妖狐執事。

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1:柚季なつ ◆:2014/07/31(木) 01:16 ID:0PI




“1920年――

遠い国、インドでとある2人の孤児の少女が発見された。孤児ならば孤児院に預ければ良い話だが、世間はそうもいかなかった。何故なら彼女達はオオカミに育てられたオオカミ少女≠セったからだ。
そこであるキリスト教伝道師ジョセフ・シング≠ノ彼女達は保護、養育された。”

――という有名な話があるが、世の人々はこの事例の真実性には数多くの矛盾点がある≠ニ指摘し、やがてスキャンダラスな詐欺事件と称された。

だがしかし。現在の日本では逸話をも覆す怪異事件が起きていた。


「お嬢様!」

「お嬢っ!」

「ひよこ」

「あーもう、うるさい黙れ、このケモノがーっ!!」


ケモノ≠ニ称された数人の男達…妖狐執事≠ェ1人の少女の元に舞い降りていた。

2:柚季なつ ◆:2014/07/31(木) 01:32 ID:lSg




どうも、お久し振りの柚季です。


かつては若宮鈴音、もしくは千鶴という名前で執筆活動を行っており、この度再復帰させて頂きました。

さて、本題に移りまして今回の「妖狐執事。」ですがファンタジー物と恋愛物を交えた小説を書きたい…!と思ったところこのような異世界物語が出来てしまいました。一応読みはようこしつじ≠ナはなくあやかししつじ≠ニなっております。
また完結作「海恋/*」のように皆様に愛される作品を綴れたらなぁ…と心より申し上げます。


それでは波瀾万丈、百花繚乱な異世界物語をお楽しみください。

3:柚季なつ ◆:2014/07/31(木) 02:14 ID:ZBY




「お嬢様、今日はいかがなさいますか?」

「お嬢は俺と遊ぶんだよねっ!」

「ふん、ひよこは一生俺に仕えときゃいいんだよ」

「うるさいっ!」


かの三大財閥で最も世間で知られている家屋、小野寺家≠ナはある噂が町へ町へと流れていた。あのお屋敷には獣が住んでいる=A令嬢は気違いな人=cなどかれこれ約5年は絶えず絶えずと噂されている。そのせいあってかお屋敷には誰しも近付こうとはせず、さらには気味の悪い森の奥にただ一軒だけぽつんと建っているため世間からはほぼ忘れられている存在だった。逆に彼女達には好都合なのかもしれない。1人の少女と……6人のケモノ℃キ事にとっては。


「…ちょっと。ちひろが嫌がってるよ」

「大丈夫?ちひろちゃん」

「大丈夫じゃないです」


一定の刻にやってきたこの6人。海外赴任している両親からは特に執事を雇った≠ニいう知らせもなく、運命とも言うように突然現れた。理論的でクールな性格の狐神ハヤト(こまがみはやと)=A活発でおっちょこちょいな狐神環(こまがみたまき)=A少し俺様でドSな狐神暁(こまがみあかつき)=A落ち着いた雰囲気でミステリアスな狐神雫(こまがみしずく)=A重度の女の子好きだが心は優しい狐神奏(こまがみかなで)=Bあと1人は自分の部屋で寝ているであろう無気力系の狐神千歳(こまがみちとせ)=Bどうやら彼らは異種妖狐であろうとちゃんとした兄弟らしい。

4:柚季なつ ◆:2014/07/31(木) 22:55 ID:GI2




「おい、騒がしいぞ」

「…千歳くん!」


大きな屋敷の奥ゆかしいキラキラと輝く豪華なシャンデリアの下、轟音とも言える彼らの騒がしい声が旋回する中、ちひろの救世主であろう男、五男の千歳が今にも暴れまわりそうな鋭い眼光で彼の苛立ちを表すように頭をぐしゃっと掻き乱す。目付きが悪い故に若干態度も悪いが同年齢であるちひろの傍に近付いていけば無言で頭を優しく撫でた。…つもりだった。


