彼岸花

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1:柚希:2015/07/31(金) 03:15 ID:8js

 ―それは再会を意味する花。


 彼岸花は私達の道標。

2:柚希:2015/07/31(金) 03:44 ID:E5E



 世にも珍しい白銀の髪を持つその少女は佐渡弓という。
 小さな顔に、水晶のような紫色の瞳、一際白くてきめ細やかな肌。誰の目も引くその容姿のせいで、弓はいつも周りからの視線を浴びていた。
 こんな日々が、どうにかならないだろうか。


 弓は彼岸へ行こうとした。


 彼女の手首は毎日ナイフで傷つけられ、毒を飲んでみたりした。
 しかし、いくらやっても自分は変われない。そうした絶望の日々が続いていた。


   *


 ある日、弓は祖父母の家に行った。そこは離島で人の少ない所だった。
 弓は散歩する事にした。
 歩いていく中で弓は思った。もしかしたらここで自殺できるかもしれない。ひっそり、誰にも見られずに消える事ができるかもしれない、と。
 そう考えている間に島の海岸に辿り着いた。


 そこは一面彼岸花が咲いていた。自分の最期に最適な場所だった。
 すると、そこに人らしきものが立っていた。
 少しずつ歩いて近づいてみると、人がはっきり見えてきた。
 真っ直ぐな黒髪をなびかせて、両手に彼岸花を一輪持つ少年で、人らしくない不思議な雰囲気を漂わせていた。すると、少年は弓に気が付いたようで、後ろへ振り向いて、微笑んだ。




 その笑みを、私は知っていた。

3:柚希:2015/07/31(金) 04:20 ID:EKI



 彼はよく知っている人の顔だった。ただ、誰だか思い出せない。
 身近にいる人の、顔だった。


「久しぶり、だね」


 少年が喋った。
 彼もまた、弓を知っているかのようだった。


「ひ、久しぶり」


 少年の口に合わせてみた。彼の事を知っている訳ではない。これをさっさと切り抜けたいのだが、もしかしたら間違ったかもしれない。


「君が僕の事を知っているなんて、変だよ」
「!?」


 何でも知っている様な口調で少年は話す。彼は穏やかな声色でじっと弓を見つめる。


「何で君がここにいるのさ、君はここにいてはいけない」
「それは、間違ってるわ。私はここに来たくて歩いてきたの。邪魔しないで」
「君は何も知らない」


 少年は注意するが、弓は大股で崖の方へ歩いていく。すると、赤い彼岸花の中で一つだけ白く光る彼岸花を見つけた。
 しかし、そんな事も構わず弓は崖の方へ進む。

 そして、弓は崖を思い切り蹴飛ばして空中へ身を投げた。


 次の瞬間、弓は彼岸花の中で目を覚ました。赤い花の中で頭上に一つだけ白い彼岸花があった。


「だから言ったのに」


 そこには先程いた少年もいた。つまり、ここはさっきいた場所。


「私、飛び降りたのに!!」


 身体には傷一つついておらず、左胸に手を当てても、心臓の鼓動が伝わる。
 すると、少年は口を開いた。


「君は、死ねなくなったんだ。その白い彼岸花を見た瞬間ね。だから言ったじゃないか、ここにいたら駄目だとね」


 急に非科学的な事を言い始めた少年が、弓は怖くなった。


「あなたは誰」
「僕?僕は佐渡紘(コウ)」
「佐渡……、紘……」


 それは昔祖父母の家で見たアルバムにいた少年だった。そう、その名前は死んだ自分の父の名だった。


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