双子物語

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1:たまこ:2014/11/23(日) 12:53 ID:ZRo

―ぱちり―
朝、私はスッキリと目が覚めた。
自分の部屋の、木製のドアを開けたところで、階下から母の声が聞こえてきた。
「せあらー!ありすー!早く朝ごはん食べちゃって!」
「はーい!」
私は、長い髪をなびかせながらキッチンへ向かう。
扉を開けると、母と父がコーヒーを飲んでいた。
「おはよー」
「あら、おはよう。せあら」
「おはよう」
私はキョロキョロと、辺りを見回した。
「ママ、ありすは?」
「さぁ?まだ、寝ているんじゃないかしら」
ちなみに、ありすとは私の双子の姉の事だ。
「ほら、早く食べなさい」
「あ、うん」
私は席に着き、いただきますをした。
朝食を食べ終わり、顔を洗い、歯を磨いていると、ありすと母の声がした。
「ありすっ!またあんたは寝坊して!どうせ、また夜中までゲームしてたんでしょ!!」
「だったら何?何でもかんでも、私とせあらを比べるのやめてくれる?」
「ありすはお姉ちゃんなのよ!分かってんの!?」
「お姉ちゃんだから何!?私だって、好きでお姉ちゃんになったわけじゃないもんね!」
「親に向かってなんですか!その口のきき方は!!」」
どうやら、激しい言い争いをしているようだ。
「またかぁ……いい加減にしてほしいよね。毎日毎日」
そうつぶやきながら、私は制服に着替えるために再び二階へ。
私の通う小学校は、中学まで、エスカレーター式になっている、私立小学校だ。
茶色いランドセルを背負い、私は家を出た。
「行ってきまぁす」
「行ってらっしゃい。せあら」
ありすと接しているときとは正反対の、優しい微笑みを浮かべながら、母は私に手を振っていた。
それよりも、何か嫌な予感がするなぁ……

2:たまこ:2014/11/23(日) 15:40 ID:ZRo

ウサギの様に、二つに結んだ髪の毛に触れながら、私は通学路を一人で歩いていた。
今は夏。絶え間なくセミの鳴き声が聞こえてくる中、友達にも会えずに、一人で学校に向かっているのは少し寂しい感じがする。
「ありす、今日もまた、遅刻かな……」
ありすは遅刻の常連さん。だから、私と同じクラスで、双子でも、その扱いは全く違う。
もちろん、家でもそうだ。
「それだから、妹の私が全部頑張らなくちゃいけないんだよなぁ……」
その時、背後から声がした。
「せあらちゃん!」
一瞬、ありすかと思ったがありすは私の事はちゃん付けしない。
誰かを確認するために、私は振り返った。
「あっ、牧ちゃん」
振り返った私は、その名前を口にした。
牧ちゃんとは小2からの付き合いで、席も近い。
小4の今では、生まれた時からずっっと一緒にいる、ありすと辰巳くんの次に、長いお付き合いになるのかな?
辰巳くんは私とありすの幼馴染なんだ。
毎日、喧嘩ばかりでありすと同じような子だけれども、本当は優しい子。
「おはよっ」
「おはよう、牧ちゃん」
「あれ?今日もありすちゃんは遅刻?」
「うん。そうじゃないかな」
そんな会話をきっかけに、私は牧ちゃんと話し始めた。

3:たまこ:2014/11/23(日) 17:14 ID:ZRo

「あのさ、本当にありすちゃんとせあらちゃんって双子なの?」
「へ?何で?」
私は牧ちゃんに聞き返した。
「だって、せあらちゃんのほうがずっと成績優秀で、運動もできるじゃん」
「あはは……ありすは辰巳くん似だからね。でも、ちゃんと双子だよ」
私は乾いた笑い声をあげながら、頭をかいた。
「あっ、そういえば、辰巳くんがね、今日、喧嘩するんだって!」
その言葉を聞いた瞬間、私の心臓はどくんと音を立てた。
「え……?いつ?」
「んーと……たしか、今日の朝だった気がするなぁ……それに、屋上でやるって噂だよ」
その言葉が。私の足を突き動かした。
「え!?せあらちゃん!?」
「ごめん!先行ってるね!」
私は牧ちゃんに軽く謝って、学校へ急いだ。
あのバカ!前も喧嘩して、ボロボロだったじゃない!!
バンっと、荒々しく屋上の扉を開け、私は驚きの光景を目にした。
なんと、辰巳くんが前よりも、ボロボロだったのだ。
しかも、辰巳くんの相手をしている男の子が辰巳くんをけろうとしていた。
「辰巳くんっ!!」
私は持っていた、漢字パズル、難問編の本を、男の子の肩にぶつけた。
「いってぇ……誰だよ!?ん?また、お前かよ。妹の方だよな。さて、ありすが居なくてどうするんだよ?」
「私だって、一人でできるもん!」

