紡ぐ絆と奏でる音色。

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1:律、◆K.:2015/01/19(月) 19:16 ID:4k2





 綺麗な顔で歌う君に、
 僕はいつの間にか恋をしていたんだ。


 

2: 律、◆K.:2015/02/04(水) 19:26 ID:4k2




 学校の校庭の様々な場所で飛び交う挨拶。そんな挨拶を避けるようにして、僕は学校の校舎内へと向かっていた。
 校舎に入り靴をしまうと、巻き付けていた黒いマフラーを外し、白い息を吐き出す。

「おはよ、太田。いつものように元気ねーな、」
 教室に向かう途中、後ろから聞こえる聞き慣れた声に反応して振り向けば、何時ものように笑う友人、土屋亮介の姿があった。

「おはよう、これでも自分では明るい方だと思ってるんだけどなー…」
「ふーん、そうか? 俺から見ればネガティブなやつに見えるけど。」

 そんな会話をしながら歩いていると、いつの間にか2-Cの教室に着いていた。

3:律、◆K.:2015/02/06(金) 18:44 ID:4k2




 教室に入り、土屋と別れて自分の席に座ると、謎の安心感が湧いてきた。
 担任はまだ来ていないようで、みんなそれぞれ色々な話をしている。

 ――その中に、一人だけ。
 一人で席につき本を読んでいる女子がいた。

 今まではよく見ていなかったが、友達が少ない人も少なくはないらしい。
 名前も知らない、話したこともない女子だが、僕はなんとなく彼女を見つめていた。

4:律、◆K.:2015/02/08(日) 13:37 ID:4k2




 彼女が此方を振り返ると、一瞬彼女と目が合った。
 彼女の瞳は青く澄んでいて、ずっと見ていると吸い込まれそうな気がする。

「ほーいみんな今日も元気かなー?」
 担任が来ると、みんながガタガタと自分の席に戻り始める。
 僕は彼女から目線を外したが、何故かずっと彼女の事が気になって仕方がなかった。

5:律、◆K.:2015/02/09(月) 18:45 ID:4k2




 時は放課後。

 今日の授業は全て終わり、みんなが話しながら下校している。そのなかで、僕は教室に残ったままぼーっとしていた。
 なんとなく、理由なんてないけど、僕は何故か教室の窓から夕日を眺めるのが好きで、たまにこうして一人で夕日を眺めている。
 
 その時、何処からか、寂しげなピアノの音と少女の歌声が聞こえてきた。
 
 耳をすますと、その音と声が教室の近くの音楽室から聞こえていることが分かる。
 僕は、この音色と歌声の主を知りたい、という好奇心に駆られ、音楽室へと足を進めた。

6:律、◆K.:2015/02/10(火) 19:37 ID:4k2




 音楽室が近くなればなるほど、音色と歌声は大きくなってゆく。
 音楽室に着き、僕は音楽室のドアをガラリと開くと、音色と歌声の主が姿を現した。

 ピアノを弾く手を止め金髪のツインテールを揺らしながら振り返った少女は、今朝見ていたクラスメートだった。
 彼女は、驚いたような表情をして僕を見る。
 無理もないだろう、面識も何もないただのクラスメートが入ってきたんだから。

「あんた、今朝の…」

 彼女の表情は、驚いたような表情から怪訝そうな表情に変わっていった。

7:律、◆K.:2015/02/11(水) 09:09 ID:4k2




「あんた、今朝私のこと見てたでしょ?」

 彼女からの唐突すぎる質問。その質問に、僕はどう答えるのか迷っていた。
 はい見てました、と素直に答えたら変なやつ扱いされるのでは、と僕が考えてる間にも、彼女は僕から視線を逸らさない。

「……名前、なんていうの?」

 答えに迷う僕に、彼女は仕方ない、と言わんばかりに溜め息を吐き、次の質問を投げ掛けてきた。

「太田和人だけど、……そっちは?」
「坂月美咲。クラス同じ癖に覚えてないの?」
 覚えてないのはそっちも同じだろ、と突っ込みたい気持ちを抑えて、僕は「宜しく」と小さく呟く。

「こっちは宜しくするつもりなんてないから。もうここには来ないで」
 どうやら彼女……、坂月さんは随分ひねくれた人らしかった。

 僕が踵を返し音楽室を出ようとすると、坂月さんから「待って」と声を掛けられた。

「……私がここにいたこと、誰にも言わないでよね」
 坂月さんはそれだけいうと、僕を外に押しだして音楽室のドアをバタン、と閉めた。


 この時の僕は知らなかった。
 ――これが、坂月さんと僕の二年間の、始まりになるなんて。


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