とある夏の話

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1:かび。:2015/06/06(土) 18:28 ID:wBQ


これは、俺とあの子のとある夏の話。

2:かび。:2015/06/06(土) 18:37 ID:wBQ


「裕樹、歩くの遅すぎ!」
「暑いのに元気だなぁ、ハルは。」

中3になった俺達。
気づいたらもう夏も終わろうとしていた。

「夏らしいこと最後にしとこう、って言ったのは裕樹じゃーん!」
「えー?そんなこと言ったっけ…」
「言ってましたー」

隣で頬を膨らませているのは、俺の彼女のハル。
中2の冬頃に俺から告白をし、見事に付き合うことになったんだ。
俺にとって初めての彼女。
絶対に大切にするって決めたんだ。


…決めてたのに。


あの事件が起こったのは、夏休み最後の日だった。

3:かび。:2015/06/06(土) 18:51 ID:wBQ

「ごめん!夏風邪ひいちゃって行けなくなった」

夏休み最後の日。
今日はハルとデートの約束をしていた。
珍しくハルから誘ってきたから楽しみにしてたのに…
そして今、部屋でハルに謝罪電話をしているところだった。
夏風邪と言ってもまだ37度しかなかったが、頭痛が酷くて断るしかなかった。

「今日じゃなきゃダメなのに…」
「え?」
「…今から家に行く」

ハルから返ってきた言葉は予想外だった。

「でも風邪うつっちゃダメだろ?」
「別にいーよ!今から行くから!!」

そこで電話は途絶えた。
一方的に切られ、どうすることもできなくなった。
なんでそこまでして?と思ったけど、会えるならいっかと思い少し部屋を片付けた。

少しして、ハルからメールが届いた。

『もうすぐ着くからねー(*^_^*)』

ハルの好きな顔文字があり、怒ってないことは確認できた。
俺は『おう、待ってる』とだけ送った。

それからハルからの返事はなかった。

4:かび。:2015/06/06(土) 18:57 ID:wBQ


「…遅くね?」

あれから1時間。いや、それ以上かもしれない。
ハルが訪ねて来なかった。
最初は寄り道してんのかな?とも思ったんだけど、それにしても遅い。遅すぎる。
前にも1回、家に来たことあるから道はわかるはずだ。
…帰ったんだろうか。
でもそれならメールを送るはず。

「なんだよ、会えねぇじゃん」

俺は布団に顔をうずめた。

5:かび。:2015/06/06(土) 19:04 ID:wBQ

その日の夕方だった。

やけに外が騒がしいなと思っていたんだ。

階段をのぼってくる足音が聞こえる。
ハルかなと思って立ち上がったが、母さんだった。

「どうしたの」

すると母さんは小さくこう言った。


「ハルちゃんが…はねられたって…!」

俺はその場に立ちすくんだ。


ハルが、事故?

「どこで…」

俺は自分の声が震えていることがわかった。


「コンビニ近くの交差点…信号無視のトラックに…」


俺は母さんが言い終わる前にパーカーを取り、交差点に向かっていた。

6:かび。:2015/06/06(土) 19:15 ID:wBQ

俺は無我夢中で走っていた。
喉の奥が乾いて痛い。
息がうまくできず、苦しい。
だけど俺は走るのをやめなかった。

息絶え絶えにたどり着いた。
そこには警察やへこんだトラックがあるだけでハルの姿はなかった。
でもそこに落ちているカバンは、間違いなくハルのモノだった。

「君、あまり入っちゃダメだよ」

警察の人に注意された。
俺はすかさず「ハルは!?」と聞いた。

「君…もしかして裕樹くん?」
「…はい、そうです」

なんで俺の名前を?と思ったが、すぐに理由がわかった。

「これ、ハルさんが握り締めていたんだよ」

警察に渡されたのは、ピンクの袋とメッセージカード。
そこには確かにハルの字で『Happy Birthday 裕樹♡』と書いてあった。

その日は俺の誕生日だった。

7:かび。:2015/06/08(月) 00:03 ID:wBQ

俺のせいだ。
俺のせいでハルはあんな目に…

あの後、ハルが運ばれた病院に向かった。
一命はとりとめたらしく、気持ちよさそうにベッドに寝ていた。
だけど痛々しいほど包帯に巻かれたハルを見て酷く心が痛んだ。

あれくらいの痛さなら行けたのに。
俺が行っていればハルは事故にあわなかった。
俺が全部悪いんだ。
ハルにあわせる顔がない。

ハル、ごめんな。
早く元気になってくれ。

俺はハルの手を握りしめ、強く願った。
そして立ち上がり廊下に出ようとした。

「裕樹くん、どこに行くの?」
「散歩です…」

ハルのお母さんに嘘をついてしまった。
散歩なんて嘘だ。
きっと俺はもうハルには会わない。
どんな顔をすればいいのかわからない。

ハル、さようなら。




あれから2年。
俺は高校2年生になった。
だけどあの日から一度もハルの顔は見ていない。

8:日向◆B2:2015/06/08(月) 00:41 ID:y/2

すごい、小説上手ですねぇ!
続き気になります!!
またおいおいコメントしますっ!

9:かび。:2015/06/09(火) 22:41 ID:wBQ

日向さん>>
ありがとうございます!
ちょっと勉強とか大変で、なかなか更新できないですけど頑張っていきます!

