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1:エル:2016/03/24(木) 19:32 ID:/sE

「私は―――、よろしくおねがいするわ!」

「ギャハハハハ!アンタやっぱ最高!」

「やめてくださいよぉ」

「僕に写真撮らせてよ」

「なにやってるの、ほら行くわよ」

非日常な毎日

でも、幸せだった日々
いつから壊れた?教えてくれよ
ナズナ…―――――――――――――――――――

2:エル:2016/03/24(木) 19:33 ID:/sE

ずっと暖めてた話でつ

3:エル:2016/03/26(土) 18:08 ID:0/A

第1話【はじめまして】

「えっと…ここは?」
昨日自分の部屋で寝ていたはずだった。
のに、見たことのない広い草原に立っていたのだ。
更に言えば、空には見たこともない異形の鳥が何羽か飛んでおり
ここが現実世界ではないことを明らかにしていた。
「ギィィィ!」
突然現れたのは、毛玉のような体に鋭い鎌のような腕を持ち
十字のような口に、鋭い牙がびっしりと生えているナニカだった。
シュッ
そのナニカが鎌のような腕を振るうと、近くに立っていた木が倒れた。
これはヤバイと本能が確信するが、体が動かない。
そしてナニカの腕が自分に向けられた。
このままではやられる、と思い咄嗟に目をつぶってしまった。
「旅人、助けに来たわ!」
「いまならオマケに俺さまもいまーす!」
二人の声がすると、痛みのかわりになにかが顔に付着した感触がした。
恐る恐る目を開けると、そこには一人の女性と、なんか髪が長い男性が立っていた。
ナニカは潰れており、原型を留めていない
さらに、体液が大量に飛び散っており服にも付着していた。
「自己紹介が遅れたわね、私はナズナ・トレール、バルトリク帝国軍の騎士よ」
女性の方が深々と頭を下げる。
「ワテクシはティステース・エンゲージだぜ!ま、よろしく〜♪」
男性の方に、頭を何度か軽く叩かれた。
「お、俺は…萩風輝…よろしく…」
コミュ障みたいな自己紹介になってしまった。
そう思うと、かあっと顔が赤くなり恥ずかしくなった。
「ハギカゼ…?聞かない名ね、隣国のサラナリア帝国の者かしら…」
「ナズナは鈍いな〜こういう奴は大抵別世界の奴だって」
ティステースが笑いながらナズナへちょっかいをかけると
輝の顔が一気に青ざめていった。
別世界、そうつまりこれは現実ではあるが、世界が違うということ
もしかしたらこの世界で死んでしまえば、現実では心臓麻痺かなにかで死ぬか、行方不明となるかの二つだ。
ナズナは青ざめる輝の肩へ手をおくと、優しく肩を叩いた。
「大丈夫、私が守ってあげるから…それにティステースもいる」
ナズナに肩を叩かれ、輝は徐々に落ち着きを取り戻した。
乱れていた呼吸も、安定してきた。
「さ、行くわよ…なにか手がかりがないか探しに!」
ナズナは輝の手を引っ張ると、草原の中を駆け出した。
「お前ら俺様を置いてくなあ!」
そのあとを、ティステースが追いかけていった。

「はじめまして、別世界」


文才のなさに泣きたくなる…(´・ω・`)

4:エルチキ:2016/04/21(木) 22:14 ID:cJY

第二話【枯草の町】

「ここからだと、バチリスビューが近いわね」
「まああそこは一番安全な町で有名だからな」
ナズナとティステースが古ぼけた地図を広げると
みたこともない言葉で、地名が記されていた。
しかし法則性があるので、頑張れば読めそうでもある。
「さっ!バチリスビューにいこうぜー!」
ティステースは輝の肩をガッと掴むと、そのまま肩組をした。
「ほんと、バカは元気ね」
ナズナもくすっと笑うと、バチリスビューへ向かった。

