私は、小学生。そう。ただの小学生である。

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1:少女匿名:2015/01/28(水) 21:56 ID:eWM

「ふぁぁぁ〜」


大きなあくびをしてから、机に突っ伏す


今日は、よく晴れた日

青く澄んだ空と太陽が眩しく

白い雲も今日の空色にはよーく合っている


でも、それを喜べないのは私が捻くれているからだろうか


響き渡る大きな声や、ボールの弾む音

とても楽しそうだ


それらを耳に聞き流しながら、私はため息をつく

別に、疲れている訳じゃない


ただ、つまんないだけ

そう、つまらないのだ


「………」


単純すぎるクラスメイトたち

贔屓する先生


成績優秀な私は贔屓される側だけど

それを恨みにネチネチ悪口言うのはやめてほしい


努力もしてないくせに

それに第一、私が贔屓されたくてされているわけではない


まぁ、そんでもって私はいつも一人

「可哀想」なんて言う人もいるけど

私はいいと思っているんだ

なんせ、口出しする人はいないし


……でも、楽しくない

こんな変わりのない退屈な日々、早く終わってしまえばいいのに


なーんて思いも口には出さず

私はまた、ため息をつく

2:少女匿名:2015/01/28(水) 22:53 ID:eWM

それは、ある昼休みのこと

1人の男子の絶叫から始まった


「Gだぁぁぁ!

Gがでたぞぉぉぉぉ!」


劈くような叫び声とGという謎なアルファベットの意味を理解すべく、教室がシーンと静かになる



………あ、はいなるほど


意味を理解するまで3秒もかからなかった

私がゆっくりと立ち上がろうとしている間に、みんながみんな、男子のいる方へ向かっていた

……廊下は走っちゃダメなんだよ


「き、きめぇ……」


そこは、学年の水飲み場だった


何もいないのでは、と思いつつもしばらく見ていると、下水管から黒くも、紫色に暗光りする物体が…

しかもその物体……否、生物、カサカサ音を立てんばかりに動いている


間違いない

ゴキ…じゃないGだ!


「ふぇえ……気持ち悪ぃょぉ……」


明らかにキャラ作り、お疲れ様と言いたくなるほどに可愛らしい()きゃんでぃボイスが聞こえてきた

振り向くと、そこには頭にピンクのリボンカチューシャをつけた女子

梨郷寺 有栖川(りごうでら ありす)がいた


男子からの人気はNo. 1!な彼女

そも証拠に、涙目になる梨郷寺さんの周りにわらわらと、それこそGのように男子たちが集まってくる


「ふぇ?へ、平気だよっ!」

うむ。いつも通りの素晴らしいぶりっ子っぷりだな


心の中で賞賛の声を上げつつも、私は黙って動くGを見つめた


と、その時



「あ、危ない!!」


「!」


気付いた時には遅かった

目にも留まらぬ速さで、急にGが飛びかかってきたのだ

しかも、私の目前!


なんで危ないのかはわからないが……

(精神的な面で)は、非常に危ないと思う


「……」


とりあえず、避けてみた

すると、Gは真っ直ぐに私の後ろへ……




すなわち、梨郷寺さんのもとへ………







「きゃぁぁぁ!」という高い悲鳴を聞きながら………

そして、男子たちの真っ白な瞳をみた今、

私は思う


「あ、(社会的に)終わったな……」

3:少女匿名:2015/01/28(水) 23:28 ID:eWM



「なんでそんなことしたんだ!」


目の前には、私のクラスの担任の先生

顔を真っ赤にして、怒鳴っている


「……はぁ?」


時は、2時5分

ちょうど、5校時が始まった頃


……訳がわからない

なんで、私が怒られているんだろう


奥では、涙を拭う梨郷寺さん

そして、私に対して腹をたてる男子たち


「……?」


私は、その理由を思い出してみる


確か、昼休みのあのとき……


なんとかGが服に着く程度で終わったり梨郷寺さんに

私が

「よかった」

なんて思っていたら……


「いゃだぁ…汚いょぉ……」

と泣き出してしまった

ああ、面倒臭き


「大丈夫!?」「なんで梨郷寺さんに!」

と、それに対して、怒り出す男子たち

もちろん、その矛先は私


梨郷寺さんも、ずっと泣き続けてるもんだから、とうとう授業が始まってしまって

職員室からきた先生が周りの男子たちに訳を聞いたらこれだ


「……」


おそらく、男子たちは私が悪いという趣旨のことを伝えたのだろう

さすが、私

察しの良い子だ


でもこの熱血教師……

完全に私を悪者だと思っている


「なんで黙っているんだ!お前がやったんだろう!素直に謝れば、それだけで終わるんだぞ」


なんで。

私悪くないんですけど


無視しようと思ったら、


「そうだ!」「黙ってるな卑怯者!」


男子たちからの援護射撃。

さらに腹が立っていく



「黙ってればいいってもんじゃないんだよ!!」

「サイテー!」


「!」


急に、声が高くなったば、なんて思ったら

女子たちもだった


「……ぁ」


「みんなから、敵意の目を向けられている」


そう気付いた時、私の中で何かがきれた


もちろん、効果音は、ぷちっなんて生易しいものではない


ぶちりっ

だ。

私の堪忍袋の尾という尾が、勢いよく切れた音

4:少女匿名:2015/01/28(水) 23:56 ID:eWM

「私じゃありません」


気付いたら、そう言っていた


みんな、びっくりしている

私だって、びっくりしている


私の声、以外と響くんだな

なんて別のことを考えながらも、私の口はしっかり動いていた


「私は、梨郷寺さんに何もしていません

話しかけてすらいません

強いて言うなら、話しかけたくもありません

ましてや、Gを近づけたりするなんて……

私は、ただ飛んでくるGを避けただけです。

ただ、それだけです」


あ、3行目に本音を入れちゃった☆

そして、さすが私

滑舌も良い子!


みんな、ポカーン

そりゃぁね

いつものおとなしい女子の私がこんなに大声出してんだもん


「じゃ、じゃあ、あの男子たちが言っていたのは?」

「さっき言ったじゃないですか。

私は避けただけと」

「でもーー」

「じゃあお聞きしますけど

男子の皆さん、私は、Gを避ける以外の行動をとりましたか?

梨郷寺さんに手を出すような真似をしましたか?

正直に、ちゃんと答えて下さい」


ーーー

わたし は、にらみつける を つかった!

だんしたちの こうげきりょくが 0 になった!

ーーー


「え…あ、それは……してない」


男子たちの声が小さくなっていく

……ったく


「適当言ってんじゃないわ。顔面ぶん殴っぞハゲども」


ーーー

わたしは こわいことば をつかった!

だんしたち の こうげきりょく が、−いか になった!

ーーー


「……!ぁ……ぉ」


ガクブル状態の男子たち、驚く女子たち、ポカーン先生


「……」


ーーー

わたし は クラス で もっと 浮く ようになった!

