魔法花の先生

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1:ぺっすん:2016/05/31(火) 12:19 ID:WAo

花と先生、それから君のファンタジー

人物紹介とか書きません。読みながら世界観を感じてください。1話で世界観を掴んでいただければ、どの話から読んでも楽しんでいただける短編集のような形にできれば と思います。善処します。
最後まで書ききれたらいいなあ。

2:ぺっすん:2016/05/31(火) 12:50 ID:WAo

花の国ブローロからみて南にある田舎町カルタモ。はずれの丘の赤いレンガ屋根の家に通って1年とちょっと。窓の下にはいろんな花。畑には野菜と花々。レンガ屋根の家の周りの木にも花 花 花。花に囲まれたこの家こそ私の通う学校、ラトリーナ先生の家なのだ。

この世界には魔法がある。
金属の産出は少なく、電気は普及させることができない。家庭の灯につかうのは魔法を行使した花=Bカルタモの町では手持ちの灯りとしてスノーフレーク 家の中の灯りとしてジギタリスが使われている。 灯りをともす魔法は子どもでもだれでも使える初歩的な魔法なのだ。誰でもなのは筒型や鐘型の灯しやすい花と限定はされるんだけれど。
魔法の行使には個人差がある。初歩的なものしか使えない者から奇跡ともいえる現象を起こせる者。私は比較的優れている方よりの真ん中。ギリギリ魔法花科に入れる程度。魔法花科にはいるのは普通 とても優れている者。
つまり、私は、魔法花科の劣等生。
本当なら皆のように普通の学科に通うべきなんだ。

3:ぺっすん:2016/05/31(火) 14:13 ID:WAo

「先生、ラトリーナ先生!おはようございます!」
ノッカーでドアを鳴らしても返事がなかったので勝手に家へ上がり込む。のどかな町だからといって鍵をかけないのは良くないと思う。何度も言ってもかけないので最近は諦めた。
「先生、まだ夢の中ですか?時間ですよ!授業受けにきましたよ!」
2階までヅカヅカ上がり込んでみれば甘いポプリの香りがフワリと鼻腔をくすぐる。その香りの奥、ふかふかの布団の中にスヤスヤしているのがラトリーナ先生。
「いい加減に起きてください!魔法仕掛けますよ!」
人に魔法を行使するには免許が必要で、私にはまだない。それに本気ではないのだけれど。
「朝から物騒な子ね、おはよう」
ふぁふふぁふとアクビをしながらニッコリされる。30歳とどかないぐらいのこのホワホワした女性が実は凄腕の魔法花師。人は見た目によらないものなのだと改めて思った。

4:ぺっすん:2016/05/31(火) 18:51 ID:WAo

身だしなみを整えたら授業するから待ってね と1階の先生のアトリエ兼教室へ促される。
待っている間に恒例となってしまった私の生を振り返ろうと思う。私には前世の記憶がある、なんて言ったところで信じてくれるのは先生だけだと思う。と言うよりも先生だけだった。ラトリーナ先生曰く
「あなたの前世で好きな花はワスレナグサなのよね?花を媒介に魔法を行使するのはこの世界の理なんだけれど、亡くなる時に供えられた花によっては輪廻するときに発動するみたいなの。賢人はこれを花の祝福と言うのだけれど、記憶が残ることが祝福かと言われると悩むわね。」
祝福といえば聞こえはいい。でも、私は苦しんできた。記憶があることで同じ年の子どものようにふるまっているつもりでも、大人達は「あの子は違う」と気味悪がった。私には幼い子どもの遊びは苦痛で、それでも頑張ってきたつもりだったのに。これは記憶という呪いだ。
記憶と過去にさいなまれているとガチャリと扉が開く。
「お待たせ、トワ」
髪に金鎖の花飾りを揺らしながら先生が入ってきた。ラトリーナ先生はハーフエルフだ。エルフ族は髪に花を飾らなければならない掟がある。ハーフであろうと先生もエルフ族ということだ。
「先生、はやく授業」
ぶっきらぼうに言えば
「はーいはい」
と子ども扱いで流された。少し悔しい。

5:ぺっすん:2016/05/31(火) 19:32 ID:WAo

「トワ、この1年ちょっとで身近な花の簡単な魔法と育て方は教えたわね?今日からはもう1段階進んだことをしましょう。」
そういってラトリーナ先生は窓をガラリ。窓のすぐ側にある花をプチリ。
「トワ、この傘状で内側と外側で色の違う花は何だと思う?」
枝にトゲが少しあるからこれは
「ランタナです。」
「正解よ。じゃあ別名も言える?」
油断してた。ランタナを使った魔法はまだ早いから育て方だけって言ってたから育て方しか知らない。悔しいけれど
「分かりません。」
「シチヘンゲって言うのよ。教えてないからしょうがないわね。呼び名もランタナの方が可愛いものね。」
手に持って弄んでいたランタナを教壇の真ん中、花瓶へストンと入れる。
「今まで育ててきたからトワとランタナの間に友好関係が築かれていると思うわ。だからそろそろ魔法使ってみようか。」
誰もが魔法を使えない理由。それが花との友好関係の問題だ。自ら育て、花を知ることで人は魔法を行使できるようになる。灯りとして使う花は基本的に生まれてからずっと身近にあり、育てるのは子どもが手伝う。だから誰もが灯りの魔法を行使できるのだ。あとは例外的に花紋(家の象徴の花)の魔法というものがある。それはその家の血を引いていることで使えるものである。
「ランタナが変身の魔法の理由はさっきの別名のことでわかったわね?名は体を表すというでしょ?」
花自体がどんどん色が変わっていくからシチヘンゲ。花の特性に合った魔法は行使しやすい。
「なるほど、理解しました。」

