あ・そ・ぼ

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1:せあら:2014/09/04(木) 17:54 ID:ZRo

夕方の涼しい風が、少女の髪を揺らした。
4歳とは思えないほど怪しい笑みを浮かべながら、少女は歩き続ける。
白いワンピースをなびかせながら、少女はトラックの前に倒れこむ。
グチャグチャという奇妙な音が聞こえた瞬間、少女の意識は途絶えた・・・

少女は死んでしまった。
しかし、この少女の死がこれから何世紀にもわたって人々を苦しめることになるとは、
まだ、だれにも分からなかった。

2:せあら:2014/09/06(土) 10:44 ID:ZRo

ペタ……ペタ…ッ
「……キャハハッもー何それぇ〜」
「ぶー だって、あたし、化学嫌いなんだもーん!」
「だからって、そんな……」
「ン?どーしたの?友……」
「れっ……あれっ……」
「あれ?何?あれって……」
と、友が指し示すほうを見ると、そこには、まだ、5歳にもなっていないであろう、
小さな女の子が独りポツンと立っていたのだ。
「あれ、ふつーの女の子じゃん。お兄さんかお姉さんを迎えに来たんだよ。きっと」
「ちっ違う……よく見てっ美夏!!」
「もー何よー」
と、言いながら、友の言うとおりによく見てみると、何かがおかしい感じがした。
赤いワンピースを着てると思ったら、
その赤が、裾から滴り落ちている。
それに、手足も真っ赤だし、裸足だった。
「も、もしかして……あの赤いの……血……?」
「もしかしなくてもそーだよっ!!美夏、逃げよう!!」
怯えながら、生徒玄関に向かって走って行く2人を、その少女は冷たい目で見つめていた。
「ドコニモ、イカセナイ……」
小さな口から暗く、陰気な声が、聞こえたかと思うと、その少女は消えてしまった……

3:せあら:2014/09/06(土) 20:01 ID:ZRo

バタバタッ……ドンッ
「わっ!!ごっごめんなさい!」
「あっ!穂香先輩!にっ逃げてくださいっ!あそこに変な女の子がいるんです!」
「落ち着いて。どうしたの?友ちゃん、美夏ちゃん……」
「あそこ!見てください!!」
「え?……別に、何もないけど……?」
「え?そんなはずは……」
と、先輩の言うとおりに後ろを振り返ってみると、先輩が言ってたように、
何もなかった。
「あ、あたし達、助かったんだぁ〜」
「ヒグッうっあああぁぁ〜」
安心感と共に、2人はその場で泣き崩れてしまった。
「え……?ちょっちょっと、大丈夫?2人とも……」
いきなり泣き崩れる後輩二人を前に、困惑した表情を見せる、穂香。
「すびまぜん……ッ」
「うっうっ……」
まだ泣き続ける二人の背中をさすりながら、穂香達は立ち上がった。
「大丈夫よ。もう、安心して?」
そう言い、にっこりほほ笑む穂香を見て、本当に、穂香がいてくれてよかったと思った。
「さあ……もう、帰れるでしょう?」
「はっはい……ありがとうございました」
「本当に、ありがとうございますっ!!」
「うふふっいいのよ。困ってる子を、ほっとけないでしょう?じゃあ、またね」
「はい。さようなら!」
「さよーならー」
後輩2人を見送った後、穂香は途端に無表情になった。
空に目を向けると、血の様に真っ赤な夕日があった。
まるで、あの少女が死んだ時のような……
ふっと、視界の隅に、赤いものが映った。
それは、あの少女だった。
少女をにらみつけながら、穂香は言った。
「赤い少女……」
ふっと、少女と同じ笑みを浮かべ、穂香は校舎に向かって歩き出した。

4:せあら:2014/09/09(火) 21:19 ID:ZRo

コツコツ……コッ……
「私に、何か用なの?」
薄暗い廊下を振り返って、穂香は言った。
「何か、言ったらどうなの?黙って見られても、気持ち悪いんだけど」
後輩と話していた時とは、真逆の鋭い目つきを「赤い少女」に向けている。
「……デ……ノ……」
「何?ハッキリ言いなさいよ」
「ナンデ……ワカルノ?」
「何で?そんなの、あんたが一番解ってるんじゃないの?」
「ワカラナイ……ワカラナイノォォォォォォ!!!」
「落ち着きなさい。も……」
「何!?今の声!?」
「あ、先生。大丈夫ですよ。何もありません」
「あ……そう。なら、いいんだけど」
そう言い残し、先生は去って行った。
「赤い少女」の方を見ると、もう、いなかった。
「……」
コツコツコツ……
「ノロッテヤル」

5:桜音:2014/09/09(火) 22:33 ID:.sg

面白いですね!続き楽しみにしてますね!

6:せあら:2014/09/11(木) 18:20 ID:ZRo

ありがとうございます!