「何かあったら俺のとこに来い。この疫病神の妖狐達に洗脳でもされたら大変だからな」

「あぁ?誰が疫病神だ。てめぇも一緒じゃねぇか!」


一瞬シンと静まり返ったかと思いきやそれは千歳の不快な一言でそこは修羅場へと化す。とは言えどもこれも毎回のこと。いつも千歳が何か言葉を口にすれば敏感な暁は反抗的な態度をとる。おかげで屋敷内は外の不気味な森の重たい風よりも不気味な風が流れる。もちろん窓は一つも開いていない。それでも生温い空気なのはやはり彼らがケモノである証拠なのだろう。そしてこの喧嘩の仲裁に入るのも決まってハヤトと環の役目。しかしいつも活発なだけの環では手に負えず、どちらかと言うとハヤトが全て片付けていることになる。


「2人共、やめなさい」

「そうだよ!お嬢が困ってるってば!」


元はといえばあんた達のせいでしょうが…≠ニ口にしてしまいそうになったちひろは危機一髪、両手でその口を塞いだ。自分の余計な一言でややこしいことをしたくないからだ。だからと言ってもここは家主の自分が何かしないと、とちひろは頭の中の思考回路をフル回転しながら答えを出した結果。

5:柚季なつ ◆:2014/08/01(金) 01:57 ID:GI2




「…おい、馬鹿ひよこ。何でこうなった」

「し、知らないわよ…」


只今の現在地、プール。彼女が導き出した答えが何故このような結果となったのかは最早誰にも解るまい。しかしここに正真正銘の馬鹿がいることを忘れてはならない。…そう。ただ一人、環だけは満面の笑みで「きっと頭から爪先まで全身を冷やせってことなんだよ!さっすがお嬢だね!」とフォローに回る。しかしこれは彼が理解した上での言葉ではない。ただの勘違い≠ゥら生まれた言葉だ。それを真っ先に察した雫がきつい一撃をひとつ。


「痛っ!酷いよ雫〜!」

「勘違いしてる環が悪い。それに、本当に全身冷やした方がいいのは環の方なんじゃない?」

「ははっ、雫、言うね〜。…さ、馬鹿は放っといて俺と遊ぼっか、ちひろちゃん」


雫、環が馬鹿をやっている中、女の子に目ぼしい奏が颯爽とちひろの方に駆け寄っていき、彼女の小さな肩を自分の傍らへと寄せては奥へ奥へと進んでいく。こんな身勝手な彼らが、しかもケモノが市民プールなどに来ていいものか。もちろん大問題だ。しかし身分を思い出せばそうでもない。何故ならこのプールは小野寺家の私物だからだ。ウォータースライダーつきの室内プール。さらには夜になれば星もよく見えるという絶好のプールであろう。

6:柚季なつ ◆:2014/08/01(金) 23:01 ID:LVE




「あ…いえ、私は…」

「そんなこと言わずにさ。ね?」

「は、はあ…」


プールサイドの豪華なパラソルの下、特に日が強く射している訳でもなく優雅にサングラスを掛け、布の面積は少なくともヒラヒラとしたレース状で鮮やかなパステルカラーが印象的な水着。その上スタイルも良ければ女たらしの奏から世の思春期を迎えた男達までもが黙っていないだろう。テーブルに置かれているソーダのジュースのコップの淵にはかわいらしくレモンが添えられ、よく見るとかさが半分まで減っている。先程までちひろが口にしていたのだろう。そのバカンス気分を過ごしていたところを奏に邪魔をされては元も子もない。ここは必死に拒みたいがまた厄介なことになっては気分を害されるので仕方なくついていくことにした。


「ちひろちゃんも大変だね。あんな奴らに振り回されて」

「あはは…でももう慣れました。最初はちょっと変な奴ら、って思ったけど結局私を救ってくれたのは彼らですし」


しかし予想は悪しきものとは違っていた。奏は遊ぼう≠ニ言っていたがそれは偽り。精神的に疲労していた自分のお嬢様への優しい気遣いだった。彼女へ向けた笑みも暖かな日溜まりのようで向けられたちひろの方もつられて笑顔になってしまう。しかし現実はさほど甘くない。女たらしであることには変わりないのだ。そして発言されたちょっと変な奴ら≠ヘちょっとどころではないがその後の救いの言葉に奏の体は身勝手に動き出す。

7:林檎:2014/08/02(土) 05:45 ID:o0k


面白そうだな…と思い覗いてみたら凄く面白くて何より文才力が凄すぎる…!!!!
プロ級ですよ、プロ級!!

