悲しいくらい愛してた。

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1:ガトーショコラ:2015/12/05(土) 19:53 ID:ZRo

中二の冬。
あたし、手島姫子は病院へと急いでいた。
病院の廊下を速足で進みながら205号室の扉を開ける。

「瞬」

あたしが呼ぶと、彼は嬉しそうな顔をする。

「姫子。寒かった?」
「ううん、今日はそうでもなかったよ」

答えながら、あたしはビニール袋に入ったりんごを彼に手渡す。
彼はそれを受け取り、ありがとうと言った。

「瞬。具合はどう……?」

あたしは、そっと聞く。
彼は笑いながら平気、と答えた。

彼……三宮瞬は1年前から重い病気でずっと入院している。
病気があるとわかって以来、瞬は、この病室からはほとんどでなくなった。

2:ガトーショコラ:2015/12/06(日) 13:12 ID:ZRo

「急性リンパ性白血病」

これが、瞬を苦しめている病気。
生存率は65%から85%と言われている。

あたしは、初めてこれを聞いたときは何も感じられなかった。

一瞬えっ?と思った。
その次はまるで夢でも見ているような感覚に襲われていて。
どうやって家に帰ったかもわからなかった。

3:ガトーショコラ:2015/12/06(日) 13:18 ID:ZRo

今は生存率の85%になるように祈るだけ。

「姫子」

名前を呼ばれ、あたしは顔を上げる。
目があった。

「……ねぇ、姫子。僕さ、最近体調良いから遊園地いかない?」

それは、突然の誘いだった。

「えっ?でも、大丈夫なの?」

あたしが少しだけ戸惑いを見せると、彼はまた笑った。


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