〜こうふクレジット〜

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1:sango:2014/07/30(水) 19:18 ID:NFA

prologue

神は人間の本能を完全攻略してこの世を操って来た――

人間は幸福を欲しいが為に、我らに祈りを捧げる。

祈るだけで幸福が来るとでも思ったか?

欲しいなら与えよう、いくらでも――

代償があるのなら、な――……




character file pad 
>>02

2:sango:2014/07/30(水) 19:26 ID:NFA

character file pad
キャラクターファイルパッド 01ver

千歳 幸歌 Titose Satika ♀
中学1年生で普通の女子だが、不運によく見舞われる。

神条 隼人 Kamijou Hayato ♂
自称【神】
千歳に【こうふクレジットカード】を渡す。

金田 七音 Kaneda Nanane ♀
幸歌の幼馴染で親友。【こうふクレジット】開発者と関係がある。

【こうふクレジット】
自分の寿命が入ったクレジットカード。
寿命と幸福を交換できる。

【ラッキーATM】
こうふクレジットカード を使用できるATM。


作者より
青い悪魔の苦情 完結していないのに新作。
http://ha10.net/novel/1405329995.html

あちらは真面目な話なんで、ちょっとギャグ入れようかな、と思ってます。
シンデレラの憂鬱?あぁ、あれオワタ。
http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1385540794/l50
http://ha10.net/novel/1375088544.html

(^▽^)ノ削除依頼、削除依頼♪

3:sango:2014/07/30(水) 19:59 ID:NFA

 普通の学校に行き、普通の生活。
 普通の毎日を送ることが出来て、幸せだとは思う。
 友達はいる、平和で……


「おい、有り金全部よこせよ」
 低い、鬼が吠えるような声で不意に脅された。
 
 ここは喫茶店『sevens』の路地裏。
 湿り気がすごくて、コケも生えているし、不法にゴミが捨てられている。

 背後からの気配には少々感づいていたが、まさか脅されるとは。
 金髪でピアスをしていて、ヘッドホンを被っているが、周りの音は聞こえるようだ。
 5、6人程の集団で私に襲いかかる。
 ポケットの中の財布は1000円ジャスト。
「……えっ――有り金……ですか?僅かですが、宜しければ――」
 相手の腕がボキボキ鳴っている。
 
「ちっ、1000円かよ。貧乏人め!」
 吐き捨てるように私に怒鳴ると、彼らはマンホールを蹴って去っていった。

「ふぅ、危ない……でもどうしよう、今日の紅茶代――」
 惨めな声で呟くが、どうにもならない。
 その声は路地裏に虚しく響く。

「あっマンホール……」
 先程彼らの蹴ったマンホールの蓋が空いていた。
 かなり重くて、サビが生えている。
 
 蓋を私はズラしてみた――……

4:sango:2014/07/30(水) 20:09 ID:NFA

 ダンゴムシが何匹か居て――

「さ……財布!」
 私は感嘆の声をあげ、黒い革の財布を手に取る。
 革の感触は本物――だろう、ブランド名も刻まれていた。
 小銭の音はしない、きっと札束……!

「ラッキー!私って運いい〜」
 少々私はためらったが、開けるくらいなら、と思ってしまった。
 
 それが――……間違いだったんだ――……!

 財布のチャックを勢いよく開ける。
「えー……」
 小銭は入っていないし、札束も入っていなかった。
 あるのはクレジットカードだけだが、暗証番号が分からない。

「何コレ、四菱銀行かな?みすほ銀行……?」
 青いクレジットカードで金色の文字で『KOUFUcredit』と印刷してあった。
 無機質なデジタル番号とICチップが埋め込まれているだけだ。

「交番に届けようっと――持っていても仕方ないし」
 溜息混じりに大通りとクレジットカードを交互に見つめた。

5:匿名希望:2014/07/30(水) 21:30 ID:NFA

あげ

6:猫又◆Pw:2014/07/30(水) 21:54 ID:qaQ

 しばらく来てないうちに、新作上がってた!!
どうも、あきっぽい人。猫又です。
 青い悪魔の苦情でああ言っておいて、音沙汰なしですみません。
新作が上がってたので、ここまで見させていただきました。

 途中までなのでなんとも言えませんが、分かりやすいですし、
ファンタジー系かと思ったらクレジットカードが出てきたりと、
いい意味で先が楽しみです。

 で、あの、つかぬことを伺いますが。
マンホールって、あのマンホールですよね。
底が下水管とかのやつですよね?

……財布って一体どこにあったんでしょうか?
 それだけがよく分かりませんでした。
よかったら教えて下さい。では、

7:sango:2014/07/30(水) 22:59 ID:NFA

ありえないと思いますが
ふたにひっかかっていたらしいです
ネタタバレすると神様がどうのこうの…

8:にっきー:2014/07/31(木) 20:33 ID:uzw

URが貼ってあったのでこちらも見させてもらいました!

私の事覚えてますか?笑

こういう物語が書けるってすごいですね!
本当に見習いたいくらいですよ!

これからもがんばってください!