バチリスビューの入り口は、荒廃化しており
看板の木材も、足元の草さえも、すべての植物が枯れ果てていた。
「どういうことだこりゃあ!」
突然ティステースが大声で叫ぶ。
気が付けば、周りを大量の農民に囲まれていた
確かに、安全な村として有名なほど厳重な警備。
例え町に魔物が入ろうとしても、農民たちの鍬などでやられるだけだ。
「我が名はナズナ・トレーク、バルトリク帝国軍女騎士長である」
ナズナがぎろりと農民達を睨み付けると、農民たちはぶるっと身震いをする。
これが女性の纏う覇気というものなのだろうか、こちらも全身に鳥肌が立つ。
しばらくすると、農民達をくぐり抜け一人の少女が現れた。
「えっと…バチリスビューへようこそ…わたしは枯草ユミナです…」
ユミナと名乗る少女は、ぺこりとお辞儀をすると宿へ案内しようと、先頭に立つ。
まだ周囲の目が痛いが、しばらくすればそれにも慣れた。

5:エルチキ:2016/04/21(木) 22:34 ID:cJY

感想などご自由にどうぞ

6:エルチキ:2016/04/30(土) 23:31 ID:sag

第三話【枯草の少女】

「ここがこの村の宿です…」
ユミナがおどおどしながら、村唯一の大きな宿へ案内をする。
看板の木は腐りつつあり、字がよめない。
「礼を言うわ、さ、泊まりましょ」
ナズナがためらいなく宿へ入って行く。
宿の中は意外にも綺麗で、高級感の溢れる内装だ。
ユミナはではこれで、と一言言うとどこかへいってしまった。

夜、星のかがやく神秘的な夜。
紅い月が照り映え、よりいっそう神秘的な空間を作り出している。
宿にいるだけでは退屈なので、輝は外に出ることにした。
外は、恐ろしくも美しい暗がりに、村の灯りがぼんやりと光っており
見るものすべてを魅了するような美しさがある。
その神秘的な道を歩いていると、花壇の前に立っているユミナを見つけた。
こんな夜遅くに女一人とは、なんて危ないのだろうか
治安の悪い村でなくてよかった。とまで思うほどだ。
ユミナが、小型の機械から何かの液体を花へ向けて放つと
その液体に触れた花や草がみるみるうちに枯れてゆく。
小型の機械は、もといた世界でもよく見た
除草剤を撒くものだ。
「おい!なにやってんだよ!」
思わずユミナにつかみかかりそうになるが、こらえる。
しかしユミナはえ、え、と困惑しており、情けない目から大粒の涙がうっすらとみえる。
「う、うひゃああ!なんで、なんで起こるんですかあ!?」
ユミナはへなへなと床に手をつくと、静かにすすり泣いた。

7:手羽先 hoge:2016/05/02(月) 18:54 ID:oZM

てす

8:翼の生えた手羽先◆iE:2016/05/03(火) 21:29 ID:/sE

読んでくれてる人なんていないけど!かきたい←アドバイスもほしいのです…
第四話【枯草ユミナの事情】

翌朝。輝は、まだ眠い目をこすりながら備え付けの歯ブラシで歯を磨く。
昨日、あれから一睡もできなかった。

普段のユミナからは、悪意を全く感じない。
なのに、除草剤でこの村の草花を枯らしているだなんて
その姿は、狂ったように笑いながらまるで死者を貪るゾンビのごとく
直視できないほど醜かった。

「さ、次はここ、ソルウィーフへ行くわよ」
ナズナが部屋へ入ってきて、今は地図を広げながら次いく街を決めていた。
相変わらず色褪せてボロボロな地図は、文字があまり読めない。
「ソルウィーフに行くには荒野、ヴァンリースを抜けないとな」
ティステースが長い髪を弄りながら話す、男だというのに
妙な色気というか、女子力さえ感じてしまう。
「確か噂だと、ヴァンリースに凶暴な魔物達が出たとかなんとか」
ティステースがへぇ、と聞き流すと、いつの間にかいたユミナが震えだした。