6:ぺっすん:2016/06/05(日) 00:23 ID:UoQ

「解ったところでさっそく魔法の実践ね」
傘状の半分になった手毬のような花を手に載せ、さらに灯りの花スノーフレークをちょこっと。あれ?スノーフレーク?
「先生、なんでスノーフレークを?」
いたずらっ子のような笑顔で答える。
「変身途中見られるの恥ずかしいから光で誤魔化そうかなってね」
言い終えると同時に空気が変わった気がした。
両の手のひらにのせた花達に囁くように、しかしはっきりと発音をする。
「変げを司る花よ、私に力をお貸しください この身を猫へ」
この世界に呪文はない。あるのはお願い=B
元の世界ではファンジー世界にしかなかった魔法。それは呪文を唱えることで使うものだった。ここではモノゴト、花、金属、宝石にお願いをして魔法を行使するのだ。
あ。先生はすぐに灯りの魔法を行使したけれども、変身の魔法グロい。恥ずかしいとかいう問題じゃないです。
「はい、これご変身の魔法」
目の前のクリーム色と白のマーブル模様もふもふ猫がしゃべる。おお、ラトリーナ先生の声だ。
「花瓶にもう1輪あるからやってごらんなさい」
濃いピンクのランタナを手に取り息を吸い・・・躊躇した。
「先生、私も灯りの魔法を行使してもいいですか?」
肉体の変身途中の生々しいのは勘弁願いたい。

7:ぺっすん:2016/06/05(日) 00:42 ID:UoQ

ランタナで猫になるはずだった。
「あらあら、お願いする時に他の事考えちゃダメよー?」
私はトラ猫模様で猫の毛が生えた子豚になった。パッと見は猫っぽいけれど、冷静になって観察するとキモかわいい。否、キモい。
「人間に戻ろっか」
クスクスと笑いながら再度お願い≠唱える。
「力をお返しします」
そして花にキスを1つ。メキメキとふわもふな猫が人へ戻っていく。私もそれにならってお願い≠ニキスを1つ。
「子豚になると思いませんでした。」
混ぜたらあんな気持ち悪くなるのかと思い出してゲンナリしつつ感想を述べる。
「あらー、可愛かったわよー!」
いまだにクスクスうふふと笑う先生。
「魔法を行使する時は集中してね。ほかごとに浮気してたらお花さんが怒っちゃうわ。」
言葉こそ子どもにいうようだが、ごもっともな注意なのだ。いくら仲良くなろうと、上の空で話されたら人だっていい気はしない。植物は人よりも気難しく、相手の気持ちや考えに敏感なのだ。
「さーてさて!もう2、3回練習したら休憩ね。午後は座学よ。」
休憩が楽しみでソワソワしつつのお願い≠ヘことごとく子豚へと変わったのだった。
今日の授業でランタナが拗ねてしまったきがした。次は子豚にならないように気を引き締めよう。

8:ぺっすん:2016/06/06(月) 23:27 ID:HiU

授業を受けているのは先生の家だ。だから休憩になると先生はキッチンでお昼ご飯を作ってくださる。
「今日はオムライスにしようか!」
先生の料理は美味しい。そしてオムライスは私の好物だ。
「ご飯はケチャップライスがいいです!」
だって先生特性のハーブケチャップ使うから。
「わかったわかった」
クスクス笑いながら棚のケチャップ瓶を取る。きっと子どもっぽいと思われているんだろうな。棚のガラスにうつる自分の顔がイキイキと働くして目はキラキラしてたから。
「トワ、お庭からハーブとお野菜取ってきて。種類は任せるわ。取りすぎちゃダメよ?」
手際よく炒めながら手伝いの支持をされる。元気よく「はい!」と敬礼。カゴを手に外へ出る。この行動が態度がきっと年相応なんだろうな。初夏の風を頬に感じながら思った。

前世があったって私はまだ子どもなんだ。何故、家族や町の人たちの前でもこうできないんだろうか。 プチプチとハーブを摘みながら思う。
一度出来た溝は埋まらない。ラトリーナ先生は最初から私に対して普通に接してくれた。先生も私を異質だと思って腫れ物扱いする時が来るんだろうか?母や父がそうであったように。可愛い我が子から異物を見る目に変わったように。

9:ぺっすん:2016/06/09(木) 02:23 ID:HiU

考え事をすると加減が難しい。ハーブを摘みすぎてしまった。
ハーブはいい香りがする。しかし大量にあると鼻を刺激するものだ。そして、少量ならば体の調子を整えてくれるのだが大量に摂取すると毒になるものもある。スパイスのナツメグなんかは最悪 死に至ることもある。
先生はプロだから適量をチョイスしてくださるはず。余ってしまう分について謝らなければ。

「摘んできました!」
野菜と大量のハーブを抱えて戻る。鶏肉と玉ねぎ、特製ケチャップのいい香りに思わず涎が口に溜まる。
「ご苦労さま。あら、ハーブがたっぷりね。トワったら考え事してたでしょ」
う、図星である。
「ハーブティーやティンクチャーにしましょうか。トワも女の子なんだから化粧水ぐらいつけた方がいいわ。午後の授業はティンクチャーから化粧水つくりましょ。」
ハーブを摘みすぎただけなのに午後の授業が潰れてしまった。考え事をしていた自分が憎い。
ところで
「先生、ティンクチャーって何ですか?」
「アルコールにハーブをつけて成分を抽出したものよ」
先生は溶き卵に摘んできたハーブを刻んで入れながら答える。
「化粧水や入浴剤にすることが多いかしら。ハーブとアルコール選びに気をつければ薬用酒としても飲めるわ。」
面白そう。少し興味が湧いた。


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