9:sango:2014/08/01(金) 09:54 ID:NFA

おっ、コメントありがとうございます!
覚えてますよ^^
この先が思いつかないんですよねー…

10:sango:2014/08/01(金) 10:07 ID:NFA

 交番には案外早く先客が来ていた。
「財布の落し物は……3件届いておりますが――」
 困ったように警官はため息をつく。
 警官の前に立っていたのは背の高い青い髪の男性だった。
 整った顔立ちで中学生らしかった。

「あの、この財布は違いますか?」
 戸惑いながら私は財布を警官ではなく男性に差し出す。
 男性は面食らって財布を受け取ると、中身を見た。

「このクレジットカード……!」
 男性は口の端を釣り上げた。
「財布、見つかりました。ありがとうございます」
 
 と言いつつ、男性は私を警官のいない場所へ誘導させた。
 そこは財布を拾ったマンホール。すなわち『seven』の路地裏。
「やぁ、君は正直者だね〜」
「どういう事ですか……?」
 誰だってそう言われれば状況はよく飲み込めないが、深い意味があるとは思わない。

「僕は火神龍の化身。この世界に財布を落とし、拾った人に幸福を与える神だ」
「え、たまたま落としたんじゃないんですか?」
 中二病なのかもしれない、けど話は聞く。

 私は疑うような目つきで財布を睨んだ。

「マンホールの下にあったんですよ?そんなところに落とすと思う?」
 マンホールに落としたのはわざと、だと言いたいのか?

「選ばれし者だよ、交番に届けなければ君は僕に会えず、クレジットの使い方もわからなかったはず」
 自慢げに言うと、クレジットカードを私に差し出す。
「僕は神。人間の寿命を吸って生きるんだ。最近寿命切れでね……」
 愚痴を私にぶつぶつと話し始める。

「このカードは君の寿命と幸福を交換できるカードなんだ」
 他の愚痴よりも鮮明にはっきりと聞こえるこの声――……
 意味を持った叫び――……

「あ、そもそも僕が神だと信じていないな?最近アナと雪の王女、流行ってるね」
「え……えぇ」
 私は曖昧に頷くと、彼は手から火を出した。

「ありのー、ままの〜」
 手から次々生まれる熱気を帯びた炎。
 私は幻覚を見ている――!

11:sango:2014/08/01(金) 10:18 ID:NFA

「あっ……つ、氷ならいいけど火はちょっと……」
 私が制裁すると、それを遮るかのように『神』は手から水を出す。
「姿見せーるのよ〜」
 
 火、水、光、風……色々なものを彼の手から生み出す。
 歌は余計だけど、ただただ綺麗としか言えない。
「少ーしも寒くないわっ!」
 バシャッ!
 手からまた水を出し、路地に生えていた鈴蘭にかけてあげた。
「この世界を管理しているのは僕!自然なんて僕が操れる」

「何かの縁だということで、カード貰ってくれる?」
 カードは『神』の作る緩やかな風に乗って私の手元に降りた。

「それでは、天界に帰りますかー。これで寿命の輸入先増えたし」
 彼は煙を発生させると、激しい風を起こし、消えていった。
 残ったのはキラキラと光る粉だけだった。

「……クレジットカード――」
 
 知らない、私は――

 これは、陰謀とサスペンションに満ちたカードだと――……

 

12:sango:2014/08/01(金) 10:28 ID:NFA

story U 〜寿命てんびん〜


NEW character data pad


福澤 俊 Fukuzawa Shun ♂
data
クラスの(学園の)人気者
こうふクレジットの存在を知り、奪おうと企む。

13:sango:2014/08/01(金) 15:35 ID:NFA

 幸福と寿命なんて釣り合うのだろうか――?

 不幸でもいいから長く生きるのか、どうせ死ぬなら短い間楽しく生きるか……
 クレジットを見つめながらしみじみ思う。
 私は果たしてこのカードを上手く利用できるのだろうか。

 第一まだ本物とは決まったわけじゃないし、使い方も分からない。

「そのカード……」
 背後から聴き慣れた高い声が耳に入る。
「七音?どうしたの――」
 七音は私の親友で幼馴染の同級生だ。
 長く茶色い髪で桜色のピンをしている。

 彼女は部活の帰りらしく、カバンからテニスラケットがのぞいていた。
「あぁ、うん。それって……こうふクレジットよね?何で幸歌が持っているの?」
 彼女はキッと私の手元にある物を見据えると、視線を反らす。

「これは……変な人から貰ったのよ――それに、これのこと知っているの?これは本物?」
 七音に必死で尋ねるが、黙りこくったまま言葉を紡ごうとしないあげく、首も振らない。

 数分後、やっと七音が重い口を開いたかと思うと、カバンから同じカードを取り出す。
「七音も――持っていたの!?」
「えぇ。ある事情があって……ね」

14:sango:2014/08/01(金) 15:43 ID:NFA

「思い出したくないのよ!『それ』のせいでひどい目にあったことを!」
 彼女はカードを睨み付けた後、吐き捨てるように叫び、俯く。
「何が――」
 私はその先を言いたくても言えなくて、言いそうで言えない。