環くん可愛いです〜(*^^*)
というかもうファンになっちゃいました!
なつ様ファンとしてこれからも応援してますっ、頑張って下さい!

更新楽しみにしてますね☆

8:Ruka:2014/08/02(土) 09:59 ID:H1.

おもしろいです!!!続き頑張ってください!

9:柚季なつ ◆:2014/08/02(土) 15:45 ID:ZBY




▼林檎 様

ご好意を持って頂き大変光栄です。いえいえ、そんな…大袈裟ですよ;

ファンだなんて…嬉しい限りです;;;

はい、応援有難うございます。頑張って更新させて頂きます。


▼Ruka 様

有難うございます。
頑張らせて頂きます…!

10:ふれあ◆EQ:2014/08/02(土) 15:59 ID:qZg




ふおぉ……っ…!神すぎます……っ…その文才力に憧れるまでですっ………!





もう覚えてないかも……ですけど…ふれあ…と言う名前で千鶴様のスレに参加しておりました、…






↑どうでもいいですね……
更新、大変だと思いますが頑張ってくださいっ!

11:柚季なつ ◆:2014/08/02(土) 16:28 ID:J/6




「救われた――?」

「…はい。五年前、初めてあなた方と出会った日よりも前のことです」




――――五年前。

当時、彼女はまだ十歳だった。学歴で言うと小学五年生になる。赤いランドセルを背に、現在とは全く異なった暗い表情(かお)を露に俯きながら歩幅を小さくして歩を刻んでいるのは学校の帰り道。ランドセルの柄の部分をぎゅっと握り締めているその両手には何もなく、誰もいない。その様子からするとある熟語が一つ、頭の中に浮かんでくる。


孤独


友達もおらず、ましてや先生にも相手にされないちひろは十歳にして孤独児だった。いや、十歳ではない。早ければもう幼児期から孤独児だったと言っても過言ではないだろう。その理由もとにかく理不尽だ。幼児期故に専属執事などおらず、この頃から両親は海外赴任で不在。非常に寂しい暮らしをしていた。彼女の歩く速度は一向に速まらないが行き先はどんどん森の奥のお屋敷へと近付いていた。すると。


『…っげ、ほんとに気味の悪い森だね』

『…………!?』


木が生い茂る中の左側から突然身も顔も知らない男の子が現れた。見たところちひろと同じくらいの年齢だろう。生後から両親以外の者に話し掛けられたことがなく、ちひろは胸に高鳴る鼓動を抱えながら若干退けつつ焦りだす。…が、そんな不安も闇に消えていくように目の前に手が差し伸ばされた。


『独りが寂しいなら…僕と一緒に遊ぼうよ』


その手はただ小さな男の子の華奢な手ではなく、彼女にとっての救いの手=Bいつの間にか不安も消え、それと共に好奇心と嬉しさが芽生え、差し伸ばされた手をゆっくりと取れば彼は笑顔で応える。今まで誰一人いなかった友達が出来た瞬間。貴重な瞬間で大切な瞬間。それからと言って彼は毎日遊びに来るようになった。

12:柚季なつ ◆:2014/08/02(土) 20:07 ID:dcU




>>10 ▼ふれあsama


いえいえ、そんな大袈裟ですよ〜;;憧れては不可解なことになりかねないですよ;


おやおや、もしやふーちゃん…?ふーちゃんでしたらちゃんと覚えてますよ…!



