腐りかけの俺と居候生徒会長

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1:Σ(゚д゚lll):2016/05/22(日) 16:53 ID:Moo

…この中学一年の春、不登校気味な俺は恋をした。

2:Σ(゚д゚lll):2016/05/22(日) 17:22 ID:Moo

…俺は恋をした。
今年俺、山田 弥生は有明中学に入学した。まあ、小学の頃から不登校気味な生徒の俺からしてみれば大して変わらない事なのだが、俺の自宅警備員ライフ(生活)は今年で幕を閉じてしまう事になるのだった。

ピンポーーーン…。現在午前六時三十分。誰だ、こんな朝早くに。重い体をベッドから起こし、玄関へ向かう。
「はーい、どちら様でしょうかですかー?」
「おはようござます!山田くん!」
きっちりと整えられた黒髪のポニーテール、赤いリボンは校則をきっちり守った結び方大きさで、スカートも膝をこえている…。そして何よりも規則なんて領域でないほど程よい大きさの胸‼今すぐ触りたい。いやいや、それよりも誰だ、この完璧人間は。
「…あの、どちら様でしょうか?」
「えー、有明中学一年A組の…じゃなかった、こほん、私は有明中学一年!生徒会長の田中というものだ!」
「…へー、生徒会長。ふーん…ん?」
なぜ、俺の家に…。
「…生徒会長⁉」
「ふむ。いかにも!私が有明中学の生徒会長だが?本物だぞ?この胸もついでに見るか?」
ちら、っと胸の谷間様が見える。こんな完璧な美少女生徒会長が朝っぱらから自称自宅警備員の俺に何の用が…。
「…生徒会長さん胸はいいです。それよりも俺に何の用事が?」
「学校に行こうではないか!山田くん!」
「…はい?」
「だから、学校に行こうではないか!」
「…いってらっしゃい。」
無意識に手を振る。
「いやいや、話のわからないやつだな!山田くんも!行くんだよ!」
「いや、俺は今日風邪(大嘘)で…。」
「うおおお!問答無用ぉぉ!服を脱ぐんだ!山田くん!」
ガチャッ…玄関のドアが閉まる。俺の、心の扉は今、こじ開けられようとしていた。
「さあ!そのゆるゆるとしたパジャマを脱ぎ捨てて!今こそ制服に換装するんだ!」
「はあ⁉何言ってるんですか⁉しかも普通に着替えるって言って下さ…うわああああ⁉下は!下の方は自分でします!学校に行きますから!だから!そのズボンを脱がそうとする手を止めてくれぇぇ!」
正直、今日の学校は自己紹介があるはずだから行きたくないのだが。そもそも、この家は誰が守るというのだ。俺しかいないだろう。
「うむ、だが私などに発情しだす男性はいないと思われるのだが…。」
「いやいや、人によるでしょ。って言うか本当に、何なんですか、あなた!不法侵入ですか⁉何が目的なんですか⁉」
「君が学校に行きたいという気持ちが目的だ。それと…」
「それと?」
「私は君が好きだ。」
「は?え?○-\°%▲◎$$▲※≧∽⁉」
俺は、どうすればいいんだ…。

3:Σ(゚д゚lll):2016/05/22(日) 21:54 ID:Moo

しばらくの沈黙。重たい空気。俺は、何と答えればいいんだ⁉生まれてこのかた自宅警備隊隊長としてしかほぼ生きてこなかったし、そしてやっぱり恋愛経験など0、というよりもマイナス値であり、そんな俺にはどうにもできないのだ。
「…というのは君がまだ人間に感心を持てるのかというテストだ。まあ、気にするな。嘘なんだから。」
嘘…かよ。
「…お、俺は生まれてこのかた自宅警備隊隊長としてしか生きていないんだ!馬鹿野郎!俺をもてあそぶな!出て行け。」
俺は玄関を指差した。できるだけ、怒っているように見せて。
「なあ、私は山田くんを連れて学校に行きたいだけなんだ。…私と一緒なのが、嫌、なのか…?」
うっわ。やばい、超上目遣い。年齢=彼女いない歴な俺からしたからもう耐え切れないほどの。理性がぶっちぎれる。
「…嫌、じゃねえよ。俺さ、生まれてこのかた彼女なんていないし、当然友達にだって恵まれなかったんだ。嬉しくないわけがない。家にまで押しかけてくれてさ。」
だが、しかし
「…人の家に勝手に上がりこんで人の優雅な朝のランチタイムを邪魔するのはどうかと思うぞ!会長さん!」
まあ、特にランチというランチはしていないのだが。と、いうよりも熟睡していた。
「…わわ、私は一年生なのに先輩方を差し置いて生徒会長になったんだ!だから、ガッカリさせないように不登校児を一人くらい学校に連れて行かないとって…思っただけなの。迷惑だったなら、謝ります。謝罪します。本当に、申し訳ありませんでした。」
田中…生徒会長とやらさんは俺の方をしっかりと向き直り、目を合わせた。まっすぐに。正座をした。そして、頭を深く下げた。
「…これは、」
土下座だ。世で言うところの最強の謝罪方法!(自称自宅警備隊隊長なので頭が悪いです。)
「何で、会長サマが俺なんかに頭なんて下げている?顔を上げろ。俺はそんなにどえらい人間ではない。」
「あ、そっか。全く社会貢献なんてしていないやつだもんな!」
それはそれで何だか心が痛むのだが。

4:Σ(゚д゚lll):2016/05/23(月) 17:55 ID:Moo

「…ところでさ、今何時かご覧になれますかー?」
生徒会長はゆっくりと腕時計に目を向ける。
「ぎゃあっ!もう七時十五分⁉」
「はは、やっぱり気づいてなかったな。」
「も、もう私は行くからな!そ、その、気が向いたらでいいから来てくれよ!学校!」
気が向いたら、ねえ。そんなノリでいけたら苦労しねえよ。…と言いたかったんだがそんな事を言う間もなく生徒会長は玄関のドアを開け、走り去って行った。
「お邪魔しました!」
なんと、その言葉が言える生徒会長だったとは。先ほどからの立ち振る舞いからは想像もつかなかった。
「魑魅魍魎…ぷぷっ、似合ってんな、あいつに。…学校、か。あんなに女子と話したの、久しぶりだったなあ。」
渋々、だ。行きたいわけじゃないし、あんなノリだったからのってしまったけれど、普段はあんなに上手く話せない。田中…生徒会長と話していると昔に戻ったみたいで、なんだかとても楽しかった。
「…今日だけだ。初めを失敗すれば後から行きずらくなるし、自己紹介くらいやってやろうじゃねえか。」
真新しい学ランを着て学校へ向かう午前七時三十分。

「えー、今日の授業は…五十ページ。開けてください。」
おいおい、初めを失敗というか、なんというか、俺の中の日にちがなんと三ヶ月まずれていたのだ。教科書は今もらったばかりだし、中身なんて意味がわからなかった。なんだ、この÷って記号?こっちのxとか、yとか、読めもしねえ。なんて読むんだよ。小学三年の時から不登校気味だった俺だ。仕方がない。どうせ、明日はここには来ないんだから。


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