「…わたし、そこへ行ってきます。村の人にはそう伝えてください」
ユミナは部屋の戸を乱暴に閉めると、急ぎ足で宿を出ていった。
遠くで村人たちの声が聞こえたが、うまく聞き取れなかった。

「なーこれなんだ?」
ティステースが小型の機械を持ち上げる。
それは、紛れもなくユミナの使っていた除草剤機だった。
機械の側面には、魔物にも有効。と書いてあり、それがユミナの武器であることを示していた。

「あ、指溶けた」
なにを思ったか、ティステースは除草剤に指を突っ込んでいた。
あわてて処置をしようとしたが、ナズナに止められる。
しばらくすると溶けた指は、ぶくぶくと音をたてて修復していったのだ。
「ティステースは不老不死なのよ…バルトレク帝国では違反だけどね」
ナズナはぎろりとティステースを睨み付けると、ティステースはおお怖えと笑った。

「俺様がいってくるぜい!」
ティステースはそういうと、機械を持ったまま外へ行ってしまった。
ナズナと二人きり。この雰囲気が一番殺伐としており、輝はできるだけこの雰囲気になるのは避けたかった。
「ユミナって子はね…ソルウィーフでも腕のたつ子だったみたいなの。それが認められて、今じゃこんな村にいるらしいわ…私は、家族や友人と離れたくないし、できれば戦いたくもない。でも、勝手に決められてしまう。この現実をどうにかしたいと思っているわ」
ナズナの表情が一瞬曇ったかのように見えたが、次の瞬間には微笑んでいたので
なんだ、気のせいか。と勝手に思いこんでいた。

「じゃ、私たちは準備でもしておきましょ」
ナズナは持っていた大きめの鞄に、地図とカンテラを乱暴に詰めると
壁に立て掛けていた剣を懐に忍び込ませた。
輝も自室から私物や、ティステースの所有物(やけに少なかったが)をナズナから貰った鞄につめると
ナズナの部屋へと向かっていった。

9:手羽先:2016/05/08(日) 20:11 ID:7pk

第五話【狂気の草枯少女】

「はぁっはぁっ…」
ユミナは決して速いとはいえないものの、森のなかを走っていた。
草陰や木の上から涌き出てくる魔物たちを振り払いながら
荒野へと続く森の道を、一心不乱に走り続けるばかり。
そんなとき、突き出ていた巨大な樹の根に躓きどしんとおとをたてて転んでしまった。

ふと後ろを見ると、蜥蜴と蝙蝠が混ざったような魔物と、蛇のように地を這う魚の魔物が、じゅるりと舌なめずりをしている。
あわてていつもの癖で、普段とから肩にかけている小型の除草剤機を手に取ろうとする。
が、しかし
「ないっ…!?」

ユミナは先程の宿に武器を置きっぱなしにしていたのを思いだし、ぎりっと歯軋りをする。
そして死を覚悟すると、ゆっくりと目を閉じ涙を溢した。
(ごめんなさい、皆さん…私は、ここで死ぬようです)

しかし、いつまで経ってもなにも起きない。
ふざけている?殺すしか脳のない魔物どもが?
閉じた目を開くと、そこにはなにかの体液がついたメスを手にした
ティステースが蜥蜴蝙蝠を握りしめながら立っている姿が見える。

「白衣の王子様参上〜…なんだよ、馬付きがよかったか?」
わけもわからず、目から涙が溢れ出る。
ティステースはついでに、とユミナ愛用の除草剤機をゴトッと落とした。
「これがないと戦えないんだろ?」

ユミナは静かに頷くと、除草剤機をがっしりと手に取り
噴射口と思われる部分を蛇魚に向けると、ゆっくりと引き金を引いた。
ぷしゅっと間の抜けた音とともに、蛇魚に除草剤が降り注ぐ。
「ぴぎっ?…グギャアアアア!!」

蛇魚は突然びたんびたんと体を地に打ち付け始め、口から泡をはく。
しばらくすると、蛇魚はびくんと唸り白目を剥くと、息絶えた。
「ハハハハッ!魔物如きが私に手を!出すからいけないんだよぉ!」
ユミナはケラケラと高笑いをすると、除草剤を辺り一面に吹き掛ける。

