〜嗚呼、灼熱のなんとやら〜

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1: :2014/12/13(土) 14:23 ID:S1E


荒し晒しNG

個人的にまったりのびのび、続くかどうかは書いてみないと分からないねd(´ω`*)砂肝たべたい

2: :2014/12/13(土) 15:45 ID:S1E


此処は、町から随分と離れた通りにある小さな、そしてとても古い教会。

教会の辺りには青々と草木が生い茂っていて、教会のすぐ横に植えられた様子の木はしっかりと大地に根を張り、大樹となってその小さな教会を飲み込んでしまわんと教会の形に沿って木の枝が絡んでいた。
そして、その大小様々に教会を這う無骨な枝は青々とした若草や綺麗な緑をした蔦などによって程よく飾られ、それはまるで、人口によって作られた建物だと思わせない程に神秘的で、初めてこの教会を知った人は誰しも必ず、一度は足を止めてその美しい姿を目に留めたであろう。

「これ、は……」

そんな教会は、また。
いつものようにその場に有るだけで、一人の青年の目を虜にした。

3: :2014/12/13(土) 16:29 ID:S1E


「ようこそ。……あれ?君は……」

一人の青年がその小さな教会に見惚れていると、黒く分厚い鉄のような物で出来た教会の門を意図も簡単に開け、そこから一人の教祖が現れた。

黒のキャソックに首へと掛けられた眼鏡、腰まで伸びた綺麗なエメラルドグリーンの髪は、その髪質から地毛なのだろうか。
染めた様子も皆無で、風に煽られてふわりと浮いて髪にばらつきが出ても、風が止むと絡む事無く元のあった場所へと落ち着いた。
その髪に見会う翡翠の様に美しく深く色付いた瞳にはそれを飾りたてるように長く細い睫毛が生え、そこのみを見れば、二重の目が優しく微笑み、女性に見紛う程に美しかった。

しかしそれだけではなく、男特有の大きな喉仏があれば背は180前後で特別に声が高い訳でもなく、フランス人形を思わせる高い鼻に堀の深い鼻筋、全てが整っていて、この美しい教会の主と言って抗議する人など、一人も居ないだろう。
そう思わせるくらいには、たち振る舞いや物腰柔らかな口調が、優しく人の何かを包み込んだ。

「え、え……っと、依頼を受けて、来ました……。」

そんな神父が出てくるとは思わなかったのか、青年は彼にやや圧倒されながら、少し間を開ければゆっくりと口を開いた。

こちらの青年は特別目立った所の
無い、至って普通の外見だった。
髪は黒く、長さも首もとより少し短いくらいで目も黒い。強いて言うなれば、少し気弱そうに見える所くらいだろうか。
服装も主に黒を重視したボーダー柄で、背は160前後。
少し大きな皮のリュックを背負い、目の前で微笑み続ける神父に目を合わせず、小さな声で言った。

「……ああ、そうでしたか。町外れの遠い協会まで、ご足労をかけました……。さあ、外は寒いでしょう?中でお話をしましょう。」

その様子に戸惑う事も嫌悪感を抱くでもなく、その神父は青年を優しく協会の中へと招き入れた。

4: :2014/12/13(土) 17:14 ID:S1E


「……さて、問題の件なのですが」

招き入れられた教会の中には数個の長椅子が置かれており、祭壇も大きく、外とは違ってしっかりと手入れをされている様子で、真新しさすら感じた。
そんな部屋に視線を向けていると、どこか上の空な青年に向けて神父は話を切り出した。

