恋の音

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1:日向:2015/02/22(日) 20:24 ID:y/2

頭の中で好きな歌手の声が響く。
ヘッドホンで蓋をした耳からは街の声も音も聞こえない。

「………」
あ、また来た。
口をパクパクさせてるから何か言ってるんだろうなー。
「…え………ん?」
は?と首をかしげる。
まぁこれは俗にいうナンパだろう。
が、こいつは違う。
寒い日も雨の日もいつもいつも来る。
無視しても「ねぇ。」と声をかけてくる。ナンパだろうけどこいつは他のチャラ男とは違う

2:なつの:2015/02/22(日) 22:59 ID:4ZY

小説のセンスぁるな!
なつのこれ以上ゎ黙っとくけど、ずっと読んどくで!
続き、どんどん投稿してゃ!笑

3:日向:2015/02/23(月) 16:58 ID:y/2

なつの
てーんきゅぅーーー

4:日向:2015/02/23(月) 17:05 ID:y/2

「♪〜」
いつものように音楽を聞いていた。
その時ふと視線を感じる。
ゲ?!出た
いつものアイツが私を見つけてニコニコしている。
最悪だ……
「……を………か?」
は?何を言ってるのかさっぱり!
…………。
あーーー!!ウザイよ!!ウザすぎる!
ついに爆発してついつい言ってしまった。
「うるさい!!ってかしつこい!いつもいつも何?無視してんだからあきらめてよー!!」
すると彼は笑って言った。
「やっとしゃべってくれた。」

5:日向:2015/02/24(火) 00:35 ID:y/2

……しまった!!
と思ったってもう遅い。
「俺、神崎燐。よろしくね。君は?」
言わなきゃダメなワケ?!
ちらっと『神崎燐』を見た。
「ん?」
あーーーー……
えーーい!この際は言ってしまおう!
「榛名沙夜。」
「さよ?」
ん。と言って帰ろうとしたら
「明日も来る?」
って聞かれた。
「さーね!」
いくよ。絶対ね。

6:日向:2015/02/24(火) 00:42 ID:y/2

翌日『神崎燐』はいた。
「沙夜ちゃん!」
「はぇ?」
沙夜ちゃん??
「ねーいつも何聞いてるの?」
「教えん。」
「な!なんでさ?!」
「なんでも〜♪♪」
こんな風に笑ったの…久しぶりなきがするなぁ。
「沙夜ちゃんは清陵高校なんだね。」
「えぇ?!なんで?!」
「制服」
「あ、あーね」
沢山笑った。
らしくない、と思った

7:なつの:2015/02/26(木) 22:52 ID:4ZY

ひなたぁー
投稿せんの?
つか、まずこれ事態来てへんょな笑

8:日向:2015/02/28(土) 16:32 ID:y/2

なつの
ごめん!
遅れた

9:日向:2015/02/28(土) 16:34 ID:y/2

翌日
いつものように音楽を聞いていた。
「沙ー夜ちゃん!」
「燐くん」
いつの間にか打ち解けていた。
前の私ならあり得ないのに。

10:日向:2015/02/28(土) 16:40 ID:y/2

話の途中燐くんが言った。
「沙夜ちゃん、よく笑うようになったね。ずっと笑ってた方がいいよ!」
「う、うん」
すると
「あはっ!沙夜ちゃんの新しい顔が見れて俺めっちゃうれしいんだけど!」
燐くんの笑った顔を見て、心が揺らい
だ。
あぁ、そうかこれが恋に落ちる瞬間なのか。
そう、思った。

11:日向:2015/02/28(土) 19:51 ID:y/2

最近、燐くんの発言がストレート過ぎてドキドキしっぱなし。
この間だって髪型を変えたら
「沙夜ちゃん可愛い!」
て言われた。
いや…反応困るんですけど?て感じ。
でもま、楽しいしいいかなって思う。

