籠の中の黒

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1:悠花:2015/06/02(火) 18:42 ID:zZA


目に見えるものが全てじゃない。けれど、目に見えないものを意図的に、無理矢理見ようとすることは、いけないこと、不幸への一歩なのだと、昔おばあちゃんが言っていた。
当時、私はまだ幼くて、ふとおばあちゃんがこぼしたこの言葉の意味は理解できなかった。
正直、今だってそうだ。中学に上がった今も、この言葉の意味は、とてもではないけれど難しくて、全部は理解できていない。
でも…、全部は理解できていないけれど、なんとなく、何が言いたいか、っていうのは、最近になってわかった気がする。
それは、なんでこの言葉の忠告を守らなかったんだろうと、今でも後悔しているからかもしれない。
でももう、悔やんでも遅いのだ。見てしまったものは仕方が無い。この出来事は、きっと私には衝撃的すぎて、忘れることもできないまま、生きていくしかないのかもしれない。

私は、私が許せない。一時の好奇心で、まさか、周りをも巻き込んでしまうなんて、考えてもいなかったからだ。

ごめんなさい。お母さん。
ごめんなさい。お父さん。
ごめんなさい。おばあちゃん。
ごめんね。優樹菜。
ごめんなさい、ごめんなさい。

どうか、こんな馬鹿なことをしてしまった私を赦して。

2:悠花:2015/06/02(火) 18:52 ID:zZA

※あてんしょん※

・これ多分ホラーになります。ホラー嫌いな人は逃げてください。
・荒らしは来ないでくださいね。荒らしてもいいですけど、それ相応の対処はさせていただきますのであしからず。
・更新遅いです。それもものすごく。完結はさせるつもりではありますが、失踪するかもしれません((((
・コメントくれたりするのは嬉しいですが、初対面なのにギャル語使うのとかやめてくださいね。
・登場人物紹介は書かないつもりでいますが、話を進めていく中で、登場人物について良く分からない、登場人物について書いて欲しいという要望があれば書くつもりでいます。

コメント、アドバイスしてくれるとありがたいです。嬉しくて泣きます((
それじゃあ、次から本編始めていきますね。

3:悠花:2015/06/03(水) 17:37 ID:zZA

〇1話〇
ふっ、と、足を緩める。学校へ続くこの下り坂を歩くのも、これで最後か。
今日は、卒業式。この通学路とも、あの校舎とも、お世話になった先生とも、これで最後だと思うと、泪が溢れそうになる。
いけない、まだ式が始まってすらいないのに…。
私の背にある、真っ赤なランドセル。
6年間、私の雑な扱いにも耐え、傷だらけにはなってしまったけれど、一度も壊れる事なんて無く、6年間一緒に生活した赤いランドセル。
思い出のいっぱい詰まった、このランドセルも、今日で背負うことがなくなるのかと思うと、少し寂しくなる。
いままでの思い出に浸りながら歩いていると、あっという間に昇降口に着いていた。少し砂ぼこりっぽくて、みんなの声で賑わう、あったかい場所。
…ふと、昇降口の壁にかかっている時計を見る。もう8時。いけない、急がなければ。
最低でも8時10分には教室で待機していなければいけないのに、間に合わなくなってしまう。下駄箱を見ると、すでに6年のメンバーは全員揃っていた。
(これは、やばい、このままじゃ…遅刻だ)

4:悠花:2015/06/07(日) 19:13 ID:zZA

遅刻はさすがにまずい。
普通の日なら…、いや、普通の日でもダメなものはダメだけれど、今日はよりによって卒業式なのだ。
((いや、急げば、間に合うかな。学校、狭くてよかった。))
私たちの学校は人数が少なく、一学年1、2クラスというのが現状だ。そのせいで学校の校舎はとても小さい。昔は第二校舎(4〜6年の為の校舎だったらしい)もあったらしいが、今ではもう取り壊されてしまっている。
私達は校舎が小さくて不満だったりした事もあるし、大人達は少子高齢化だの、田舎町に若者が少ないだの騒いでいるけれど、今日ほど人数が少なく、狭い校舎に感謝をした事はないだろう。
6年の教室は、二階の一番端。急げば間に合う…はず。
学校の中では一番遠い教室に向かって廊下を走る。
もう遅刻ギリギリの時間だ。それに今日は卒業式。走っていても怒られることは無いだろう。
((背に腹は変えられない、遅刻して恥かくくらいなら、走ってて怒られたほうがマシだ。))

5:悠花:2015/06/07(日) 21:08 ID:zZA

静かな廊下に、私の足音が響く。
卒業式ということのせいか、騒ぐ人は誰もいないらしい。1年生ですらも、いつものようにきゃあきゃあと騒ぐことなく、しっかりと席についているに違いない。
((卒業式の力ってすごいな…。))
階段を駆け上がり、もうすぐそこは教室ということで、少しだけ気の緩みが出てきた。
教室のドアに手を掛け、勢い良く開けようとした瞬間。

目の前に、閃光が走った。

それは、一瞬の出来事だった。ぱっと、まるで目の前に雷が落ちたかのように、鋭い光が、私の目の前を通りすぎていく。
走ったせいでアタマに酸素が回らなくなって起こったことなのだろうか。でも、私は体力だけには自信がある。でも、それ以外考えつかないし、たぶん
なんにせよ、こんな事を考えている場合ではない。考え事をしている間にも、時間は進んでいく。
先程までのことを少し疑問に思いつつ、手をかけたドアをガラガラと開ける。

「おはよー」
「あれ、遅かったじゃん。どうした?」
「卒業式だもんね、さすがに遅刻はしないっしょ」

みんなが笑顔で私に挨拶をする。それを見て、なんだかホッとした。
ランドセルを机の上に置き、みんなと談笑しているうちに、さっきの閃光の事なんて忘れてしまった。
きっと、なんでもないことだから大丈夫。ほら、今だってなんにも異常なんかないんだから、と、勝手に身体が判断したのだと思う。

……忘れるべきでは、無かったのに。


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