ワールド・ハッカー

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1:夜花◆ac:2014/12/25(木) 19:16 ID:Mv6

はじめまして。
小説を書くのが初心者の夜花です。
ファンタジー系の小説を書いていきますので、お暇な時にでも読んでくれたら嬉しいです。

感想などもお気軽にどうぞ*

2:夜花◆ac:2014/12/25(木) 19:17 ID:Mv6

何だろう。

そう、金髪にピアスの少年は思いながらもゆっくりと歩みを進めた先にはアスファルトの道路の上にそこは似つかわしくない光る何かが落ちていた、少年が興味本位でその光る何かに近づきそれを広いあげる。


「…なんだこりゃ」


拾い上げたそれは綺麗な球の形をしていた。

何か宝石のような気もするが宝石にしてはあまりにも大きく、また子供の玩具にしては透き通るような色合いで眩いばかりの光を放っている。

そもそもこんな道端にこんな派手なものが落ちていれば誰か拾うはず。

そう思い少年は辺りを見渡すが人っ子一人歩いていない、その事すらもまた不思議に思う、この場所は普段であれば必ずもう少し大人数が歩いているはずだが、と思っていると更に手にしている球は光りだした。


「眩し…っ!」


思わず顔を顰めた途端、少年はその眩いばかりの光に身を包まれた。



【第1話 そんな職業聞いた事ありませんけど】



俺、桐島 繁理は何処にでもいるような平凡な高校生だった、何処にでもいると言うのは些か語弊に似たものはあるかも知れないが、それでも俺からすればまだ平凡な方だろう。

そんな俺は何故かただ広い白い空間の中にいた、上も下も右も左も何処を見渡しても障害物などまったくない真っ白い空間。

何処かの建物だと言うには建物も何もない、ただ手にはさっき俺が拾った謎の変なボールと言うには硬すぎる、なんか和尚さんのつけてる数珠がデカくなったようなのが手のひらにある。


「ようこそ、ハッカーデリートの資格を持つ者よ、僕は君をお待ちしていました」


不意に背後から聞こえた声にバッと振り返る、そこにいたのは俺よりも僅かに歳は上だろう爽やかな男の俺から見てもイケメンなお兄さんがいた。

しかし今まで何もなかったそこにぽっかりと浮かび上がる人影に俺は思わずこれは夢じゃないかと思い始めた。


「あぁ、夢なんかじゃありませんよ、これは現実ですよ」


ふわりとした笑みと同時に言われた言葉に俺は思わず目を見開いた。

なんで俺の事考えていた事がバレたんだ…?


「なんでアンタ、俺の考えてること…」

「それはここに来た皆さんが必ず君と同じことを思うからですよ」


ここに来た皆さん…?


「ここは時空管理局の面接室…と言うよりはただの資格者の選定場でしょうか、あなたはハッカーデリートの資格をお持ちのようでね」

「はぁ?そんな資格…」


持った覚えなんてない。

そもそもそんな資格の名前なんて初めて聞いたし、時空管理局と言うもの自体俺からすれば初耳だ。


「ええ、君が身に覚えがなくても仕方がないですよ、これは我らが勝手に定めた基準を満たしている方に声を掛けているのですからね、桐島繁理くん」

「!」


俺の名前を知っている目の前の男に俺は驚きを隠せない。

この場に来てから俺はこいつに名乗ったことなどはない、にも関わらずなんでこいつは俺の名前を知っているんだろうか。

3:夜花◆ac:2014/12/25(木) 22:25 ID:Mv6

そんな俺の不思議そうな顔を面白そうにニヤニヤとした表情で見ているこいつに俺は軽く舌打ちをしたくなったのだが、そんな事しても無意味なのはわかっている。

何となくだけどこいつの言葉からここは、こいつの縄張りでそこで下手な事をしない方が良いと言う俺の長年の直感が伝えているから。


「アンタの名前は?」

「申し遅れました、僕の名前はシキと申します」


先ほどのニヤニヤとした笑みは何処へ消えたのか、爽やかな笑みで微笑むシキと名乗る目の前の男。

何処となく胡散臭い感じがまったくしないわけではないが、それでもこの男がまともに見えてしまうのはこの男のそもそもの容姿が関係しているんだろうか。


「職業は時空管理局の局長です」

「さっきから気になってたんだけど、その時空管理局って?シキさん」

「ああ、僕の事は呼び捨てで構いませんよ」

「シキ?」

「ええ、それで結構です。それで時空管理局の説明でしたね、まず君はトリップと言うものをご存知ですか?」

「トリップ?…あぁ、あのなんかの漫画とかでよくあるあの他の世界とか漫画の世界の中に入るとかあれだろ?」

「そうです、ご存知なら早いです」


トリップと言う話題を出すと言う事は何かその事に関係する事なんだろうか。

時空管理局と言うからには確かに他の次元とかある程度関係はしていそうなものだが、それでもまずこの世の中にそんな事が関係してくる職業なんてなさそうなもんだが。


「そう、この世の中には平行世界、所謂パラレルワールドと言うものが幾つも存在していまして本来それらは交わる事はありません、簡単に言えば君が見ている漫画が生きている本物の世界もパラレルワールドとして存在しているんです」

「…へぇ?で?」

「それで本来交わる事がないそれらが君の言うトリップと言う現象によって改変される事があります、本来はそんな事にならないようにするのが僕たち時空管理局の職員の仕事なんですよ」


つまり、こういうことなんだろうか。

フィクションの中だけかと思っていた出来事が実際には本当に起きていて、それを防止するのがシキが局長を勤めている時空管理局の仕事だと?