そんな時事件は起こる

「沙夜ちゃんは彼氏とかいるの?」
「んーん。燐くんは?」
燐くんは考え込んだ。
「…あぁ、いないよ…」
「え?」
なんで?なんでそんな寂しそうなの?
「いつもなんの曲聞いてるの?」
「へ?」
燐くんは私の返事を聞いて笑った。
「で?何聞いてるの?」
「特に人気の曲じゃないよ。」

12:なつの:2015/03/01(日) 04:03 ID:4ZY

いーね、いーね><
ワクワクするw

ぁ、黙っとくんゃた><;w

13:日向:2015/03/01(日) 11:50 ID:y/2

なつの
あーーと

14:日向:2015/03/01(日) 11:56 ID:y/2

楽しく、楽しく会話していた。
「りーん!」
女の子の声が聞こえる。
振り返ると可愛い子
「なんでこんな所にいんの?」
「美晴…」
美晴ちゃんは可愛い子だった。
私とは正反対の大人っぽい顔立ちにロングへア。
「最近デートに誘っても行かないし心配したんだよ!!」
「ごめんな」
それは美晴ちゃんに向けての『ごめん』なの?それとも私?
「ごめんなさい」
「沙夜ちゃん?」
「私帰る」

15:日向:2015/03/02(月) 17:14 ID:y/2

あの場所に行かなくなって1か月が過ぎようとしていた。
ある雨の日あの場所の近くへ行った。
燐くん…来てるかな?
いるわけないと思いつつ向かう。
「?!」
何で??
いつものポジションに座るずぶ濡れの燐くん。
「ばっばかなの??」
「…沙夜ちゃん」
私を見つけるなり笑顔になる燐くん。
「彼女に怒られちゃうよ!」
「…別れたよ」
「…え…」
「俺さ本気なんだ。本気で沙夜ちゃんが好き。」
嘘だ。
だってだって…
あれ?だって…なんなの?
ああ。コイツはそういう奴だ。
風の強い日も暑い日も雨の日も雪の日だって来ないかもしれないような私をまっている。そんな奴。
「燐くん、私ね、恋とか愛とか分かんない。でもねこれだけはわかる。」
伝えなきゃ伝わんない。
「燐くんが好き」
2人の間を雨上がりの風が吹いた。

16:少女匿名:2015/03/02(月) 22:09 ID:3Y.

すごい……
まだ15レスしかないのに、内容がぎゅっと一つにまとまってます
いくつか日和さんの小説見ていたけれど、やっぱりすごい!
尊敬です……

17:日向:2015/03/02(月) 23:10 ID:y/2

>>16
ありがとう!
まだまだ続くよ!!

18:日向:2015/03/02(月) 23:21 ID:y/2

9月15日
私の誕生日。燐くんは覚えているかな?
「燐くん、明日空いてる?」
「明日は…ごめん!」
「は?」
「めちゃくちゃ大事な用がある!」
めちゃくちゃ大事って…私の誕生日より?
「ねぇ」
「ん?」
可愛い笑顔の燐くん。
疑ったらダメだ!!
きっと、きっと燐くんなりの考えがあるんだよね。
…信じよう。
「わかった。」
「え?うん。」

19:日向:2015/03/02(月) 23:33 ID:y/2

翌日
お母さんに頼まれたおつかい。
駅の前で見てしまった光景。
美晴ちゃんと燐くんが並んでいた。
別れたって言ってたよね?

「沙夜?元気ないね」
「あ、え?そ、そぉ?」
最悪の誕生日。

20:日向:2015/03/03(火) 21:52 ID:y/2

あの日のあの出来事は私の見間違い?
違う、ちゃんと見たもん。
「…沙夜ちゃん?」
ちゃんと聞かなきゃ始まらないよね。
「り、燐くん」
「ん?」
「昨日何してた?」
ニコニコと笑って言った。
「家で1日中寝てたよ。」
この人、嘘つきだ。