 彼女の瞳の先には何か禍々しい『何か』を感じる――
「そのカードのせいで父を失ったの。乱用して……」
 早すぎる展開に私は気が動転し、彼女の言うことに動揺してしまう。

「父はこのクレジットに依存してしまったのよ!だから寿命が縮まり、死んだ」
 聞き取れないくらい微かな声で紡ぎ出す。
「乱用?寿命を吸い取られたのね……」

 彼女の話によると、3日分の寿命だけで宝くじが当たるという話につられたらしい。
 実際に吸われたのは今の寿命の4分の1を取られていた。
 天界と人間界では時の流れが違う為、そうなりかねないという事。
 そんなリスクを犯してでも幸福を手に入れたかったらしい。

15:sango:2014/08/01(金) 15:46 ID:NFA

ついに2章入りましたねー
話の展開が早すぎですね
ま、この後残酷な死に方する奴がいますけど
それでもokな方はどうぞ!

16:sango:2014/08/01(金) 15:53 ID:NFA

 彼女と別れた後、私はあらゆる情報網を駆使し、こうふクレジットを調べた。
 インターネットには一撮みの情報もなく、友人も知っている人がいない。
 
 結局着いたところはあのマンホールだった。
「確かここの蓋を……」
 錆び付いたマンホールの取っ手を開くと案の定ただの下水道管。
 
 恐る恐る足を伸ばし、つま先が地面に触れる――
 殺風景なコンクリートの壁が広がる世界。
 その奥には正反対な世界があるとは知らずに――…

 ビチャッ
 水の滴る音が、とても不気味で恐ろしい……
 通る度自分の横顔が映る。

 いくつかの水たまりを超え、私は急なめまいに襲われた
 いくつ目だったろうか――
 
 周りが水彩画のようになる――
 意識は薄れ遠くなる……

 その時、私は虹を見た気がする……
 それは、10色の……虹――

17:にっきー:2014/08/01(金) 17:15 ID:uzw

おお!

なんかすごいです!

続きが気になります!

別に展開早くはないと思いますよ!!

では更新待ってます

18:sango:2014/08/02(土) 07:42 ID:NFA

そうですか、よかったです´∀`

19:sango:2014/08/03(日) 08:00 ID:NFA

あげ

20:sango:2014/08/03(日) 14:06 ID:NFA

「み……君?」
 聞いたことがあるな……この声は。
 温もりのある、高い男の人の声。
 耳の奥まで届く、凛とした声だった。

 私は病室のベットのような所に寝かされている。
 自分の部屋のではない。綿がつまっているような柔らかさ――

 周りには子供から大人、男性から女性が私の周りを囲む。

「きゃっ……!ここは――?」
 私の呟きに答える者はなく、珍しそうに私を見る。

「人間が来るなんて珍しいな」
「見かけない顔ね、人間かしら?」
「少なくとも私たちとは違う種族のようね」

 ひんやり冷たい声で言われた。
 忌々しい物を見るような目つきで睨まれる。
「あっ――あ……」
 私はたまらなくなって、布団をガバッと押しのけると、ベットから降りた。

21:雪乃:2014/08/03(日) 14:45 ID:.lA

こんにちわぁ

22:雪乃:2014/08/03(日) 14:46 ID:.lA

雪乃ともうすものですぅ

23:sango:2014/08/04(月) 12:06 ID:NFA

こんにちは、コメントありがとうございます^^

24:sango:2014/08/04(月) 12:18 ID:NFA

「どうやってここへ来た?」
 若く美しい女性がキッとした目付きで私を見据えた。
 琥珀のような色で、さらさらの長い髪、ガーネットのような唇、サファイアのような瞳……

「人間だろう?何故ここに来ている?死んでいるわけでもないのに……」
 ため息をつくと、彼女は水晶玉を私にかざし、覗き込んだ。

「すみません、助けて下さってありがとうございます……」
「礼なら医者に言え、それよりお前、通行書を持って……?」
 私は状況が飲み込めないまま、首を横に振った。

「話は部屋で聞こう……」
 彼女はまた溜息をつくと、私を個室へ誘導させた。
 周りの人々は私を見るなり横へ後ろへと散らばっていく。

25:にっきー:2014/08/04(月) 17:14 ID:Bys

やっぱり面白いですね〜!
これからもがんばってください!!