まだよくわかっていない俺はまだ疑問に思っている部分について聞いた。


「漫画とかでやってるあの神とかは?」

「神様がトリップさせると言うのがネタとしてありますね、…実際には事故とかで死んだ魂がうっかり何かの拍子に他の世界に迷い込むだけです、本当は天国に行かないといけない魂が違うところで迷子になっているので面倒な事になるんですよ、これがまだ何ら害がなければ僕たちも放置しとくんですけど稀に有害極まりないまるでゴキ…おっと失礼、これは失言でしたね」


絶対に今ゴキブリって言いかけたぞこいつ。

俺は失言でしたとさっきと同じようなニコニコとした笑顔の裏にひっそりとある悪意を感じ取った。


「そこはわかったけど、さっきのハッカーデリートって?」

「異世界から迷い込んだ住人をワールドハッカーと僕たち業界人は呼ぶのですが、そのハッカーを削除する資格の事をハッカーデリートと言うんです」

「…ふーん?」


よくわからない。

と言うかまるでクソゲーの如く聞きなれない単語がどんどん出てくるせいで説明があまり頭に入ってこない、取り敢えず覚えたのは時空管理局と言う事と俺がいる理由がそのトリップに関係している事がわかったぐらいであってそれ以外はなんのことやら状態。


「それであなたはそのハッカーデリートの資格を活かしてハッカー達を削除してもらいたい」

「削除ってまさか…」


殺せって言うんじゃないよな?

幾ら俺でもさすがに人殺しはしたくねぇんだけど。

4:夜花◆ac:2014/12/25(木) 22:44 ID:Mv6

そんな俺の考えがシキにわかったのかはよくわからないが、シキは笑顔のまま言った。


「何も殺せだなんて言いませんよ、暗殺者に依頼してるわけじゃあるまいし、…君にやって欲しいのはこちらで魂を元の極楽浄土に送り返す為の準備をしている間ハッカーが物語を弄らないように見ておいて欲しいんです」


頼めますね、と爽やかさは何処へ消えたのか真っ黒いドス黒いオーラでも放っているんじゃないだろうかと思うほどの黒い笑みをたたえていた。

その笑顔には拒否権などは微塵も感じさせないもので気づけば俺は首を縦に振っていた、いや、この笑みを見せられれば首を縦に振るしか術はなかったのかも知れない。

ちなみに極楽浄土に送り返すってやっぱ最後に死なせるんじゃ…?

そんな疑問など口に出せるような雰囲気ではなかったので俺はその喉元まで出掛かった疑問を飲み込んで心の中に、押しとどめておくことに決めた。


「そして今回、君に依頼するのはとある王国の王子様の護衛ですよ」

「護衛?」

「ええ、こちらからサポート役を用意しておきましたので詳しい事はそのサポート役である黄龍にお伺いください、黄龍には到着次第迎えに行くようにこちらから申し付けておきましたから」


そう言い切ったか、それとも俺の足元にぽっかりと黒い空間が開いたのが先か俺は返事をする間も無くその黒い空間の中に吸い込まれるように落ちていた。


「はぁ!?」


お前もうちょっとまともに出来ねぇのかよ。

そんな俺の心の叫びは届く事はなかった。


* * *


「…て…きて、起きて」


声が聞こえたかと思えば身体が揺すられていた事に気づき俺は薄く目を開けばそこには見た瞬間目が痛くなるような黄色い、なんか黄色い人間がいた。

思わず俺が落ちた衝撃で変なものでも見ているんだろうかと思ったのだがどうやらそうではないらしい、目を開いた俺を見ながらも目の前の黄色い人間はニコニコしていた。


「あっ、起きた」


そう言うと嬉しそうに無邪気な笑みを浮かべた黄色い人間。

さて、俺は何でこいつに起こされたんだろうか、と思いながらも俺は身体を起こした。


「…えっと、繁理くん?」

「何で俺の名前…あぁ、もしかして…黄龍?」

「うん」


俺の問いかけにうんと頷いた目の前の人間は元気よく頷いた。

どうやらこの黄色いのが俺のサポート役らしい。


>>next story...