ーーー


さよなら、静かなる私の日々

わたしは教科書を出して読み始めた

5:少女匿名:2015/01/30(金) 18:58 ID:eWM


その日の放課後


「ねぇ」


突然、本当に急に話しかけられて、思わず肩が震える

情けない


……というのは置いといて


この声、今日何度も聞いた

甘っっったる〜いこの、きゃんでぃボイスは……


「ちょっと話したぃことがぁって……

後で、音楽室に来てくれなぃ?」


梨郷寺さんだった


急に呼び出されて、私は驚いてーー




る訳ないだろう


こんなの、予想していたに決まっているぜ☆


では、その理由を説明してしんぜよう


梨郷寺さんは、5校時の時泣いていた

でも、あれは嘘泣き


多分、前から彼女は私のことを嫌っていた

ちょくちょく嫌がらせされてたし


きっと、頭の良い私に嫉妬したんだな!


……まあ、彼女は今回のことで私を貶め入れようとでも思ったんだな


私はすぐ分かった

さっすが私!


その後、私が男子たちを(睨み)倒すと、びっくりしたような顔をしていた

そして、5校時の間、私はずっと梨郷寺さんに嫌な目で見られていた


つまりこれは……




呼び出されて、何かしらされるパティーンだな!


でもーー

なぜに音楽室


そうは思った口には出さず、私は黙って頷く


「ゃったぁ!じゃぁ、後でね」


そう言って、ルンルン去っていく梨郷寺さん


きっと、「まんまと騙されている」とでも思っているんだろう

その後ろ姿を眺めながら、私は不意に笑顔を作る



なめてもらっちゃ困るな




梨郷寺有栖川

6:少女匿名:2015/01/30(金) 22:47 ID:eWM

そして……


「あんたさ……調子乗ってんの?

あれ、確実にあんたが悪いでしょ

あーゆーの、言い訳とか屁理屈っていうの」


キタ───!

さっすが私!

予想もよく当たる!


やっぱり梨郷寺は裏があったな



その証拠は……今、私の目の前にいる方の梨郷寺

いつもの明るいぶりっ子じゃなくて、暗くて冷たい瞳・口調

そしてなぜか説教タイム


周りにいる、私を取り囲む女の子たちは、多分梨郷寺に脅されでもしたんだろう

表情がこわばっている




「ちょっと聞いてんの!」


「!」


ドンっ

と音がして


「突き飛ばされた」

そう実感した頃には、私の腰が思い切り後ろの机に当たっていた


「いってぇ……」


「あははっ♪ウケる」


「いい気味」とでも言うかのように笑う梨郷寺

取り巻きの女子たちも、恐る恐る、従うように引きつった笑い声をあげる


一方、私は痛めていた腰をさらに傷つけられ…

嘲笑われ……




イライラMAX!!




私は拳を固めて……

……となるべきなのだが、あいにく暴力で力の差を見せつけるといったことはしたくない

ここは、しばらく様子見だね


「ほら、あんたたち」


座り込む私を見下し、周りの取り巻きに合図をする梨郷寺

私の近くに寄ってくる女子たち


そして……


「……」

今、絶賛見下され中なんだけど……


ーーー

おーっと梨郷寺選手の鼻毛が!鼻毛が見えております!

常日頃から熱心にメイクをし、「どの角度から見てもざ☆びゅーちー」だった彼女!

が、ここから見てしまえば全て水の泡!

毎日のメイク研究が、たった今!……無となってしまいました!

これは悔しい!

この悔しさをバネに頑張ってほし……

ーーー


とか考えていたら蹴られた

ひでぇ


……これはさすがにないでしょう


「……梨郷寺さんあなた、黙っていれば……」


スッと私は立ち上がって……




「がっ!!」


「……あ」




忘れてた……

私は、さっきまで梨郷寺さんのすぐ下にいた


それが、私が急に立ち上がったから……




顎に頭突き……してもうた………

7:少女匿名:2015/01/31(土) 10:25 ID:eWM

「ひょっほ!はにふんのよ!」

↑訳:ちょっと!なにすんのよ!


盛大に鼻血を出しながら私を睨みつける梨郷寺

呂律も回らないらしく、鼻水も涙も出てきている


ああ……いつもの美少女姿は何処へ……


と、いうようなそんな彼女を見て思う


「……

悪気はない」


ここは正直に謝ろう

そう思って頭を下げた


「やっと分かったみたいね!」


「?」


顔を上げると、梨郷寺のへへん顔

何故に?

「今からあんたも私に仕えなさい!

今もだけどこんな私の目の前に堂々と立っているなんて図々しいわ!

ほら早く退きなさい!」



あ、はい


勘違い乙ですね

なんかドンマイ


私は苦笑を堪えて音楽室を出た

8:少女匿名:2015/01/31(土) 10:58 ID:eWM



音楽室を出ると、外はもう真っ暗


……そんなに長い時間いたつもりは無いのに


「あ、そう言えば」


ニュースで言ってたな

今日は日が落ちるのが早い日だって




「……


早く、帰らなきゃ……」




そう思った途端、急に気持ちが暗くなったのが分かった


ーーなんで、あんな家に……


嫌だ、帰りたくない

大嫌いな母親、妹がいる家

私にとっての、地獄


「……」




ーーー


学校は、家という牢獄から私が自由に抜け出せる唯一の逃げ場所だった


母は……元は優しいお母さんだった

そう、あくまで元は


なんで、こうなったのかは分からないけど


今では、私と妹を比べて優劣つける、最低な人

例え私の方が才能が上でも、細かいところをネチネチ言って妹を上にしようとする


妹は、母に褒められまくって有頂天

私を下に見下し、学校でもよくその自慢をしているらしいが、成績は最悪

よく問題も起こす、ガキ大将顔負けの「超」問題児だ

ーーー



学校では、よく「正反対の姉妹だね」と言われる

当たり前だ


家を、家族を忌み嫌い、それを忘れられる時間が、「勉強している時」だった私

もちろん、毎日狂ったように勉強をしていた


それとは反対に、甘やかされ、愛され続けてきたわがままで性格の悪い妹

勉強とは遠い場所にいた


……今日は、テストで100点満点を取ったんだよな

でも、絶対に褒められはしない


「……ただいま」


さあ、明日の朝までの辛抱だ

9:少女匿名:2015/01/31(土) 11:15 ID:eWM



「でね、そしたら先生が……」


「ヘェ〜」


妹の言う言葉を、まるで珍しい話を聞いているかのかのように聞き続ける母


個人的には全く面白くもないクソみたいな話なので、適当に聞き流し

そっぽを向いておいた


「……」


黙々とスープを飲む私を母が見つめて言った


「ねぇ、あんたも少しくらいは口聞いたら?」


「……めんどくさ」


そう言うと、けげんそうな顔をして


「可愛くない子ねぇ、ね、未唯香」


「お姉ちゃんかわいくなーい

顔もだけど」


そう言って二人でケタケタ笑いだす

口だけは達者の性悪妹


こっちはぜんぜん面白くない


「はいはいオモシロイネー」


適当に流しておいた




視線を逸らすと、大きな仏壇がある


「毎日が、一人ぼっちで寂しい」


………こんな時、すごく思う




______なんで死んじゃったんだろう


お父さん_____

10:ミルクキャラメル:2015/02/02(月) 22:21 ID:0rY

おもしろいです‼
続き楽しみです

11:少女匿名:2015/02/03(火) 22:32 ID:3Y.