26:sango:2014/08/04(月) 19:20 ID:NFA

ありがとうございます^^
やる気出ました〜!W

27:sango:2014/08/04(月) 19:29 ID:NFA

 誘導された個室は中々広く、壁側に暖炉があった。
 柔らかい絨毯の上に、クッキーとホットミルクがのったテーブル。
 角砂糖の詰まった瓶。

「貴方は人間ね?どうしてここに来たの?スパイね?」
 彼女は鍵を掛けながら私を睨み付けた。
「そんな……っ私も訳が分からないのに――」
 
 掠れた声で首を振る。
「ふぅん、どうやら嘘は付いていないようね……」
 彼女は鋭利な槍を手に持つと、私の鼻にサッと押し当てた。
「ぎゃあぁ!な、何を!」
 
 槍の先は鈍い光を放っていた。
「人間は警戒しなくてはならないわ。貴方もいつ、私達を殺すか――」
「やめて、助けて!」
 私は割れた声で叫ぶ。

「うるさい……ん――」
 彼女は何か気付くと、槍を捨て、つかつかと歩み寄った。

28:sango:2014/08/04(月) 22:06 ID:NFA

「すまない、私の早とちりで……」
 彼女は申し訳なさそうに俯いた。
「いえいえ、疑われるのも無理はありませんから……」
 
 彼女に勧められてホットミルクとクッキーをご馳走になっている。
 ホットミルクははちみつが入っていて甘くて飲みやすかった。
 クッキーはしっとりしていて、チョコチップなど色々あっておいしい。

「君は通行手形を持っているのか……」
 彼女は手を顎に当てて、首を傾げた。
「通行手形……?なんのことだかさっぱり――」
 
 カッカッ
「む、こんな大事な話の際に……よい、入りたまえ」
「やぁ、ナミビア。彼女も居るねー」
 そこに入ってきたのは、こうふクレジットを私に渡したあの人だ!

「あっ……!あの時の!」
「こんにちは。彼女は通行手形を持っていないよ」
 彼はナミビアにあっさり言ってのけると、ナミビアは反発した。

「なんですって!?じゃあどうやって――!」
 ヒステリックになったナミビアはソファーから彼のところへ歩み寄る。
「まぁ、落ち着け……」
 彼はとっさに手をナミビアの前へ突き出すと、彼の周りに結界が出来た。

29:sango:2014/08/05(火) 15:08 ID:NFA

「……っ!?」
 ナミビアの息を呑む声が聞こえる。
「残念でした」
 彼は得意げに言うと、またナミビアに手を向け、水を発生させ、水圧で壁に押した。
 バシャッ
「ちょっと、何を――……!」

 ナミビアはふざける彼に激を飛ばす。
 まだ彼は余裕の笑みを浮かべていた……。

「彼女は通行手形を持っていない。それだけは言おう」
 ナミビアはしかめっ面になると、聞き返した。
「どうやって来たというの……?」
「彼女の持つ、『こうふクレジット』は通行手形を改造したもの。通行手形+クレジットのカードさ」
 
 私はおどおどしながら2人を見守るが、もう耐え切れない。
「あの……元の場所に帰れるんですか、私……」
 私は掠れた小声で彼に問う。

「帰れるよ、門番に案内してもらい給え」
 彼は私とナミビアを交互に睨み付けた後、ドアを指さした。
「は、はぁ……ありがとうございました」
 私はロックを解除し、外に立っていた門番に話しかけてみた。

30:にっきー:2014/08/05(火) 19:24 ID:ZeQ

面白いです!
更新するのはやいですね!
すごいです笑

私の方も更新したのでよかったらまた見に来てください

ではまた来ます!
続き楽しみにしてますよ!

31:sango:2014/08/05(火) 22:03 ID:NFA

にっきーさんありがとうございます^^
おっ、更新しましたか!
是非見に行きますよ〜

32:sango:2014/08/06(水) 11:52 ID:NFA

 鉄の甲冑を着たゴツイ門番が2人仁王立ちしていた。
「あの、人界に帰る許可が出たので……」
 門番は軽く頷くと、ついてこいという代わりに早足で歩いた。

 ガチャガチャと甲冑がぶつかる音が聞こえる。
 何だか不気味だ――

「気づかないのかい?」
 初めて合う門番だけど、声は初めて聞くものではない!
「もしかして……いやっ、そんなまさか―――……っ!?」
『彼』はナミビアと駆け引きをしているはず――

「どうやってここに?貴方は神よね?」
 私は警戒したような表情を見せつけながら尋ねる。
「つくづく勘のいい人間だなぁ……ふっ、ここではみんな神だが」
 彼は甲冑の甲だけ上に持ち上げると、口の端を釣り上げた。

「ナミビアも中々力があるけどツメが甘いんだよなぁ。残念」
 余裕の笑みを浮かべながら私を睨み付けた。
「君にこうふクレジットを渡したのに君は全く使わないじゃないか」
 彼は溜息混じりに言った。

33:sango:2014/08/06(水) 12:04 ID:NFA

 連れてこられたのは、奇抜なデザインのマンホールの上だった。
 コケに埋もれてくすんだ文字で『とびら』と記されているのが見える。
 彼の鋭い視線に私は一瞬ヒヤッとした。

 まるでこのまま殺されるような錯覚に襲われる――

「こんな人間、禁断を犯してまでも――っ」
 彼はマンホールの下へ私をつきとばす。
「ぎゃああぁっぁぁぁああっ!ちょっ……ぎゃあぎゃや」
 グシャー

 マンホールの中は不思議な色の水で溢れている。
 赤や青、緑と次々に色を変えていく水……。

 私は泡を吹きながらもがく。
 げほっ
 水の滴る音が情けなく、虚しく響く――……

34:にっきー:2014/08/06(水) 13:10 ID:VK2

更新されてますね!
更新率高くてすごいです!
sangoさんって描写が上手ですよね!