木は一瞬で枯れ、草花すらも全て枯れ果ててしまった。
「なんてクレイジーな奴なんだ」
ティステースのこの言葉すら聞こえないくらいにユミナは笑い狂っていた。

10:手羽先◆lQ:2016/05/10(火) 21:40 ID:oZM

第6話【つむじ風と狂婦人】

ティステースはなにかに気が付くと、ユミナをガバッと引き寄せた。
「お、おいっ!?いきなり何…――――――――」
刹那、先程までユミナのいた場所に大剣が突き刺さる。
ティステースが気がつくのが少しでも遅かったら―――
そう思うだけで、背筋が凍った。

さらに大剣の飛んできた方角から、がさ、がささ、という草を掻き分ける音が聞こえてくる。
まだゆっくりだが、確実にこちらに来ている。それがさらに恐怖を煽った。
「ひゃ〜っ!」

突然その方角から、金髪のサイドテールで、背から烏のような黒い翼を持つ少女が
逃げるようにしてこちらへ飛んできた。
少女は、ティステースたちに気が付くとぴたっと止まり来た方角へ向けて小さな竜巻を撃った。
「君達!ここは危ないからね!最近へんな奴がうろうろして――――――

突然がくんっと力が入らなくなる。疲れ?いや、これは…
自分よりもはるかに強大な魔力の影響だ。
冷や汗がたらりと滴り、鼓動が激しくなるのが感じ取れる。
「へんな奴だなんて―――――――失礼しちゃうわ!」

そこに現れたのは、青と銀の混ざったような色をした長髪の女性だった。
女性は頭に帽子を被っており、クリスタルでできた骸骨が装飾品として付いている。
成人女性には不似合いな、可愛らしいワンピースを着た美しい女性。
ユミナは、その美しさに恐怖すら覚えてしまった。

「私はミューダ・バトルジーナ、よろしくおねがいするわ!」
そういうとミューダは、地面に突き刺さった大剣を引き抜くとぺろっと舌なめずりをする。
「さあ!示してくれないかしら?あなたが弱者と強者、どちらかをねっ!」
大剣を構え、ダッと走ってくるミューダ。大剣は重いはずなのに彼女はなぜか片手で持っていた。

ユミナを庇うようにティステースが前に出て、大剣を受け止める。
ミューダは、へぇと呟くと目を輝かせた。
「あなたは闘わないのね?―――お姫さま?」
その言葉が気に食わなかったのか、ユミナは目付きを変え、銃口を突き付ける。
「私は、守られてるだけのお姫さまなんかじゃないっ!」

プシューッと除草剤を散撒かれるのは厄介。そう考えたミューダはユミナの腕をきりつけた。
「えっ?」
赤い、紅い血が空を舞う。そう、ユミナの腕はきりつけられた際に切り落とされてしまったのだ。
こんな手じゃ、戦うなんてできない。

力が抜けてがくりと、ユミナは地に膝をつく。
嗚呼、私はいまなんて顔をしているんだろう。
涙でぐしゃぐしゃになった顔を拭おうとするが、利き手を切り落とされたのでうまく拭えない。
「…ねぇ君、君の仲間も満身創痍間近だし…助けてあげよっか?」

突然少女がユミナの肩をさすりながらそう呟いた。
ユミナがティステースを見たときには、ミューダにサンドバッグにされている姿がうつった。
「お願いします…わたしはいいから――――あの人、ティステースさんを助けてくださいっ…!」
少女はこくりと頷くと、ぴゅーと指笛を吹いた。

