〜今宵の月は恋暦〜

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1:美響:2015/05/28(木) 21:11 ID:CS2

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今宵の月は恋暦
ジャンルは学園ラブコメ(?)を想定しています
多分需要がなければ長く続かないと思います^^;
コメントなど感想下さると嬉しいです^^

character

廣瀬 響華 Hirose Hibika ♀
湘蘭学園中等部2-S 美術部所属
普段は大人しい性格だが、仲のいい友人とは明るく接する(結構毒舌になる)
颯へ密かに想いを寄せているが、告白するつもりはない
status 成績○ 読書が好き 運動神経×

御神 颯  Mikami Hayate ♂
湘蘭学園中等部2-R サッカー部所属
いつもはクールな性格だが、結構騒がしい一面もある。
響華とは幼い頃から知り合いで、現在は塾も一緒。
status 成績○ サッカーが好き 運動神経○

松嶺 魅羅 Matumine Mira ♀
響華のクラスメート 美術部所属
響華の親友
周りからはぶりっ子と言われ、嫌われており、響華も嫌気が差している。
しつこい性格で先生にまとわりついては猫をかぶっている
status 成績× 運動神経△ 

宇夏美 美亜乃 Ukami Miano ♀
響華のクラスメート 帰宅部
魅羅と響華の親友
明るい性格で、ツッコミ役になる事が多い。響華は本当に友達なのか迷っている。
status 成績× 運動神経×

石等場 一誠 Ishiraba Issei ♂
響華のクラスメートで隣の席 バスケ部所属
成績優秀で運動神経もよく、人格が良いので人気
status 成績○ 運動神経○

情野 美英梨  Jouno Mieri ♀
響華がよく行くカフェ『ROSE亭』のオーナー
響華の相談にのってあげたりと、面倒見がよく優しい

2:美響:2015/05/28(木) 21:21 ID:CS2

T章 side by side 〜サイド バイ サイド〜

 入学式から何ヶ月かして、もう五月が終わろうとしていた。
 この頃になると定期テストと校外学習という2大イベントがある。
 
 まだ六月だというのに、日差しが強かった。
 猛暑とまではいかないが、この季節の気温ではない。

「あっつ……」
 下敷きで仰ぎながら読書をした。
 何とかして暑さを凌ぎたい。
 あいにくエアコンは許可が下りておらず、使用できない。

「ひぃーびぃーかぁーっ」
 真剣に一文字を大切に読んでいると、甘ったるい声がした。
 魅羅がこちらに近寄って、私の机に寄りかかる。
 私はムッとし、読書の邪魔をするなと心の中で、否、少し声に漏らした。

「何?読書の邪魔はしないでって言ったよね?」
「だってぇー、暇なんだもん」
 私が半分怒っているのにも関わらず、平気で甘えてくる。
 
「何か用?無いなら私読書するから」
「ちぇーっ」
 何か不満そうに口を尖らせると、しぶしぶ美亜乃の席へ行った。
 
 まただ、またこんな態度をとってしまった。
 いくら本音とはいえ、少し抑えるべきだった……

 こんなんだから
 こんなんだから友達がいなくなってく――……

3:美響:2015/05/29(金) 16:32 ID:CS2

 翌日、普段家の前で待っている魅羅がいなかった。
 いつもなら私の家の前で待っていて、一緒に登校することになっている。
 まぁ、それはそれでこちらも好都合だ。

 暫く行くと、魅羅と美亜乃が並んで登校しているのが見えた。
「ライブのチケット当たんなかったぁー」
「うちもー」
 人気アイドルの話をしているのだろう。
 私が横を通りかかれば気づいて声をかけてくるだろうか?
 無言で横を通り過ぎた。

 ……だめだった。
 彼女達は完全に私を無視し、そのまま話を続けていた。
「おはよう」
 挨拶を交わしても話はやめない、見向きしない。

 所詮、私とあいつらはインスタントフレンド。
 お湯を注げばすぐ出来るように、一声お世辞でも言っておけばすぐ友達。
 自分はぼっちではないと主張、証明する、使い捨ての隠れみの。
 新しい友達ができればすぐに捨ててそっちへ乗り換える。

「ちっ」
 私は2人を抜かし、先に学校へと急いだ。

4:美響:2015/05/29(金) 16:41 ID:CS2

 学校へ到着し、ロッカーに教科書を入れて準備を済ませた頃に2人が到着した。
 まだ同じ話題で笑い合っている。
 どんだけ長い話なんだ!

「来週のドラマ、ヤバくない!?」
「そーそー!主役の悠斗君が!」
 美亜乃が私の前の席なので、必然的に魅羅もこちらに来る。
 私の席の前でたまって話を続けていた。

 私は何となくイラっとしたので、読みかけの本を置いて廊下へ行った。
「いらいらする……一旦トイレへ逃げよう……」
 ざわつく教室をあとにして、私はトイレへ向かった。


「でさぁ、ゆいがー」
「えーっ、うそぉ!」

 …………ここもかーっ!

 陸上部だろう、女子達が香水をつけながらたまって喋っていた。
 鏡の前で日焼け止めを塗っている奴もいる。

 甘ったるい香水の香りがトイレ中に漂う。

「なんだよ、落ち着ける場所はねーのかよ!」
 私は溜息をつきながら廊下へ出た。

5:美響:2015/05/29(金) 23:29 ID:CS2

ちなみにちょっと実体験入ってます☆

6:ぽち:2015/05/29(金) 23:38 ID:Vno


実体験ってすごいですね!