あ、私の小説見てくださってありがとうございます。
よかったらこれからもよろしくお願いします。
下手ですが・・

35:sango:2014/08/06(水) 17:50 ID:NFA

いやいや、情景描写を入れたいけどもどうも不自然になるんですよw
にっきーさんの小説見習わなくてはw

36:sango:2014/08/07(木) 14:15 ID:NFA

storyV  『こうふクレジット依存』

NEW character pad

水瓶 疾風 Mizugame Hayate ♂
data
神条に出会い、こうふクレジットを受け取り、乱用をはじめる。

得意スポーツ サッカー 野球 テニス。
サッカー部のエース
学園の注目の的

幸歌を嫌っている

37:sango:2014/08/07(木) 14:24 ID:NFA

 キンコン……
 
 マンホールから私は一体どうやって――?
 自分の机にうつ伏せになっていた。
 服装も半袖のYシャツに赤いリボンという、いつもの制服。
 
 黒板には明日の日付が書かれていて、定期テスト返却日とある。
 窓の外を見ると、スクールバックを持った生徒たちが校門に吸い込まれるように入ってくる。
 教室内は半分程の生徒で賑わっていた。

「え、どうして……」
 マンホールとここでは時間軸が違うのは分かっていた。
 でも学校にいるのと、服装が違うことには驚かずにいられなかった。

今日は定期テストの返却日という、地獄の24時間。
 平均点は70点、赤点者は夏休み中部活停止と特別授業だ。

「テストを返却します。出席番号順に取りに来なさい」
 とにかく、私は授業を始める。

 先生のその一言はいつ聞いても緊張するものだ。

38:sango:2014/08/07(木) 22:52 ID:NFA

NEW character pad

氷堂 冷奈 Hyoudou Hiena ♀
幸歌の親友で、幸歌と同じく中1。
冷静でクール。
興奮状態の時(怒り時など)は何とIQ200超え。

青っぽい髪の毛が腰まであって、カールしている。
身長は162cm

39:sango:2014/08/08(金) 09:12 ID:NFA

 その『疑問』がずっと頭によぎる。
 また別の世界とか、気を失い夢を見ているのか――
 正体は分からないけれど、今は……

「千歳ー」
「あぁ、はい」
 どうしよう、ここは受け取るべき……?

 周りでは点数の見せ合いをし、勝った負けたギャーギャー騒いでいた。
 ここまでリアルな夢ってあるのだろうか?

 カサッ――……
 5枚のテスト用紙を汗ばんだ手で受け取る。

40:sango:2014/08/08(金) 22:02 ID:NFA

 紙の質感、くすんだシャーペンの文字……
 リアル過ぎる、この夢は――……

 赤い……というより赤黒い色で付けられた『80』という数字。
 まるで血の色のような――
 というのはきっと錯覚だろう、夢だし。
 
 隣の席はいつも通り冷奈だし、特に変わった様子もない。
 夢だし。

 でも信じるのは早い。
 夢だし。

 呑み込みが遅いなんて、最初から分かっている、分かっているけど――
 でもやっぱり夢だろう。

 私の脳は現実的で無機質で――
 だからちょっとしたファンタジーも楽しめないんだ。
 何でもかんでも現実的に洗練された脳内は、いつまでたっても信じることができなかった。

 『神様』なんて――……ね。

41:sango:2014/08/09(土) 12:14 ID:NFA

「ねぇ、冷奈」
 私は隣の席の氷堂冷奈という親友に尋ねる。
 彼女は怒った時などはIQ200を超えるという、ヤバいやつだ。
 いかにも寒そうな名前のとおり、彼女の心もかなり冷たかった。

「……何?」
 彼女の透き通った氷の様な声はいつ聞いても感情がこもっていない。
 クールというより、ただ感情がないだけのようだ。
「今、夢じゃないよね?神っているの?手から火を出せる?ねぇ、ねぇ!混乱してるの!朝起きたら学校に……」
「夢?貴方が100点とったらそれは確実に夢、ありえない、神はいる、手から火を出すのは幻覚、手から氷を出すのは映画」
 
 え、今なんて――?

「神はいる、って言ったぁ!?本当!?ねぇ、知っているの?」
 私は現実主義の冷奈が神は居るなんて言ったことに衝撃を隠せない。
 いつもは初詣の時だってくだらないとか神の存在を否定していた冷奈が、だ!
 私は動揺した。
「いるんじゃないの……意外と身近に――」
 バキッ――……

 何かが割れたような……?

 冷奈は私から視線を反らすと、窓の外に目をやった。
 

42:sango:2014/08/09(土) 14:30 ID:NFA

今スランプなんですよ……
誰かスランプから抜け出す方法教えて――――!