「何か、ご用ですか?」
次の瞬間には、一人の黒髪に、少女と同じ黒い翼を持つ青年が立っていた。

11:エル◆lQ:2016/05/16(月) 07:16 ID:G8A

第7話【風の使い手、鴉】

「鴉、あいつ倒してくんないかなあ?」
こがねはミューダを指差すと、鴉と呼ばれた青年はこくりと頷いた。
「了解です」
鴉が懐から羽根でできた扇を取り出すと同時に、こがねは鴉の背にぴったりと張り付いた。
ミューダはというと、まだティステースをサンドバッグにしていて二人に気が付いていないようだ。
その隙に二人は宙へ舞い上がり、鴉は扇を構えた。
「【花鳥風月】…風よ、我らの敵を払うがよい!」
鴉が扇を天高く掲げた瞬間に、ミューダは竜巻に呑まれた。

「あら?」
鬼の居ぬ間にと、ユミナはティステースを回収した。
不老不死故に傷の治りが早いが、サンドバッグは無理がある。
ティステースは目を回して、ぐったりとしていた。

「鴉、お利口だねぇ」
こがねが鴉の背に張り付いたまま、ぼそりと呟いた。
鴉は少し驚いたが、ふっと微笑んだ。
しかし―――――――――――――――

「アハハハハハ!こんなので私を倒したつもりぃ?ぬるすぎる!ぬるすぎるわあああああ!!」
突如竜巻が真っ二つに割れ、中から無傷のミューダが現れる。
嘘だといいたげな鴉を見ると、ミューダは鴉めがけて
帽子についた骸骨を投げつけた。

「鴉避けるよ!」
こがねが鴉の肩をたたいたが、鴉はいっこうに動こうとしない。
「アハハハハハ!いい選択ねぇ?その骸骨を避けたら、真っ暗闇に閉じ込める予定だったのに!」
ミューダはあははと高笑いをすると、今度は大剣を構えた。
鴉はクリスタルでできた骸骨をまともに喰らったので、よろよろとしている。
そんな鴉が心配になったこがねは、鴉を地めがけて蹴り落とした。

「お前程度なら、僕だけで充分だし」
ミューダはこがねをじっと見つめると、また高笑いをした。
まるでをおちょくるように、滑稽に笑うミューダに、ユミナは少し苛ついた。
そんな時だった
「げほ!…あーティステースさま復活したぜ…」
ティステースが意識を取り戻したのだ。
ユミナはつい、ティステースに抱きついてしまった。

「心配、したんですよ!」
ティステースは悪い悪いと笑いながら、ゆっくりと立ち上がった。
「さーて、あのキチガイ女、ぶっ殺すといきますか!」
ユミナはぎょっとして、ティステースを止めようと、足をぎゅっと掴む。
バランスを崩したティステースは、ユミナの上に倒れてしまった。
「あっちだって殺す気だったし、構わないだろ別に」
ティステースは不機嫌そうに呟くと、ちらりとこがねを見た。

「ひえ〜…怖いー超人怖いわー…」
草陰では、鴉が涙目でこがねをみていた。

12:エル◆lQ:2016/05/17(火) 20:02 ID:sag

第8話 【超人VS鴉天狗】

「あんたが私を倒すぅ?鴉天狗風情がぁ?アハハハハハ!面白い!面白いわあ!!」
ミューダがゲラゲラと笑ったと同時に、こがねは翼から羽根をとばした。
速度が異常に速く、ミューダの前髪を掠め取った。
「まだまだ…!!」
今度は急降下をし、ミューダに体当たりをくりだす。
突然のことで動けなかったこともあり、ミューダはまともに喰らってしまった。
速度が異常に速かったせいか、遠くの木まで飛んでいっている。
「ムカつく!ムカつくわ!あはははは!貴方は殺してあげるわ!」
ミューダはわらいながらも怒りの表情をみせると、また帽子についた骸骨を投げつけた。
それをひらりとかわすと、こがねはまた急降下をしはじめる。
「同じ手を何度もくらうとで…も?」
突然こがねの視界に赤が飛び散る。
それは赤く綺麗で紛れもなく、ミューダの血であることがわかった。
ミューダの背後には、ティステースがメスを構えていた。
「時間稼ぎさーんきゅ」
ティステースはミューダにさしたメスを引き抜くと、血を振り落とした。
「…あはははは!まさか、さっきのでやったとでも!思ってたのかしらああ!?」
突然倒れたはずのミューダが起き上がり、ゲラゲラと下品に高笑いをする。
こがねはむっとすると、戦闘態勢をとった。
「なんてね…なかなか効いたわよ、貴方の攻撃」
ミューダは降参と言うように、ひらひらと手を振った。