21:日向:2015/03/05(木) 16:53 ID:y/2

嘘をつかれて少したった頃ずっと事実を聞かないでいた。
……だって聞けないよ。
燐くんの笑顔も優しさも全部全部…離れていくのが怖かった。
ある日の出来事
「沙夜ちゃん…だよね?」
突然声をかけられた。
「美晴さん…」
なんだろうか?
「ねぇ、燐と付き合ってるの?」
首を縦に振ると美晴さんは下唇をかんで今にも泣きそうな顔で言った。
「別れてください」
わけがわからなかった。
どうして元カノにそんなこと言われたのかが。
「私には…燐が必要なの…」
「は…?」
私だってそうだよ?
何も美晴さんだけじゃないよ?
美晴さんは泣きながら頭を下げた。
お願いしますと。
「これ、見て」
長袖をめくって見せてきたのは、リストカット
「バカだよねダメだって分かってるのにさ。」
私が戸惑っていると
「燐がね、毎日毎日言うの。」
続けて言った。
「マジで沙夜が好きだって、本気なんだって…バカじゃん。じゃあ私とは本気じゃなかったの?っての!」
清々しく笑う美晴さんが可哀想に思った。そして…だから言ってしまった。
「私、燐くんともう会わない。」
って。

22:日向:2015/03/08(日) 08:42 ID:y/2

あんなこと言っちゃって私どうしよう。
今更「やっぱり無理です」なんて言えるわけない。でも燐くんの連絡先しらないし、一応行こっかな?

「沙夜ちゃん!遅い!」
おどけて見せる燐くん。
「はは・・・ご、ごめん。」
「まぁー、いいよ!」
どう切り出そうか。
「沙夜ちゃん、今日元気ない。」
言い切りかい!!
ま、まぁそれはおいといて。
「そ、そう・・・かな?」
「ん。ま、俺はどの沙夜ちゃんも好きだよ!」
うわ〜・・・言いにくっ!
「あ、ありがとう」
「ほんとどした?なんかあんなら言ってみ?」
「わ・・・私と・・・別れて?」
「え・・・?」
「あ、分かんないかな?」
「いや、なんで?」
「別れたいの」
「俺のこと嫌いんなった?」
「違うよ」
「俺なんかした?」
「してないよ」
「はじめっから・・・好きじゃなかった?」
ううん、大好きだった・・・今も大好きだよ?
「好きだよ」
「じゃあなんで別れるとか言うの?」
「それは・・・」
「好きなのに?お別れ?なんで?」
「・・・」
「分かんないの?!」
「だからね、」
取り乱した燐くんに伝わるだろうか?
「分かんないのっ?」
「分かんないよ!!!!」
驚いた燐くん。
「何もかも!でもさ、燐くんがまだ美晴さんが好きなのは分かるよ?」
「お、俺?」
「一緒にいても私のところに心がないもん。ずっと美晴さんのこと考えてるよ?」
「考えてなんか、」
「考えてなんかない?」
「えと・・・」
はぁ・・・
「いいよ、いいよ」
「??」
「もーさよならしよーよ?疲れたでしょ?笑顔でバイバイしよ?」
うなずくな!
「えと・・・」
「じゃあー行って!燐くんから」
「え・・・」
はやくっ!
泣いちゃう、泣いちゃったら美晴さんとの約束を果たせない!
「もー、笑え、燐!」
燐くんは驚いた顔をしたあと笑顔を浮かべ去っていった。
そのあと泣いた、ただ、ただ泣いた。
恋の音がなりやんだ。

23:汐莉:2015/03/10(火) 11:18 ID:4uw

すごい面白いです!!

文才ありすぎ(*>ω<*)

24:日向:2015/03/10(火) 18:39 ID:y/2

>>23
そ、そーかな???
ありがとう、嬉しい!