はい、有難うございます、頑張らせて頂きます*´`

13:柚季なつ ◆:2014/08/02(土) 21:44 ID:ZBY




「そして…私は彼に恋をしたんです」


お屋敷に着いては鬼ごっこからかくれんぼ、だるまさんが転んだなど子供染みた遊びをする。それがたった二人だとしても。それだけでなく外に出ては砂遊びをして泥だらけになったり、彼女は初めて子供らしい遊びを知った。…が、楽しい夢物語も序盤だけ。ある日突然さっぱりと言ってもいいほど彼が現れなくなってしまった。しかしもう一人ではない。この大切な思い出をなくさないようにちゃんと毎日日記に綴り、今も大切に保管している。恋心を抱いた相手の男の子はとても優しくて向日葵のような暖かな笑顔の男の子。だが名前は知らない。それでも彼女にとっては大切な男の子なのだ。


「へぇ…そんなことがあったんだ。で、その男の子は?」

「………………」

「恋した相手は名前の知らない男の子、か…」


奏の質問に対し、哀愁漂う表情を見せ、俯きつつも大きく首を振ってみせる。どうやら未だ名前も在所も分からないらしい。それを察した奏は空気を読んで言葉を呑む。辺り一面は太陽ひとつで照らされた水面(みなも)。微かに透き通ってくる風が流れ、水面に映る自身がゆらゆらと揺れている。そこで奏がゆっくりと口を開いた。


「じゃあさ。今度はちひろちゃんの番だよ」

「へ?」

「その男の子はちひろちゃんを探しにあの森へやってきたんだろう?それなら逆にちひろちゃんが探しに行けばいいんだよ」


なんとも言えぬ提案にちひろはぽかんとする。お姫様を探しに来た白馬の王子様を今度はお姫様が探しに行く。シチュエーションとしてはかなりロマンチックかもしれない。しかし何の情報も手元にない今、探しようがない。…いや、ひとつだけある。





「――…俺達の嗅覚≠ナね」

14:柚季なつ ◆:2014/08/04(月) 01:28 ID:Y/A




「そっか…奏さん達の嗅覚に頼れば…!」

「そ。もしかしたら見つかるかもしれない、ってワケ」


ピンときたように拳を手の平に当て、この方法が一番安易であろうと目の前の暗黒の絶望が光明の希望へと一変する。しかし最も近接的な奏のウインクは余計だったらしく、顔を退きつつ結託の笑顔を交わしあった。そこで彼らの元へ一旦戻り、真剣な眼差しであの思い出を語り一通り決心をさせたところで狐神兄弟の内、誰が人を探求するに故相応しいかちひろの昔ながらの直感というごく一般的な能力で言い当てる。一か八か、頭上からゆっくりと振り下ろされた腕と指先を一定の方向へ翳した。


「えっ…俺!?」


翳されたのは赤髪で狐属性の環。あまりの驚き様に己の耳がひょこっと姿を現した。きっとちひろに頼られた、という歓喜と自分も頼られるんだと頼りないことを自覚していた上での突出なのだろう。…が、あくまでもそれは直感での選出。幼い子供のようにはしゃぎ回る環も天国を味わえるのは今の内だった。


「…と、千歳くんね」

「はぁ!?なんで白狼(ホワイトウルフ)の野郎なんだよ!!」

「さすがの私も少し納得がいきませんね…」


皆がプールで至福の一時を味わっていた中、未だ屋敷で体を横にしている狼属性の千歳が環と選出された理由。ちひろが言うにはこう。環は狐神兄弟の中でも嗅覚がよく効く方だがあれほどの馬鹿では何かしでかすに違いない。その為に嗅覚も身体能力が最も優秀な千歳を配属した、と。確かにその方が探求力もぐんと高まるだろう。恐らく今ここで誰が選出されても必ずや千歳も一緒に就けられる。ならば千歳だけでも良いではないか、と誰もがそう思うだろうがその方法はあまり効果的ではない。それは屋敷に棲む皆が既に承知していること。あの無気力な彼だけに任せては探求どころではなくなるからだ。簡潔に言うと、すっぽかしてその場を立ち去るに過ぎないということだ。