13:エル◆lQ:2016/05/19(木) 20:13 ID:7Z2

第9話【削除人の存在】

「ところで削除人を知らないかしら?私はそいつと話をしたいのだけど」
ミューダがユミナ怪我を治療しながらそう訪ねる。
しかし、ユミナもティステースも首をかしげるだけだ。
ミューダはんもーっとため息混じりの言葉を呟くと、帽子を深く被った。

「最近、また新しい奴がやってきたみたいだからね…削除人は、もといた世界での存在を削除して此処につれてきてるって訳よ」
ふとティステースの脳内に輝の姿がよぎる。
もしかして、あいつも。そう考えると、ますます削除人への興味が深まった。
「残念だけど、今削除人は姿を変えてるみたいなのよ!あはははは!ムカつくわ!この超人、ミューダを待たせるだなんて!」

ミューダはけらけらと高笑いをし、こほんと咳き込む。
「削除人は姿と記憶を書き換えれるのよ!例えば削除人が幼馴染みになってたりとかね」
それを聞いたとたんに、ある二人はぞくっと背筋が凍るようになった。
もしかして、あの人も?という疑心暗鬼状態に、困惑しているのである。
しかし、ティステースはへぇ、と一言だけ呟くと、にやにや笑いだした。

「お前が削除人ってことはないのかよぉ?なぁ!ミューダとか言う奴!」
ミューダの眉間にしわがよると、彼女は大剣を構えた。
「私の名を呼ぶときは、さまか、さんか、お姉様をつけなさい!」
ティステースは大剣を素通りすると、ミューダの帽子を奪いとった。
わたふたと混乱するミューダをよそに、ティステースは骸骨に手を伸ばした。

骸骨はクリスタルでできているが、まだこの世界にそんな技術はない。
どう言うことだろうかと、頭を抱えているとようやく落ち着いたミューダが骸骨を奪い返した。
「この骸骨は拾い物、存在が摩訶不思議だから気に入っているのよ!」
ミューダはどやとティステースを見たが、ティステースはユミナの方を見ていて
完全に骸骨への興味をなくしていた。

「む、無視しないで!私は攻めるのは好きだけど、攻められるのと無視されるのはいやなのよ!」
ミューダがぽかぽかとティステースを叩くが、簡単に払い除けられてしまった。
どしんと木の幹に体を打ち付け、ミューダは涙目になりながら
ティステースの気を引こうと奮闘するのだった。

14:エル◆lQ:2016/05/20(金) 06:56 ID:avU

改行アレルギーなのかもしれん

第10話【ナズナと鴉】

ナズナと輝は、ようやく準備が終わり、ティステース達のいる森の中にいた。
森のなかは魔物の死体であふれていて、あまりいい気分ではない。
時折ベチャ、ベチャと死体を踏んづけてしまうこともあった。

「死体だらけね…どれも大剣かなにかで殺られたみたいだわ」

ちらと魔物の死体を見ると、どの死体も大剣のようなもので斬りつけられた痕がある。
しかし、先に進むにつれて死体の量は減っていき、溶けたようにして死んだ死体を最後に
全く見かけなくなった。

「なにこれ、鴉天狗の羽根?」

ふとナズナがその場に落ちていた羽根を拾い上げる。
その羽根は黒く、美しい鴉のような羽根で、不覚にも綺麗だと思ってしまうほど。
その次の瞬間、突然草影からガサガサと言う葉と葉がこすれあう音がした。
怯える輝の前にたつようにして、ナズナは片手剣を構えた。