43:sango:2014/08/09(土) 14:46 ID:NFA

storyW 〜冷たいのはお好き?〜

「あなたって本当に冷たい人よね、冷奈」
「格好つけてるの?」
 こんな性格だからそう言われるのも無理はない。
 私は人間じゃない……神だ。

「おい、何してんだ?」
 神条と会ってしまうとは、このタイミングで……厄介だな。

「うるさい、また人界で私の親友を困らせたらしいじゃない。大騒ぎよ」
 冷奈は喫茶店『sevens』の路地裏のマンホールを開けようとすると、神条に呼び止められた。

「あれは君の親友だったのか……すまないな」
「うるさい、これ以上近づくならば――!」
 冷奈は神条を睨みつけ、手の平を神条に向けた。
「おいおい、そ、それはやめてくれよ」

 私は天界へ帰ろうとしていた。
 なぜなら、私は『神』だから――
 氷を司る神として育てられてきた。
 火に触れたら一瞬で死ぬと言われてきた。

 神条は火も水も光も司る神。
 火でも出されたら私は終わってしまう。
 でもこちらもあいつを氷で固めるのもわけない。
 
「氷で固めてもいいじゃない?貴方は火も操れるんだからね」
「まて、俺はあの人にこうふクレジットを渡しただけさ……」
 神条は笑いながら冷奈を押しとどめた。

「何!?私の親友を殺す気?こうふクレジットですって!?」
 神条と私は幼馴染だが、まさかそんな事をするやつだとは――
「ナミビアから許可をもらったし。いいだろ?」
「ダメよ、今すぐ止めて!」

44:sango:2014/08/09(土) 14:51 ID:NFA

 私は興奮しすぎて手を神条に向けると、一瞬で神条の手が凍る。
「ナミビア姉さんがそんな事を許可するなんて――!」
 
 私は天界の姫であった。
 ナミビアは水を司る神として、国を治めていた。
 私の姉にあたる。

 そしてこうふクレジットとは――

 神は人間の寿命を吸い、生きていく。
 交通事故や病気の運命へと導き、寿命を吸っていた。
 しかしそれを知った人間は猛反発。

 そこで平等にしようと、こうふクレジットが開発された。
 タダでとは言わない、幸福を引き換えに与える
 という条件を人間はあっさりと飲んでしまったのだ……
 

45:ryuu:2014/08/09(土) 17:59 ID:wBs

さんご?

46:sango:2014/08/09(土) 19:06 ID:NFA

ryuu!?
久しぶり〜
最近わいわい亭で見ないと思ったら……!

47:ryuu:2014/08/09(土) 21:57 ID:wBs

久しぶり〜
わいわいはもう行かんw

48:sango:2014/08/10(日) 09:06 ID:NFA

何〜!?
何かあったの?

49:sango:2014/08/10(日) 14:12 ID:NFA

「私は帰るからな」
 キッと鋭い目つきで神条を睨むと、神条は炎の術を使った。
「やれやれ、猛獣を飼っているみたいだよ……」
「ナミビアと話をつけてくる!」
「やめろ、神が人間の寿命を吸うのに何が悪いんだ?」

 神条も私を睨みつける。
 私は何も反論出来なくなった。
「人間だって肉を食うために豚を殺すだろう?それと同じことさ」
「分かっているわよ……」

50:ryuu:2014/08/10(日) 15:27 ID:wBs

いや、行ってもいいんだけど…
またみんなに迷惑かけちゃうから…

51:sango:2014/08/10(日) 18:53 ID:NFA

迷惑?どういうこと?
何か雑談になっちゃうから簡潔に話して

52:ryuu:2014/08/10(日) 20:28 ID:wBs

いや、またなんかアク禁とかになって迷惑かけちゃうんだろうなーって。

53:sango:2014/08/10(日) 21:37 ID:NFA

そうか……
―――――――――――――――――――――――

 とにかく私はマンホールの蓋を開け、天海に潜った。
 この海は人界と天界を繋ぐ大事な海で、普通の人にはただの下水道管しか見えない。
 通行手形を持つ人間と神のみが見えるこの空間は天界でも人界でもない境目。

 
「おかえりなさいませ」
 天界の虹色のアーケード型の門を潜ると召使が出迎えてくれる。
 私は繁華街の少し先にある自宅(城)に向かう。
 ナミビア姉様はきっと王室にいるはずだ。

「おかえりなさいませ、アイセル様」
 アイセルとは天界での私の名前、つまり、私の本名だ。

 鉄の甲冑をまとった門番が道を開ける。
「ご苦労様」
 いつも私は門番や召使達に感謝しているつもりなのに……

 カッカッ
「ナミビアお姉様、居ます?」
 私は掠れた小声で尋ねると、うっかり溜息をつきそうになった。
 私の吐息は何でも凍らせる力を持つため、普段は溜息をつかない。

「アイセル……?どうしたの?」
 

54:sango:2014/08/11(月) 22:31 ID:NFA

「いいわ、入って頂戴」
 ナミビアは少しためらってからアイセルを招き入れた。
 
 真紅の絨毯がひいてあって、暖炉はあるのに火はついていない。
 水を司る神のため、ナミビアもアイセルと同様火に触れると死ぬ。
 それを王は危険とみなし、火を付けないのだろう。
 この城中火気のある、煙草、燭台、ロウソクなどあらゆるものが禁じられている。

