幻覚演戯

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:ジャーデ:2014/07/13(日) 05:44 ID:9nQ

【登場人物紹介】

・風島実咲 (かぜしま みさき)

この小説における主人公の一人、14歳の少女

・アリス・ルーシア

もう一人の主人公、金髪碧眼

2:ジャーデ:2014/07/13(日) 06:13 ID:9nQ

気がつけば、私は日常という現実の輪から離脱した別の世界の入り口を開けてしまった‥‥
この先に、あんなことが待っているとは知らずに‥‥

「‥‥んっ‥うぅ‥」

「あ、起きた」

「‥‥貴女、誰‥‥? ここは、どこなの‥‥?」

「私はアリス・ルーシア、ここは私も知らない場所」

「アリスか、よろしくね、私は風島実咲」

「実咲‥‥?」

少女は首を傾げて名前を聞き返す

「そう、木の実の実に花が咲くの咲くって書いて実咲、難しかったかな?」

「綺麗な名前‥‥」

「そう? ありがと」

にしてもこんな幼い子が何でこんな所に一人でいるんだろう‥‥?
もしかして‥‥誘拐‥‥?

「ねぇ、アリスは何でこんな所に一人でいるの? お父さんとお母さんは?」

「わからない、気づいたらここにいた‥‥パパとママはお外にいると思う」

「お外? アリスを一人ここに残して?」

「うん」

こんな幼い少女なら、両親にこんな場所に一人にされたら泣きじゃくるのが当たり前だと
思っていた分、実咲は少し驚いていた

「とにかくここから出よう? そうすればアリスのお父さんとお母さんに会えるかもしれないし、
こんな所にずっといるわけにはいかないしね」

「何で?」

「え?」

「私もっとこの場所の事知りたい、実咲もいてくれるでしょ? 行っちゃやだよ‥‥」

3:ジャーデ:2014/07/17(木) 19:15 ID:UoM

少女の言葉に驚く他無かった、両親に会えるか会えないかよりも、
今この少女に必要なのはこの空間がいかなる場所で、いかなる存在かということを
知ることだったからだ‥‥

「わかった‥‥行かないよ、でもその代わり私から離れちゃ駄目だよ?」

「うん、約束」

「そう、約束」

「さて、まずどこからまわる?」

案外、私の方がノリノリなのかもしれない

「えっとね‥‥あそこ」

少女の指差す方向は‥‥刑務所

「アリス、あそこが何だか知ってるの?」

「ううん、知らない、ただ面白そうだから」

4:ジャーデ:2014/07/18(金) 18:48 ID:lpA

「へ、へぇ‥‥そうなんだ‥‥」

「行こう?」

「う、うん‥‥」

あまりノリ気にはなれなかった、というのもそもそも刑務所なんてこんな幼い子が
興味を持っていくような場所ではもってのほかないからだ
目の前の少女は、私の服の袖を掴みながら一歩、また一歩と刑務所に近づいていく