「あー超人怖えー…あん?」

草影から出てきたのは鴉天狗の青年、鴉だった。
鴉はナズナをみた途端に真顔になり、小規模の竜巻を起こすと、ナズナの真横まで瞬間移動をした。

「誰かと思えば女騎士じゃーん、嫌いなんだよねぇ女騎士」

わざわざ騎士であるナズナの真横に瞬間移動をするだなんて、ふざけているにも程がある。
ナズナはぶんと剣を振るったが、鴉はまたもや真横まで瞬間移動をした。

「女騎士の癖にムカつくんだよね〜!騎士団団長なんかやっちゃってさ!」
「貴様…!!いい加減にしないか!!」
「…君さ、騎士団の嫌われものでしょ?」

突然ナズナの動きがぴたっと止まる。
額には冷や汗をかいており、心なしか鼓動も早い。
ナズナはどさっと地に足をつくと、ガタガタと震えだした。

「やめて…お願いだから…やめてっ…!!」

鴉はにやりとすると、ナズナの髪をそっといじる。
その途端、ナズナはぶるっと身震いをした。

「まーだ治りかけだもんねぇ?男性恐怖症」
「おい!お前さっきからなにいって…」
「あーもうるさいなあ…こういうこと」

鴉がナズナの背に手をおくと、ナズナはひいっと小さい悲鳴をあげた。
輝は、なにがどうなっているかわからなくなってきた。

「こいつ男性恐怖症持ち〜少しは治ってきたけど、さわられたらダメみたい!ははっ!」

次の瞬間、べしっという乾いた音が響きわたった。
それは、輝が鴉に平手打ちをした音だった。

「てめぇ…ふざけやがって」
「…は?」

輝は鴉へ向けてもう一発喰らわせようとしたが、みぞおちを蹴られてしまい
阻止されてしまう。

「ウザいからさあ…君達まとめてやったげるよっ!」

鴉は宙へ舞い上がると、扇に力をため始めた。

「開放!」

鴉がそう叫ぶと、紅い血があたりに飛び散った。

15:エル◆lQ:2016/05/30(月) 20:56 ID:rzY

第11話【こんにちは奇跡】

「嘘…でしょ…?」

血を流していたのは鴉の方で、鴉は片翼がもげていた。
片翼の付け根からは赤黒い血がダバダバと溢れており、羽根がところどころ抜けている。

「奇跡の救世主、光の騎士…まさか、お前がっ…!?」

片翼を抑えながらそう叫ぶと、今度は鴉の腕が飛んだ。
輝はただ呆然と鴉を見つめるしかなかった。
しばらくすると、鴉は倒れたまま動かなくなった。

「まっーたくもー…世話焼かせるんだから」

ふわりと空から舞い降りてきたのは、金髪の少女こがねだった。
こがねは鴉を抱き抱えると、輝の方をちらりと見た。

「ねーねー、鴉死んでるの?」

ふとこがねを見ると、心なしか嬉しそうにしている。

「僕ねー、死体が大好きなの。まあ死体というよりは、死体を写真にとるのが好きなんだあ」

こがねがふふ。と笑うと、輝はありえないと言いたげな顔をする。
ここにいるものたちは狂ってる者しかいないのだろうか。
そう考えていると、ナズナが立ち上がった。

「…失せろ」

「人間風情がなんのつもり?まあ、いいけど」

ナズナがぎろりと睨み付けると、こがねは鴉をつれて飛んでいこうとする。

「あ、君達の仲間の場所までつれてってあげる」

こがねはそう言うと、二人をつれて森の奥へ進んだ。

16:エルチキは諏訪子様LOVE◆lQ:2016/06/18(土) 15:52 ID:oZM

第12話 【死の荒野】

「おいテメーらおっせえぞ!」

ティステースが苛立ちすら感じる怒鳴り声をあげる。
というか、ユミナをさがしに来たのはあちら側であり、どちらかというとこっちの方が迷惑しているはずだ。

「あらぁ?見ない顔ねぇ〜?削除人?」

ミューダが小馬鹿にするように輝をちらりと見た。
輝は何をいっているんだこいつは。というような目で、ミューダを見つめる。

「ま、いいわ…私様はミューダ・バトルジーナ…地上最強の超人よ」

「最強っていったら俺だろ」

ミューダとティステースは互いににらみ合い、どちらが最強かという低レベルの喧嘩を始めた。
ユミナの目は死んでいて、二人を蔑むような目であった。
数分後、二人は血まみれになっており両者とも倒れていた。
ミューダは超人特有の再生力を、ティステースは不老不死ゆえの再生力を使いなんとか死なずにいた。