更新楽しみにしています★

7:美響:2015/05/30(土) 13:06 ID:CS2

ぽちさんコメントありがとうございます!
恋愛とかについては想像ですけど、友情の描写は実体験です
更新頑張ります!^^

8:美響:2015/05/30(土) 13:33 ID:CS2

 私は諦めて教室に戻り、読書を続けた。
 頬杖をつきながら、周りを気にせず夢中になって。
 ふざけ合って絡む男子、悲鳴をあげて笑う女子。
 全てシャットアウトして、私は読書を続けた。
 
 つまらない学園生活が要約一日終わり、一息ついた。
 安心するのはまだ早い、これから塾だ。
 
 でも――……

 学校ではクラスが違うけど、塾なら辛うじて彼に会える。
 いつの間にか好意を寄せていた『彼』に。
 いつも彼の追試が終わるのをさりげなく待って、彼を最後まで見ていたい。

「分かってるよ……んなこと……気持ち悪いってコトくらい……」

9:美響:2015/05/30(土) 20:33 ID:CS2

 塾は高いビルの20Fにあり、全国でも有名な塾だ。
 入塾テストも受けさせられ、ある程度の成績がないと入塾出来ない。
 
「あ、舞ーっ!舞の席ここだよーっ」
 遠くから仲のいい友人を見ていると、なんだか虚しいキモチになる。
 自分は話しかける相手も無く、参考書とにらめっこしているだけだった。

 皆どこかの誰かしらの机に集まっては楽しそうに話していた。
 羨ましい気持ちは認めるけど、私は別にどうしようもない。
 
 なんか、私だけ孤立してる――?

 何を今更!
 私は孤立する覚悟で生きているんだから、今更何を……そう、今更……
 
 私はぼっちがなんだ、別に人生に支障はないだろ、と自分に言い聞かせた。
 高校になれば、きっと私も友達くらい……

「テストをはじめるー」
 先生の一声で私はハッとした。

10:美響:2015/05/31(日) 12:13 ID:CS2

 化学反応式テスト、漢字テスト、計算問題と、3つぶっ続けでやらされた。
 定期テスト前なので塾も気合が入っているのだろう。

「答案取りに来てー90点以下は追試と補習ー。廣瀬さん満点ー御神さん90ー」
 名前と点数を大声で言われ、一人ずつ得点表に点数が記入される。
 赤い字が並んで恥をかかされる生徒もいれば
 満点の緑字が並んで優越感に浸る生徒もいる。
 そして私はその後者にあたる。

「あー、2乗をつけ忘れた!やべぇ、補習ギリギリだ」
 返却された答案を見てため息をつく颯がいた。
 席は私より後ろで、中々姿が見えない……

「今回の満点は石等場と廣瀬だけかぁー、追試と補習5人ー」
 先生はため息をつきながら引き続き得点表に書き込んでいった。

11:美響:2015/05/31(日) 23:08 ID:CS2

*アンケート*

響華「読者も少ないのにアンケート?果たして何票集まるかしらね」

 はじまって間もない小説ですが、人気キャラ投票を行います!
 一位になったキャラは、そのキャラの特別番外編を書こうと思います

颯「いわゆる作者のネタ切れってやつだな、開始早々」

(ヴッ……正論……あ、集まらなかったら私が勝手に決めマース)

>>1のcharacterfileに掲載されている人物から一人選んで下さい
まだ数回しかやっていないので未描写のキャラもあります。
無理に急いで投票する必要はありません^^
締切は今のところ7月初旬までです!

12:匿名:2015/06/01(月) 12:44 ID:CS2

 颯は数学はギリギリ合格したが、理科のテストが補習らしい。
 関係ない生徒は教室から追い出されるので、廊下で本を読みながら待った。
 所詮塾の本棚、と甘く見たら大間違いだ。
 洋書、訳書、日本文学、図鑑などは勿論、なぜかラノベと絵本まである。
 私が本棚から手にとったのは、『The Catcher in the Rye』だった。
 主人公が成績不振で退学になって飛び出るお話。

 10分程待っただろうか。
 もう本では主人公が学園を飛び出ていった所まで読み終えた。
 それと同時に、颯とその他の男子女子の笑い声が聞こえてきた。

 なんか――……

 虚しい――……

「帰ろ」
 ぶっきらぼうに本をパタンと閉じ、棚に戻した。

 何、やってんだろ
 どうせ待っていたって、見向きもされないんだから。
 すれ違うだけで、彼は正面を向いているのだから。
 
 私と彼の視線は、交わらない⊥(垂直)みたいなもので。
 
 絶対に彼の棒が横になって、並行になることはない。
 絶対に彼の棒が横にずれて、垂直になることはない。

 もう、やめちゃえばいいんじゃない――?

13:美響:2015/06/01(月) 12:44 ID:CS2

上の>>12私です
匿名になってました><

14:美響:2015/06/01(月) 12:52 ID:CS2

 もう帰ろうと駅まで行き、ふと夜空を見上げた時だった。
 
「綺麗な……三日月……」
 図鑑で見るような、はっきり鮮明な月だった。
 大きく、黄金に輝いていると言っても過言ではないくらいに。
 
 カシャ
 私はスマートドンを取り出し、何となく撮ってみた。
 肉眼程ではないけれど、それでもいつもより高画質で映っている。

「月に神がいるって……本当?」
 まだ月から目を離さず食い入るように見つめていると、電車が来た。
 
「あっ、いけない!」
 ハッとして我に返ると、ドアが閉まろうとしていた。
「危ない……」
 なんとか間に合い、電車に乗り込んだ。


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