.'・'.キミと同じになりたくて・.'.・

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1:クスリバコ◆Vc:2014/07/29(火) 02:49 ID:qBw


こんにちは、今回初めて此方に小説を書いてみようと思って立てました
クスリバコと申します。

ジャンルとしては
シリアスを書こうと思います。

至らない所が沢山ありますが何卒よろしくお願いいたします。

感想などのコメントは此方には書かないで下さい。

独り言板に立ち入れば私が居ます(トリップで判別可)ので感想などはそちらにお願いします。

読みにくくなるといけないので…

では、>>1 から本題へと入りますのでどうぞ…

2:クスリバコ◆Vc:2014/07/29(火) 02:53 ID:MDM

 あるところに人間と同じ形をした小さな赤ん坊と、蒲公英の花よりも小さな人が、一つの小屋の中で一緒になって住んで居りました。

 赤ん坊…彼にはまだ名前はなく、小さな人はどう呼べば良いのか困り果てておりました。

 ですがそれでも彼は、
「時が来ればいずれ分かるだろう」と言っては、何時も自分の側に赤ん坊を置いては寂しくならない様にと懸命に世話をしてあげたのだそうです。

 ですが彼はある時、忽然と姿を消しました。

 どうしてかは分かりません。

 何故なら彼にはまだ理解が出来なかったから。

 ただ覚えている事は一つ。
 ―それは、彼に捨てられたと言うこと。

 それだけの事。


 そしてそれから長い年月が過ぎ、
言葉もろくに学ぶ事も出来ずに本ばかりを読み続けた彼は、間も無くして人間に引き取られる事になりました。

 話す事の出来ない少年は独り何を思い、これから何を探して行くのでしょうか―。

3:クスリバコ◆Vc:2014/07/29(火) 02:56 ID:MDM

―傷の味は錆びていて―

4:クスリバコ◆Vc:2014/07/29(火) 03:40 ID:qBw

 ―彼方(かなた)は小人に育てられていた。
 そう聞いたのは今や、かれこれ10年前の事。

 幼い子供の頃、僕は一人で小さな小屋の中にて捕らえられて居たのを、近くの人が発見し連れ帰ったのだと言っていた。

 端から聞けば、これは立派な誘拐であろう。

 けれどもあの頃の僕は、体が大分衰弱しきっていて、放って置けば死に至ると言う程の命の危険に曝されていたのだった。

 長い間見離されて居たのだから当然であろう。
 小人に育てられていたと言う記憶すら僕には存在しない。

 小人に育てられていたと言う情報は、僕を拾った男に教えられたものだ。

「おや…もう起きてたのかい?ふふふ、彼方は起きるのが本当に早いね。お父さん感心するな」

 そう言って僕の座るテーブルの隣に座って腰掛けて来たのは、僕を拾ってくれた父さん…もとい、色人(しきと)さんだ。
 彼はこうやって僕よりも少し遅めに起きて来ては、隣に座り、優しく話し掛けて来てくれるのだ。

 だが彼は返事を望んだり・強要したりはしない。

 それは僕の事を分かってくれているからなのだろう。

 小屋に居た時期は長く、僕は喋る声を失った。
 それが見離されたショックか、はたまた言語の使い方・声の発する方法を知らなかったせいなのか…。
 どちらが原因しているのか、どちらも原因しているのか分からない。

 ただ僕は必要としていないから、能力として会得しなかったとして、いつの間にか自分なりに処理してしまっていたのだろう。

 言語を覚えるに当たっては、覚えやすい時期と言うものが人間には存在するのだそうだ。
 それが1〜10歳になるまでにあるらしいのだが、僕はその時期をとっくに過ぎていたのだった。

5:クスリバコ◆Vc:2014/07/29(火) 04:50 ID:0QQ

「ココアでも飲むかい?良かったら入れるよ」

 隣に座り彼は僕の目を見るなりそう言うと、マグカップにココアの元となる粉末を入れ、
その上から予め温めておいた牛乳をこぽこぽと執事が紅茶を注ぐ様にして優雅に入れて見せた。

「…はいどうぞ」

 穏やかで優し気な低い声で少し間を置いて言えば、ことりとマグカップをテーブルの上に置く。

 "ありがとうございます。"
 そんな言葉を口にしたいが出来ないので僕は代わりに、こくんと頷いて見せた。
 色人さんがにっこりと優しく微笑む。

「今日も本を読んでいるんだね。中身は…どんな事が書いてあるのかな?」

 そう独り言の様に呟いては僕の持つ本の表紙を覗き込んだ。
 僕は彼が見易い様にと思い、ほんの少しだけ彼の方向に身を寄せ、体を傾ける。

6:クスリバコ◆Vc:2014/07/30(水) 17:06 ID:/hs

「…随分と、小難しい内容の物を見ているんだね」
 彼は眉を八の字にし困った顔をしては、そう感想を溢したのだった。
 ―人生の哲学書。
 人は何を思い、どうして生きるのか。
 そんな哲学書染みたタイトルが、僕の持っている本の表紙には綴られていたのだった。
「まだ…幼い子どもなのだから、もう少し優しくて夢のあるお話が書かれたものを、読んでみてはと私は思うのだけどね…」
 そう言って色人さんが僕のとは別の自分用にとココアを入れたマグカップを持ってきては、それに口を付けてゆっくりとお腹に流し込む。
夢のあるお話し、か…。
 あんなものの何処が良いのだろうか。
 人間関係にしたって世界観にしたって、現実とはまるで違っている。
おとぎ話なんてそんなのは、幻想でしかなくて、およそ現実的なものではない。
 物語の中では必ず誰かが主人公に何かしらの意識を抱くのだ。
 中には孤独な人だっているのに…あんな事が現実に起こる筈も無いのに。
 小さい頃は確かに読んでいた。
 けれども何時しか僕はその世界に入るのを拒んでいた。
僕が小人に育てられていた話なんて言うのも、僕は好きでは無かった。
 色人さんが本から目を反らすのと同時に僕は元の、本を読む姿勢に体を戻す。

