〜週末の恋占い〜

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1:めろんぱん:2014/11/30(日) 13:34 ID:CS2

 人間の心には、宝石が眠っているらしい。

 レントゲンで見えるわけでもなく、解剖しても見つからない。

 痛みや違和感も感じない。

 ルビー、ガーネット、サファイア、パール、そしてダイア――……

 十人十色は、埋め込まれた宝石で性格が決まるから生まれるのだろう

 

2:めろんぱん:2014/11/30(日) 16:40 ID:CS2

 character file

☆美姫 心葵 Mihime Kanata ♀
data
体内に何の宝石も埋め込まれていない、希な人種(らしい)
華園学院中等部(がぞのがくいんちゅうとうぶ)1年C組。
テストも成績も平均点で、運動音痴で取り柄が無い。
新聞部に所属している。

・相楽 甘楽 Sagara Kanra ♀
data
体内にサファイアを持つクールな性格。
文芸部に所属していて、心葵のクラスメイト。
成績優秀、そして美人で、異性からも同性からも好かれる。
しかし、スポーツに関しては心葵と同じく苦手。

・柊 昴流 Hiragi Subaru ♂
体内にガーネットを持つ、「熱血」な存在。
サッカー部に所属する。心葵のクラスメイト。

・神崎 芹那 Kamizaki Serina ♀
data
体内にエメラルドを持つ、ムードメーカー的存在。
美術部の漫画、イラスト科に所属している。

3:めろんぱん:2014/11/30(日) 16:57 ID:CS2

〜Week Ёnd〜 

 止まない雨はない……と言うが、降らない晴れ、と言うのは無いのか。
 3日間連続で雨が続いている。
 ガラス窓は水彩画のように、景色を雨水でぼかしていった。

「心葵、食堂行こうよ」
 廊下の方から、高く、鮮明でよく響く声が耳に入った。
「いいよ、財布持ってくるから、少し待っていてくれる?」
「分かった。じゃあ、廊下で待ってるよ」
 
 今日は金曜日……食堂割引デー……か。
 食堂は混み合いそうだな。

 カバンから紅い長財布を取り、廊下で芹那の元へ歩み寄った。
「食堂、混んでいるね。やっぱ、購買に行こうよ」
「うん……っ!?」
 
 熱い――……っ!
 体の全体が煮詰めたスープの様な……
 
 激しく、鼓動が大きく……高鳴る……

 胸に鈍い痛みが走り、私は食堂の前で蹲った。

4:めろんぱん:2014/12/01(月) 20:29 ID:CS2

「ちょ……心葵?具合が悪いの……って顔が赤いわよ!」
 芹那の言う通り、自分でも頬が赤く紅潮しているのが分かった。
 お風呂でのぼせた時の数倍の苦しみが一斉に来ている感じだ……
「保健室に――」
 芹那の言葉も、後の方は何て言っているか聞こえなかった。
 私はそのまま意識を手放した――……


「……た、かなた」
 音量を上げていくように、段々と聴き慣れた声が聞こえる。
 ぼやけていた視界も、鮮明になって行った。
「芹那?保健室のベッドよね……」
「えぇ。急に倒れたから……」
 案外、倒れた時の記憶が無い、と言う訳でもなく、状況は飲み込めた。

5:めろんぱん:2014/12/02(火) 20:07 ID:CS2

「高熱じゃなかったみたいだし……救急車呼ぼうとしたんだけれど……」
 芹那が言い終わらない内に、ハイヒールの甲高い音がした。
「目が覚めたのね、美姫さん」
 スラッとした背、シミの汚れ一つない真っ白な白衣、鋭く光る眼鏡のレンズ。
 そしてサラッとした長い髪を靡かせていた。

「あ、冬月教授」
 保健室の先生、だが、大学の教授もやっているので、皆からは教授と呼ばれている。
 何の研究をしているのかは、校長先生も理事長も、誰も知らないらしい。

