兄がヤンデレに囲まれました。

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1:ミルフィーユ:2015/07/12(日) 17:05 ID:cgQ

「鬼ごっこ、ですか?」
「ああ……」

腕に顔を埋めるようにして、兄は暫くの間頭を伏せていた。
そのまま数秒間、静寂と沈黙が訪れる。
たったそれだけでも、兄の話の続きを聞きたい私にとってはとてつもなく長い時間に感じられた。

「…………どうやら、だな」

微かにだが、絞り出すような声が聞こえた。
私は、高鳴る胸の鼓動を抑えられない。
………おおお、落ち着け私、落ち着くんだ。

「はい……」

次の言葉を急かそうとする自分の気持ちをなんとか踏みとどまらせ、なんとか兄様の言葉を静かに待つ。

「俺は………

女だけに好かれている訳ではないらしい」

兄のその含みを持った言い方に、私は全てを察する。

_______そうか、うん。

安心して兄様。私、BL的展開も嫌いではないわ。

2:兄は悩みを抱えていました:2015/07/19(日) 14:32 ID:oW2



今から30分ほど前、時折暗澹とした表情を見せられる兄様のことが心配になって声をかけたのが事の発端である。

「大丈夫だよ………心配しないでくれ。俺はいつも通りだ。」

と、誤魔化す兄様。
兄様がこうやって言うときはいつも無理をされている___何年も同じ屋根の下で過ごしてきたのだ。気づかない筈がない。
私が言葉を紡ごうとする前に、兄様はすっと顔を上げた。

「………いや、やっぱり駄目だ。お前に、どうしても相談したいことがある」

切羽詰った表情でそう言うと、兄様は直ぐに木製のイスに腰掛けた。
私も薦められた前の席に座る。

そうしても、兄様はきゅっと固く唇を結んだままだった。
私が何度か話しかけても、まるで聞こえていない。どうやら、まだ悩んでいるようだ。そんなに話しにくいことなのだろうか。
仕方なしに席を立ち、紅茶を淹れ、洋菓子を持って戻って来たときにも、まだ兄様の話は始まっていなかった。

私とて、ここで痺れを切らして怒鳴り散らすような真似はしない。さっきの兄様の表情から見るに、とても大事な話だということはすでに分かっているからだ。

「………昨日、だな」
「はい」

私が黙って待ち続けること実に7分。兄様は漸く口を開いた。

「………告白されたんだ」
「……………はい」

……う、うんうんとりあえず落ち着け私。普段身内にこういう話を持ち出されるのが少ないーーーいや、皆無に等しかったとしても!!急に言われても狼狽えずちゃんと聞いてあげるのが人間としての優しさってモノじゃないか?

「男から」
「………」

……う、うんうん!兄様は美少年だからな!!身内の贔屓目ではなく、割とガチの方で。
男女共にモッテモテってのも……あるかもしれない。
幼稚園の劇では女子を差し置いてシンデレラの役に抜擢。一昨年まで電車での痴漢に悩まされていたくらいだし………
変声期&成長期でぐんと男らしさが出てきたけれど、まだあどけない感じは残っている。
私がBLに目覚めたのも兄様のお陰で………ゴホン

「そしたらだな………」
「はい」

また、沈黙。
焦らすな!と思うけれど___そうそう、こういうのは「早く」って言われると言いにくいものよ。ここは静かに豊かな心構えで……なにを言われても受け止める包容力を持って。

「鬼ごっこをしよう、と言われたんだ。………20人近い男女から。
ルールは………捕まった人が、捕まえた人の言う事を聞く、というモノで………」
「………はい」

「問題は……………俺一人が逃げる役、という事なんだ」

「………………おう」

………おう。

……ん?でも、こういうの聞いた事ある。
一人の男が多数の女子から好かれる場合を、ハーレム状態。
一人の女が多数の男子から好かれる場合を、逆ハーレム状態。
ならば、兄様は……?

「両ハーレム?……いや、超ハーレム……?ヤバいハーレム……………ヤバーレム………」
「?どうした?」
「なんでもありませんわ兄様。」

接客業の熟練者のような神々しい笑顔を貼り付けながら話の続きをするよう促す。
少し胡乱な目を私に向けつつ、兄様は再び口を開いた。

「これらを踏まえた上で……お前に頼みがある。」
「はい」
「無理ならいい。……危険だとも思う。正直、妹であるお前にこんな事を言うのは間違っていると思う。でも……」
「宜しいですから早く」

眉間に皺寄せて、そんな苦しそうに言われてもね……
勿論、何を言われても私の答えは「OK」だ。
家族が困っているのに、助けない奴がどこにある。

なんでもばっちこい!
私は、また兄様の言葉を待った。


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