大切なもの

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1:NEOトラ:2014/12/05(金) 18:36 ID:5yA

今は7月になったばかりで、もうすぐ中学校になって初めての夏休みだ。夏休みが近づくにつれ、私はワクワクしている。
「おい。聞きたい事があるんだけど。」
保育園からずっと一緒の矢野だ。
「なに?」

2:NEOトラ:2014/12/05(金) 18:40 ID:5yA

「お前って何部?」
何で今更聞くのか。
「空手だけど。」
「いいなぁ〜。空手部って夏休みの練習2時間だけだろ?しかも室内だし。野球部なんて一日練習なんだ。外だし本当に疲れるよ。」
どんな部活だって楽なわけがない。確かに、外で一日練習の野球部も大変だけど、空手部だって、すごく暑い中頑張っている。そんな事をいちいち言う為に聞いたのか、本当に知りたかったのか、ずっと一緒にいる私でも分からない。

3:NEOトラ:2014/12/05(金) 18:45 ID:5yA

「野球部って大変なんだね。」
そういうと私は友達のもとへ行った。矢野は何か言いたげな顔をしていたが、私が行ってしまったので、矢野も友達のもとへ行った。でも、こうして矢野と話したのは結構久しぶりかもしれない。そんな事を考えていると、
「矢野〜。ちょっと来てくれ。」
先生の声がした。矢野は友達とじゃれあうのをやめ、先生の方へ向かった。
「はい…そういう事なので。今月中に辞めます。…その日に持っていきます…」

4:NEOトラ:2014/12/05(金) 23:04 ID:8tA

ハッキリとは聞こえなかったが、何かを辞める様子だ。
ー矢野に何かあったのかなー
ー何を辞めるんだろうー
そんな疑問がふと頭の脳裏を横切った。そんな中、もう季節は7月半ば頃。矢野が野球部の部長に何か渡していたという事が野球部の人たちの間で話題となっていた。私が矢野に聞いてみても、
「最近調子悪くて部活にいけてねぇんだ。その事を部長に伝えにいっただけ。」

5:NEOトラ:2014/12/05(金) 23:12 ID:8tA

と、笑いながら言うだけで、それ以上はなにも言わない。でも、絶対そんなわけがない。毎日ニコニコ笑顔で張り切って体育にも参加しているし、お昼休みも自分から友達を誘ってバスケをしている。そんな矢野の中にはどこか暗い所があった。7月ももう終わりに差し掛かった時、矢野が、
「体育終わったら俺にしては珍しい真面目な話をする。だからお前も真面目に聞けよw」と、いってきた。いつもの矢野の調子だ。ちょっとホッとした。

6:NEOトラ:2014/12/05(金) 23:17 ID:8tA

でもその反面何を言われるか分からない不安もあった。体育が終わり教室に入る。すると約束通り矢野が私の席に来た。
「なぁ。俺さ、終業式あるやん?終業式で、お前とお別れすることになりました!保育園からずっと一緒だったのに。ごめん。」
私はわけもわからずぼーっとしていた。頭の中が整理できないまま話が進んでいく。
「どういうこと?意味わかんない。」
「だから、俺、矢野神汰は、今月が終わるとともに転校します。」
「どこに転校するの?」
「隣町の南中。」

7:NEOトラ:2014/12/05(金) 23:22 ID:8tA

その瞬間なぜか涙が出てきた。止めたいのに、止められない。体の震えも止まらなかった。ふと矢野の方を見ると、矢野も泣いていた。「なんで、今更転校なんだよ…」「なんで転校しちゃうの…」気づけば二人でそんなことを言っていた。言ったってなにも変わらないのに。こんなのわがままって分かってるのに。でも、その時分かった。矢野が辞めるっていったのは野球部のこと。部長に渡していたものは退部届け。先生と話していたのは転校のこと。
「どうしてもっと先に話してくれんかったん…っ」
溢れる涙を抑えながら言った。


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