「冬月教授に押し止められて」
 芹那は俯きながら続けた。
「救急車を呼ぶまでもなかったわ。異常は無いから、大丈夫よ」
「でも、どうして――」
 私はため息をつきながら、ベッドから降りた。

6:めろんぱん:2014/12/02(火) 20:16 ID:CS2

 保健室は、色々な薬品の匂いがしていた。
 オキシドールとか、軟膏薬が棚にひしめき合っている。
 校庭の日差しが、カーテン越しに保健室を明るく照らした。

「まだ昼休みだけど……早退する?」
「いや、今は何ともないし、5時限目は数学だから大丈夫よ。体育でもない限り」
 ふと、冬月教授の方に視線をやると、いつもながら――いや、いつも以上に冷たい視線だった。
 蔑んだ目で、『何か』を見据えていた――……


 何だか、良く分からないミステリアスな人だなぁ。
「それでは、冬月教授。私は戻りますので……ありがとうございました」
 深く一礼をすると、栗色の髪の毛が垂れ下がった。

「いいのよ、これが仕事なんだから。気をつけなさいね」
 私達に微笑みもせず、視線さえ向けず、並べられたフラスコと試験管に目をやった。
 中には怪しい色の液体が次々と変色していった。
 こんな保健室の先生、信用出来るかっ!

 ――これじゃあまるで、保健室の先生じゃなくって、理科の先生じゃないか――……!

7:めろんぱん:2014/12/02(火) 20:21 ID:CS2

〜tramp card〜 トランプカード
第U章

8:めろんぱん:2014/12/03(水) 22:39 ID:CS2

 胸の痛みも無く、無事に放課後を迎え、塾になっていた。
 今日はいつもより低い点数だったため、補習を受けさせられていた。
 補習のせいで、いつもより40分近く遅れている。

「ふぅ……要約終わった。早く帰ろう」
 私はまだ何人か補習生が残っている自習室を後にした。
 ため息をつきながら、サッとコートを羽織って、軽く走りながら出た。
「急がなきゃ」
 息は白く、体の芯から冷える感じがしてきた。

 塾の蛍光灯の光に見送られて、駐車場に出た時だった。
「うわぁ……っ綺麗――!」
 
 プラネタリウムでしか見たことのない、星の綺麗な夜空だった。
 大空のイルミネーションは、ネオンの看板やクリスマスの電飾が色褪せて見える程だった。
 いくら世界で一番大きいダイアモンドでも、これには無力だというくらいに……

 パシャッ――……

 写真をスマートフォンで撮ると、それをホーム画面にした。
 
 これが、40分遅れた補習生だけの特権だった。

9:めろんぱん:2014/12/04(木) 22:24 ID:CS2

 ―next day―

 学校の自習の時間、先生が出張でいない為、クラスのざわめきが絶えなかった。
 大声で私語を言う者、大口を開けて笑う者、大騒ぎする者。
 サファリパークかなんかの、猛獣の檻の前に居る様な感じがした。
 私はそんなクラスを他所に、テスト範囲のワークを進めた。

 クラスの女子が、大声ではやし立てるのが耳に入った。
「ねぇ、芹那と昴流ってぇ〜……もしかして付き合ったりしてるの!?」
「キャアァーッ!」
「んなわけあるかよ!アホ!」
 一切頬を紅潮することもなく、キッパリと否定している。 
 その瞬間、柊さんと、1秒も満たない時間だったが、目があった。
 私は今の話を聞いていた事を隠すため、素早く目を反らす。