 火を司る神でありこの国の王、つまり私の父は水に触れると死んでしまうのだが……

「失礼しますお姉様……」
 中に入るとナミビアは水色の毛糸で編み物をしていた。
 彼女のすることといったら、絵を書くか読書をするか編み物をするかしかない。

 ロッキングチェアでゆらゆらしながら編み物を続ける。
 水色の肩までの髪の毛がつららの様だ。
 
「お姉様、こうふクレジットの使用を許可したようですね……」
 例の件を簡潔に伝えると、ナミビアの形相がガラリと変わった。

55:sango:2014/08/11(月) 22:37 ID:NFA

NEW character pad ver02

天界名 ナミビア Namibia ♀
人界名 水家 波華 Mizuie Namika

水を司る神
氷堂冷奈(アイセル)の姉であり、天界の王女。

火に触れると死んでしまう。
趣味は読書と編み物、絵画を書く事。

容姿
水色の肩までの髪
身長165cm
高校生っぽい

56:sango:2014/08/11(月) 22:41 ID:NFA

神条 隼人 pad更新

天界名ではセブンゴット伯爵といいます。
物語では通称、セブン伯爵と略します。

57:にっきー:2014/08/12(火) 10:35 ID:Seg

おおおお!
更新されてたので見に来ました

新しいのですか!?
頑張ってください。

58:sango:2014/08/12(火) 11:34 ID:NFA

にっきーs見に来てくださってありがとうございます^^
これからも宜しくお願いします
――――――――――――――― 

 ナミビアは溜息をつくと、編み物をする手を止めた。
「貴方は人間を殺す事を反対しているようね……?」
「いえ、そういう訳では……」
「人間の寿命を吸って生きていかなくてはいずれ神族も滅びてしまう。分かって、アイセル」
 ナミビアは少し涙ぐんだ目でアイセルを見つめた。

 私は少し戸惑ったが、軽く頷いた。
 人間も豚を殺して肉を食う――
 私はその場にいられなくなってきた。

「失礼しました」
 
 大丈夫、幸歌ならこうふクレジット乱用なんてしたりしないよね――……

59:sango:2014/08/12(火) 13:45 ID:NFA

次から視点変わります
前から紹介していたのに中々でなかった
福澤俊さんです!

60:sango:2014/08/12(火) 13:54 ID:NFA

 いいことが少し続かないくらいで俺はうんざりした。
 サッカーの試合は惨敗、定期テストの点はなんと1桁。
 俺は鬱に近い状態で毎日をボーッと過ごしてきた。


「今日も部活休むのかよ?俊」
 部長がサッカーボールを脇に抱えながら素通りする俺を呼び止めた。
「はい、最近スランプで……家で練習しますから」
 俺はスタメンなのに活躍ができない奴だ。
 試合に出たいやつは山程いるのに、俺は――……


「最近、こうふクレジットが流出したらしいわね……」
「あぁ、寿命と引き換えに幸福を手に入れられるっていう?」
 クラスメートの氷堂と千歳が真顔で語り合っていた。
 
 人生いずれ終わるんだから、俺は寿命より幸福が欲しい――!

61:sango:2014/08/13(水) 18:45 ID:NFA

 そんな事をボーッと思っていると、机の中に白い封筒が無造作に置かれていた。
 1枚、薄っぺらい封筒で、中には丁寧に折られた紙が1枚。

『福澤さんへ
 今日放課後屋上に来ていただけませんか?』

 一瞬活字と見間違える程の美しい丁寧な字で書かれていた。
 差出人は書かれていない。
 これまでの体験からすると、大和撫子風女子だと確定できる!
 おーれーのータイプキタ━(゚∀゚)━!!!!
 まぁ、俺には本命が居るんだけど……相手次第で本命を諦めるかもしんねぇな――
 
 こういったことは俺にはよくあるが、今まで沢山フッてきたなぁ……
 何故か俺の本命の子は振り向かない――あいつだけ……
 まぁいいや、屋上へ行かなきゃ分かんねーし、今日も女子を泣かせる羽目になるのか。
 
 俺は溜息をつきながら、長い階段を重い足取りで歩く。
 この階段は1段上がると学業成就、2段上がると交通安全とか色々ある。
 そして最後まで登ると、いいことが起きるとか起きないとか。
 そんなんだったら俺は初めから苦労してないぜ……

62:sango:2014/08/13(水) 19:08 ID:NFA

 まぁ、こういう呼び出しの50%がお遊びだった。
 前も呼び出されて行ったら誰もいなかったりした。
 大和撫子風女子はからかったりしないよなっ!?