ミルクキャラメル様

は、初コメキタァァ!!
めっちゃ嬉しいです
これからも頑張るので、ぜひ見て下さいね

12:少女匿名:2015/02/03(火) 22:57 ID:3Y.

ーーー




「お父さん、お帰り!」



お絵かき道具を投げ捨て、誰よりも早くに玄関に走っていく私


お父さんにぎゅっと抱きつくと、その服に染み付いた、汗と海の香りがした

私の大好きな、この匂い


多分、洗濯程度じゃ落ちないだろう

長年海で生きてきたお父さんからしかしない、懐かしい匂い


『よし』


パッと手を離して、そのままぐるっと体を一回転

どこも怪我をしていないのを確認する


『よしゃ!怪我なし!無事でよかったナリ!』


そう言って敬礼のポーズを取ると、笑いながら私の頭を撫でてくれた

この、暖かくて大きい手のひら

この重さが感じ取れることを、毎日どんなに楽しみにしていたのだろう


『おう、ただいま』


ニカっと効果音がつきそうなほど、明るい笑顔

いっちょ前にヒゲを生やした元気な顔

明るくて、優しくて

一緒にいるとこっちまで笑顔になれる




ーー私のお父さんは、町でとても評判のよい漁師だった




『今日も、たくさんとれたぞ!』


そう言って、船での話を聞いたり

漁の事を聞いたり


『おりゃ!釣れた!』


『へい!一丁!』


『それ寿司な』


……女の子らしくないけど、漁師ごっこしたり


『あはは、未唯香違うぞ』


そう、いつも笑っていてくれたお父さん


「……」


そういえば……あの頃のは未唯香ともよく遊んでいたな

未唯香は少しぼけっとしてて、……天然っていうのか

…でも、素直でよく笑う子だった


『こーら、もうご飯出来てるのよ』


そう言って部屋に入ってきたのは、エプロン姿のままのお母さん

私たちの使っていた道具をせっせと片付けてしまう


『えー、もうちょっと』


子供の私たちよりも子供みたいに、拗ねているお父さんの頭をおたまでパカンと叩くお母さん


ーー今とはまるで違う、優しくて強気なお母さん

私の、大好きだった頃のお母さん




『わーい、ハンバーグだ!……私、こっちがいい!』


『えーでもそっちのが大きいじゃん!インチキ!』


『こら!喧嘩しないの!それお父さんのよ!』


『『えーっ!』』


『わーい!大肉ゲットだぜ!』




私にとって当たり前の、普通の日々

でも、笑顔がいっぱいの幸せな日々


『あははっ…それは新しいな』



今考えたら、その「笑顔」の中心には、いつもお父さんがいた



みんなを笑顔に、幸せにしてくれるお父さん



私が。

未唯香が。

お母さんが。


みんなが大好きだった




そして、幸せ「だった」______

13:少女匿名:2015/02/03(火) 23:09 ID:3Y.




ある、暑い夏の日のこと

その日の朝、私は早くに目が覚めた


『む……』


ぼんやりとする視界

目をこすると、ゆっくりピントが合わさっていく


ーーー


その日は、よく晴れていた

私の大好きな快晴


うるさいセミの鳴き声も気にならないくらい、気持ちの良い朝だった______




逆に気味が悪いほどに




『……』


いつも通り、玄関にいるお父さんに『いってらっしゃい』を言いに行く


『よーっしじゃあ行ってくっぞー!』


『おう!ちゃおだぜ!』


私がそう言って敬礼のポーズを取ると、お父さんはまた私の頭をガシガシ撫でた







_______そして、こう言ったんだ









『ごめんな』

14:少女匿名:2015/02/03(火) 23:18 ID:3Y.























「_________でありましてー



………あ、速報です


先ほど、××県⚪︎⚪︎市の海岸付近に




三棚恭平さんとみられる人物の遺体が見つかりました


警察は_____」

15:少女匿名:2015/02/04(水) 18:51 ID:3Y.



ーーー


それから、母は抜け殻のようになった


『……母、さん』


以前のような気強さはどこにも見当たらない


質問すれば、小さく答える程度で


何も喋らない

動かない


虚ろな瞳でじっと宙を見つめている

それだけ


『……』


『……おねーちゃん、お腹空いたね』


そんな状態が3日も続くと、さすがにこっちも辛い

未唯香と一緒に適当にご飯を食べて、腹を満たしていた




ーーー

あれから、ちょうど一ヶ月


『……

あ、母さん、いたんだ』


『_____ちょっと、いらっしゃい』


急に、母に呼び出された




『……』


母はやっと普段通り、ご飯を作ってくれるようになった


でも、前よりもずっと無口になってしまった

以前のような明るい会話は、私たちの中には生まれず……


『…父さん』


母は、よっぽどショックだったのだろう

私たちも、十分に辛かったが





『ねえ、なにこれ』


『?』


急に母が突きつけてきたのは、私のテスト

クラスでたった一人だけ90点と最高点だった、名誉ある(?)回答用紙だ


『ああ、それ?クラスで私だけが90点で___』


『百点取れなかったことには変わりがないのよ。』


私の言葉を遮って

母の口から放たれたのは、予想以上に冷たい言葉

厳しい口調で、明らかに私を叱りつけるように言う


『…………


え?』


え?なんで

褒めてくれるんじゃないの?


そう心が叫んだ


『小学生のテストなんか、簡単なものなの

それが百点じゃなくてどうするの?

周りの子と比べて、甘えちゃダメ』


それでも、母の言葉は止まらない

どんどん、私を刺していく




_____でも……




『…あなたは……っ』




そんな、泣きそうな目で言わないでよ




なんで、私を叱っているはずなのに

何で、そんな悲しそうな顔するの


なんで、自分を叱っているみたいに

辛いことを押し消そうとするかのように……




『……

母さん?』


それを、未唯香が見ていて


『み、ゆか』


妹に見られちゃった、と

姉として、恥ずかしくなった

どんどん顔に熱が集まる


すると、母は目を光らせた


『……まったく、未唯香はあんなに優秀なのに

あなたは何なの?』


それからも、つらつらと並べられる私への言葉

どんどん母の目が曇っていく


母の瞳から、私が消えていく



_____違う。


違う。



_____母さん?


違う




あなたは、誰?

