新嶋探偵事務所

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:夜久◆Is:2014/07/27(日) 08:36 ID:SAI

はじめまして!
「葉っぱ天国」でははじめての小説投稿になります。
拙い文章で見苦しい箇所があるかとは思いますが
皆様に楽しんで頂ける内容を書けるように頑張りたいと思いますので
これからよろしくお願いします。

一応推理を目指していますが、私がファンタジー系もわりと好みますが
一部ファンタジー要素も出てくるかと思いますがご了承願います。

また、
・アドバイス
・感想
も、お待ちしております!
誹謗中傷などの悪コメには反応しませんのであしからず。

では素人の執筆する作品ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

2:夜久◆Is:2014/07/27(日) 08:37 ID:SAI

     第一話[母親探しの依頼]

  俺の名前は新嶋明人、この新嶋探偵事務所で探偵をしている。
 探偵と聞けば何が思いつくだろうか、かの有名な探偵金田一耕助だろうか。
 彼の様な大御所を目指している訳では、決してはない、元々探偵事務所を運営していたのは母親の由香里だった、母さんは二年前の交通事故で他界、父親の謹介もそれと時を同じくして失踪している。
 失踪とした父さんを探すついでとでも言おうか、仮の職業である、実は俺はあまり探偵と言う職業に強い想いがあるわけでもない、ただ母さんが探偵と言う職業でこの仕事をやっていたから、ただそんな単純な理由でそこに俺の意思があるのかと聞かれると、一応は“ある”と思う。
 最初こそ乗り気ではなかったが、ある日、スズと名乗る情報屋の少女に促されるままになったが、そのスズと言う少女と出会った経緯はまた日を改めて説明する事にしよう。
 この事務所は俺と雛瀬の二人が働いている事務所になる。
 これがもっと大きな仕事でも任せられると職員を増やそうと思えるのだろうか、残念な事に毎度の依頼は迷子になった犬や猫の行方探し、果てはボケた婆さんの捜索までした事もある。
 
 「新嶋先輩」

 そんな事を考えながらも、目の前にある書類に視線を落としていると雛瀬に声を掛けられて、顔をあげる。

 「お客様ですよ」
 「客…?通せ」
 「わかりました、…どうぞ」

 雛瀬が入口のドアを開けて中に通したのは、長い黒髪を腰まで伸ばし前髪も長く表情まではどんな顔をしているのか、まったく伺えない。
 それよりも人と言うよりは、どちからと言えば貞子。
 そう、井戸から這い出てくるあの王道と言える王道の幽霊と扱うべきだろうソレに似ている外見に俺は少し不気味な感じさえ覚えてしまう。

 「先輩、お客様に対して失礼な事を考えてるでしょう」
 「え?…ああ、いや、なんでもない。…それで、お名前をお伺いしても?」

 否定は出来なかった。
 そもそも、内心貞子だと考えている事が何故にバレてしまったのだろうか。
 高校時代からの付き合いだからなんだろうか、なんてことを考えながらも依頼者に名前を問う。

 「山爪、山爪黒理です」
 「山爪さんですね、今回の依頼内容はどのようなものでしょうか?」
 「あの、人探しは可能ですか?」
 「ええ、可能ですよ」

 人探しか…ボケた婆さん以来の仕事だな。
 まさか今回もボケた人を探す内容だろうか、近年は認知症になった老人が家に帰れずいなくなると言う話をよくニュースで耳にするから、否定は出来ないだろう。

 「あの…」
 「はい」
 「探して欲しいのは母親なんです」
 「お母様ですか?」
 「ええ、二年前から行方がわからなくて…」

 二年前。
 その年に思わず父さんの事を考えてしまうが、多分、関係ないだろう。
 警察の見解だと母さんが死んだショックで失踪したと言うし、恐らくは俺もそうだと思う。