10:かび。:2015/06/09(火) 23:18 ID:wBQ

もうハルには会わないと誓ったあの日から2年。
俺は今、学校生活も充実している。
ただ、まだ清々しいほどのハルの笑顔が脳裏にこびりついている。
忘れるなら今しかない。
未練タラタラで生きていくほど辛いものはない。

ただ…あの日感じた罪悪感は二度と消えないだろう。
きっと俺はこれからもハルのことを想い続けてしまう。
また恋をして、結婚して子供ができてもハルのことは忘れられないかもしれない。

もう一度、ハルに会いたい。
会って謝りたい。一生償ってもいい。
でも、もうできない。
会わないと誓った。
今までも何度かハルの病院に行こうとしたが、足が思うように動かず行けなかった。

あぁ、最後に元気な姿を見ておきたかった。


「なぁ、まだ来ないんだな。お前の隣の子」

不意を突かれ、ドキッとした。
でもすぐに声の主は高校に入り、初めての友達の翔だということがわかった。

翔がいう俺の隣の子。
夏休み明けに学校に行くと、俺の席の隣に新しい机が置いてあった。
最初は間違いかと思ったが、先生が言うに「2年生になってから入る予定だったが、ある理由でなかなか来れず、二学期中には来る予定」の子らしい。
名前どころか性別まで明かされておらず、どんな子かもしらない。

「どんな子なんだろーな…」
「ほんっと翔はその話になるとそればっかり!」
「なっ…花歩!」

俺と翔の間に割り込んできた女子…花歩は、翔の幼なじみらしい。
翔をきっかけに仲良くなった。

「私は女の子だといーな!友達になれるし!」
「あっちが拒否ったら無理だけどな」
「ちょ…裕樹ひどくない!!?」

高校に入り毎日が楽しい。
本当に充実しているんだ。
なのに。


「なぁ、花歩。あんな女子いたっけ?」
「なになにー?どの子?」
「ほら、今こっちに向かってる…って、え?」

翔がいう女の子は、確かに俺の隣の席に着いた。
顔はよく見えなかったが、確かに俺にはわかった。
この髪質、制服の着方、口元にあるホクロ、凛とした瞳。

間違いない、この子は…


「…ハル……っ…?」


神様、どうして。
なんで今なんだ。

そこには間違いなく、あの日別れたハルがいた。

11:かび。:2015/06/09(火) 23:27 ID:wBQ

頭の中が混乱し始める。
なんでハルがここに?

「裕樹…?大丈夫か?っていうか、ハルって誰…?」

翔の心配そうな声が耳に入る。
ハルはこっちに気づき、「あの、」と声をかけてきた。
マズイ。どうすればいいんだ。
真っ直ぐ俺を見つめるハル。その瞳はあの日から全く変わっていない。

気がついたら俺は、ハルの腕を引っ張り中庭に来ていた。


「あの…」
「あ…っと、ごめん。急に」

俺はパッとハルの手を離した。
軽く沈黙が続く。
彼女だとはいえ、久しぶりすぎて何から話せばいいのかわからない。

「…ハル、なんでここに?新しく入る子ってハルだったんだ?あ、元気にしてたか?体調、悪くない?」

頭の中で整理をする前に言葉が出る。
質問多すぎだろ、俺。
ハルは少し戸惑っている。
そして、ゆっくりと口を開いた。

「あの、あなた誰ですか?」

「え?」


突然の言葉にまたもや頭がついていけなくなった。

12:かび。:2015/06/11(木) 22:45 ID:wBQ

自分の事を放置していた男なんて知らない、なんていじけているのかと思った。
でもきっとそんな笑えるようなことではない。
ハルは真剣に質問してるんだ。

「なんで私の名前を知ってるんですか?それに…元気にしてたかって…。私と知り合いですか?」

たった2年しかたってないはずだ。
なのにこんな綺麗さっぱり忘れるのか?
…おかしすぎる。
何があったのか聞きたいが、ハルは俺の事を知らない。
知らない人から急に聞かれても戸惑うだけだ。

「ごめん、俺の知ってる子と似てたんだ」

とっさに口から出た言い訳だった。
2年の間、俺は何をしてたんだろう。
大好きだった彼女を捨て、自分だけ幸せになった。
きっとハルは俺の事を忘れるぐらい嫌いになったんだ。

「そう…、その子もハルって言うの?」

ハルは静かに言った。
今時、同姓同名もおかしくない。

「あぁ…うん」
「そっか、」

ハルはそう言うと、「行くね」と言い、その場から離れた。

だめだ。
これ以上親しむとせっかく忘れようとしていたのに離れられなくなる。
まだこんなにも愛おしいのに別れたくない。

でもハルを傷つけたのは誰だ?
そう、全て俺が悪いんだ。

ハルとはもう関わらないでおくのが最善策だろう。
俺のためにも、
ハルのためにも。

13:日向◆qA:2015/06/12(金) 18:49 ID:y/2

ハルちゃんに一体何が・・・(・◇・????
続き待ってます♪
頑張ってください!

14:かび。:2015/09/14(月) 23:13 ID:LCc

お久しぶりですー!!!
勉強が忙しくて放置してました…
また、ちまちまと更新していきますね!

あと、誤字があったので直しておきます。
>>7のところ、「痛み」ってなんでしょうねw
はい、「痛み」じゃなくて「あれくらいの風邪」…って書きたかったんでしょうね(^^;;

15:かび。:2015/09/14(月) 23:25 ID:LCc

【登場人物】

*三輪 裕樹 ミワ ユウキ
ハルの彼氏。
ハルが事故で辛い思いをしたのは自分のせいだ、と自分を責め続けている。

*三浦 ハル ミウラ ハル
裕樹の彼女。
裕樹の誕生日に事故にあった。
現在、記憶喪失(?)

*松原 翔 マツバラ カケル
裕樹のクラスメイト。
クラスのムードメーカー的存在。
花歩とは幼馴染み。

*榎本 花歩 エノモト カホ
裕樹のクラスメイト。
明るく、活発な女の子。
美人のため、いじめられて女の子の友達はいない。



今のところはこんな感じですね!
ほんとにザッとまとめてますw


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