 キイィ……

 屋上にはザッと見たところ人影はない。
「何だよ、またいたずらか……」
 俺は屋上を歩き回った。

63:sango:2014/08/13(水) 19:31 ID:NFA

 一通り見て回ったが、誰も居なかった。

「やっぱりいたずらか……」
 ふぅっと溜息をつきながら、遠くの景色を眺めた。
 ぼんやりと霧に包まれた様な風景が広がっている。
 向こうの海の方は灰色の薄汚い雨雲が徐々に伸びていくる。

「あっやば!」
 ボーッと眺めていると、かなり激しい雨が降った。 
 俺の顔を雨粒が打ち付けてきた。
「雷!早く帰らねーと!傘持ってないし……」
 
 鞄を平たくして頭に乗せ、帰ろうとした瞬間――……


「ちょっと……待って」
 
 背後から透き通った風鈴のような声がした――……

64:sango:2014/08/13(水) 19:35 ID:NFA

ピンチです――!

今新しく描きたい小説のアイデアが浮かんだんですよね〜
けど新しいのを書くとこっちが放置気味になっちゃうんですよ……
青い悪魔の苦情すら放置状態なのに

責任持って最後までやれる自信ないんですよね。。。。
どちらかが沈むんだと……

65:sango:2014/08/14(木) 16:55 ID:NFA

次、少しグロ(?)シーン入ります
そんなにグロくないです、ドラマの殺人事件みたいな感じです。

66:sango:2014/08/14(木) 20:08 ID:NFA

「ちょっと……待って」
 屋上の景色を眺めていると、手紙の持ち主だと思われる声がする。
「……えっ?」 
 
 俺は動揺しながら後ろを向く――……
 が、遅かった…………

「う……わ!?」
 女子生徒の顔は太陽の光で隠されて分からなかった。
 でも俺はとっさに状況を理解し呑み込んだ。

 彼女は屋上の塀から俺を突き飛ばしたんだ!
 教室の窓には映らないだろう、俺が落ちたところに窓はない。
 校舎内からの発見は無理だ。

「うっ……!」
 めまいと吐き気が俺を襲い、自分を戒めた。
 景色はぼやけた水彩画のようになっていき、意識が薄れる。
 落ちている最中なのにもう自分が血を流したような錯覚に襲われた。

「いい機会だ――死のう……」
 俺は無駄なあがきをせず、自ら死のうと試みた。

67:sango:2014/08/14(木) 21:44 ID:NFA

1度小説を書いても途中で気に入らなくなって続かない……
なんてバカなんだろう――うぅ。。。

68:sango:2014/08/14(木) 21:56 ID:NFA

ここは早く切り上げて次の新作に……))殴

――――――――――――――――――――――――――――
「おっまた美味しそうな寿命が……じゅるる〜」
 天界ではセブン伯爵が水晶玉を覗きながら心を躍らせていた。
「人間の寿命は亀や鶴より実に質がいい……早くこの少年の寿命も頂きたい」
 
 
 あぁ神様、殺してくれてありがとう――
 薄れゆく意識の中、自分でも訳の分からない事をもごもご呟いた。
 
 あぁ、遺書でも書いておけばよかったな……
 後悔に似た気持ちを抱きながら、目を閉じた。
 
 校庭の花壇で俺はきっと死ぬことができるようだ。

 
 ガッ――……!

69:sango:2014/08/15(金) 19:24 ID:NFA

 気を失ったはずなのに俺はいつの間にかマンホールの上に立っていた。
 血も垂れていない、体も痛くない。
 死ねなかったのだろうか――……

 でも矛盾点が多すぎて分からなくなる。
 何故学校の花壇ではなくマンホールの上なのか、何故怪我をしなかったのだろうか。
 
「……ここは……?」
 どうやら喫茶店『senens』の路地裏のマンホールだと分かる。
 物音一つしないし、大通りは誰もいない、不気味な空間……
 
 街全体が霧に包まれていて、店は全てシャッターが閉められていた。
 先を見据えるのも難しいくらい霧は強く、視界が遮られてしまう。

 死のうとした自分だ、もう何も怖くない。
 何か怪物が襲ってくればそれはそれで死ぬチャンスだ。

「どこだ……『sevens』の路地裏のはずなのに――ん!」
 俺はつぶやきを言い終わらないうちに、足の感覚が妙になったことに気付いた――

70:sango:2014/08/15(金) 19:38 ID:NFA

 気づくのが遅かったんだ。
 俺は足の感覚を失ったかと思うと、瞬きをした瞬間、もう海の中に入っていた。
「えぇっ」
 海と言っていいのだろうか。
 七色のグラデーションの水がどこまでも続いている。
 とにかく俺はそこにいて、腰まで浸かっていた。

 「俺もう死んだ……の、どうなるんだよ……」
 頭を抱えているうちに幻聴を聞くまでにもなった。
 幻聴か知らないが多分幻聴だろう。
 俺が保証する。

「面白い奴だな……自ら餌にされたがるなんて……くくっ」
 若い青年が嘲笑う声が反響した。
「誰だろう、聞き覚えのある声だ――」
「僕の声を聞いたことがある?それは面白い、ますます気に入ったよ」

71:sango:2014/08/15(金) 22:00 ID:NFA

ついに新作書いてしまいました。
http://ha10.net/novel/1408106442.html
こちらもできれば完結させます。


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