青年は、今から神父とどのような話をするのかを理解していた。

神父の向かいに立った青年、四谷 東葉(よつや とうよう)は、自ら小さな相談事務所を立ち上げていた。
見た目で言うと未成年にも見紛うが、年齢は20を越えている。
頭が良いという訳でもなく、それでいせ会話が上手い訳でもない。寧ろ、苦手分野でもある。
が、しかし。情報収集能力には長けており、聞くだけという仕事ならば自分にも出来ると考え、無理強いをしない引け腰な性格もあって町での評判は良かった。
しかし、そんな彼も神父に依頼を受けるとは思った事もなかっただろう。
そんた少し困ったように緊張した青年だが、それでもなんとか話は聞こうとしているのか、話を切り出した神父の顔の目は見れないまま鼻先をじっと見つめてコクンと小さく頷いた。
そして神父もやっと話を再開出きると思った。

__しかし、その時

「あら、お客さんなん?」

ずっと視界に入らない長椅子に寝転がって睡眠を取っていたのか、教会関係者とはほど遠く、見慣れない格好と派手な髪色をして薄く化粧を施した男がムクリと起き上がり、小さく欠伸を溢しながら独特な訛りを口調に揃え、二人を交互に見つめた。

5: :2014/12/13(土) 23:16 ID:S1E


「こら、また勝手に店を抜け出してきたんですか?」

先程まで柔らかな笑みを浮かべていた神父が男の姿を見れば眉を寄せ、ここで初めて怒りの表情を見せた。

「だぁって、お客さんもこんし……で、その子は?そっちのコ?」

男は陽気な笑みを浮かべ、口の隙間から鋭く尖った片八重歯を見せながらその歯を舌で磨ぐように挑発的な表情で舐め、真っ白な長椅子の腰掛け部分へ両手両足を乗せて興味津々に二人を交互に見つめる。
その間に、青年は神父へ。この陽気な男との関係を問いかけた。



陽気な彼の名前は、藤原野 宗平(ふじはらの そうへい)と言うらしい。
この教会から更に外れた所にある、随分昔に消えた筈の江戸幕府時代を再現したような村で産まれ育ったらしい。
そこはあまり有名な訳ではないが、一部の人間にはとてもよく知られている村だった。
そんな彼は一度この教会の近くで倒れていた事があり、神父に優しくしてもらって以降、無断で教会で寝泊まりし、身寄りがバレるまでは浪人を名乗っていたらしい。が、今は店で働き、金も自分で稼いでいる。

「ん?なんやぼんくん、そないぽっかり口開けてたら…アテみたいな悪い大人になんや詰められるよ?ほれ、べっこうや!」

神父と彼に挟まれた青年、四谷東葉は神父の説明に聞き入り、僅かに口を開けてしまっていたらしい。
そんな様子に気がついた陽気な彼は、椅子から降りればゆっくりと東葉に近付き、気崩した着物の少しか金色に光った飴を取り出せば、ポカンと空いた東葉口に飴を放り込んだ。

「こら!だから、見ず知らずの人に訳の分からないものを…!」

「大丈夫やて、ただの砂糖菓子や。毒なんか入っててへんき、詰まらんようゆっくり溶かしや?ぼんくん」

そこまで言えば、陽気な男、藤原野 宗平は優しく東葉の頭を撫で、ニコリと優しく、しかしどこか不信感を覚えさせるような笑みを浮かべた。

東葉が率直に見た彼の姿は、少し昔に流行った、ただの遊び人だった。
体格もよく、そしてその姿をよく魅せるように少しはだけた着物の帯は緩く、鎖骨を露にする。
彼を見ていると、女をはべらせている様子がすぐに目に浮かびあがった。

何処か怠けていて掴み所が無く、そして神父のように腰までという程でもないが、男にしてはやや長髪の黒い髪は、キリッと釣り上がった彼の瞳を強く強調する。
その目を見つめると、まるで吸い込まれそうになる程に。
そんな風に彼の存在をじっと観察していると、再び話を遮られた神父が口を開いた。

6: :2014/12/14(日) 17:41 ID:S1E


「……で、最近噂になっている……誘拐事件の件、君も……聞いた事はありますよね?」

東葉の怯えた様子を楽しみながら再びべっこう飴を懐から取りだし、自らの口にも含んで舐めはじめた宗平を神父は掌で体を押すようにグイッと力を入れて退ける。
そして、東葉の目の前へ来くれば、やっと本題の会話を始めた。

