初めまして
これは
とある中年オヤジのヒーロー物語です
「あなた…もう行くの?」
妻が、わたしの食べ終えた食器を洗いながらそう尋ねてくる
「ああ…折角チャールズに雇ってもらったんだ。遅れるわけにはいかないだろう?」
わたしの名前はジョン、ジョン・ビースト
若作りしなくても綺麗な妻をもつ、今年40代に入る男である
「そう…お弁当鞄に入れておいたから、忘れないでね」
いってらっしゃい。妻がわたしの方に振り向いてにこやかな愛らしい笑みを浮かべ行ってくれた。
わたしは鞄を持つと手を振り、いってきますと声には出さず心の中で返事をした。
ガチャ
「ジョン、今日も元気そうだな。俺は嬉しいよ」
玄関のドアを開けると、そこには黒人のふくよかな男性がいて話しかけてきた。
わたしは妻に向ける顔(笑顔)から、こいつに向ける顔(無表情)に戻すと
「ようチャールズ、オレは妻がいる限りいつでも元気だ。」
「はぁぁ…相変わらずいちゃいちゃしやがってェ」
わたしに聴こえるくらいの声で、愚痴るように言ってくるチャールズの小言は無視し、
鍵があいている、立派な赤いポルシェの助手席にわたしは座った。
「チャールズ、また買ったのか…幾つ買ったら満足するんだ」
「それはなジョン…金が尽きるまでさ」