「さ、ヴァンリースへいくわよ」

ナズナは二人を引きずりながら森を抜けると、突然足を止めた。
ふとユミナの呼吸が荒くなり、ユミナは絶望しきった顔をする。

荒野、ヴァンリースは
人の死体で埋め尽くされており、見たこともないような化け物で溢れかえっていた。
ソルウィーフへ行くための道すらなく、その光景は絶望を表していた。
たとえソルウィーフへ行ったとしても、ソルウィーフの街はなく化け物で溢れかえっているだけであろう。
ユミナはがっくり膝をつくと、声にならない声をあげて泣いた。


希望、そんなものはない。
あるとしたら、削除人の存在だけだろう。
でも、本当にあるなら?

「皆様、この場はこの元削除人にして超人、ミューダがお納めいたしましょうか?」

ミューダは大剣を握ると勢いよく跳躍し、化け物1体を切り殺した。

「安心なさいな、あんたたちは私様が守ってあげるわ」

輝たちは、ミューダの後を追いかけるようにしてついていくことにした。

17:エルチキは諏訪子様LOVE◆lQ:2016/08/09(火) 08:10

ドードーンパッ!
第13話【ウェンディゴ】

「あははっあははははっ!弱い、弱すぎるわっ!」

ミューダは魔物の大群を大剣で一掃してゆく。
輝たちはミューダから離れないようにして、道を塞ぐ魔物を倒すことに専念した。
ふとミューダの動きが止まり、魔物たちの動きも止まった。
ぶるっと身震いするほどの力、心臓に槍でも刺されたんじゃないかというほどに鋭く冷たい目。

「こいつは…【ウェンディゴ】か」

ティステースがぼそりと呟いた。その瞬間ウェンディゴはその巨体で地面を蹴りあげ、飛び跳ねた。
あたり一面に地響きが起き、うねりと共に魔物たちも躓いていく。
ミューダはうねりを大剣で相殺し、ウェンディゴの腕を切り落とした。
グオオと気味の悪い悲鳴がキンキンとやかましく鳴り響く。

「さあ、これでおしまいにしましょう?」

ミューダが大剣を構え直し、ウェンディゴの頭上へと跳び跳ねた。
グサリと大剣がウェンディゴの頭部に刺さり、ミューダはずぷずぷと大剣を沈めていく。
今まで気味の悪い叫び声をあげていたウェンディゴだったが、大剣が脳まで達したのか静かになりその場に倒れた。
周りにいた魔物たちは、ウェンディゴの死体を見るなりすたこらさっさと逃げていく。
しかしそれをミューダが見逃すわけもなく、魔物たちは大剣により切り裂かれる。

「よしっこれで終わったわね!どんどんいくわよ〜っ!」

ミューダは機嫌がよさそうに先頭を走っていたが、急にくるっと振り向きユミナの方をじっとみる。

「ところで、ソルウィーフはどこにあるのかしら?」

輝たちは半ば呆れながら、ミューダの方をみてははっと笑った。
輝は不謹慎ながらも、この世界に来て始めて笑えたことを少しばかり嬉しいと感じた。

一方その頃、こがね達はというと

「あーくそっ!鴉はやくおきろよーっ!」
魔物たちに囲まれていた。

18:エルチキは諏訪子様LOVE◆lQ:2016/08/09(火) 08:29

久々にかいてみたけどなんかスランプ気味…
一時的に更新停止します。
ネタが思い付いたらかいてみますわ


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