25:日向:2015/03/10(火) 19:18 ID:y/2

「ぐすん・・・」
久しぶりに泣いたな。
私、バカだな・・・
燐くんが本当に美晴さんのこと好きじゃないことぐらい分かってんのにな。
でも、燐くんは美晴さんといなきゃいけない・・・そんな気がしたんだ。


「♪〜」
私は昔から習っていたギターを使い、作詞するようになった。
燐くんは丸々1年会ってない。
燐くんのこと忘れよう、忘れようって頑張った。でも、優しく低い声、笑うとできるシワ、あたたかい手の温もりは、バカなぐらい鮮明に覚えてるんだ。
忘れたいけど忘れられないんじゃない、ただただ忘れたくないんだ。
理由付けして自分にいいよう思い込ませてるんだ。

そんな時ふと後ろから甲高い声がした。
「りん!!」
りん・・・?
あーなんて思い込みの激しい女なんだろう。
今でもりんという名前に反応して・・・
「待てよ、美晴。」
違う・・・思い込みなんかじゃない
優しく低い声、あれは燐くんだ。
振り返えって確認する・・・と
「沙夜ちゃん?」
「?!」
気付いてしまった。
美晴さんのお腹にいる命に。
いつか、やり直そうって言ってくれる日が来ると願ってた。
いつかまた、2人で笑い会える日が来るって。
そんなの私の思い込みにすぎないんだな。
「燐くん、美晴さん、おめでとう」
「ありがとう。今幸せなのは沙夜ちゃんのおかげだよ。」
「そんなことないよ!」
「燐ーー!早ーく!」
「俺、行くわ!」
「ん、またね。」
「おぅ。またな!」
・・・「またね」か。また会う時なんて来るのかな?

26:日向:2015/03/12(木) 15:36 ID:y/2

「はぁ〜」
大きなため息をついて机に顔を伏せていた。
「席替えすんぞ〜」
担任のダルそうな声が聞こえた。
席替えか〜・・・
くじ引きを引く・・・
1番?
黒板に書かれている席に着く。
窓側の1番後ろ。
・・・よいしょ
あ〜・・・ダル・・・
も、学校やめちゃおうか。
そう・・・考えてため息をついた時だった。
「あ・・・の!!」
「・・・は?」
隣にいる男の子が声を発した。
「お・・・れ、なんかが・・・隣で、ごめんなさい!」
「へっ?」
「いや、お、俺が隣で・・・嫌なんでしょ?」
「プッ!!ハハハハハ!!」
「?!」
一呼吸おいて言った。
「嫌じゃないよ」
「えと・・・ため息・・・」
「あぁ、アレはキミにしたんじゃないよ。」
すると彼はホッと胸をなでおろした。

こういうのを運命って言うんだ。
・・・多分。

27:日向:2015/03/12(木) 16:24 ID:y/2

「ねね、キミ名前なんてゆーの?」
「お、俺?」
「は?あんた意外誰がいんのさ?!」
「かっ・・・笠原・・・か、楓。」
笠原楓・・・ね。
笠原楓がジーっと私を見る。
「・・・あ?」
「いっ・・・キミは?」
「私がなに?」
「なっ・・・名前!!」
なにコイツ!
ウケんだけど!!
「沙夜!榛名、沙夜!!」
「榛名さん・・・よろしくお願いしますです。」
「ははっ!ですいらないっしょ!」

アレ・・・?
私、落ち込んでたんだよね?
おかしいな。なんで笑顔なんだろう?

28:日向:2015/03/12(木) 16:59 ID:y/2

今日知ったこと、笠原楓は野球部だってこと。
そして・・・
「はっ?!キミ、エースなのっ?!」
「え、うん。」
うっそ?!
こ、こんな弱虫野郎が?!
「野球て・・・単純なんだね。」
「・・・はっ?なな、なんで?!」
「キミがエースできんなら誰でもできんじゃない?」
すると笠原楓はだってと言い訳っぽく言った。
「投手俺しかいないから・・・。」
「・・・えぇ?!」
ちょちょちょちょ?!
はぁ!!?
「そんなんでよく俺、投手だからとか言えるねぇ!!」
「だって部員、少ないし。」
「少ないしって何人??」
「・・・え〜と・・・12人?13人?」
・・・コイツ、終わってるってか始まりすらないよ!!
「部員の数も把握できずよくエース気取れんなー!!」
「うっ・・・」

でもまぁ、楽しいしいっかな?