16:彩◆0o:2015/02/04(水) 21:04 ID:4Lk

どうなるんだろ〜♪( ´▽`)楽しみにして
ます‼‼

17:少女匿名:2015/02/06(金) 18:32 ID:3Y.

彩◆0o様

コメントありがとうございます!
めっっちゃ嬉しいです
これからも応援おねがいします!

18:少女匿名:2015/02/07(土) 13:04 ID:3Y.



ーーー


そんでもって、今にいたる



「・・・」


今まで、ずっと我慢していた

辛かったけど、耐えてきた





『おねーちゃん』

あの頃の未唯香は、少し天然の、でも優しい女の子


『こーら、ふたりとも』

あの頃のお母さんは、強気の、でも私たちのことを先に考えてくれていた



・・・あのころの、わたしは___



青空の好きな、笑顔で明るい女の子


いつも、いつも笑顔で・・・



でもそれは、私を笑顔にしてくれる「誰か」がいたから



今の私は__


「・・・・・・」


無表情で無愛想な、「子供」


大人ぶっているだけで・・・さみしいのをぐっと堪えているだけで・・・

本当は、すごくさみしい


美しいあの空を、お父さんを奪っていった青空を、憎らしいとさえ思う



「あ・・・れ、私」



どんどん視界がぼやけて、前が見えなくなって行く

それどころか、瞳からなにか生暖かいものがでていた




「あのころのみんなは・・・もうどこにもいないんだんね」




それがなんなのか、私はわからなかったんだ・・・

19:少女匿名:2015/02/07(土) 16:53 ID:3Y.



ーーー


「みなさん、そろそろ卒業ですね」


「ふ・・・ぁ」


担任の先生の声も頭に入らないくらい、眠い

もう先生の言葉一つ一つが子守唄にしか聞こえない

昨日は・・・夜中の2時まで勉強・・・で


そう、私は眠気と戦う戦士なのよ!

サロメチ◯ルとコーヒーのダブルタッグを味方につけた、勇敢な・・・


あ、やばい

眠気が・・・


三秒だ

たった三秒で、無残というか、むしろ清々しいほどにあっさりと眠気に惨敗した私は、あっという間に眠りの世界に引き込まれていった・・・



ーーー


「ねえ、_____、_____」


誰かが・・・私のことを読んでいる

どこから聞こえるのか分からなくて、私はなにもない空間でただキョロキョロしているだけ


・・・だれ


___あなた・・・だれなの


すると、「声」は急に声のトーンを変えた


「かわいそうに・・・君は全部忘れてしまったんだね

・・・大切な人も、物も






___そして、自分のことさえも」


それは・・・まるで哀れむように


___自分の、こと・・・なにを言っているの




そのあと、なにを言っても「声」は答えてくれなかった・・・



ーーー



「な・・・たな・・・」




「おーい三棚・・・おい三棚!」


「ぅはっ」


あかん

すっかり眠っていた・・・


「勉強・・・頑張るのはいいが、無理はするなよ」


「・・・はい」


それだけで、また話に戻ってしまった先生

この間のことがあったせいか、私に対する当たりがなんとなくよそよそしい気がする


「・・・」


すっかり眠気も覚めて、今度は窓の外を見ていた



・・・それにしても・・・不思議な夢だった


___私、忘れてるの・・・かな

忘れているとしても・・・なにを忘れているのかがわからない


まだ咲くことのない桜の木

夏には青々と茂っていたあの葉っぱも今は枯れ果て、春に向けて花を咲かす準備をしている


「あ・・・」


誰だろう

桜の木の下に立っている・・・黒い髪の少年


おそらく中学生・・・くらいだろうか

なにもしないで、黙って校舎の方を見ている


「・・・クソっ」


・・・呪うぞこの、低い私の視力め


残念ながら、視力の問題で少年の顔は見えなかったが


「・・・!」


あんな遠くから見えるはずはないが・・・

私の方を見て、彼が微笑んだような気がした

20:少女匿名:2015/02/10(火) 17:15 ID:3Y.



キーンコーンカーンコーン・・・


チャイムが鳴りおわったかどうかなんて

そんなの定かではないが


「はぁ・・・はっ」


気づいたら、私は駆け出していた


あれ


なんで、私急いでるんだろう

なんで、あの少年のことが頭から離れないんだろう


「・・・」


少女漫画ではこいうの、「恋をした」っていう


・・・でも、そんな簡単に見知らぬ相手に一目惚れするほど、私の心は甘くない

自分で言うが、防弾ガラスレベルの屈強なハートを所持している


・・・多分、これは単なる「興味」


「行かなきゃいけない」、と

今、いく運命なのだと


体が、脳がそう叫ぶんだ


「はぁ、はぁっ・・・はっ」


必死に走ったら、もうあの少年を見た、桜の木の下

さっすが私・・・なんていつも通りの自画自賛


・・・が、肝心の「少年」が見当たらない

キョロキョロと周りを見ていると・・・


「もう・・・来たんだね」


「わっ!」


「急に、後ろから声なんてかけるな」


そう言おうとした私の思考が一瞬停止する


「・・・・・・・・・

いたんかい」


探していた、あの「少年」が、微笑む____

21:少女匿名:2015/02/11(水) 22:27 ID:3Y.

「こんにちは」


「……

こんにちは」


とりあえず、とでも言うかのように挨拶を交わす私たち


「いやぁ、見つかってよかった」


なんて言って

最初はニコニコと笑みを絶やさずにいた「少年」……


が、今はこちらを見て驚いたような顔をしている


「……」


…そりゃそうだろうな

理由は、私がよーくよーく分かっている


……だって私、多分今相手のこと睨んでるんだもん!


いやいや、決してわざとではない

自分でもよく分かんないけど、多分……いや、きっと睨んでしまっている


みんなは……

こんな場面は普通、微笑んで相手にいい印象付けするだろう


私だって、そうしたい

そうしたいのに、表情筋が動かない!


笑おうと眉をあげると、逆に目が釣りあがってしまう……

なんだよこの顔……


ーーー


わたし は ほほえみ を つかった!

が、わたし の ひょうじょうきん は いうことを きかない!


ーーー


ああくそ!

こうなったら最終手段!


ーーー


わたし は









むりやり えがお を つくった


ーーー


途端に、「少年」の表情がこわばる


「わっぁ!

……びっくりした……急に変顔しないでよ」


半泣きの、「目の前に野獣がいる」とでもいいそうな顔で「少年」が訴えてくる


「……

え?」


変顔?

HE・N・GA・O?


ーーー


あいて の きょうふしん が 12 あがった!

あいて の こうげきりょく が 4 さがった!


ーーー


いや恐怖心上がってんじゃねえよ!

下がれよ!


私の顔、そんなに怖かったのかよ……!


「……ぅっ」


泣きたい……

生憎、自らの胸の中で私を泣かせてくれるような、海のごとく広い心の持ち主は、知り合いには存在しない


地味にショックでうなだれていると、「少年」の方から話しかけられた


「ごめんごめん………ちょっとびっくりしただけだから」


そう言いながらもまだ震えてるあたり、本当に怖かったのだろう


「……自己紹介させてもらうね

僕、涼紀って言うんだ




________君の名前は?」



「………あ、ああ……私の名前?