誘拐事件の事は、情報集めが得意な東葉も何度か耳に挟んだ事があった。
なんでも、最近になって離れの町で連続して若い男女が忽然と姿を消すという、妙な出来事が頻繁に起きているらしい。
だが、未だ犯人を突き止める事を成功出来てはいなかった。

「つい一週間程前までは騒ぎも大して大きくはなかったのですが、最近になって……この教会に遊びに来てくださる方々、その子供達までもが姿を見せなくなり……」

「あら、アテの存在は無視かいな……ま、ええけどねぇ、昼寝の出来る空間があればそれで……」

神父が話し続けている途中、先程邪魔だと押し退けられた宗平が唇を尖らせ、人が来なくなったという神父に大し懐から出した扇子でスッと神父を指すと拗ねたようすで文句を言う。
が、しかし。する事はそれだけで、何も答えない神父に対して馴れた様子で扇子をパラパラと開けばそのまま自らを扇ぎ、再び長椅子へと横になった。

その様子を見て、やっと話を妨げる人は居なくなった。と、東葉が漸く声を出す。

「……き、いてます。え、と……でも、その様子を、目で見た事、なくて……」

だから、犯人の人数や相手に提供出来るような情報を持ってはいない。
東葉は、そう神父へと伝えた。

それもそのはず。東葉は情報屋を名乗ってはいるものの、個人的にその施設を作り上げただけで、仲間なども居ない。
その為、事件として扱われている情報に気安く触れる事は出来なかった。

「そうですか……ううん、困りましたね……」

東葉は困った神父の顔を見れずにうつ向いたまま、先程宗平に入れられたべっこう飴を急いで噛み、ごくんと一飲みしてしまえばこの緊張感から早く脱出しようと目線を扉へチラチラと移した。
しかしその時、二度寝を始めようとしていた宗平が突然バッと立ち上がり、東葉の肩へポンと手を置いて顔を近付ければ、神父に背を向けながら東葉の顔を間近でジッと見つめた。

「せやったら、アテと一緒に行こか。事件の起きたその町に……なァ?」

宗平が口を開く。瞬間、今まで優しくも艶の通った優しい声が崩れ、細くも線の長い目を更に細めて不適に笑みながら東葉の肩へ置いた手にグッと力を入れ、綺麗に紅を塗られた鋭い爪を突き立てた。

7: :2014/12/14(日) 17:52 ID:S1E

>>5

×「やや長髪の黒い髪」
○「やや長髪の赤い髪」

Yesッ!d(´ω`*)すなぎもー

8: :2015/01/26(月) 03:28 ID:S1E


場所は変わって、ここは大きな地下通路。
洞窟にも見えるその場所には、少し距離を空けて並んだ牢屋があった。
その中には、若い男と女が分けられて数人。男女全てを含めれば、三十人は居るだろうか。

「ねぇ、アグリ。いつになったら僕たちはこの人たちを逃がしてあげられるのかな」

その様子を、じっと見つめる少年が一人。

「もう、疲れたんだよ。この人たちが可哀想で。……とても哀れで。」

年齢は未成年とも見える見た目。
薄紫の髪は、染めたとも思えない程に質が良い。
口と爪に紅を塗っており、この場にそぐわない派手な女物の着物で着飾られた少年は、唸り声や啜り泣きの響く牢獄の鉄へ指を近付けて一人呟く。

「……きっと救ってあげるから。だから」

そう言って少年が冷たい鉄から指を離した瞬間、洞窟から外へと繋がる扉がキィ、と開いた。

「……心にも無い事を言うな」

扉から出てきた男は、小さな子供を抱えたまま着飾られた少年に手を伸ばした。

「ふふっ、本当の事なのに…酷いなぁ」

少年は慣れたように男の手を取れば、洞窟を後にする。

一言

“必ず救ってあげるからね”

と、だけを残して。


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