29:日向:2015/03/12(木) 23:54 ID:y/2

「笠原くんいますか?」
「笠原ー!呼んでるー」
誰だろ、あの子。
「宮園さん!」
宮園と呼ばれた女の子は茶髪の天然パーマがかかったショートの可愛い子。
笠原楓と楽しそうに話してる彼女を見てうらやましいと思った。
・・・って!!
何思ってんのさ!!
しっかりしろ、沙夜!!!
話を終えて戻ってきた笠原楓に聞いてみた。
「さっきの子、誰?」
「えと、野球部の・・・マネジだよ?」
「ふーん」
わ、私ったら何を気にしてるんだろ?

明日は土曜日だからコイツに会えないのか〜・・・
そう思っていたらつい口が滑った。
「2日も会えんね。」
「・・・え??!」
・・・ちょちょちょちょ!!ちょっと!
!私、何いっちゃってんの?!
「わわわ、忘れて!!!」
「う、う、うん!」
あぁーー!
私最近変だ。

30:日向:2015/03/13(金) 00:14 ID:y/2

土曜日は案の定暇暇暇暇ーーー!!
時計は17:00
グランドでも覗きにいくか!

「♪〜」
やってんかなー?

カキーン!

・・・おぉ?!
いい音じゃん!
笠原楓は〜・・・居た!!
スーッと息を吸って叫んだ。
「笠原楓ーーーー!!!」
「?!」
部員みんな揃って私を凝視。
「はっ、榛名さん?!」
「そそ!榛名さん参上!」
すると、笠原楓の友達らしき奴が言った。
「お前、男みてーだな!」
「しっ、失礼な!!」
そして、私は言った。
「私ね、マネジ、やりたい!」
「・・・えっ?!」
「え?ダメなわけ?」
「えと?」
「も〜・・・宮園さんいるー?」
するとビクビクした宮園さんが近いて来た。
「いい?」
「うん、1人だとわりと大変だから」
「まじ?!ありがとー!!」

私、恋したかもしんない。
かも・・・ね。

31:日向:2015/03/13(金) 01:01 ID:y/2

部員は12人。
1番エース 笠原楓
2番 笹岡アユムくん
3番キャプテン 花元夏樹くん
4番 中山祐一郎くん
5番 田辺陸くん
6番 矢部忠司くん
7番 松田悠也くん
8番 佐々木徹くん
9番 濱田伊織くん
10番 山内錬太郎くん
11番 太田琉衣くん
12番 篠岡波流くん
みんないい人だ。

「あたしは、宮園知恵だよ。」
「榛名沙夜です。」
「沙夜ちゃん、よろしくね。あたしのことはちーって呼んでね。」
「ちー!!」
「えっ?!はい!!」
可愛い!!
「ぷっ!よろしく!」

32:日向:2015/03/15(日) 00:35 ID:y/2

「いけーーっ!」
「走れ走れ!!」
いやいやいや・・・あっつ!
暑いし熱い!
「マネジやるんじゃなかった〜」
「沙夜〜?」
「なっ!中山?!」
中山は最近よく絡んでくる。
「今〜、地味〜に言っちゃったよな〜?」
「言ってないし!!」
「あぁ?」
あぁ?って何さ、あぁ?って!!
「あ〜!!もう!!うっさい!!練習しなきゃ試合出さないよっ?!」
「ずっずるー!!」
こうして中山との会話が終わる。

「榛名!」
「んー?」
「コレ、よろしく」
「おん!」
グランドの整備
「榛名〜!」
「なーん?」
「コレ片しといて!」
「はー?もー!!わかったわ!!」
野球ボール磨き
「榛名〜!」
「榛名っ!」
「榛名ーーー!」
・・・
「あーーーもーー!うっさい!!」
「「「はっ?!」」」
「何かあったらすぐ榛名〜榛名〜って!!ちーもいるっての!!」
すると嫌味が飛ぶ
「だって宮園は女の子じゃーん?」
「そーだそーだ!」
はー?
「わっ私やって女の子やん!!」

