泣く者あれば嗤う者あり

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1:超甘党人間☆:2015/07/08(水) 20:41 ID:Naw

皆様、おはようございますこんにちはこんばんは初めまして。
超甘党人間☆と申します。(ふざけた名前でごめんなさい)
この小説はタロットカードを基にしています。
ただ自己解釈のオンパレードですので、そういうのが苦手な方はブラウザバックを推奨します。

2:超甘党人間☆:2015/07/08(水) 21:11 ID:Naw

00:The Fool 〜T〜

 青年が鼻歌を歌いながら森を歩いていた。いい朝だ。だが、別に彼はさほど機嫌が良いというわけではない。普段からこんな風に歌を歌って気ままに過ごしている。彼は旅人だ。家を持たず、自由に行動している。旅人は鼻歌を止めた。キョロキョロと辺りを見回す。なんという美しい風景なのだろう。そびえ立つ大樹。周囲を取り囲む若々しい木々。様々な色の小鳥、昆虫、植物……。それらは、彼を魅了して決して離さなかった。美しい青い瞳が輝く。白い頬はバラ色に染まった。旅人は僅かな荷物の中から、キャンバスと絵の具を取り出した。彼は、絵が好きだ。そして、その絵は見る者の心を掴んで離さない。類希なる天才。故郷ではそう呼ばれていた。
 そんな彼が、何故故郷を離れて絵を書き続けているのかは、誰も知らない。それを止める権利は誰にもない。もし言ったとしても、彼のことだ。決して聞かないだろう。
 少しだけ強い風が吹いた。ウェーブのかかった金髪が揺れる。キャンバスに置かれていく色は、だんだん形作られていく。この手早い作業も彼が天才と呼ばれる所以だ。
 青い蝶が、画面上の花に止まった。旅人は手を伸ばすが、その前に飛び立ってしまった。少し残念そうにため息をつく。気を取り直して、彼は再び森を作り出していった。

 昼になる頃には、絵が完成した。旅人は手にとって回してみたり、逆にしてみたり。やがて満足げに頷くと、大樹に一例してから、根元に絵を置いた。いつものことだ。完成すれば、感謝の意味も込めてその場に置いていく。旅人は再び荷物を担いで、森を歩いて行った。
 日が傾きかけていた。旅人は小さな街についた。街の人々に尋ねたりしながら、やがて宿を見つけた。宿屋の主人は恰幅の良い、優しそうな人だった。

「やあ、旅のお人かい?疲れただろう。ゆっくり休んでいくといい。申し訳ないが、これにサインをしてくれないかな? 」

 差し出された紙には様々な言語が書かれていた。旅人は自分の名前を書き、主人に渡した。主人は紙を見た。

「ええと、ミカリウス君……か。じゃあ、君の部屋へ案内するよ」

 ミカリウスはこくりと頷きニッコリと笑った。

「ありがとう、おじさん」


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