私は………三棚……



………三棚……?」



_____え?


急に、頭の中が曇りがかる

真っ白の靄が、私の考えようとするのを遮る


あれ?


私の名前は……

私の名前は……!




『…………忘れてしまったんだね…』




「三棚…………み、たな……」









『 自分のことさえも 』

22:くれぃもぁ^q^:2015/02/13(金) 01:15 ID:o.6

話がとても分かり易い!私の小説とは大違い(良い意味で)だ…!w

続きがとても楽しみです!
書いてる小説のジャンルは違えど、同じくこのスレ板で小説を書く者として、
尊敬してます!

これからも頑張って下さい(・ω・)!

23:少女匿名:2015/02/13(金) 21:06 ID:3Y.

くれいもあ^ q ^様

めっちゃ嬉しいです!
くれいもあ様、確か小説書いていらっしゃいましたよね?
よく見かけるので、もしや……と思ったんです!
よければ、小説の名前教えていただけませんか?

24:少女匿名:2015/02/13(金) 22:36 ID:3Y.



「うそ……わ、たし……

…あ……ああ……!」


______自分の名前……忘れてる………


12年間、ずっとずっと、使ってきたはずなのに

私の、一番知っている言葉だと思っていたのに


まさに、衝撃すぎて言葉も出ないと言ったところだろうか

なんで……

嘘でしょ


色んな言葉が頭をよぎっていき、パニック状態になってしまった私


「……ぁ、ああ……」


……算数の公式を忘れるのはまだマシとしよう


でもまさか


……自分の名前忘れちゃうなんて……!

間抜けじゃないか、私


「大丈夫……大丈夫……」


とか言いながらずっと私の背中をさする「少年」……

……じゃなくて、涼紀、だったか


…私を落ち着かせようとしてくれているのか……

よく空気を読めてる……


「大丈夫……

急に気分悪くなること、誰にでもあるよね」


……わけねえな


いや………私別に吐き気はないのだが……


というか察しろよ

名前覚えてないってよく考えたら大問題の気がするんだが……


『⚪︎⚪︎県在住の三棚さん(12)は、自らの名も覚えられない天才少女!』


なんて矛盾したキャッチコピーで世に名を残したくはない

普通に『天才少女』だけでいいから………


………などとパニクりつつも

元の私を取り戻してきた私


「よかった……落ち着いた?」


と尋ねながら、私を見つめてくる涼紀___さん?


「……あ、はい」


…さん付け……したほうがいいのかな…


まだ幼い顔立ちをしているが、おそらく年上だろう

多分、中二、中三くらいかな?

その証拠に、制服を着ている


……でもこの制服、どこかで見た気がする……


「おーい、聞いてる?」


「……あ、ああ。はい……ちゃう、イイエだ」


ボケボケしている私を見て、ケタケタと笑い声をあげる涼紀さん


「……」


その笑顔に、少し、胸がむず痒くて_____ときめいたような……






……気は全然しなかった

25:くれぃもぁ^q^:2015/02/15(日) 23:16 ID:o.6

>>23 「夢喰イ」という奴です(・ω・)ノ
それなりに頑張ってはいますが、クオリティには期待しないで!w

小説の途中で申し訳ない…m(_ _)m

26:少女匿名:2015/02/17(火) 22:44 ID:3Y.



くれいもあ様

ありがとうございます!
今行きます!←


ーーーーー

言うべきか、言わぬべきか______どうしよう……


「………」


……確かに間抜けすぎる失態をしてしまった……

一番忘れちゃダメなもの忘れてんだもん……


………でも!


「……あ、あの私」


「ああ、知ってるよ」


______

__________え?


涼紀さんの言葉が、ストンと胸に落ちてくる


「……思い出せないんでしょ、自分の名前

君にあの変な夢を見せたのは僕


____ここに……君を呼び出すために」


「………」


ああ……

知ってたんだ……


「………

じゃあ、なんで?」


「?」


「………あの無駄な時間(私の背中さすってた時間〈約7分〉)は……

どうなるっていうの……!?」


ああ……なんてことだろう


なんて意味のないことに休み時間を費やしてしまったんだろう……

ちゃんと、算数の予習をすべきだったな………

さすれば3校時のテストは100点が確実だった……


いや、勉強しなくても絶対満点だろうけど……

念には念をというじゃないか……


赤の他人にどうやって夢を見せたか云々ではなく、テスト勉強できなかったことを嘆く私の頭のネジは軽く五本ほどイかれているのだろう

………まあ、自覚があるのはいいこと……であってほしいなあ

そして、満面の笑顔で


「ノリだよノリ」


という涼紀さんの顔面が軽く陥没する程度に殴りたくなる私


ざっけんなよおおおおおおおおおお!

おいどうすんだよおおおおおおおお!


仮に!

いや本当に仮に私が100点取れなかったら!


母さんに叱られて!

未唯香に罵られて!


私のプライドがズッタズタのボロ雑巾になる!


「……それだけは嫌だ!」


なんて

……ネジが外れた脳内で演説会を繰り広げていた私が………


「………………

君は……………___________」


涼紀さんのつぶやきに気づくこともなく


「?……なんか言いましたか?」


「……いや……」


ましてやその瞳が悲しみを帯びているなんて………




「…………

君は……………」




「………本当に……………ひとりぼっちの、哀れな子」

27:宮下:2015/02/26(木) 17:31 ID:s5E

続きが気になる・・・。(;゚д゚)ゴクリ…

頑張ってください!!(^_^)

28:少女匿名:2015/02/27(金) 19:20 ID:3Y.

>>27

宮下様

ありがとうございます
更新しようか、しないか……ちょっと迷っていたんです
……よし、ちょい頑張ろう!

29:少女匿名:2015/02/27(金) 19:49 ID:3Y.




キーンコーンカーンコーン………


「あ、チャイム………

私……そろそろ戻んなきゃ」


座っていた石段からゆっくり腰をあげ、

「うーん」

と伸びをする


バキョっベキ!


たちまち、奇妙な悲鳴をあげる私の腰……命名、腰太郎


「ッ………」


……すまない、腰太郎

君を、傷つけるつもりは無かったんだ……


ただ、ただ……私は……

私はッ………


まるで家族の死を見届けるかのように悲しむ私に、涼紀さんが近づく


「う〜ん。じゃあね〜

明日も、ここいるから」


「………はぁ……?」


「明日も」って………


「え?」


なんだ?

学生じゃないのか?


「あの……


学生じゃないんですか?」


もしそうだったら、学校は………


「うん、サボり」


「あ、そうなんですね〜。どうりで……………………






いや、アカンだろ!」


さらっと言うなよ!

ダメなやつだろ!