7:せあら:2014/09/11(木) 18:39 ID:ZRo

穂香は、夢を見ていた。
夢の中でも学校にいた。
今は、数学の授業だろうか。
先生が黒板に書いた数式を、皆一様にノートの書き写している。
その中には、穂香の姿もあった。
「じゃあ、この問題分かる人ー」
「はい」
穂香はまっすぐに手を上げる。
「じゃあ、二ノ瀬さん」
「はい」
返事をし、黒板に数式を書こうと席を立った瞬間―
ガダーン!!
「きゃあああああああああ」
「いやぁぁ!!」
大きい地震が起き、生徒は大混乱を起こした。
そして、棚が倒れてきたり、電球が割れたりしていた。
だが、その揺れはすぐに収まった。
「あっ放送は!?」
「あ、そういえば流れないね……局所的な揺れだったのかなぁ?」
「皆さん落ち着いて!!授業を再開します。席に着きなさい」
ガタガタ
だが、地震が起きる直後、穂香は確かに見たのだ。
「赤い少女」が、こちらを向いて、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべているのを……
そして、「赤い少女」がこちらへ向かってきた瞬間、穂香は目が覚めた。

8:桜音:2014/09/11(木) 19:32 ID:pH6

怖いですね…!
こっちに来て目が覚める…
続き楽しみにしてます!

9:せあら:2014/09/11(木) 20:03 ID:ZRo

頑張ります☆

10:せあら:2014/09/11(木) 20:24 ID:ZRo

「……夢……」
ベッドから体を起こすと、酷く頭痛がした。
「いったあぁぁ・・・」
そして、制服に着替える。
いわゆる、セーラー服だ。
そして、カバンをつかみ、1階へ行き、自分で食パンを焼く。
その間に、顔と歯を洗ってくる。
パンが焼きあがり、家を出る。
今日は、木枯らしが吹く、とても寒い日だ。
「さむ……」
その時―
ペタ……ペタ……
―誰?
誰だかは、よく分からないが、ここにいては危ないという事を本能が知らせていた。
ダッ
穂香は、とにかく走った。
学校までの道のりが、やけに長く感じられた。
「はっ……はぁっ……」
学校につき、穂香は教室に転げ込んだ。
だが―

11:桜音:2014/09/11(木) 22:56 ID:LlY

だがー
なんですか〜
何があったんですかー!?

12:せあら:2014/09/12(金) 20:04 ID:ZRo

教室には、誰もいなかった。
教室だけじゃない、外にも、鳥すらいなかったのだ。
「何で……」
コートの裾をぎゅっとつかみながら、震えていた。
ペタ……ペタ……
「ねぇ、お姉ちゃん。遊ぼう」
バッと穂香は反射的に振り返った。
そこにいたのは、「赤い少女」。
「あ……あ……」
穂香は怖くて震えてるのではない。
何故か、前会った時よりも、雰囲気が怖いような気がして―
「こっ来ないでよ!!」
とっさに近くにあった黒板消しを「赤い少女」の頭部めがけて振り下ろするけれど、
「赤い少女」には全く効果がなくて……
それでも何度も何度も殴りつける。
けれど、「赤い少女」の右手に阻まれてしまった。
「お姉ちゃん、これ、なんて遊び?
 次は、私の番だよね」
そして、黒板消しを私から奪い取り、
そのまま心臓部めがけて振り下ろす。
グチャッ
という何かがつぶされたような音が聞こえて、私は死んだ。

13:せあら:2014/09/13(土) 12:43 ID:ZRo

目を開けると、知らない空間が広がっていた。
穂香はゆっくりと体を起こすけれど、頭がぼんやりとしていて
何も考えられない。
「お姉ちゃん」
後ろから、かわいらしい女の子の声が聞こえてくる。
振り返ると、真っ白なワンピースを着た小さな女の子が立っていた。
「お姉ちゃん、私と一緒に遊ぼう。そうしないと、お姉ちゃんは元の世界に帰れない」
「何が……?」
だんだん頭がはっきりしてきて、この少女が「赤い少女」
だと穂香は断定してしまった。
「なっ何で!?赤……赤……」
「大丈夫だよ。私はあの子のお姉ちゃん。桃子ちゃんに殺された魂を維持するために、私はお姉ちゃんと遊ぶだけだから」
「お姉ちゃん?桃子の……?」
「うん。あ、私の名前は葉子。よろしくね」
「う……ん……それで、何して遊ぶの?」
「それはねぇ、かくれんぼだよ。1週間以内に葉子を見つけられたら、解放してあげる」
「かくれんぼ?うん……別にいいけど……」
「よしっ!契約成立!じゃあ、葉子が助けられるのもここまでだから、
 頑張ってね。お姉ちゃん」
そう言うと、葉子は走り去ってしまった。
「あははっおーにさーんこーちらここまでおーいで!」
一気に穂香は走り出した。
「キャハハハ!お姉ちゃん、こっちだよーはーやーくー!」
「ハァッハァッ!」
「おっ!近いよ近いよ!お姉ちゃん」
そういう葉子の声は、明らかにかくれんぼを楽しんでいる様子だった。
そして、つい後ろを振り返った時に―
葉子はいた。
「あー……見つかっちゃった……」
「見つけたよ……葉子……」
「お姉ちゃん凄いね。今まで誰も見つけられなかったのに、
 お姉ちゃんは、たったの2時間で見つけてくれたんだから」
「ずっと、私の後ろにいたの?」
「うん。まーねー。さっそんなことより早く帰らないと、空間のゆがみがひどくなっちゃうよ」
「ん……ありがとうね。葉子。葉子、私が桃子のお姉ちゃん名の知ってるんでしょ?」
「うふふっ当たり前だよ。私のお姉ちゃんなんだからね。
 あとは、任せたよ。お姉ちゃん」
「うん。バイバイ!ありがと!葉子!!」
「うん。またね。お姉ちゃん」
そういい、泣いている私の前で葉子は手を2回たたいた。
私は確かに感じた。ザラッと地面が崩れてゆく感触を。
意識が遠のく中、葉子の笑顔を見つめながら……
私の世界は暗転した。

