しゃがむとは思わなかったのだろうか、小人は驚いた様子で一度小さく飛び上がる。

「お、おおお、お前誰」

しゃがみこんだ事で余計に距離感が近くなったせいもあるのか小人は急に吃りだした。
そんな小人の様子に通常サイズの人間には慣れていないんだろうか。
予測を立てながらも希沙良は小人に話しかけた。

「俺の名前は佐島 希沙良、お前は?」
「…ヤッテ」
「そうか、ヤッテか。ここは何処?」
「お前!知らない?ここ、小人族、住む、スモールアイランドだ」

安易な名前。
小人族が住むからスモール、その言葉に希沙良は思わず笑ってしまいそうになるがそれは相手がいくら小人と言えども失礼になるだろうとその言葉は飲み込む。
何処か片言のような言葉はヤッテ特有のものか、小人族特有のものか今の希沙良にはわからない。

「へぇ…」
「お前、奇妙、普通族の人間?」
「…普通族」

やはり安易な名前のそれに希沙良は今度こそ笑いだした。
笑いだした希沙良に驚いたようにヤッテはしながらも、次に何か不思議なものでも見るかのような眼差しで希沙良をじっと見つめた。

「どうした?」
「…お前、普通族、違う?この世界、違う?」

少なくとも希沙良がいた世界にはスモールランドと言う名前の場所、恐らくはアイランドと言うだけあり島なのだろうが、そんな島もなければ、そもそも小人さえいない。
そうなれば世界が違うと言うしかないだろう、希沙良は無言で頷いた。

「お前、長老様、会わせる」

ヤッテはそう言うと希沙良に手招きして歩き出したが、希沙良とは思い切り歩幅が違う為に希沙良が実際歩きだしたのはヤッテが小人にしては結構な距離を歩いてからだった。


暫く歩いて到着したのは小さな集落、まるで何かの模型のような小さなその家を見ながらもその中でも目立つのは一際大きな塔のような建物、その建物でさえ希沙良の腰まであるかないかぐらいの高さである。
しかし他の建物よりも幾分大きい事から重要な建物なんだろう。
そう希沙良が考えているとヤッテはその建物の中に入っていく、さすがにそれを追いかけるような形で希沙良がそれに入るのは困難なので、ヤッテが入っていったその建物を希沙良はただじっと無言で見続けていた。
ふと視線を周りに移せば希沙良と目があったと言うか希沙良に見られた小人は勢いよく家の中に入り、扉を閉める、あちらこちらでバタンと言う音が聞こえる。
その気になれば踏みつぶせそうな家。
あまり意味はないだろうとは思うが希沙良は意図的にその家や小人に危害を加えるつもりはまったくない為にヤッテが出てくるのをおとなしく待つことにして、ヤッテが入っていった入口をただ見つめ続けていた。
何分経過したかはわからないが塔の中から長い真っ白い髭を生やした小人がその塔の中から出てきた、ヤッテの持っている剣よりも幾らか短いそれは杖か何かだろう。

「ヤッテ」
「はい、長老」
「この者?」
「はい、普通族、違う者、です」
「そうか、…我が名、ガイタ、ここの、長老」

どうやら片言のような言葉は小人族特有のものらしい。
普通の人間がずっと聞いているのはイライラしそうなその会話を聞きながらも、ガイタと名乗った小人族の長老に小さく頭を下げた。

「佐島 希沙良です」

幾ら相手は自分よりも小さいとは言えど、明らかに年上だと思う長老に敬語で言葉を返す。

18:ミケ:2014/06/26(木) 00:36 ID:yKs

どうも!

二話からファンタジーな感じになりましたね。

にしても、小人と聞くとどうしても昔聞いた怖い話を思い出すw

どんな話か忘れたけど、とにかくむっちゃ怖い話だというのは覚えてるし、トラウマレベルの話だったんですw


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