 へー、芹那さんと昴流さんって、今そんな噂になっていたんだ。
 二人が話しているところも結構見たし、実際はどうなんだろ。
 
 他愛もない話をぼんやり聞いていると、次第に水の滴る音がガラス越しに激しく聞こえてきた。夕立だ。
 グランドに、茶色い斑点ができ、次第に校庭全体を染めていった。

「えぇー、私、傘忘れてきちゃったー」
「丁度イイじゃん。芹那、昴流に入れてもらいなよ」
「冗談じゃない、入るわけないでしょっ」

 校庭の杏子の葉が、雨水の重みでたわんでいた――……

10:めろんぱん:2014/12/04(木) 22:37 ID:CS2

「あぁ、丁度良かったわ、美姫さん」
 休み時間の廊下、ざわつく中で声がしたかと思うと、新聞部の部長がいた。
 長い黒髪を一つにまとめていて、背が高い。
「はい、何でしょうか」
「お願いがあって。今月号の新聞から、文芸部の小説を連載しようと思うの」
「文芸部の小説の連載……ですか?」
 私はあまり方針には興味がないし、反対ではなかった。
 彼女はシャーペンをカチカチノックしながら続けた。

「それで、交渉をお願いしたいのだけれど」
「えぇ。で、誰に交渉すれば良いのですか?」
 私がそう言うと、部長は顔を曇らせてため息をついた。
「相楽さん、よ……」

 相楽さん――……
 成績優秀、クールビューティー、そして文芸部一の部員、サッカーで言うエース。
 あまり接点は無いし、彼女のことだから、断られるに決まっている――

「じゃあ、宜しく」
「えぇっ!?部長!あの、もしだめだったら――」
 言い終わらないうちに部長の姿はもう消えていた。

 ふぅ、正直乗り気じゃないけど……やるしかないのかぁ。

11:めろんぱん:2014/12/05(金) 16:50 ID:CS2

「相楽さんだ。相楽さーん……」
 食堂の前に、漆黒の長い髪を靡かせ、男子の視線を集めていた(本人自覚なし)
 まるで、博物館の彫刻みたいに、相楽さんの周りだけドーナツ状態だ。

「あら、美姫さん。何か御用でも?」
「新聞部の部長に、相楽さんの小説を連載して欲しいと言われて……」
 相楽さんは、少し考えてからまた続けた。
 間はあまり短くなかった。
「別に構わないわ。短期連載位なら……」
「本当ですか!部長に報告してきます!」
 
 人ごみを右へ左へ、見事にかわして新聞部室へ急いだ。

12:めろんぱん:2014/12/05(金) 16:56 ID:CS2

「部長っ、相楽さんから……連載の許諾が出ました!」
 息を切らしながら、途切れとぎれで言うと、部長は書類から目をあげた。
「まぁ、本当!それは良かったわ!」
 彼女は激しく興奮し、マッキーペンと色紙を持って部室を出て行った。


 そろそろ昼休みも終わる頃――……
 担任の先生と偶然すれ違った。
「美姫、悪いがこのノートを資料室に置いてきて欲しんだが」
「えぇ。分かりました、運んで行きます」
「ありがとな」
 正直やりたくなかったんだけど、まぁ仕方がない。
 
 自分の口ぐらいまであるノートを、一人でのろのろと廊下を歩いた。
 廊下の人影は疎らで、静かで、誰もいなかった。
 
 ただ、閉め忘れられた水道の蛇口から、水の滴る音が聞こえてくるだけだった――……

13:めろんぱん:2014/12/05(金) 17:02 ID:CS2

「重い……っ。二回に分けて運べば良かった……」
 今更後悔しつつも、そのままよろけながら歩く。

「っべ、授業に遅れるっ!」
 低いトーンの声だ。きっと昼休みギリギリまで粘っていた男子だろう。
 足音は段々と大きく、加速してきた。

「わっ!?」
「やべ……っ」
 心葵の口までの高さのノートのタワーが不安定にグラッと揺れる。
 危うくぶつかるところだったが、ノートタワーの崩壊までは防げなかったようだ。
 バサッ

「ご……ごめん!俺も手伝うから」
 床から顔をあげて要約分かった。同じクラスの柊昴流だ。
「柊さん……別に大丈夫ですよ。注意不足でした、ごめんなさい」
 私は項垂れたまま謝った。


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