菜の花が咲くころに―。

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 [書き込む] Twitter シェアする? ▼下へ
1:うさ子:2015/07/21(火) 18:30 ID:ZRo

第一章「出会い」

君に出会った、あの夏。
君から目が離れないのは、どうしてだろう?

2:うさ子:2015/07/21(火) 18:54 ID:ZRo

パッとしない曇り空を眺めながら、白井羽菜はため息をついた。
それでも何とか椅子から立ち上がり、教卓の上に積まれた山盛りのプリントを持ち上げる。
「羽菜〜」
職員室に行くため、廊下を歩いていると、後ろから声がした。
振り返ると、そこには友達の新菜が。
「羽菜、それ、持ってくトコ?」
「うん」
「じゃあ、うちも手伝うよ」
「ありがと」
新菜に手伝ってもらいながら、職員室の担任の机に置いておく。
「ありがとね、新菜」
「いいって」
新菜と適当におしゃべりをしながら、鞄を取りに、教室へ。
無人だと思っていた教室のドアを開けると、真ん中の席に男子が座っていた。
その時、ふと羽菜は、違和感に包まれる。
あれ、その席に生徒なんていたっけ?
不思議に思ったが、勇気を出して話しかけてみる。
「何してるの?」
「…………」
「ねぇ?」
「…………………」
「ねぇってば!」
肩を後ろからとんっと軽くたたくと、その男子はゆっくりと振り返った。
そして、目が合う。
ゾクッとするほど、冷たい瞳―。
その瞳に、自分の姿が映されている。
「あ……な、何してるの?」
「……帰る」
その男子は羽菜を押しのけ、教室を出て行った。
何?なんなの……?
あの瞳を思い出すと、寒気が走る。
「羽菜、帰るよ?」
聞きなれた声に、ハッとして顔を上げると、目の前には新菜が。
「に、にぃな……」
「ん?」
あの事を話してもいいものなのか迷ったが、羽菜は少し聞いてみることにした。
「ねぇ、新菜。今さ、ここに……男の子居なかった?」
「男の子?」
「うん。髪が茶髪の……」
「何言ってんの?羽菜とうちしか居なかったじゃん」
冷たい汗が流れ落ちる。
それでも羽菜は、無理して口角を上げて笑顔を作った。
「うん……そっか……」
「羽菜?帰ろうよ」
「うん」
帰り際に、振り返って見てみたが、何だかあの机だけが黒いオーラをまとっている気がして、羽菜はぶるりと体を震わせた。

3:うさ子:2015/07/22(水) 13:44 ID:ZRo

その夜、羽菜は夢を見た。
『羽菜……』
背の高い男の人が、羽菜のセミロングの髪の毛を触ってくる。
そして羽菜は、なぜだか涙を流し
『ずっと、ずっと待ってる……』
とつぶやくようにしていった。
男の人は軽く微笑み
『ありがとう』
それだけを言い残して去って行った。

4:うさ子:2015/07/22(水) 19:03 ID:ZRo

『いつまでも待ってるから……』
……―チチ……
そこで、羽菜は目が覚めた。
体を起こすと、なぜだか目のあたりがひりひりと乾いていることに気付いた。
そっと右手で触ってみると、カサッとしていて、それが自分の涙の痕だという事に気付くのに、少しだけ時間がかかった。
「何で私、泣いて……」
窓ガラスに映った自分の目はやはり赤く充血している。
羽菜は洗面所でさっと顔と歯を磨き、制服に着替えた。
白いワイシャツを着るときに、白がやけにさみしく見えた。
「お姉ちゃん、朝ごはんは?」
急に背後から声をかけられ、ビクッとしたが、ぎこちなくうなずいた。
「あれ、お姉ちゃん、目ぇ赤くない?」
妹の日花里にもっともなことを言われ、一瞬なんて言えばいいものか迷った。
「大丈夫だよ、日花里……」
「そう?」
何だか胸がもやもやする。
それは、朝ごはんを食べてるときも、授業を受けているときも変わらなかった。
羽菜の得意な生物の授業でも、手を上げることなく、ただただ、板書をノートに書き写しているだけ。
「ねぇ、羽菜。なんか今日元気なくない?」
新菜が心配して声をかけてきたが、羽菜は呆然とお弁当箱の中の白飯をもてあそんでいた。
「羽菜?」
「ねぇ、新菜……」
「ん?」
「新菜はさ、変な夢って見たことある?」
「夢?」
「うん……。あのね―」
羽菜が今日の夢の内容を話し出すと、新菜は瞳を輝かせてパンッと手を打った。
「それはさ、もちろん、恋だよ!恋!!」
「恋??」
羽菜は思い出した。
告白されたことは2回くらいあったが、男子を好きになったことは一度もなかった。
「そうよ、きっとね、それはね、運命なのよっ!」
新菜は結構なメルヘン脳だ。
だから、織田信長と、紫式部が付き合っていただとか……。
わけのわからないことを言ったりしている。
その割には社会の成績は平均的だが……。
「運命か……」

5:うさ子:2015/07/23(木) 19:04 ID:ZRo

羽菜は新菜に聞こえないようにそっとつぶやいた。

そのまま授業を終え、まっすぐに家に帰った羽菜は、スマホを親指で操作しながら、ある占いツールへときていた。
それは、帰り際に新菜が羽菜に薦めた占いだった
「えーっと、何々……」
なぜが説明があったので、それを適当に読んでいると、ある文章が目に留まった。
それは……。
『この占いは、あなたを確実に導く占いです。しかし、使い方を間違えてしまうと、その代償として、あなたの一番大切なものをいただきます。なお、これを破ってしまったうえでのトラブルは、当社では一切責任を負いかねませんので、ご理解ください』
その下には、ルールと思われるものが長々と記載されていた。
「っと……。『この占いは、100%確実に当たります。この占いを一度でも使うと、3日に一度は使っていただきます。それから……』あー……なんかめんどくさいな。まぁ、いいや」
羽菜はツツーと指を滑らせ、占いを始めることにした。
すると、ポンッと何か出てきた。
『本当に、この占いをご使用になりますか?』
何だろう、と羽菜は思った。
たかが占いで、そんなにすることないのに。
そう、たかが占いで―……。
羽菜は「はい」を押した。
すると、パッと画面が明るくなり、カラフルなアニマルのイラストが出てきた。
「わっ、可愛いじゃん」
羽菜は記載欄に自分の生年月日と正座を入れてタップする。


書き込む 最新10 サイトマップ