「え、いやちょっと待って

いけよ学校」


私が真顔でツッコむと、涼紀さんは唇を尖らせた


そして、両手で拳を作って両頬に持って行き……


「ふぇぇ……

だってぇ……面倒くさいんだも〜ん」


「」


…………………















…………という夢を見た





っていうオチだったらいいのに

30:宮下:2015/02/28(土) 10:09 ID:s5E

オチじゃないんかいっ!!

ベシッ😱

31:少女匿名:2015/02/28(土) 12:13 ID:3Y.

>>30

アダっ!ww
コメントありがとうございます
それこそGのように、母から隠れて更新します


ーーー


それから、一週間…………


「いや〜……

今日もいい天気ですなぁ」


とかなんとかいいながら、笑う涼紀さん

瞳を閉じて、気持ちよさそうに寝そべっている


「………」


___もう、2月も終わりか


暖かな、春の日差し

いい感じに涼しい風


緑の中に、綺麗な桃色が混じり始めた桜の木の下で


「……………

ふむ、なるほどな」


一般高校試験問題集と格闘する私

気分はさながら、高校受験と戦う受験生といったところだろうか


自分でも思うが、雰囲気ぶち壊しだと思う




そして…………



「学校いけよ」


問題集から目を離し、この日差しと正反対の冷凍ビームを涼紀さんに当てる

この間は「でもでもだって光線」で返されたが


すると今度は


「学校行ったら俺死んじゃう」


と、真顔で抜かしやがった


クソ……


「それで……

なんで、私にこんなのさせるんです?」


ぐっと問題集を見せつける


「どれどれ………

おお、全問正解」


「まあね、私ですから」


ドヤ顔かましてやるが、以外と大変だったりする


「まあ、君になら解けると思ってたからね」


「………」


……そう、これは全て涼紀さんに押し付けられたものだった


ーーー


「ちょっと、これやってみて」


「………

何ですかコレ」


「一般高校試験問題集」


なんで私が

自分でやれよ


そう思った私が、「面倒臭いから嫌」と断ると……




「あ……そうだよね、君には難しいかぁ……ごめんね〜」


「寄越せ」


ーーー


………これを口車に乗せられると言うのだろう


クソ、情けない


「………ゔー」


そっぽを向いて、唸っていた

途中で、唸るのやめて呪いの呪文かけようかと思ったりもした


…………………………


「君は……」


「?」


あれ?


……涼紀さんが、悲しそうな顔をした

今にも泣き出しそうな、辛そうな………













「自分の名前は忘れるくせに、こういうのは完璧なんだね」


「…………」



次の日瞬間、私の飛び蹴りが涼紀さんの腹にクリティカルヒットした

32:少女匿名:2015/02/28(土) 12:38 ID:3Y.



「おーい!」


「はいはい」


それからも毎日、涼紀さんは私の学校にきた


喋ったり

絵を描いたり

寝たり


遊び……

……と言う名の面倒な手伝いや仕事をさせられたり




………でも……いい思い出もいっぱいあったんだ


ーーー


「はいどーぞ。今日消しゴム忘れたんでしょ?」


「なんで知ってるんですか……


まあ、ありがとうございます……アレ?」


「ざ〜んね〜んでした〜

消しゴムと見せかけたただのプラスチックでした!」


「………」


「いやーこれ作るの苦労したんだよ。

まず製品会社に電話して消しゴム型の……ゴフッ!」


「この暇人が」

ーーーー


「どーっちどっち」


「えーっと……

右で。」


「残念!どっちのも何も入ってないんでした!」


「………」


ーーーーー




……おや、「いい思い出」が見当たらない


まあいっか







「眠いね〜」


「そうですね」




いつしか、私は休み時間に涼紀さんと会うのが日課となったいた

33:少女匿名:2015/03/02(月) 21:47 ID:3Y.



今日は、暖かすぎる日

落ち掛ける瞼を擦りながら思った


「眠いね〜」


「そうですね」


「眠いね〜」


「……そうですね」


「眠いね〜」


「…………」


「眠いね〜」


「あ、じゃあこの土の下で永遠の眠りにつくのなんてどうです?

気持ちいいと思いますよ〜」


「え、俺今遠回しに死ねって言われた?」


…………

………私は思う

………くだらん、と


特に、というか全く意味のない言葉たち

だらくそしてる涼紀さん


そして、私の手元には

「私立高校一般試験問題」

と書かれた分厚い冊子


「………

……………………一つ、質問いいですか」


「いーですよ」


寝そべって答える涼紀さん


………ああ、これだから最近の若者は

所構わず眠ったりなんて、しないで欲しいわ


「………なんで問題集なんですか

しかも以前よりグレードアップ」


私は、今の自分がどんな顔をしているか容易く想像できる

氷よりも冷ややかな瞳


………あ、もしかして今なら鬼の角生えてくるんじゃないかな?


それは好都合


私を狙おうとした不審者が逆に逃げるからな!

(まあそもそも私を狙う不審者などいるわけないが)




「別に、いいじゃないのぉ〜」


「ノッて欲しいですか?」


視線ビームサーベル 氷ver を容赦なく叩き込むと、グッと言葉につまる涼紀さん

うむ、なかなか効くな。視線攻撃

とくに氷は


さっきまでへらへらしていた涼紀さんも、今は、涙目になりながら「ゔ〜」と唸っている


「……」


私……いつもはいいように騙され、負けた感が半端なかったけど

今日は、もしや……!!


期待して待っていると、ツッコミを待ちながらこちらを見る涼紀さんが、ついに頭を伏せたっ……!


……あ、これ

完全に勝った……!



へへん顏でガッツポーズをとる私


………が、涼紀さんの次の日一言が突き刺さる


「別に………




してくれないなら、自分でやる!」




………なッ!

何ッ!なんだとぉ!!


ひ、開き直った……!?


「貴様……

本家に怒られるのが、怖くないのか!?」


「そんなの…


……気にしてたまるか!!




ダメよ〜!ダメダメぇぇぇぇぇ!」




校庭に響き渡る、涼紀さんの叫び声

一斉に、たくさんの人の視線が向く


「……」


私はそっと涼紀さんのそばを離れ、「誰かしらこの人非常識ね」オーラを出す

34:少女匿名:2015/03/04(水) 17:25 ID:3Y.




『三棚ちゃん!』


『これ、解いて』


『ねえ……

豆電球って美しいと思わないかい


あに美しいくびれ

整った形の頭

よくしまった下半身……


ああ、全てが美しい!

この美徳が理解できない人など、人間じゃない!』


『嘘だよ、嘘!』


『三棚ちゃん?』


『え、ちょっ!

______ぎゃあああああああああああああああああ!』




ーーーー



「………………」





___________ある、よく晴れた日のこと




いつもの、桜の木の下で________










「………………



……あれ?」










なんで

なんで?






涼紀さんは、来なかった

35:少女匿名:2015/03/04(水) 17:51 ID:3Y.