「ね、ねぇアリス」

「何?」

「やっぱりここ、やめない?」

「何で?」

「だって、ここは‥‥」

刑務所、と言おうとしたがやめた‥‥もし刑務所と言ってもまずこんなに幼い子には
到底わかるわけがないと思ったからだ

「ここは‥‥何?」

「わ、悪い人が沢山いる場所だから‥‥」

「沢山の悪い人?」

「そ、そう! 危険だからやめよう? ね?」

5:ジャーデ:2014/07/18(金) 20:10 ID:lpA

「そうそう、特にお嬢ちゃんのような小さい子は変体馬鹿野郎達が連れさらって
いっちゃうかもしれねぇな?」

「え‥‥?」

刑務所と隣の建物の間の薄暗い道に座る金髪碧眼の少年
服装は手編みのグレーの帽子にグレーと茶色が混ざり合ったような色のパーカー
といったところだろうか

「ここの刑務所は悪さばかりして捕まって、悪事に植えている怪物が山のように
いるからなぁ‥‥ま、俺もその一部なわけだが」

「! じゃああなたはここの囚人‥‥」

「しっ! 静かにしろ! 見つかるだろうが!」

見た目は私よりも幼い少年は、私の口を押さえ小声で言った

「見つかったか?」

「いや、こっちにはいない、もう遠くへ逃げたのかもしれん」

少年の言っていることは本当のようだ、刑務所関係者と思われる二人組みが
誰かを必死に探している光景が目の前にはあった

6:ジャーデ:2014/07/19(土) 07:26 ID:lpA

「すみません、この近くで怪しい人物を目撃しませんでしたか?」

「あ、えーっと‥‥いえ、知りません」

「そうですか、実はこの刑務所から凶悪犯が脱獄したんですよ、まだ近くにいるかも
しれませんので気をつけてください、凶器を隠し持っている可能性もあるので」

「は、はぁ‥‥」

私は犯人を、しかも凶悪犯を庇っていることになるのだろうか
そんな凶悪な犯人にはとても見えないのに

「今度はあっちを探すぞ」

「わかった」

刑務所官営者と思われる二人はその場から去っていく

「‥‥もう隠れなくても平気だよ」

「行ったか、危なかったぜ」

「あの人達は凶悪犯ってあなたのことを言ってたけど、何をしたの?」

「殺人‥‥だな」

「さ、殺人!?」

突然の言葉に思わず驚く、いや、まず驚かない人はいないだろう

「ハハハ、驚いたか? そりゃそうだよな、目の前に殺人犯がいるんだから‥‥
心配すんなって、殺したりしねぇからさ」

「‥‥何で殺人なんて犯したの?」

「‥‥別に、いいだろうが」

この子には心が無いのだろうか、こんなに冷たく言葉を放たれるとどうもそうとしか
思えなくなってしまう‥‥
私の悪いくせだ

7:ジャーデ:2014/07/19(土) 12:20 ID:lpA

「ご、ごめんね? なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃったみたいで‥‥
あ、そうだ! 君、名前は? 私は風島実咲、よろしくね」

「‥‥‥13番」

「え?」

「死刑囚番号13番、本当の名前は知らない‥‥」

「えーっと‥‥13番君でいい‥のかな?」

「13番でいいよ」

相手は呆れたような顔で呟く、怒らせてしまったのだろうか?
それともこの子は普段からこんな感じなのだろうか?

「そういえば、年はいくつ? 私は14歳」

「俺と同い年か」

自分の耳がおかしいのだろうか、こんなに幼い顔つきで14歳という事実に
理解が追いつかない
そして、私はあることに気づいた

8:ジャーデ:2014/07/20(日) 06:57 ID:yMQ

「ちょっとまってよ、おかしくない?」

「ん? 何がだ?」

「だって13番は未成年じゃん? 日本じゃ死刑は未成年無かったような気が‥‥」

「日本? 何だそれは」

またしてもこの少年の発言が、私の頭を混乱させる

「日本って、この国のことだよ?」

「この国は日本なんて名前じゃない、名前なんて無いからな」

この少年は私を混乱させるのが好きなようだ、と言っても確かに日本の風景とは
明らかに何かが違う‥‥
説明しづらいが、どうもこうしっくりこない感じだ、まるでロンドンやフランスなどといった
西洋風の町並み、レンガ造りの建物が並ぶ、文字も日本語の場所は無かった

「じゃ、じゃあこの国は一体何なの‥‥?」

「さあな、この国はこの国だ、名前の無いな」

「‥‥‥」

言葉が出ない、というよりは言葉が出せない

「なんか、絵本に出てきそうな国だね、西洋風で」

「西洋風? お前の言ってることはさっきからわけがわからねえぞ」

9:ジャーデ:2014/07/20(日) 07:20 ID:yMQ

それはこっちの台詞だ、君が発する言葉のすべてが私の頭を混乱させて
いるのだから、わけがわからないのは私のほうだ

「とにかく、13番だってずっとここにいるわけにはいかないでしょ?
私達と一緒にどこか行かない?」

「まあいいけど‥‥」

「でも13番は何で刑務所と隣の建物の間の道になんて隠れているの?
逃亡するんだったら普通もっと遠くに行かない?」

「お前馬鹿だな、刑務所の隣の建物との間にまさか犯人が隠れているとは
思わないだろ? だからあえてここを選んだんだよ」

「なるほど‥‥」

「‥‥ねぇ、実咲」

「なぁに? アリス」

「あれ、何だろう」

アリスの指差す方向、刑務所ではないがそれなりに不気味さを放つ何か‥‥
シルクハットに、全身黒い紳士服を着た長い白髭の老人がこちらへゆっくりと
歩きながら来るのが見えた