14:せあら:2014/09/14(日) 14:12 ID:ZRo

「穂香さん!穂香さん!起きて!!」
「ん……先生……」
目を開けると、こちらを心配そうな顔で見つめる先生の顔があった。
「よかった!あなた、生徒玄関で倒れてたのよ」
「え?そうだったんですか……」
上半身を起こすと、ここが保健室だという事が分かった。
「あら、起きたの。貧血よ。あなたちゃんと食べなきゃだめよ」
「あ、はい。すみません」
「もう、顔色もいいし、帰ってもいいわよ」
「え?今何時ですか?」
「6時よ。早く帰りなさい」
「あ、はい」
保健室の先生に三上先生と一緒にお礼を言って、1人廊下を歩いていた。
カバンを教室に取りに行って、帰ろうとしたら、
不意に呼び止められた。
「お姉ちゃん」
「あ、桃子……」
「お姉ちゃん、バイバイ」
「うん。バイバイ。桃子」
桃子と交わした言葉はそれだけだったが、何か、その一言、「バイバイ」
には、深い意味があるのかもしれない。
私は、安心して家に帰り、そして、いつものように眠りについた。

―その夜
穂香の家のリビングにあるテレビが、ひとりでについた。
辺りを包む、静寂と、深い闇を切り裂くように、砂嵐の画面が付く。
その中には、「赤い少女」の姿が。
「ふふふっあははっ」
不気味な笑い声だけが響く。
「あそぼ」
その直後、プツンと画面が切れた……

                 END

15:せあら:2014/09/14(日) 16:18 ID:ZRo

私の初小説が終わりました。
私は基本的にホラー小説を書いているので、苦手な方は、
ご用心なのですwww
という事で、これからもどうぞよろしくです。
あと、気づいている方もいらっしゃるものかと思いますが、
ほぼ、ハッピーエンドでは終わりませんww

次は、鏡の怖いお話を書いてゆきたいと思います。

16:せあら:2014/09/15(月) 08:38 ID:ZRo

ねぇ、大鏡の噂知ってる?
鏡に向かって、お願い事を言うとね、どんなお願い事もかなうんだって。

(だっ大丈夫……)
震える足を、バシリと叩き、白井 栞那はため息をついた。
ここは、西棟の東階段。1階から2階へ上がる階段の、踊り場にある大鏡。
これが、噂の大鏡だ。
夜中の3時に大鏡の前に立ち、鏡子さんを呼び出して、お願い事を言い、最後に自分の名前を言うと、どんなお願い事も叶えてくれるおまじないらしい。
栞那は鏡の前に立ち、手を合わせて、「鏡子さん鏡子さん、私の願いを聞いてください」
と言い、目をつむった。
「私を呼んだのは、あなた?」
女性の声がした。
目を開けると、外見こそは栞那そのものなのだが、声は全く違っていた。
「は、はい。私です。私の願いを聞いてください!」
「ふふっいいわよ。言ってみなさい」
「はい。私の願いは、神山 梨音を消すことです!」
それまで無表情だった鏡子さんの顔には、薄笑いが張り付いていた。
「うふふ……もちろんいいわよ。約束を破る友達なんか、いない方がいいものねぇ」
え……何で、そんなことが分かるの?
私、何も言ってないじゃない……
たしかに先週、梨音と栞那は親友だった。
それに、「ずっと、友達だよ!」
と、何よりもうれしいことを言ってくれたのも、梨音だった。
なのに、今では梨音も栞那を虐めるグループの一人。
そんな梨音のことを、栞那は強く憎み、恨んだ。

「じゃあ、本当に消すわよ。いいのね?」
「あ……やっやめっ」
「神山 梨音を消去するわ」
栞那の返事も待たずに、そう、鏡子さんが言った瞬間、ぶわっと強い風が吹いた。
「約束通り、消去してあげたわ」
そう言い残し、鏡子さんはいなくなってしまった。
「あ……りお……梨音……」
力なく床にぺたんと座り込んだ栞那をあざ笑うかのような闇夜。
「梨音……梨音……」
そう、永遠に呟きながら、栞那は家へと帰った。

17:せあら:2014/09/15(月) 16:29 ID:ZRo

ガラッと、教室のドアを開けた美衣菜に1番に話しかけてきたのは、友達のあげはと葵だった。
「あ、ミー!あのね、梨音知らない!?」
「え?梨音?知らないよ」
「やっぱり、梨音居なくなっちゃったんだ……」
「え……?梨音がどうかしたの?」
「あ、それがね、梨音が今朝からいないんだって。梨音と一緒に登校してた、悠ちゃんが言ってたんだから、間違いないよ」
「そうなんだ……ン?そういえば、栞那ちゃんも居ないよね」
「あ、ホントだ。でも、栞那って虐められっ子だったし、不登校になっちゃったんじゃない?」
「んー……それもあるかもね。ってか、ミー何でそんな大荷物なの?」
美衣奈の事を、皆は、ミーと呼ぶ。
「あ、コレ?昨日先生に仕事頼まれちゃってさ、だから」
「うっわーミーも大変だねー」
「そんなことないよ」
「ほらー席ついてー」
「ヤバッ!」
「皆さんに、大事なお知らせがあります。神山さんが、今朝、行方不明になりました」
先生の言葉に、教室が騒がしくなった。
「静かに!あと、もう一つ、白井さんが、精神病院へ入院することになったので、しばらくは、学校に来ません。あと、明日から休校になります。今日は、午前授業で、自習にします」
そう生徒に言い聞かせ、先生は教室から出て行った。

18:うみ:2014/09/17(水) 20:24 ID:dRE

こ、怖かった...