こんな風に笑える日が来るなんて思っていなかった。

33:日向:2015/03/16(月) 15:59 ID:y/2

「笠原楓発見!」
「あ、榛名さん」
笠原楓は静かに外を眺めていた。
「ねぇ、榛名さん?」
「んー?」
「そろそろさ、フルネーム呼び、やめない?」
あー・・・ね
「んぢゃ、なんて呼べばいい?」
彼は一瞬考えて言った。
「楓・・・かなぁ?」
「か・・・えでね!」
「うん。じゃあ呼んでみて?」
え?!
なんか・・・キャラ変した??
考えていると
「早く!」
と急かされた。
「かっ、楓!」
「っ!!」
・・・何この沈黙!!
すると楓がこの沈黙を破った。
「お、俺も・・・さ、下の名前・・・で呼んでいい?」
「もち!呼んでみ!!」
ドキドキしつつ耳を傾けた。

「沙夜」

楓の声は燐くんの声とは反対で男の子にしては高いけど落ち着いててまるで子守唄みたいな声だった。
「はは!なんか変な感じ!」
「まー慣れるっしょ?」
この時私の中で何かが動いた。

34:日向:2015/03/16(月) 16:19 ID:y/2

・・・いつだって幸せの次には必ず辛くて切ない出来事が訪れる。

「今日は転校生を紹介します」
転校生?いきなりー!!
音を立てたドアから入ってきた人を見て固まった。
・・・な、んで?
「神崎隣くんです」
「神崎です。仲良くしてください。」
隣くん?あの、隣くん?
み、美晴さんは?
私の中で一つの疑問が生まれた。
・・・赤、ちゃんは??
「神崎の席は〜っとあそこだ。」
先生が指差したのは楓の後ろ。
楓が言った。
「沙夜?元気なくね?」
「そそそ、そんなこと、なっ、ないしっっ!!」
ガタン
「久しぶりだな、沙夜ちゃん。」
「そ、そだね」
隣くんと私を見て楓が不思議な顔をした。
「り、隣くん、美晴さんは?」
「んー、別れたよ。」
「はっ?!赤ちゃんは??」
「天国?にいるよ。」
流産・・・しちゃったの??
「で、でも何で別れちゃったの??」
「辛いんだって、俺といたら、赤ちゃんを思い出すって」
そんなの・・・神様は残酷だ。
隣くんはたったの、たったの16歳なんだよ?
最近まで義務教育を受けていた男の子だよ?
重すぎるよ・・・。

隣くんいわく、美晴さんの親後さんに反対され、堕ろしたらしい。
美晴さんは泣いていた、ずっとずっと謝っていたんだって・・・。

「はぁ〜」
「ため息?らしくないねー?」
「ちーはのんきでいいよぉ・・・」
「失礼な!ちーだって悩んでるよ?」
「何々??」
「こっ、恋?とか??」
「っ!!」
思いきって聞いてみた
「相手は??」
「や、矢部くん」
「たっ忠司?!」
「しっ、しーー!!」
「ごめんごめん!」
みんな、恋してんだなー

35:日向:2015/03/19(木) 20:34 ID:y/2

「沙夜?」
「あぁ、楓!何?」
「最近無理してる?」
「何が?」
「心から笑ってないよね?」
「そっ!そんなことないよ!!」
「ん・・・そか。」
嘘だよ。
心から笑ってないよ。私、初めっから笑えかった。
そりゃ、本当に本気で笑ってたこともあったよ。
でも私多分・・・絶対明るいキャラになりきってる。
この間までおとなしめな子だったのに・・・いつからだろ?