 「お母様の名前、特徴などを教えて頂いても…」
 「母の名前は山爪理々亜、母の特徴と言うか…容姿は…」

 そう言って山爪さんは鞄の中から一枚の写真を取り出した。
 そこには山爪さんと失踪した母親と思える人、それと髭の濃い目の男の人、これが山爪さんの父親なんだろう。

 「母と父です」
 「…そうですか」

 写真に写る三人は本当に幸せそうだった、山爪さんは今と同じく前髪で顔が覆われており表情まではわからないが、口元が緩まっているのを見ると微笑んでいるんだろう。
 何処にでもあるような家族の写真だ、微笑ましい。

 「いなくなった主な理由などはご存知ですか?借金があったとか実は…失礼ですが、不倫をしていたとか」
 「まさか母がそんな事…、借金もありませんし、そのどちらかと言えば裕福な家ですし」
 「そうですか、すみません」

 何か視線を感じる。

3:夜久◆Is:2014/07/27(日) 08:38 ID:SAI

 そう思って視線をずらせばそこにいたのは、俺を睨みつける雛瀬の姿。
 そんな視線を向けられても一応、こういうのは聞いておかなければいけないだろう。

 「雛瀬、睨むな。後、睨んでる暇あるなら山爪さんにお茶出せ」
 「わかってますよ、ただいきなりそんな失礼な事聞くのもどうかと思いますよ…、はい、どうぞ」

 俺を睨んでいた時とは打って変わって山爪さんを見ていた時は柔らかい笑みを浮かべながらも、テーブルの上に茶菓子とお茶を出していた。
 茶菓子はこの地域でわりと有名な和菓子店のどら焼きである、これが凄く美味しいのだが立地条件が悪いのか、近年は近場に大型ショッピングセンターができて、その中に色々な店が出来た頃から客足は遠のいている。
 しかし味だけは保証出来るので俺の事務所御用達とでも言うべきだろうか。
 兎も角、俺の事務所御用達の茶菓子を差し出した訳である。
 山爪さんに「どうぞ」と言いながら微笑むと、山爪さんは遠慮がちにそのどら焼きに口をつけた。
 
 「美味しい…」
 「そうでしょう?」
 「なんで先輩が自慢気なんですか」

 無自覚にも自慢していたような態度を取っていたらしい、雛瀬にそんな冷静なツッコミを入れられながらも、俺は気にしていないと言うように自分の前に置かれた茶碗に入っている茶を啜る。

 「…雛瀬、お前これ…コンビニの麦茶だろ」
 「なんでわかるんですか」
 「なんで客いるときにこんなの出すんだよ」
 「普段あんまりお客さん来ませんもん」

 そんな会話を雛瀬としていると、不意に吹き出すような声が聞こえて俺は少しだけ驚いたようにしながらも視線を前に戻した。
 すると山爪さんが何か面白いのでも見たかのように口元を抑えて笑っている。
 口元を押さえていると微かに聞こえる笑い声でしか今どんな状態なのかわからずに、よく表情が読み取れないのが山爪さんの難点だと思う。

 「…久しぶりにこんなに笑った気がします、父があまり家にいない人なので…ほとんど家に一人だから、こんなに誰かのやり取りを見て笑うなんて本当に久々で…」
 「そうですか、楽しんで頂ければ何よりです」

 あくまでもここは探偵事務所で、お笑い劇場などでは決してはないが。
 そして俺もそんなに面白いような誰かに、笑って貰えるような事を喋ったつもりはないのだが、入ってきた時よりも柔らかい雰囲気に俺は少しは緊張が和らいだかなと思いながらも話題を本来の山爪さんの母親探しに話題を戻した。

 「それでは、話を戻しますが二年前で思い出しにくいでしょうが…、何か出かける前にお母様が何か言ったとかどんな場所に行くとか言いませんでしたか?どんな事でも構いませんよ、近所のスーパーに行くとかでも、何でも」
 「母が出かける前に言った言葉…?」

 山爪さんは少し考えるような仕草を見せた。
 当たり前だろうけど、二年前の出来事なんて思い出せと言われて簡単にすぽんと出てくるようであれば、何も認知症が近年増えたりはしないだろうしな。
 そう思いながらも俺はまた麦茶を啜ると、山爪さんは「あっ」と小さく呟いた。


書き込む 最新10 サイトマップ