5:夜花◆ac:2014/12/26(金) 11:23 ID:Mv6

不思議な仕事を任された不良少年の繁理。

そしてサポート役として派遣されたのは黄龍と呼ばれる髪の毛も瞳も黄色の少年。


「よろしく」


無邪気な笑顔のまま差し出された黄龍の手を繁理は少し思案した後に握った。

その握った手からは黄龍の温もりが感じられた。

その手をすぐに離した繁理に黄龍は不思議そうな顔はするがそれ以上の事はなかったのは彼の優しさだろうか。



【第2話 痛いという感情など忘れて】



俺の目の前には髪の毛と瞳の色が黄色と言う日本人では有り得ない容姿を持った男と言うよりは俺よりも歳は下そうだし、子供と言ったほうが良いかも知れないがこの子供が俺のサポート役らしい。

一体シキは何を考えているのかと思いながらも俺はよろしくと出された手をすぐに離した。

それに未だ目の前の子供―、黄龍は不思議そうな顔をするが何も聞いてこない。


「さてと繁理くん」

「何だ?」

「俺についてきてね、こっち」


そう言うと黄龍は歩き出した、黄龍が歩いていく方向を見てもただ何もない畦道が続いていくだけなのだがこの先に何かあるのだろうか?

疑問を抱いたまま突っ立ていても何ら意味がないと俺も思い黄龍の後を歩く。


「なぁ、サポート役って?」


無言なまま歩いていくのは俺の性格すればあんまり好まない事だった、だからその無言の時間を限りなく少なくするように俺はシキが言っていたサポート役について黄龍に聞くことにした。


「この世界で繁理くんが死なないように守ること、あとは繁理くんが世界を変えないように見守る役目」

「死なないようにって…えっ?死ぬ可能性もあんの?」

「そうだよ、と言ってもそんなの極僅かな可能性だし、世界によってはそんなに危険を伴わないし。まぁ、初仕事でそんな危険な場所にぶっこむほどシキさんも鬼畜じゃ…ないとは言い切れないけれど、今回は大丈夫、俺はただの保険だと思って」


言い切れねぇのかよ。

確かにあんなドス黒い笑みでほぼ強制的に意思などあまり関係なしに放り込むような奴が鬼畜じゃないと完全に否定できるわけでもないか。

それにしてもシキさん…って。


「シキと仲良いの?」

「うん?あー…別にそういうわけじゃないけれど、俺と兄さん、あの人に恩があるから」

「恩?」

「そう、俺とは違って兄さんはそういうの恩とかあろうがなかろうが関係ないから、こういう仕事ってすぐ俺に丸投げしちゃうんだけれど」

「丸投げ…?」


いや簡単に丸投げ出来るもんなのか?

そもそもシキの笑顔じゃそんな事を許すわけがないと思うが、でもそれに関しては出会ったそんな一時間も一緒にいなかった俺がシキの性格を完全に把握出来るわけでもないし、そこは寛大な部分もあるんだろうか。


「サポート役にはならないけど、今回は兄さんも手は貸してくれるみたい」

「へぇ…」

「兄さん、自分より年下の男は放っておけないから、それに美形は兄さんの好みなんだ」

「ふーん…あ?」


ちょっと待ってなんか聞き捨てならねぇ言葉あったぞ。

6:夜花◆ac:2014/12/26(金) 11:24 ID:Mv6

兄さんって言うからには男だろ?それはわかったけど、その男が美形の年下男が好みって…え、まさか。


「なんか誤解されてるみたいで兄さんの名誉の為にも言うけど兄さん同性愛の趣味はないから、ただちょっと女が面倒だから男の方を愛でたいらしいから」


そう言われながらも黄龍の足が立ち止まった。


「ここだよ」


その言葉に俺は黄龍の視線の先にあるものを俺も見る、そこにあったのは古い民家。

地震なんてあった日には簡単にぺっしゃりといってしまいそうな、まるで時代劇のお金のない村人の暮らす長屋とも言えるようなそんな家。


「ここって…」

「今日から兄さんと俺と繁理くんの三人でここで暮らすの」

「…え」


この家で?

確かに見た目は長屋みたいだし三人が一緒に住むと言うのも何と言う事はないんだろうけれど、それでもさっきの黄龍の発言でそのまだ見ぬお兄さんと住む事に俺は軽い抵抗を覚える。

身の危険を感じるとはこういうことなんだろうか。

その時ガラリと家の玄関の戸が開かれて、そこから出てきたのはなんか黄龍とは色違いの、何ていうか黄龍は黄色だったが今度出てきたのはオレンジ色の。


「兄さん」


もしかしてと思う前に黄龍が口を開いた。

やっぱりこの黄龍の色違いのような奴は黄龍の兄貴で間違いないらしかった、しかし何か黄龍の時も思ったけれど黄色とかオレンジってなんか目に優しくない、目が痛くなる。

俺みたいに金髪だったらまだ納得は出来るが本当にこいつら真っ黄色にオレンジだから、なんなんだこいつら。


「おー、黄龍遅かったじゃねぇか…おっ、隣の美形くんが今回の仕事人?」


なんつーかチャラいな!

俺も見た目だけなら大概人の事は言えねぇけれど、それでも俺の非ではなくこの黄龍の兄貴はチャラいような感じがした、見た目もそうなんだが中身もチャラそうだ。

しかし仕事人って言い方は他にはねぇのか、まぁ間違いでは全くないが、仕事人と言う事で合っている、実際俺は不本意ではあるが任された仕事をする為に来たんだから。


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