15:柚季なつ ◆:2014/08/04(月) 01:39 ID:LVE




▼.訂正


失礼ながらも白狼(ホワイトウルフ)≠銀狼(シルバーウルフ)≠ノ変更させて頂きます。

誠に申し訳ございません。以降このようなことがないように忠実に執筆していきます。無駄レス失礼しました。

16:柚季なつ ◆:2014/08/05(火) 01:34 ID:RbM




「そもそも、千歳はそんなにあっさりとちひろの言うこと聞くかまだ分からないよ…」

「心配ないさ。自分では気付いてないだろうが恐らく、彼女を一番に想っているのは千歳だよ。悔しいけど、ね」






――…時は流れて夜。

獣である夜行性の彼らが一番活動しやすい時間帯だ。もちろん辺りは真っ暗。四方八方どこを見渡しても瞳に映るのは淡々と生い茂った森々だけ。蛍光灯などの灯りもなく、ちひろが手に持つ懐中電灯だけを頼りに一歩一歩と歩を刻んでいく。そっと耳を澄ましてみればまるでどこかで鈴の音が奏でられているように鈴虫の鳴き声が聴こえる。風は時が流動する如く、ゆっくりと流れ、遥彼方空の向こうでは星が瞬き、外の世界は夏の自然でいっぱいに溢れている。名も知らぬ男の子を探す手掛かりとなったのは幼少期、屋敷で共に遊んでいた頃の錻の玩具。所々、黴が増殖しているがそれも思い出の痕跡のひとつ。彼の匂いは十分と言って残ってはないだろうが微かな匂いを鼻で覚えた環と千歳はどんどんと森から遠く離れていき、街の一般市民に不快に思われないようにと建物を下にし、千歳は銀狼の状態で背にちひろを乗せ、ビルからビルへと跳び乗り駆けていく。


「んー気持ちの良い風…協力してくれてありがとね」

「環一人じゃお前に危険が及ぶから仕方なくだ」

「何それっ、俺だってちひろの役に立つもんね!」

「はいはい、環も役に立ってるわよ…」


前列にいる千歳の痛々しい台詞に後ろから慌てて追いかける環がカチンときたのか今度は暁の代わりとでも言うように涙ぐましながら身勝手に威張り出す。まったく短気なものでご主人様でもあるちひろは呆れるように大きく溜め息をひとつ吐いた。すると彼女の頬に一筋の涙が伝った。


「ちひろ…?泣いてるの?」

「ううん、これは…雨…」


涙だと思い込んでいたのは突如降ってきた大粒の雨。雨が降ってきては匂いも消え、これ以上散策することは不可能だと急いで建物の物陰に隠れ、環と千歳は人の姿に戻り大粒の雨に打たれながらも街の中を歩く人々に紛れて歩くことにした。が、ちひろから伝わってくる様は一気に込み上げてきた不安で包まれているかのようにとぼとぼしている。

17:林檎◆i6:2014/08/05(火) 03:39 ID:o0k


更新されてる…!!

相変わらず凄く綺麗な描写です.。o○
よかったらなつ様の他の作品も読んでみたいのですがいいでしょうか…!?
ぜひぜひ勉強させてほしいのです!!

18:柚季なつ ◆:2014/08/05(火) 03:58 ID:xMo




>>17 ▼林檎 様


こんな時間まで起きていらっしゃったとは…私もですが遅くにご苦労様です。

いえいえ、とんでもないです。私の作品なんかで勉強になどならないと思いますが一応「海恋/*」という作品を完結させております。その他の作品については申し訳ありませんが申し上げることは出来ません。

http://ha10.net/test/i.cgi/frt/1406741441/に書いておきますのでご覧ください。


――――――
―――――

レスが勿体なくなるのでコメ返しに踏まえて少し宣伝らしき紹介をさせて頂きます。以下URLでは小説板で執筆されている作者様達のプロフィールというものを書いて頂いております。皆様もよろしければ是非…、

http://ha10.net/test/i.cgi/pr/1369552267/

19:柚季なつ ◆:2014/08/05(火) 20:27 ID:R4A




「……ろ、ちひろ」

「は、はいっ」

「大丈夫?顔色悪いよ」


雨に打たれて風邪を引かないようにと環が身にしていたパーカーをちひろに頭から羽織らせる。フードからちらっと覗くちひろの小さな顔は蒼白で、血色もほとんどなく疲労困憊で窶れてしまったかのように元気を失っていた。やがて雨も次第に強くなりパーカーは水をたくさん吸水したせいか赤色が元より濃くなってしまっている。さぞかし体に重々と負担が掛かっていることだろう。そこで千歳はどういう訳か環に先に帰っておけ≠ニ命令口調でそう告げ、どうにも出来ない環は彼に従って壁を伝い、この現状を報告がてら俊敏に此処を後にした。
環が帰って行ったのを見境に、彼女の声色と表情に苛立ちを覚えた千歳がちひろの両手首をぐっと掴み、側の建物の壁に押し付ける。突然の出来事に鼓動が跳ねたちひろの心を諭し、迅速に彼女の唇を奪った。