7:クスリバコ◆Vc:2014/09/04(木) 02:02 ID:Ypg

「そう言えば、今度から彼方は高校生になるんだっけか…」

 ふと思い出したかの様に声を上げてみては彼は僕に新たな話題を提供する。

 ―高校生。
 …そう、僕は今年の春からとある学校に入学する事となっていたのだった。
 色人さん以外の他人と話を共有した事の無い僕が、果たして無事に学校生活を送る事が出来るのだろうか…。甚だ疑問ではある。

「…そんなに心配する程でも無いさ、彼方は彼方のやりたい様にすれば良いのだからね」

 色人さんが僕の顔を心配そうな目付きで伺いそう言っては、此方の気持ちを察する様に軽く僕の肩を叩く。
 すると自然に肩の重みが消え、軽くなっては僕は彼の顔を見る。
 …長くを共に過ごしているからなのだろうか。
 彼はどうやら此方の気持ちには敏感な様で、やはり嘘は吐けないと言うか何と言うか…。

8:クスリバコ◆Vc:2014/09/04(木) 02:29 ID:92A

 そう思いやや悶々とすれば、ココアの入ったマグカップを両手で包み込む様にして持ってみては、水面をじっと凝視する。
高校生、か…。
 それにしても小学校から入るとなればまだしも、高校からいきなりとは流石におかしな話である。
 幾ら僕が普通とは違った人生をつい最近まで送っていたからとは言え、話が急過ぎなのだ。
 普通は小中高…と続け様に行く物なのだと、どの本にもそう書いてあった。
年が取り過ぎたのが原因なのだろうか…?
 いいや、そんな事は原因ではない。
 年が周りよりも上回っているにせよ何にせよ、学校は小中高…と順番に行くべきである。
 だがそれでも彼が高校に通う事を勧めたのは言うまでもなく…そして学校に行きたいと言い出したのは他でも無い自分だからだ。

この年齢と体の大きさを考えれば、高校に通うのが違和感が無くて一番良いのだろう。

 勉強に関して色人さんは何時も「彼方は勉強熱心だからね、すぐに皆に追い付く事が出来るよ」と言っては頭を撫でて、僕を元気付けてくれていたのだった。

9:クスリバコ◆Vc:2014/09/05(金) 03:46 ID:22A


 学校生活とはどの様なものなのだろうか?
 本の中では学年ごとに学級と言う物が存在し、その中で人は勉強を先生の指導によって教わったり、中に居る人達と共に意見を出しあったりして様々な事を学んで行くものであると僕は教わっている。
 実に有意義な話ではある。
 だがまぁ…それが、楽しいものであるのか?と問われてしまえば、そうでは無いのかも知れない。
 と言うのも大抵の物語の中では、学校生活は退屈なものとして書かれていたり、楽しいものだとして書かれていたりと様々ではあるからだ。
 要するに人一人ひとりの解釈の違い、と言う事なのであろうか。
 何にせよ…僕はちゃんとした大人になる為に、自分を此処まで育て上げてくれた色人さんにはお礼をしなくてはならない。
 その為には人と接する事に慣れて行かなければ…またもし彼が居なくなったとしても、一人でも生きて行けるような強さと知識を持ち合わせていかなければ…。
 …それが自分にとっての、今の為すべき課題なのだった。

 丁度良いぬるま湯になったココアを僕はぐいっと一気に飲み干せば、マグカップをテーブルに置いて、すっと椅子から立ち上がる。

 僕の高校へ入学する春はもうすぐだ。後一月もしない内にその時期はやってくるのだ。

10:クスリバコ◆Vc:2014/09/05(金) 04:16 ID:pl2

 だから渋ってなどは居られない。

「……彼方?」
 そう言い色人さんはマグカップを持ったまま、席を立つ僕の顔を見上げる。

 僕は一緒だけ彼の目を見て頷けば、飲み終わったマグカップに水を入れては流し台に置いておく。
 こうする事で汚れは浮き、ちゃんと落ちやすくなるのだとか。
 誰が考えたのか、そんな事は分からないが、大体の目星は付いているであろう。

「…ふふふ、ありがとう」
 僕の行為を見届け微笑めば上記を彼は優しく呟き返す。
 自分で使った食器はちゃんと片付ける事、それが二人で暮らす為の簡単な掟なのだった。
 僕は無言でさっきまで使っていたテーブルの所に行っては、読み掛けになったまま置きっぱなしになっていた本をパタンと閉じては両腕で抱え込むようにして持って行く。
「…二階に上がって、勉強するんだね」
そう言い微笑む色人さんを見ればもう一度頷き返して。
 僕は二階へ上がる為に用意された折り畳み簡易式の階段を使えば、さっきまで居たリビングを後にし寝室に籠るのだった。


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