19:せあら:2014/09/18(木) 18:58 ID:ZRo

どうもです!

20:せあら:2014/09/20(土) 19:56 ID:ZRo

ザワッ
「え、何?行方不明って……」
「それに、栞那が入院って……」
「ねぇ、ミーはどう思う?」
あげはが国語の教科書を開いていた美衣奈にそう聞いた。
「んー……私、ちょっと気になることがあるんだよね」
「えっ!何々!?」
「あのさ、大鏡の噂知ってる?」
「あー知ってる!あの、願い事がどうとかでしょ?」
「うん。もしかしたら、栞那ちゃんも、アレにお願いしたのかもしれないね」

21:せあら:2014/09/21(日) 17:37 ID:ZRo

「え……鏡子さんに?」
美衣奈よりもオカルトに詳しい葵が言った。
「うん。だからさ、今日の放課後、大鏡の前に行ってみようと思うんだよね」
「えー!あたしもいくー!」
「分かった。じゃあ、一緒に行こう」
こんな感じで、美衣奈、あげは、葵の3人で行くことになった。
「うー……皆〜もうかえろーよぅ……」
大鏡のところに来て、10分もしないうちにあげはが言った。
「何言ってるの。今来たばかりじゃない。帰るなら一人で帰れば?」
美衣奈はこの3人で1番背が低くて可愛らしいのに、何だかとても大人っぽい。
「ミーのイジワル!」
「何とでも言えば。まったく……葵、この鏡外せる?」
「うん。大丈夫みたいだよ」
「了解。ほら、あげはも手伝って」
「分かったよー」
何とか鏡を外してみたけれど、やっぱりそこには何もなくて。
そんな簡単に何か見つかるわけじゃないんだな、という事を美衣奈は改めて痛感した。
「うーん……じゃあ、今日の夜、行ってみようかな」
「はぁっ!?ミーダメだって!」
「うん。あげはの言うとおりだと思う。それはさすがにやばいよ」
2人がすかさず止めたが、美衣奈は首を横に振った。
「私は、どうしてあんなことが起こってしまったのか知りたいの」
「いや、でも……」
「じゃあ、私達も行く!」
「え、いいの?」
「当たり前だよ。私もどうしてそんなことになったのか知りたいし」
「よしっ!じゃあ、皆で行こう!」
「ちょっとー勝手に話し進めないでよー」
慌てて二人の間に飛び込むあげはも、何だかその顔は嬉しそうだった。

22:せあら:2014/09/22(月) 13:27 ID:ZRo

―夜
「しーっあげは、あんまり大きい声出さないでよ」
「だって怖いんだもん……」
「もー!しょうがないなぁ。私の肩につかまっていいよ」
「ホント?ありがと、ミー」
美衣奈の腕に自分の腕を巻きつけながら、あげははホッと息をついていた。
「二人とも、ココだよ」
「うん。じゃあ、鏡子さんに聞いてみるか」
『鏡子さん、鏡子さん、私達の願いを聞いてください』
「あらぁ、今日は、いっぱい来たのねぇ」
女性の声がした。
「きょ、鏡子さん?」
「ええ、それで、願いは何かしら?」
「ええっと、あの、聞きたいことがあるんです」
葵が言った。
「あら、ダメよ。私はお願い事を聞くだけ。あなた達の、人生相談はお断りよ」
「えっそんな……」
「どうするの?皆」
さっきまでガタガタ震えていたあげはが言った。
「帰ろうか……」
「うん。そーだね……」
「待って」
今まで黙っていた美衣奈が口を開いた。
「鏡子さん、私たちの願いは、鏡子さんに質問に答えてもらうことです」
「……」
「あっそっか!それならいいよね」
「さすがミー」
「……頭がいいのね。いいわ。何でも質問しなさい」
「あの、栞那ちゃん、どうして入院することになったのか、教えてください」
「ああ、あの子……昨日私に頼みに来たのよ。神山 梨音を消してくださいって」
「やっぱり……じゃあ、梨音ちゃんを鏡子さん消したんですね」
「ええ、そうよ。でも、勘違いしないで。私は、頼まれたから消すだけ。いつも頼んでくるのは人間の方よ」
「じゃあ、栞那ちゃんと梨音ちゃんを返してください!」
「それは……いいのかしら?あの子との約束を破ることになるのよね」