「……む……」


……なぜ、涼紀さんは来なかったのだろう


いつもなら、どれほど


「来るな」


と念に念を押しまくっても来るのに………


おかげで、今日は窓の外が気になって仕方がない


「………うむ………」


……もしかして、事故……?


一瞬、ほんっっっっっとうに一瞬だけ不安がよぎる


……が、その考えは、

「前に涼紀さんに作ってやったクッキーの中に、「うっかり」腐ったバターを入れてしまった事件」


を思い出し、吹き飛ばされる


……あの時、涼紀さんはクッキーをまるで吸い込むように食していた


そのことから、涼紀さんは鋼の胃袋と、何があっても生き返るようなGをはるかに上回る生命力を所持していることを知った


じゃあ………


「…………事故じゃないなら、なんなんだよ」


………


…………………!あ、そうか



成績がやばくなったから……とか?



「………これだっ!」


あのサボリ魔なら、ありえるな


そして、さっすが私!

察しも早い!


鼻高々ににやけていると、後ろから声をかけられた


「………ね、え

………三棚さん……」


「………なんですか?」


そこには、クラス委員の峰さんがいた


「さっきから…



…何独り言言ってるの……?

それから、二十面相みたいな顔マネも……」


「………………」

36:少女匿名:2015/03/04(水) 18:26 ID:3Y.



「…………」


真顔、真顔

そう、無表情を心がけるんだ……無表情を………


思った通り、顔は無表情になったが、心はもう第二次世界大戦ばりに荒れている


は、恥ずかしいぃぃぃ………

独り言とか……

「寂しい奴」って思われたんだろうな……


「ご、ごめんなさい

ちょっと、考え事してて……」


「そう……なんだ。


……でも、びっくりした。

あの三棚さんが、いろんな顔するんだもん」


「?」


私が………いろんな顔、か

そんなに珍しいか?


「………」


……そういや、私はいつも感情を表に出さないようにしていた



………お母さんが、変わってしまったときから………

泣いても、何も変わらないことを知っていたから


「そっか……そんなに珍しい、かな?」


口の端が、自然にへにゃりと上がる


「……!


うん、やっぱなんかレアな感じ!

でも、表情が明るくていいね」


そう言って、峰さんはふわりと微笑んだ

可愛い。めっさ可愛い


……そして、当の私は自分がどんな顔をしているか分からない……


とりあえず、元の顔……無表情に戻してみる


「……!」


い、痛い!遺体!

ほっぺたが……なんかこうつったような感じで……


強いて言うなら肩もみをほっぺたにしているような…………うん、どーでもいーけど痛い


私は、自分自身の表情筋をあまり使っていなかったことを悟った………

……一つ大人になれたね、私


そして、痛がる私にそっと微笑みかける大天使ミネエリス………


「いつも、さっきみたいに笑ってるといいよ。

とにかく明るくて………なんかいいかんじ♪」


「……うん」


ーーーー


だいてんし みねえりす の てんし の ほほえみ


わたし は はなぢ が でそうに なった


ーーーー


鼻にそっとティッシュを押し当てる私

頭にはてなマークをつけて、なおも微笑むミネエリス


次の日、私は貧血で学校を休んだ

37:少女匿名:2015/03/05(木) 22:11 ID:3Y.




「______え?


来て、なかった?」




_____本日の天気、晴れ

雲ひとつ見えない快晴の下………


「う………ん


……えっと、人違いかもだけど………


あの、いつも三棚さんと一緒にいる人でしょ?

中学生くらいの………」


「うん………」



確かに、それは涼紀さんだ


私が頷くと、彼女の唇が困ったように、自身なさげに、動く



「あの………あたし……


昨日、ずっと外にいたけど、あの桜の木の下には………




_____誰もいなかったよ?」


ーーー




「_______今日も………



………こない………か」




涼紀さんが来なくなってから、一週間がたつ




毎日毎日窓の外ばかり気になって……


……授業も、集中できたもんじゃない



______もし……

……もし仮に……









……………もう、会えなくなってしまったとしたら………?




………


『おーい!いくぞー』


『行ってきまーす!

二日後には帰ってくるぞ〜』





「…………

………お父さん……………」



ふと、頭を掠めたお父さんの笑顔



「………」



……もし、本当にもう会えないとしたら………


………私は………神様という存在を信じられなくなるだろう



___願いを、叶えてくれないのなら


私のことを、不幸にしてしまうのなら

私の大好きな人たちを、変えていってしまうのなら




____私の、大切な人を………

…………奪っていくのなら




「私………は……………」

38:うんこまそ:2015/07/29(水) 16:29 ID:e0k

続き、見たいな

39:少女匿名:2015/07/31(金) 12:17 ID:nJ6

うんこまそ様
私、少女匿名は小説板で名前を変えていろんな小説を書いています。
IDを見れば一目瞭然だと思いますが、その小説の更新がしたいです。
でも、こんなに続いて、しかも書いてて楽しかったと思える小説はこれが初めてで、正直この小説の続きを書きたいという気持ちも強いです。
続けようか続けまいか……迷います。
どうしたらいいでしょうか

40:うんこまそ:2015/07/31(金) 15:11 ID:e0k

>>39
んー、俺にとってこの作品は上手いと思ったんだけどなあ。
主人公が成績優秀っていうキャラなのに、
占ツクのつくし(占いツクール信者のこと)みたいに
ただ配役を潰すような使用になってないし、
なんだか共感できるとこもあるし…。
まあ、無理にとは言わないけど、続けていってほしいな。

41:春もすぎて夏ルです。◆ZQ hoge:2015/08/01(土) 14:56 ID:Y7U

読ませていただきました!
テンポがよくて読みやすく、とてもいいと思います!
主人公のキャラがとても好きです。涼紀さんとの会話もとても好きです。
こういう小説、とても私の好みで、憧れです。
できるのなら、これからも続けてほしいてです。

42:少女匿名:2015/08/01(土) 18:52 ID:nJ6

>>40
うんこまそ様
このコメを読んで思わず涙が出てしまいました。
本当に嬉しいです。
私、この小説続けたいと思います。
ですが、私流の小説の書き方が少し変わりました。改行が少なくなって、読みにくくなるかもしれません。
それでも応援してくださる方々がいるなら、私は頑張りたいです。
本当にありがとうございます。

>>41
春もすぎて夏ルです。◆ZQ様
このコメを読んで涙とともに鼻水を液晶に噴射してしまいました。
この拙い小説にはもったいない程の暖かいお言葉、本当に本当に嬉しいです。
上記にもありますが、私はこの小説を続けたいと思います。
これからも、応援よろしくお願いします。

43:春ル◆/M hoge:2015/08/02(日) 18:36 ID:Y7U

>>41
嬉しいです!
では、楽しみに待っていますね

44:うんこまそ sage:2015/08/02(日) 22:11 ID:e0k

>>42
感動してもらえたのと、続けてくださるのとでとても嬉しいです!
ちなみに、改行は少ない方が、本格的な小説っぽくなりますよ〜

45:夏音 ふうり:2015/08/03(月) 14:17 ID:umQ

もっと続けてほしいなぁ〜。
私もこの小説大好きだからさ〜・・・
お願い!(>人<)