「沙夜ちゃん!」
「ちー?何?」
「今日ね野球部員でお昼一緒に食べるの!だから沙夜ちゃんも食べよ?」
「うん!!もち!」
「じゃあ、笠原くんと屋上に来てねっ!!」


キーンコーンカーンコーン
「楓!行くぞ!!」
「え?!どこに??」
「昼飯食いにだよ!!」
「はっ?」
「いーから来い!!」
バタバタする楓を引っ張って行った。

ギギー
錆び付いて重たい扉を開けるとみんなはもう来ていた。
「榛名と笠原遅い!!」
「だって楓が!!」
ギギー・・・
「りっ?何で??」
「よぉ!俺も混ぜろ!」
「はぁ?」
いきなり入って来たのは・・・燐くん。
「はぁじゃねーよ」
「はぁ?」
「俺も一緒に食うんだ!!」
「ダメだし!!ねぇみんな??」
するとみんな口を揃えてこう言った。
「大歓迎〜!」
最悪!!!

食べてる最中、燐くんが言った。
「沙夜ちゃん、笑うの下手だね」
「は?」
「そんなの心から笑ってませーんって言ってるもんじゃん。」
「そんなん・・・」
誰のせいだと思ってんの?
「何?」
「別に・・・」

「なぁ!」
「あ?」
「あ?じゃねーよ!」
はいテンションで声を掛けてきたのは花元。
「んで?何??」
「神崎と榛名、何でそんな仲いいんだよ??」
言葉が詰まった。
燐くんが言った。
「席が、前後だから」
「まじでか〜??」
「マジだから。」
そんなの・・・
「そんなの!本当のこと言えばいいじゃん!!」
「沙夜ちゃん?」
「何しらばっくれてんの??」
「沙夜ちゃん、やめっ!」
「私達、付き合ってたの。でもあることが理由で別れたの!」
沈黙を矢部が破った
「あることって?」
「おい!!」
花元が止めるのを無視して言った
「燐くんの元カノに別れろって圧力掛けられた上、燐くんは元カノのこと忘れてなかったの」
「沙夜ちゃんっっ!!」
「それで子供できて、親に反対されて堕ろして、彼女に振られて、何が目的か知らないけどここにきたんだよ。」
・・・私、何いってんの?

私はその場から走って逃げた。

36:日向:2015/03/25(水) 13:06 ID:y/2

翌日
「みんな!昨日はごめん!!!」
「えーと・・・」
みんな驚きを隠せない様子
「あのね、最近の私変だったんだ。」
「変?」
矢部くんが聞いてきた。
「うん。」
「えと、沙夜ちゃん、もっと詳しく説明いいかな?」
ちーが落ち着きを保ちながら聞いてきた。
「私ね燐くんと知り合う前は暗くて、全然笑わないし、喋んないし、人に興味がなかった。」
燐くんとの出会いを思い出す。
「そんな時、燐くんに出会った。無視っても話しかけてくるし、その場所に行かなくてもずーと私を待ってるし、台風の時だっていたんだ。燐くんは、そんな奴。」
・・・あ!私燐くんの紹介しちゃってんじゃん!!
「ま、まあ、だんだん燐くんと会話するようになっていった。いつの間にか笑えるようになった。」
・・・それで
「あぁ、これが恋かーって思った。」
そうだったなー。なんて思い出しながら話した。
「んで、色々あって付き合うことになった。」
美晴さんのことも全部話した。
「そんでね、みんなに出会って気づいた。」
みんな、なんて言っちゃってるけど本当は『楓』だったりするんだよね。
「あれは、恋じゃなかったんだ。憧れだったんだ。」
「えーとそれで、つまり?」
「今!!」
「今、何?!」
「恋してるんだ!!」
明るくなれたのも、たくさん笑えるのもよく考えたらぜーんぶ楓に出会ってからなんだ。
「誰に恋してんの?!」
「ひーみーつ!」
「けーち!」

私は恋してる。
恋すると人って変わる。
確か初恋って実らなかったっけ??
ま、そんなん私がかえてやるよ!!


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