梅星小型探査機

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1:望月甘夏:2016/05/27(金) 23:10 ID:JhM

小説です。評価などもどうぞ、辛口◎

2:望月甘夏:2016/05/27(金) 23:20 ID:JhM

ああ、六月なのに蒸し暑い。

こんな日はアイスでも豪快に食いたいけど、ばーちゃんの梅干が邪魔をする。
「ばーちゃん、いつまで干すの?」「今日で最後よ」
めげず、ひねくれず、落ち込まず。ばーちゃんのモットーだそうだ。
縁側で空を見上げるばーちゃんと梅干は、まさにその通り。でも、私には到底無理だと思う。

3:望月甘夏:2016/05/27(金) 23:25 ID:JhM

すぐに諦め、人任せ、拗ねる。人に媚びる力だけはあるのに。
嫌だ。現実と混じる。ふと、カレンダーに目をやる。『6/19』に赤い丸が印されていた。

4:望月甘夏:2016/05/28(土) 09:53 ID:JhM

6/19。未央が最後に梅干を食べた日。素直な未央は、ずっとここに居る。この日の縁側に、留まっている。
「いい加減、逝きなよ」そう梅干に吐き捨て、私は階段をギシギシと上る。
暑い。暑い。暑い、部屋に1人。
少し新しい受話器を取り、押し慣れた番号に発信する。

5:望月甘夏:2016/05/28(土) 10:00 ID:JhM

「はい、もしもし野崎ですが」
聞き慣れた声。大人びた野崎の声。少し息をつき、話し始めた。
「えっと、晴くんいますか」「…神楽?」
野崎は暑そうに、嫌がりながら返す。
「そーそー、神楽雨だよ」負けじと私のフルネームを言う。
「神楽何だよ〜…あっつ」「いやぁ、暇だから凛でも誘ってプール行こうかと」
「…仕方ねぇなぁ」プールと聞いて野崎の声が少し上がる。

6:望月甘夏:2016/05/28(土) 10:04 ID:JhM

「でも3人だけは寂しいだろ。連絡網当たってくぞ」まとめるのが好きな野崎は、受話器の向こうでガサガサと音を立てる。「アイアイサー!」一旦電話を切り、連絡網から今日空いている人を探す。
「あっ、ママ! プール行くから水着探しといて〜!」「えー?誰と行くの〜」「野崎〜」大声での会話が続いた。


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