46:◆Ss:2015/08/03(月) 23:25 ID:xoY

続きが気になって気になって

47:少女匿名:2015/08/04(火) 00:06 ID:nJ6

ここ最近、飯が喉を通らない。

頭の中がひたすら涼紀さんのことでいっぱいで、他にはなにも考えられないような状態。自然と、ご飯にも目が行かなくなるわけだ。自分じゃ食が細くなっている自覚はないけれど、最近峰さんに「頬痩けてるけど、ちゃんと食べてる?」と言われてしまった。
恋の病を患った乙女にもこんな病状が出ると言うけど、ご飯を食べられないってかなり深刻じゃないか?恋って、一歩間違えば餓死が待っている恐ろしい病気なのね………

「ご馳走様」

橋をおけば、未唯香が驚いたようにこちらを見る。
それも束の間、直ぐに意地の悪い笑みを浮かべて

「ダイエット?漸く腹の贅肉気にし始めたんだね〜」
「………キモ」

吐き捨てるように言ってやれば、未唯香は唖然とした表情になった。目が点になるとはまさにこのことで、少し笑えてしまう。

なにをしても冷たい視線を飛ばしてくる家族とも顔を合わせたくなくて、早足で部屋に入ろうとした時。

「ちょっと」
「………なに」

足だけをぴたりと止めて、そのまま私は動きを停止させる。

氷槍のように冷ややかで、突き刺さるような視線と声。 振り返らなくたって、そこに居るのが誰か分かった。

_____また、延々と続くお小言ですか?それとも「貴方のための説教」と称したただの八つ当たり?
これまでに受けてきた、精神的な苦痛の数々。
それらを指折りで数えながら、私は後ろを向いた。

もう、限界だった。

「あんたのこの間のテスト、まだ見てないんだけど。もう返されたでしょ?
それとも、そんなに人に見せられないような____」

「なにがしたいの?」

母の言葉を遮って、自然と私の口からこぼれた言葉。同時に、喉の奥から熱い塊のようなものが押し上げてくる。

いつか、言おうと思っていた。
でも、言うタイミングがわからなくて。「明日にしよう、明日は必ず言おう」と我慢し続けて一体何年過ぎた?

____面倒くさい。なんで私がこんな人間の言うこと聞かなきゃいけないんだ。

喉元に指が食い込んで、息も出来ないようなただ苦しいだけの日々。
ふとした瞬間に、「この世界から消えてしまいたい」と思うことが幾度となくあった。
でも今は、ただただ怒りがこみ上げてくるだけ。死んでなんかたまるか。

「ただ単に私を苦しめたいだけなら、もう大丈夫だよ。
貴方のお陰で、毎日が地獄のように苦しいから。」

目頭が熱くなったところで無理やり口角を上げて、精一杯の笑顔を作る。

「………っは!アタシはただ……」

「言い訳なんかいらない!」

母の声を聞いて、自分の中で何かが切れた。
自分の固く握られた拳が、壁を強く打つ。

あれ、おかしいな?
この台詞を言う時は、冷静に、淡々と言ってやろうと思っていたんだけど。
でも今は、怒りがふつふつと湧き上がってきて、喉が焼けるように熱くて、視界が霞んでしまっている。
脚本がまるで台無しじゃないか。

「分かってるよ私があんたにとってただのストレス発散の道具でしかないってことぐらい!楽しいんだよね?未唯香と私、明らかに劣っている方を神様みたいに只管崇めてさ!ホンット笑えてくるよ………バカみたい。」

なんでこんな下らない、馬鹿げたたことしていられるんだろう。
なんでこんな阿保みたいに、いとも簡単に人の心を傷つけたり出来るんだろう。
なんでこんな人たちに期待してたんだろう。
「いつか報われる、いつか報われる。」って、従順な奴隷みたいに言うこと聞いてたんだろう。

私の声は、震えていた。
母にこんなこと言うのも、母のこんな顔見るのも初めてで。正面に立つ母の瞳をまっすぐ見据えながら、心の中で「様を見ろ」と舌を出す。

『_______、________、起きなさい。_________』


貴方が私にくれた、命の次に大切なもの。
生まれて直ぐに貰える「それ」も、もう既に忘れてしまった。

「もう、名前も呼んでくれないんだね。」

48:少女匿名:2015/08/04(火) 00:22 ID:nJ6

>>45
夏音 ふうり様

そんな!大好きだなんて……
こんな文才の欠片もない文章を呼んでいただいて、しかもお褒めの言葉もくださって……
本当に本当に嬉しいです………ありがとうございます。
タブレットを抱きながら、ただいま布団の上を絶賛悶え転がり中でございます。
二度目ですが、「大好き」という言葉に思わず涙が出てしまいました……
これからも、少しずつ更新を頑張って行こうと思うます。応援お願いします!

>>46
◆Ss様
ありがとうございます!
この小説を読んでいただいたこと、こんな拙い文章でも続きが読みたいと言ってくれたこと、本当に嬉しいです!
とても暖かいコメント、心の励みになりました。
ちょくちょく更新してまいりますので、これからも応援、お願いいたします!

49:ネトツ◆Ss:2015/08/04(火) 23:34 ID:xoY

>>48

おう、応援してるで

50:宮下:2015/08/06(木) 13:29 ID:etc

面白いですね!これからも頑張ってください!

51:夏音 ふうり:2015/08/06(木) 14:52 ID:umQ

頑張って〜!!!ファイト〜だよ〜☆

52:少女匿名:2015/12/04(金) 20:13 ID:SlM



部屋に入ってベットにダイビング。
沈んでいく布の上に、じわりと涙がにじんだ。

涼紀さんのことを思えば思うほど、あの楽しかった日々を浮かべれば浮かべるほど、涙はとめどなく溢れてきた。
それほどに、彼と過ごした日々は無機質だった私の日常に鮮やかな色を残していったのだ。……その色が、今となっては爪痕として私の心を痛めて行くけれど。

「ああ……」

恋をしたんだ、私。彼と過ごしたあの日々に。

今にでも帰ってきてほしい、あの一瞬一瞬に。
すべての情景が、私の中では大きく大きく、それはもう鮮明に残っていたのだ。

「……帰って、こないのかな。」

もう二度と会えないのかな。

そう思うと、胸がどうしても苦しくなる。
止まりかけていた涙も再び溢れ出し、私の思いをより一層大きくさせた。



_____どうか、消えないで。私の思い出を枯らさないで。

「………もう
……………私を一人にしないで……………」

53:happy:2015/12/22(火) 22:51 ID:p92

小説凄く面白いです!この小説好きなんでこれからも頑張ってください!お願いします!


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