23:せあら:2014/09/22(月) 20:12 ID:ZRo

「え?約束?」
葵が怪訝な顔をした。
「そうよ。私は……約束は絶対だから」
「あ……」
その時、美衣奈はあることを思い出した。
「皆、私、思い出した」
「えっ?何が?」
あげはが美衣奈の顔を覗き込みながら言った。
「鏡子さんは、約束を破るのが大嫌いなの。だから、お願い事は、絶対に叶えてくれるんだって」
「ふふっよく知っているのね。いいわ。新しいお願い事の方を叶えないといけないものね」
「え?いいんですか?」
「ええ。これは、こういう『おまじない』だから」
「じゃあ、本当に、いいのね?後でどうなっても私は知らないわよ」
「はいっ。2人を返してください!」
そういったとき、辺りに強い風が吹いた。
「え?あ……」
鏡を見直すと、もう、そこに鏡子さんの気配はなかった。
「終わったんだ……」
「うん。やっと、終わったよ……」
「よかったぁ〜」
「皆、かえろ……」
ふと、窓を見ると、もう明け方になっていた。
「あっヤバッ!早くかえろ!」

その後、3人は、親にこってり絞られた。
そして、いつも通りに学校に行くと、とんでもないことが分かったのだ。
それは、あの、大鏡のおまじないが、呪いだったという事。
実際、スマホで変換してみると、「お呪い」となった。
それに、何より驚いたのは―
「ええっ!?そうだったの?」
「うん。あのお呪いは、明け方までに終わらせないと、鏡子さんが怒って、殺されちゃうからね」
「私達、ギリギリだったんだ……」
「うん。だから、気を付けた方がいいよ」
「うん。ありがとう。奈津実ちゃん」
栞那と梨音も還ってきて、二人とも仲直りしたようだ。

でも、何もかも思い通りになるはずがなかった。

放課後―
「うふふ……やっぱり、こうなるのよね。私、利用されてるのかしら」
鏡から、女性の声が聞こえてくる。
「ふぅ……このままではいけないわね。どうしようかしら……」
しばらく悩んで、鏡子さんは顔を上げた。
「うふふ……分かったわ。これからは代償をもらうことにしましょう。キャーハハハハハッ」
そんな鏡子さんの企みを、私たちが知る由もなかった。
これから、学生たちを苦しめるとは知らずに……

            END

24:せあら:2014/09/22(月) 20:15 ID:ZRo

あー 少し、疲れました。
少し、休憩をしてから新小説を書きたいと思います。

25:せあら:2014/09/23(火) 07:41 ID:ZRo

新しい小説のアイディアが浮かびました!
今度は、パラレルワールドについて書きたいと思います。

26:せあら:2014/09/24(水) 12:30 ID:ZRo

ガタガタ……
私、何でこんなとこにいるんだろう……
早く、ココから逃げないと……

事の始まりは1時間前―
「はぁ……掃除めんどくさー」
私は、椎名 羽織。
現役高校2年生です!
「仕方ないでしょー 羽織が何でもやりますって言ったんだから!その、後先考えないで言う癖、何とかしなよ」
今は、掃除ボランティアの真っ最中。
幼馴染の岬が呆れたように言う姿にしょんぼりしながら、枯葉ほうきで集めていた。
「あ、羽織ちり取り取ってきてよー」
「いーよー」
そういいながら立ち上がり、学校にちり取りをとりに行こうとしたのまでは良かった。
だが、問題はこの後だ。早く取りにいこーと思い、走り出したのが悪かったのだろう。
近づいていてくる小さなくぼみに気づかず、そのまま転倒してしまった。
当然、そのまま地面に倒れると思った。
だが、何故か、どこかのお寺にいたのだ。

27:せあら:2014/09/26(金) 19:11 ID:ZRo

「お嬢さん?どうなさいました?」
しわがれた声に気づいて、顔を上げると、そこには、おじさんの顔があった。
「うわぁっ!だっだれ!?」
「大丈夫。怪しいものではありません」
優しい声にホッとしながら、立ち上がっ時、やっと私は今の現状を理解したのだ。
「ココは?」
「お寺です」
「それは、分かるんですけど……どこの寺でですか?」
「ココは、風上寺です」
「風上!?」
何故か、隣の隣の県にある、遠い神社にいたのだ。
「あなたは、どこから来たのですか?」
「あ、栃木です」

28:せあら:2014/09/26(金) 19:13 ID:ZRo

あ、書き忘れましたが、これは、意外と短編になるかも……です。

29:せあら:2014/09/27(土) 14:13 ID:ZRo

「栃木!?そんな遠いところから来たのですか?」
「ええ、まぁ……」
ガララッ
戸を開ける音がした。
「誰か、いらっしゃるかしら?」
「うん?ああ、またですか……お嬢さん、ちょっと待ちなされ」
「あら、ご機嫌よう。例の件、考えてくださったかしら?」
「何度も言いますが、私はココを手放す気はございません。どうぞ、お引き取り下さい」
チラッと、玄関の方をのぞくと、そこには、水色のドレスにつばのついた大きな帽子という、いかにも派手な格好をした、小さな女の子が立っていたのだ。
「うふふ そんなことを言ってよいのかしら?あたしのパパにお願いすれば、ココをつぶすことだってできるのよ?それでも良いのかしら?」
「お嬢様、そんなことをしてみなされ。ここのたたりがあなた様を襲い、たちまちお家は乱れますぞ」
「そんな嘘が通じると思って?」
「嘘では、ございません。あなた様のお為を思って言っていることなのですぞ!」
少し、強い口調で和尚様がそういったのに、、ムッとしたのか、靴のまま本堂へずかずかと入っていく女の子の姿を見て、私は飛び出した。