「ちょっ…千歳く――」

「んな馬鹿みたいな面下げてんじゃねぇよ」


彼の台詞にちひろは、はっと我に返る。言葉通り確かに馬鹿みたいだ。たかが想い人、されど人探しで他のことなど全く頭に入っていなかった。思考回路は全て自分の為。周りのことなど何も気にかけず、ずっと自分のことだけを気にしていた。まるで自分の世界に入り込んでしまった無限ループだ。しかも己は何もしていなくて。迷惑が掛かっているのは環と千歳の方で。パーカーの重力など当に忘れ、心の重さを感じたちひろは己の弱さに溢れ出る涙が止まらなくなった。


「私……ごめんなさいっ…自分のことばっかり…っ」

「お前が辛そうな顔してると俺も辛いんだ。頼むから…一人で痛みを背負うな。俺にもお前の痛みを分けてくれ…」


辛く、心の痛みを共に感じたい、彼女の痛みを一緒に背負いたい、その思いが彼女の心を動かした。今まで無表情だった千歳の表情も漠然とした哀愁漂う表情に変わっている。好きな女の為ならここまで変われるんだ、と思う暇もなく、こくりと大きく頷いたちひろの優美な蝶々のような綺麗な顔。黒真珠のように円らな瞳で吸い込まれ、もう一度。




――…キスを交わした。

20:由梨:2014/08/05(火) 20:43 ID:dcU

あああっ...涙が...
ずっと影で読んでました...!!
ふれあさんや林檎さんのようにすごく綺麗な描写で引き込まれます...!!

21:柚季なつ ◆:2014/08/06(水) 01:03 ID:dcU




>>20 ▼由梨 様


隠れてないで出てきてくださっていいんですよ〜
お褒めの言葉、有難うございます。嬉しい限りです。

22:柚季なつ ◆:2014/08/06(水) 11:56 ID:xMo




「あ……、」

「どうした」

「あの子っ…!」


ちひろが見つめる先にいたのは白髪の高身長の男。見た目は高校生ぐらいだろうか。しかし随分と大人びている。高身長故にスラッと長く伸びた脚。遠くから見ていても背筋が伸びているのが分かる。彼から漂う誘惑的な美に何故か懐かしさを感じ、自然と視線を奪われる。初対面のはずなのに、惹かれてしまうこの感じはまさにあの頃≠ニ同じだ。
大雨のせいで洪水にでもなってしまいそうな水増し具合なのにも関わらず、ちひろは千歳を軽く押し退ける。懸命に追いかけるその足は水が跳ねる音を発て、いつの間にか彼の真横に立っていた。


「ん…?」

「っ…………!」

「お前…もしかして…」


やはりそうだ。特有の直感は外れることなく見事的中していた。雰囲気は昔と違っているが間違いない。彼はあの男の子≠セと一瞬にしてそう思えた。今までずっと想い続けてきた想い人を間違えるはずがない。
恐らく彼の方も既に気づいているだろう。彼の力強い瞳に数秒、見惚れつつピンク色に染まった頬を露にし、あまりの出来事にちひろの体は硬直してしまっていた。
だが、驚いたのは彼らだけではない。


「千景…?」

「へぇ…なんだ…千歳と一緒だったのか」

「え…知り、合い…?」


千歳の口元からぼそっと零れたある一言は彼の名前らしき言葉。予想外の出来事にちひろの緊張はほどけ、それと共にある疑問が生まれた。何故千歳が彼の名前を知っているのか、そして彼も何故千歳の名前を知っているのか=B
まるでこれは運命かのように与えられた三人の時間。それは端から見れば三角関係とも言える刻の歯車が今、動き出す。