「これこれ、お三方、ここで何をしておる? ここがどういう場所だか知っておるのかね?」

「刑務所‥‥ですよね?」

「そう、罪深き悪しき罪人どもが行き着く場所じゃ、何故こんなところにおるのじゃ?」

10:ジャーデ:2014/08/04(月) 07:43 ID:G12

「い、いえ‥‥ちょっとお散歩中、前を通りかかっただけで‥‥」

「‥‥そうか、まぁいい、気をつけるんじゃぞ? どうやらここら辺に凶悪犯が
紛れ込んでいるみたいじゃからのぉ‥‥」

「は、はぁ‥‥」

「しかも、どうやら二人脱獄したようじゃ、悪しき罪人供め」

「え? 二人‥‥?」

二人という言葉に思わず声が出てしまう、確かに脱獄したというのは事実以外の何物でも
ないのだが、今ここにいる脱獄犯は一名‥‥つまり、もう一人いるということになる

「そう、だから気をつけるんじゃよ」

老人はそう言うと、その場からゆっくり歩きながら立ち去っていった

「何だったんだ? あのジジイ」

「ねぇ、13番‥‥」

「何だ?」

「二人いるって、あのお爺さん言ってたよね‥‥」

11:ジャーデ:2014/08/04(月) 07:50 ID:G12

「言ってたな‥‥」

「二人一緒に脱獄したの?」

「いや、脱獄の時は俺一人だったぜ、まさかもう一人いたなんてな」

13番ですら知らなかったらしい、実際に本人の口から聞いて私は確信した

「でもよぉ、そろそろここから別の場所へ移動しねぇとまた捕まるかもしれねぇから
早くどこかいこうぜ、お二人さん」

「う、うん」

脱獄犯が二人いる、何故かそれが気になった、一人はここにいる13番で間違いは無い
と思う、でももう一人は一体誰なんだろう‥‥?

「さてと、どこへ向かう? とりあえずなるべく遠くが俺はいいんだが‥‥」

12:ジャーデ:2014/08/08(金) 05:18 ID:4Rw

「私、いい場所知ってる‥‥」

アリスがいきなり口を開いた

「本当か?」

「うん」

「じゃあ案内してくれ、お嬢ちゃん」

「わかった」

「ねぇ、アリス‥‥」

「何? 実咲」

「アリスは‥‥」

両親に会いたくないのかどうかを聞こうとしたが、やはり私は口を閉じた
そもそもまず、この子はさっきから両親については何も話さない、会いたそうな
素振りすら全く見せないからだ

「ううん、なんでもない」

「‥‥‥?」

私はアリスの頭を優しく二、三回撫でた、アリスは首を傾げた

「早く行こうぜ」

「そ、そうだね‥‥」

「それじゃあよろしく頼むぜ? お嬢ちゃん」

「うん」

アリスが歩き始め、私がアリスの手をつなぎ、13番が後からついてくる
どれくらい歩いただろうか‥‥辺りはすっかり暗くなり、月が顔を出し始めていた

13:ジャーデ:2014/08/08(金) 05:42 ID:4Rw

「着いた、ここ」

「ここって‥‥」

アリスの案内で行き着いた場所は、見た目はホテルのような寂れた建物だった
レンガ造りで、所々にヒビがはいってはいるが、損壊しそうな感じではなかった

「ここ、知ってるぞ」

「本当? 13番」

「ああ、たしかこの建物は以前は研究者達が研究施設の代わりに使っていた建物だって
聞いたことがある‥‥本当かどうかはわからねぇがな」

「研究?」

「ああ、どうも人間の意識を操る薬の開発をしていたらしいが、何の目的でそんな
研究をしていたかは全くの不明らしい」

「早く、入ろう?」

アリスが私の手を引っ張り私と13番を見て言う

「そうだな、入ろうぜ」

「う、うん」

中に入ると、研究の時に使っていたと思われる道具があちこちに散乱していた
どうやら、研究施設の代わりに使われていた建物というのは本当らしい

「ったく、馬鹿な研究野郎供の実験の爪あとが残ってやがる」

「馬鹿な研究野郎供‥‥?」

何か知っているような口ぶりで13番が言った言葉に私は耳を傾けた

「聞いた話だと、研究者達は実験はうまくいっていたらしいが、国の法に触れていた
らしい、全員死刑になったんだと」

「違法実験だったってこと?」

14:ジャーデ:2014/08/09(土) 22:46 ID:NdU

「らしいな‥‥ま、昔の話だ」

そう言うと、13番はボロボロのベッドの上に寝転んだ

「‥‥‥」

「どうしたの? 実咲」

「あ、いや、なんでもない‥‥」

「そう?」

「うん、もう寝よう? 明日はどこか楽しい場所に3人で出かけようね」

「うん」

「俺は行かねぇぞ」

13番は二人の会話に一旦、終止符を打った

「何で?」

実咲が納得のいかない表情で聞き返した

「もし俺のことがこの町まで知られていたらどうする? それにお前達だって脱獄犯の
手助けをしたってことで拘束されるかもしれねぇぞ?」

「そ、それは‥‥」

「ま、別にいいんだったら俺はいいが」


書き込む 最新10 サイトマップ