30:せあら:2014/09/27(土) 18:59 ID:ZRo

「ちょっと!あんた、いい加減にしなさいよね!和尚さんさっきからいやだって言ってるでしょ!?日本語わかんないの!?」
「あなた、誰よ?」
もっともな質問であった。
そりゃあ、誰だか知らない女にいきなり怒鳴りつけられたら、誰だってそう思うだろう。
「私は、羽織。あんたは?」
「あたしは、アリスよ。そして、一流企業の社長の娘」
「そんなことはどうだっていいの!あんたのその態度に文句言ってるのよ!?」
「はぁ……さっきからキーキーうるさいわねぇ。静かにしてよ。頭に響きますわ」
「はぁっ!?何さっきからえらそーに!」
「あなた、気に入ったわ」
「は?」
「だって、今まであたしをそんなに叱る人なんていなかったんですもの」
「ふーん」
「だから……」
「だから?」
「あなたを連れて行くわ」
「はぁっ!?」

31:せあら:2014/09/27(土) 20:56 ID:ZRo

「なっななななななななっ何言って……!」
戸惑う私の前で、アリスは手をパンパンと2回鳴らした。
「あのものを連れ帰って」
「かしこまりました」
黒スーツに黒いサングラスという、明らかに怪しげな格好をした人が現れた。
「わっちょっ……!やめてよっ!」
目隠しをされ、無理やり車に乗せられた。
「お嬢さん!」
さすがに和尚さんも、慌てたらしい。
だが、ブロロロと車は走り去っていってしまったのだ。
いったい私、どーなっちゃうの!?

32:せあら:2014/09/28(日) 14:24 ID:ZRo

車の振動がピタッと止まった。
「着きましたわよ」
アリスの声に反応するように、目隠しがさっととられた。
車を降りて、深呼吸をしながら、何気に上を見上げると……
「うわぁぁぁ!何これ!?」
とても大きい洋裁があったのだ。

33:せあら:2014/09/28(日) 18:32 ID:ZRo

「さぁ、入りましょう」
アリスは戸惑う様子もなく、コツコツと中に入っていく。
私もそのあとに続いた。
「うわぁ……ひっろー」
中に入ると、赤いじゅうたんが長々としいてあり、天井には大きなシャンデリアがぶら下がっていた。
「さ、こっちよ」
大きな扉を開けると、大きなベッドが。
それに、パソコンとタブレット、何十着も服がかけられそうなクローゼットがあった。
「今日からココが、あなたの部屋よ」
「すご……」
ニヤリとアリスが笑った。
「そう。よかったわ。気に入ってもらって」
「え?何言って……」
私が言う前に、ドアがガチャンと冷たく閉じられてしまった。
「ちょっ……ちょっと!!」
どうやら、外からカギがかけられているらしい。
どうやっても開かなかった。
「う、嘘……」

34:レア◆lU:2014/09/29(月) 15:22 ID:bqs

わぁー、凄くドキドキして面白いです!
初小説、と言われるけれどそんなもの感じられません!
読み手への怖さをきちんと考えてつくりだし、それを短い文の中に詰め込んでいて本当にすごいです!!

更新、楽しみに待ってます♪

35:せあら:2014/09/30(火) 16:50 ID:ZRo

ほんっとうに!
ありがとうです!!
頑張って書きたいと思います!

36:せあら:2014/09/30(火) 17:21 ID:ZRo

「なんで!?何で開かないの!?」
ドアノブをガチャガチャ回してみるけれど、やっぱり開かない。
そのうち回しすぎて手のひらから血がにじんできた。
「出たいの?」
不意に張りのある声が背後から聞こえた。
「ン?誰?」
にじむ涙をふき取り、後ろを確認してみると……
「うふふ……初めまして。こんにちわ」
まだ小学校低学年くらいの小さな女の子がいたのだ。
「君は?」
「私は、舞子。ずっとここで育ったの。お姉ちゃんは?」
「羽織だよ。それで……どっから入ったの?」
「内緒。お姉ちゃんはそんなこと気にしなくていーの」
「あ、そ、そっか」
内心、変わった子だな。と、思いながらも、笑顔でその子に向き直った。
「ねぇ、お姉ちゃん。お姉ちゃんここから出られないんでしょ?」
「うん……」
「でしょ?だったら私が、怖い話をしてあげようか?」
私は、その手の話が大好きだったので、すぐそのこの案に飛びついてしまった。
「そう……なら、話してあげるね」
舞子ちゃんは、床に綺麗な正座で座り、私もその子の前にあぐらをかいた。
「昔、ここで起こった話なんだけどね……」
そう話を切り出し、舞子ちゃんは話し出した。
それは、こんな話だった。

昔、この別荘で大火事が起こってしまった。
そして、ココの周辺の人々とこの別荘の召使いは、全員亡くなってしまったそうだ。
その中には、小さな女の子や男の子まで含まれていたという……
間もなくして、ココの別荘は新しく建て直された。
しかし、その亡くなった人々の遺骨は、この別荘の床下に埋められているらしい。