4:たまこ:2014/11/23(日) 18:21 ID:ZRo

「なんだと!?オラァ!!」
その男の子は、異性である、私にも容赦のないけりをいれた。
「いたっ!」
私はふっとばされる。
「へへっ……こんなもんかよ。やっぱお前は、ありすがいないとダメなんだよ」
「そんなことない!私だって、ありすを守れるもん!」
その時―
「せあらっ!!」
後ろから、聞き覚えのある声がした。
「ありす!」
私は反射的にそう叫ぶ。
「せあら、大丈夫!?」
ありすは傷だらけの私を起こしてくれた。
「ありす……何で……」
「私、何だか嫌な予感がして、猛ダッシュで学校に来たの。そしたら、牧に会って……」
そうか、牧ちゃんが教えてくれたんだね。ありがとう、牧ちゃん、ありす……
「せあら、早く片付けるよ!」
「うん!!」
わぁっと、一気に屋上が騒がしくなった。

「なんなんだよ、この双子!行くぞ!!」
ボロボロの男子たちが屋上から去って行った。
「辰巳くん、平気?立てる?」
「お、おう……」
辰巳くんもボロボロだけど、私達もボロボロだ。
「ありすも、大丈夫?」
「うん。せあらは?」
「私も全然平気。さ、早くいこ。授業に遅れちゃうよ」
私が歩き出すと、二人は立ち止まった。
「あのさ、せあら……授業、サボらない?」
「え?何で?今日はテストがあるよ」
「ああ、だからだよ。俺らはいつもサボってるからな。せあらもどうだ?」
ありがたいけれど、私は首を横に振った。
「気持ちは嬉しいけれど、そんなことできないよ。たまに、二人もテスト受けたら?」
「せあらがそういうなら……ねぇ?」
「おう!」
私たちは笑顔で教室に向かった。

5:たまこ:2014/11/23(日) 21:25 ID:ZRo

ガラっ私は教室の扉を開けた。
「おはよー!」
「あっ、せあらちゃ……」
笑顔でこっちを振り向いた、皆の顔が一瞬固まった。
「どうしたの?皆」
「せあらちゃん、今日はありすちゃんと辰巳くんも来たんだね」
「あっ、うん。私が誘ったの。テストあるからって」
「へー……そんなことよりも、ここの問題教えてよ。皆待ってたんだからね」
「そうなんだーごめんね」
「ううん。いいの。私達もせあらちゃんに頼り過ぎってわかってるからさ」
そこで、ありすと辰巳くんが口を開いた。
「やっぱ人気者だね。せあらは」
「ああ、おれたちは学校サボってるからな。仕方ないよな」
その会話を聞いて、私はいいことを思いついた。すごく小さいことなんだけれどね。
「ねぇ、ありす達も分からないところがあったら教えてあげるよ」
「うーん……全部」
「ああ、全部」
その声があまりにもぴったりだったので、私たちは笑い声をあげた。
そして、いろいろと教えてあげていると、チャイムが鳴った。

―キーンコーンカーンコーン……
「さぁ、皆さん席についてー」
ガタガタ……その一言で私たちはいっせいに席に着く。
しかし、ありすと辰巳くんだけは、動けないでいた。
「あれ?そこの二人。早く席に着きなさい」
「あっ、はい」
「うん……」
ようやく二人は席に着いた。
「さぁーて……皆さん、今日はないがあるか分かりますか?」
私達はいっせいに「テストー!!!」と、答えた。
「ふふっ、1時間目は算数なので、さっそくテストに取り掛かりたいと思いまーす」
先生は妙にニコニコしている。
「さ、早く準備をしてくださいねー」

6:たまこ:2014/11/24(月) 09:44 ID:ZRo

「これから、算数のテストを始めまーす。机の上は、筆記用具だけにしてくださいねー」
「はーい」
先生はすでにテスト用紙を配っていた。
「名前を書いてくださいねー」
そして、時刻が8時30分になると……
「はい、始めっ!」
テストが始まった。
チラリとありすを見ると、額にびっしりと汗が付いている。
余程わからないのだろう。
私の方は、昨日、たっぷり復習してきたから大丈夫だと思う。
そんなことを考えながら、私は両国 せあらと名前が書かれたテスト用紙の問題を解き始めた。

「はいっ、終わり!」
私が見直しをしていたら、先生が終わりの合図を告げた。
「後ろから回収してくださーい」
1番後ろの席の子がテスト用紙を回収する。
全てのテスト用紙が集まったのか、先生は教卓の上でトントンと紙の束をそろえていた。
「はいっ、次の授業は理科室で行いますので、遅れることのないようにしてくださいね。では、終わります」
日直の合図で、「ありがとうございましたー」と先生に言った。
先生が教室から出たところで、ありすが私に話しかけてきた。
「せあら〜テストどーだったー?」
「あ、うん。問題は全部解けたんだけどね。見直す時間が少し足りなかったかな」
そこまで言うと、ありすは感心した顔になった。
「ふぇーさすがせあらだねー」
「そんなことないよ。ほら、理科室いこ
「うんっ!」
次に、私たちは理科室に向かった。


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