「知り合いも何も…俺達は兄弟だからな。なぁ…兄さん=H」




動き出した刻の歯車は予想だにもしなかったことで。正常に時計回りに動いていた歯車が今――…、


逆方向に動き出した。

23:柚季なつ ◆:2014/08/11(月) 18:04 ID:xMo




「にい、さん…?ってどういう―――…」

「久し振りだね、ちひろ。もう十数年経つのかな?」

「あ、うん…」


口に刻んだ言葉を遮られたちひろに穏やかな優しい声、表情が向けられる。何とも言えぬ懐かしさにフラッシュバックした過去の思い出は彼に重ねると見た目はともかく面影ははっきりと残っていて、円らな瞳からは自然と涙が零れた。そしてその驚きと共に動揺を隠せず思わず片言になってしまう。再び出会えた嬉しさとこの十数年ですっかり大人な男性に変わってしまったどよめき。彼女の鼓動が高鳴るにつれ、心も流されるように揺らぎ、千歳の心だったものを一瞬にして千歳の弟を名乗る彼に奪い去られてしまった。
…本題はここからだ。彼が口にした言葉。『知り合いも何も…俺達は兄弟だからな。なぁ…兄さん=H』発せられた言葉の後ろにつけられた、疑問符。疑問文なのは千歳の己の強さを確かめる為だろう。では何故己の強さを確かめる必要があるのか。それは後々分かることだろう。


「…今更何のようだ?」

「やだなぁ、兄さん。可愛い弟との再会だっていうのに…」

「ふざけるな。いい加減その小芝居をやめろ」

「ちッ…、せっかく面白かったのになぁ…お望み通りにしてやるよ、クソ兄貴=v

「え……?」


兄弟らしからぬ飛び交う台詞にやがて小規模な冷戦が終わったかと思えば。先程とは違った、柄の悪そうな雰囲気の彼が姿を現した。
辺り空一面は彼のステージを作り上げたかのように曇天で重たく、空から押し寄せてくる過激な圧力は彼の鋭い瞳と酷似していて。
やっと本性を現したか、と千歳の無気力だった表情も固く真剣なものへと変わっている。2人が睨み合うその僅かな隙間にちひろが無理矢理入ってみせた。


「じ、事情はよく分かりませんが兄弟喧嘩はよくありませんよ…!」


あまりの迫力に思わず敬語になってしまうほどで、怯えきった表情から下半身は目で見てはっきり分かるほど震えている。端から端までいっぱいに広げられた両手は何としてでもこの喧嘩を制さないと、という思いで溢れていた。しかし未だにこの現状を理解できていない。込み上げてくるのは恐怖と不安だけ。もしかしたら殴られるかもしれないという思いも次第に闇のように広くなっていた。

24:織奈◆uw:2014/08/11(月) 18:57 ID:Y/A

おんなじID…!?
葉っぱではよくIDおんなじ人がいると聞きましたがまさか本当だったとわ…
というか最初からすごく面白いし言葉遣いも丁寧で尊敬します!

25:匿名希望:2014/08/11(月) 19:11 ID:/k6

なんか読みづらいな

26:匿名希望:2014/08/11(月) 19:16 ID:/k6

句読点の位置と改行の入れる場所がクソ
話自体の方向性と選ぶべき言葉と語尾も合ってない

27:柚季なつ ◆:2014/08/11(月) 19:47 ID:dcU




>>24 ▼織奈 様


あら、同じIDでしたか…携帯から来ているもので分からないんですよね。お褒めの言葉、有難うございます。



>>25-26 ▼匿名希望 様


読んで頂き、有難うございます。読みづらいことは私自身もよく分かっているのですが携帯から来ており、携帯画面仕様にわざと書いておりますのでその点に関してはご了承ください。
率直な意見、大変感謝致します。仰る通り句読点の使い方が未だ苦手なんですよね。改行に関しても上記と同等です。私もまだまだということですね、しっかりと内容に合った言葉を選び、改善していこうと思います。

有難うございました。

28:林檎◆i6:2014/08/22(金) 05:44 ID:o0k

更新待ってます!

29:sango:2014/08/26(火) 20:49 ID:NFA

Twitter見てたら葉っぱ天国で小説を書いているとあったので
来てみました

文章が細かく書いてあっていいと思います^^


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