「おしまい!」
「へぇ、よくできた話だねぇ!」
「あら?本当にあった話なんだよ?」
「え?でも、今の舞子ちゃんの話を聞くと、舞子ちゃん、亡くなってるはずじゃないの?」
そこまで言って、私は後悔した。
笑顔のまますっと立ち上がった舞子ちゃんは、壁を通り抜けて行った……

                  END

37:せあら:2014/10/02(木) 20:34 ID:ZRo

んー……
次は何を書こうかな〜

ちなみに、今日……先生に怒られた(泣)
チョー怖かったぁ〜
また、明日も怒られるのかなぁ?
今日ほど学校に行かないと思った日はないよ〜

38:せあら:2014/10/04(土) 17:44 ID:ZRo

決めたっ!!
今度も、学園物語を書きたいと思います。

……ただ、ホラーじゃなくなるかもです。

39:せあら:2014/10/05(日) 10:37 ID:ZRo

「……と、いうことで、最近不審者が出るらしいから、気を付けて帰るように。以上」
そういうと、先生は教室から出て行った。
「えー!不審者?出るのぉ?」
「何?ニュース見てないの?」
「うん。朝は時間がないから」
「ふーん……まぁ、あんたいつも遅刻ギリギリだもんねぇ……」
「えー!?何それひっどーい!」
何ともいえない会話をしながら出ていくクラスメイトを見ながら、桜田 蝶子はため息をついた。
高校に入学して3か月。まだ、蝶子には1人の友達もいなかった。
中学の時からそうなのだ。頭がよく、スポーツ万能。おまけに容姿もとてもよかった。
なのに、友達だけは、1人もいない。
「……」

40:せあら:2014/10/05(日) 16:22 ID:ZRo

何気に時計を見ると、もう、5時を過ぎていた。
早く帰らないと予備校に遅れると思い、慌てて鞄をつかみ、教室から出る蝶子をクラスメイト達は冷ややかな目で見つめていた。
「桜田さんって、うちらの事、バカにしてるよね」
「あー……わかるー!なんか、皆とは違いますオーラ出してるっていうかさぁ」
「ねー!」
その、女子たちの会話は蝶子にも聞こえていた。
「別に……気にすることなんか……」
心にわいてくる、悲しい感情を打ち消すように、頭をぶんぶんと振った。
赤い、小さなリボンで結んだ、ツインテールの髪がふわふわと揺れる。
「それに、早く帰って勉強しないと……」
夕日をまんべんなく受けた、綺麗なオレンジ色に染まっている廊下を歩きながら、蝶子はうんうんと頷いた。

41:せあら:2014/10/08(水) 14:41 ID:ZRo

蝶子は家に向かって歩いていた。
蝶子の家は、大きな和風の家だ。
「ただいまー」
玄関の戸をあけ、大声で言った蝶子のもとへ、小さな女の子が駆け寄ってきた。
「おねーちゃん!おかえりー!」
「ただいま、良子」
蝶子は、自分を見上げている妹の名前を口にした。
良子は小学3年生の女の子で、蝶子と同様に、肩まで伸びた髪を二つに結んでいる。
高校1年生の蝶子とは、7つの歳の差があった。
「おかえりなさい。蝶子さん」
そこへ、白い着物を着こなした、蝶子と良子の母が現れた。
「あっ!ママぁ!」
良子がすかさず振り返る。
「良子さん、お部屋でお勉強してなさいって……言ったでしょう?」
「えー!?だって飽きちゃったんだもん……」
「だからってなんでも放り出していいわけじゃ、ないんですよ?」
「りょーこちゃんとやったもん!」
「それならいいけれど……」
「でっしょー?」
「はぁ……蝶子さん、早く着替えてお勉強なさい」
「はい」
「どうしたの?良子」
蝶子は不満そうな顔で母の言った方向を見つめている良子に尋ねた。
「ママ、何でいつもお勉強しなさいしか言わないのぉ?」
逆に良子が訪ねてきた。
「うーん……ママは、お姉ちゃんたちにお勉強してほしいんだよ。きっと」

42:せあら:2014/10/10(金) 19:37 ID:ZRo

「えー?お勉強だけが、全てじゃないと思うんだけどなぁ……」
さすが、小3だけど学年トップだけあって小難しいことを言うな。良子は。
「さ、良子、早くお部屋に行こう」
私は、良子の発言には答えず、部屋へ向かった。
「あっ!おねーちゃんまってぇぃ!」
良子も私の後をかけてきた。

43:せあら:2014/10/10(金) 21:13 ID:ZRo

机にかばんを置いて、制服のまま椅子に座った私は、今の状況について考えていた。
本当に……いつからこんなことになっちゃったんだろう……
前は、お母さんも、私も良子も……みんな幸せそうに笑っていたのに……
私はお母さんと良子の笑顔を思い浮かべて瞳に涙を浮かべた。
……そうだ……あの時だ。お母さんがおかしくなっちゃったのは……
私は3年前のことを思い出した。

44:せあら:2014/10/13(月) 11:53 ID:ZRo

3年前、父と母は離婚したのだ。
と、いうのも、父がほかの女性と不倫関係にあったからだった。
それを知った母は激怒した。
そして、ここから出ていけ!と言ってしまったのだ。
その言葉通りに父は出て行った。
それが、プレッシャーだったのだろう。
それから母は、笑わなくなった。

「はぁ……そんなこと知ってても、どうにもならないよねぇ」
ため息をついたとき、部屋の戸をたたく音がした。
「はーい」

45:せあら:2014/10/14(火) 10:04 ID:ZRo

戸を開けると……以外にもそこにいたのは母だった。
「あ……お母さん……何?」
「蝶子さん、これから仕事に行ってきますから、良子さんのことお願いね」
「あ、うん……いいよ」

46:せあら:2014/10/16(木) 20:38 ID:ZRo

ガチャッバタンッ
戸を閉めて、お母さんは行ってしまった。
母は、夜中まで帰ってこない。
しかし、このいつも通りだと思っていた冷たい夜が、私たちの運命を大きく変えることになる。

47:せあら:2014/10/16(木) 20:46 ID:ZRo

予備校を終え、家へと帰ってきた蝶子は、すぐに眠りについた。
だが、次の瞬間―

ガタガタ……
地面がドウドウと揺れたのだ。
―地震だわ!
私はそう思った。
だんだんと揺れがひどくなり、ガターンと蝶子はベッドから転げ落ちた。
このままここにいてはいけない。蝶子の脳が指令を出す。
―逃げろ!逃げろ!逃げろ!
繰り返し、逃げろという言葉だけが聞こえてきた。

48:せあら:2014/10/17(金) 21:47 ID:ZRo

和室の作法も何も吹っ飛ばして障子をスパーンと開け、廊下へ出た私は、良子と遭遇した。
「おねーちゃん!」
良子は泣き叫んでいた。
「良子!」
私は良子の手を握り、猛ダッシュをして家の外へ出た。
「大丈夫?良子」
私は、まだ泣いている良子に聞いた。
もし、大きなけがをしていたら、すぐに処置を行わなければいけないのだ。
「うん……だいじょーぶだよ、おねーちゃん……ビックリしちゃっただけ」
「そっか。良かった!」
私はそう言い、良子を抱きしめた。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫?蝶子ちゃん、良子ちゃん」
抱き合ってる二人の前に、近所のおじさんとおばさんが話しかけてきた。
二人とも、真っ青な顔をして二人を見ている。
「うん!へーきだよ!」
「はい。大丈夫です」
おじさんとおばさんは、ほっとした表情を見せた。

49:せあら:2014/10/19(日) 17:33 ID:ZRo

「そう。良かったわ!」
「ところで……お前さんたち、お母さんはどうした?」
おじさんがきょろきょろしながら聞いた。
「あ……母は仕事です」
私がそう答えてとたんに、二人は急に悲しげな表情になった。
「そうなの……いくら仕事とはいえ、可愛い娘二人を置いていくなんてね……」
「ああ、全くだよ。蝶子ちゃんたちに何かあったらどうするんだ」
二人はブツブツとつぶやいている。
「りょーこはへーきだよー。おねーちゃんは?」
「私も平気だよ」

50:せあら:2014/10/19(日) 22:23 ID:ZRo

「うーん……でもねぇ……」
「そうよ。子供は、親と一緒にいた方が安全でいいのよ。良子ちゃんみたいな、小さな子は特にね」
「そーなの?」
「ええ」
それだけ言うと、おばさんは立ち上がった。
「悪いけど、おばさん、行かなきゃいけないことがあるから、行ってくるわね」
「うん!バイバーイ!」
良子が元気な手を振っている。

51:せあら:2014/10/20(月) 20:10 ID:ZRo

「……良子、そろそろ家に戻ろうか。もし、余震が来たら上着も羽織んないといけないし」
「あ……うん!」
「じゃあ、行こ」
私が歩き出すと、良子は立ち止まった。
「あの……おねーちゃん」
「ん?どうかしたの?」
「あ……ううん……何でもない」
「?」
「どーかしたの?おねーちゃん。早くいこーよ」
良子がせかすので、私も家に急いで戻ることとなった。

52:せあら:2014/10/20(月) 20:32 ID:ZRo

「良子、どうかしたの?さっきから落ち着きないよ?」
「おねーちゃん、だいじょーぶだよ……りょーこの元気がいーのは、いつもの事じゃない……」
ね?と振り返った良子の顔を見て、私は驚愕した。
「良子!?大丈夫!!顔が真っ青だよ?」
良子は、高熱を出しているときの様に、真っ青な顔色だったのだ。
そう、高熱を出しているときの様に……

53:せあら:2014/10/21(火) 21:46 ID:ZRo

「え?良子……?良子!!良子!?」
蝶子は焦り、体をゆすってみるが全然効かない。
むしろ、どんどん顔が白くなっていくのだ。
「あっ……ど……しよっ!良子、ちょっと待っててね!」
そういい、蝶子は良子を自分の部屋のベッドに寝かせた。
そして、電話に飛びつき、病院に電話を掛けた。
「もしもし?あの……」

54:せあら:2014/10/24(金) 20:21 ID:ZRo

「うーん……どうやら、疲れがかなりたまっているようですな」

55:せあら:2014/10/25(土) 16:57 ID:ZRo

「え?」
「最近、何かストレスがたまるようなことはありませんでしたか?」
「んーと……」

56:せあら:2014/10/27(月) 19:38 ID:ZRo

蝶子は何も思い浮かばなかった。
「ちょっと……分からないですね……」
「そうですか……」
「すみません。ありがとうございました」
「いいえ。お大事にね」
医者は出て行った。


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