小説を書いてみます。

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1:星空 太陽&◆sk:2016/08/21(日) 22:01

初めてですが、よろしくです。
メッセージ受け付けます。

主人公→原 奏(はら かなで)
吹奏楽部 ホルンパート
中学一年生
絶対音感を持っている
絶対音感の自覚はない‼

鳴海 響(なるみ ひびき)
帰宅部
中学一年生
音楽は好き。無気力。
音楽に少しトラウマがある

こんな感じでぼちぼち書いていきます。

2:星空 太陽&◆sk:2016/08/21(日) 22:20

ここは、松野中学校。
今日も放課後から、楽器の音が聞こえてくる。

「ちょっとここ、67小節からバラバラだから、
今から5分間練習してきて。」
『はーい…』
パートリーダーの中村先輩の声に
見合わない返事が返ってくる。
今日までで、この練習は3回目。
まぁ…、当たり前だ。
私、原 奏はホルンを抱えいつもの靴箱の前に行く。
そこには、人があまり通らないので、
ここが私の定位置。
だが、今日は違った。

いつもどおり、67小節から練習していると
前に人影がある。
誰かと思っていると、
相手もこちらを見ていた。
すっと目線をそらして、近づいてくるまで
見ないで練習することにした。
その人影は私に話しかけてきた。
「…奏さん?」
話しかけた人は、同じクラスになったばかりの鳴海君。
「あ、どうも」
曖昧に返事をすると、鳴海君も長い前髪を揺らして
ぺこりとお辞儀した。
その顔が少し赤く見えたのは、きっと
桜のピンクがうつってそう見えるだけだろう。
「…練習しなきゃ」
部活が始まって2週間の出来事だった…_。

3:星空 太陽&◆sk:2016/08/21(日) 22:44

僕は、鳴海 響。
今日もまたいつもの1日だった。
授業はつまんないし、
めんどくさいという理由で入った
帰宅部は、活動はないんで帰ってゲームをする。
まぁ、当たり前だww
今日もいつも通り帰ると思っていた。
だが、今日は違った。

いつも通り、自分のクラスの靴箱に向かう。
すると、向かう方から楽器の音が聞こえてくるのに気付いた。
「…ホルン!」
いつの間にか大声を出してしまっていた。
おまけに足も早歩きになっている。
靴箱の方に行った。その瞬間、僕は一つの人影に見惚れた。
影で顔は見えないが、美しく輝く金管楽器。
それは、響が予想した楽器と同じ楽器、ホルンだった。
少し、近づいていた。同じクラスの…
「…奏さん?」
僕はそう聞いた。
「あ、どうも」
曖昧に返されたが、気にならない。
なんだかさっきから顔が火照って仕方ない。
僕は長い前髪を揺らしてお辞儀をした。
そのまま帰ろうととしたが、
思いついたように、戻って、僕はある場所へ移動した。

「失礼します。村上先生いますか。」
村上先生は職員室にいた。
村上先生は手招きして、僕を呼んでくれた。
「どうしたの?えーと、鳴海君だっけ?」
「はい」
僕はあることを言いたくてここまできた。
めんどくさがりの僕にしては珍しい。
「あの」
僕の言葉に飾り付けするように桜風がふく。
「僕、吹奏楽部に入りたいです。」

4:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 08:13

昨日は少しだけ合奏が上手くいった。
今日も早く練習したいのに、ロングトーン前に
ホルンパートだけ呼び出されたんだ。
まあ、3人だけなんだけど。
うちの吹奏楽部は人数が少ない。
パートは、学年1人ずついるくらいで普通は1パート3人はいる。
少ないからこそ、1人ひとりを見ることが
出来るからいいんだけど。

ホルンパートは顧問の村上先生を待っていた。
「おーいホルン!」
いきなり呼ばれてびっくりしたが、村上先生だ。
慌てて先生のいる方に挨拶すると、
先輩たちはびっくりしている。
なんだろうと思い、顔を上げるとその意味がわかった。
「えーとね、ホルンパートに、新入部員が入ります!」
『えええええ⁉』
しかも、その新入部員とやらは、知っている顔だった。
「なっ…鳴海君⁉」
いつの間にか声に出ていた。
「はい。1年6組の鳴海 響です。
楽器経験はあるので、足を引っ張らないように頑張ります。」
私は先輩の顔を見た。
先輩たちは嬉しそうだ。
「じゃあ、今日のロングトーンから練習してね。
その時と、帰りのミーティングで、自己紹介しておいて!」
「わかりました。」
鳴海君はにっこりと笑って答える。
その様子に私はただ、びっくりするだけだった。

5:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 11:40

…それにしても、上手すぎる。
なんなの⁉楽器経験ってホルンなの⁉
先輩なんか、鳴海君に見惚れてるし!
「上手ーい!鳴海君すごいね!」
「楽器はホルンやってたの?」
2人の先輩からの熱い視線…
「えーと…、楽器はピアノとトランペットをやってました。」
おぉ。やっぱり管楽器やってなきゃこんなに上手くないよね。
先輩に勧められて、私も質問することになった。
「…何でこの時期に吹部入ってきたんですか?」
「え…?」
あれ?なんか顔赤いけど…?
「大丈夫?」
顔を覗き込むとびっくりされた。
「あ、いや、大丈夫…。
えっとですね〜。
いつも吹奏楽部で曲を吹いているのがかっこいいなと思って…。
最初吹部に入ろうと思ってなかったので。」
「へぇー。」
なんだかぎごちない答え方されたなぁ。

今日は、鳴海君のおかげで
合奏が上手くいった。
完璧と言っていいほど。
でも私には、気掛かりな事が一つある。
鳴海君が吹奏楽部に入った狙いがわからない…。

6:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 13:13

悩みながら帰り道を歩いていると、
声を掛けられた。
「あ、奏!」
幼馴染の竹宮 蒼(たけみや そう)だ。
「蒼。」
「どうしたの?悩み事ある?」
どうせなら、話しておこうとこれまであったことを全部話した。
「ふーんそうなんだ…。」
蒼には何か気掛かりな事があるらしい。
「なんかわかった?」
すると、蒼は思いがけないことを言った。
「…鳴海君には、気を付けた方がいいよ。」
「え?それどういう意『じゃあな!奏!』…行っちゃった。」

話を一通り聞いてきた蒼は、こんなひとりごとをつぶやいていた。
「鳴海君…ねぇ。大胆な事するなあ〜。」
口調は軽いが、その顔は少し焦りが混ざっていた。

7:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 13:27

久しぶりにこんなに疲れたかもと思うくらい
吹奏楽部は、ハードだった。
響は思いつきで入ったため、吹奏楽部の事については
あまり知らなかった。
「ひーびき!」
いつの間にか横にいたのは、同じクラスになったばかりなのに
やけに僕だけに馴れ馴れしい君塚 百合(きみづか ゆり)さん。
なぜか、名前に呼び捨てで呼ばれている。
「こんな時間に帰ってるなんて珍しい!
学校で寝てたりしてた?なーんて(笑)」
僕は正直に答える。
「僕、こんなんですけど、吹奏楽部入りました。
君塚さんは陸上部ですよね。
前々から誘ってくれてましたけど、僕は音楽が好きなので、
吹奏楽部に入りました。誘ってくれて申し訳ないのですがね。」
すると、百合の顔が少し歪んだ。
「なんで、いきなり吹奏楽部なんて入ったの?」
「んー…。一目惚れですかね(笑)」
「⁉それ冗談だよね?」
「さあ、それはどうでしょう?」
混乱している百合をよそに、歩き出した響はひとりごとをつぶやいていた。
「…冗談なわけないのにね。」
そっと、悪魔の笑顔をした。

8:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 13:29

百合のひとりごと↓
…楽器に一目惚れかな?

9:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 13:39

次の日の昼休み。
私は教室で弁当を食べていた。
私はいつも1人だが、今日は前に人がいる。
「なんで鳴海君いるのぉぉぉぉ⁉」
叫んでみた。
教室で、弁当を食べる人はあまりいないからいいけど…。
前の人が、人がぁ。
「ちょっと聞きたいことあって。」
聞きたいこと?それは聞かねば!
ちゃんと聞かないと、相手に失礼だし。
「今、クラスで流れている曲、音わかる?」
「なんでそんな事聞くの?」
「だって…、さっきから指動いてるから。」
あ、無意識に。
「一応わかる…よ?」
「その能力の名前知らないでしょ?」
「?」
「絶対音感だよ。」
「ふーん」
「…反応薄いね。」
「そんなんで驚いていたら、時間の無駄…、
嘘⁉絶対音感⁉」
「うん」
「そうなんだ…。ちょっと嬉しい」

ぎごちない会話の昼休み。

10:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 17:27

今日も放課後は練習。
また別の小節の個人練習になって、
いつもの場所に行こうとしたら、先輩に声を掛けられた。
「まだ鳴海君入ったばかりで、よくわからないと思うから、
奏ちゃん教えてあげて!」
とのこと…。

ということで、今、2人きりの教室です…。
「じゃあここから合わせてみよう。」
「はい」
…さすが、音の響きが違う。でも、一つ足りない。
合わせていたのを止めて、私は鳴海君に気になった事を言ってみる。
「…鳴海君はさ、この曲を聞かせたい人いる?
なんか、今のは完璧なんだけど、感情がないというか…。
あ、表現をもっと意識してみたら?
その第一歩が聞かせたい人をイメージすることだよ。」
「…わかりました。一回僕だけで吹いても良いですか?」
「はーい。じゃあもう一度同じ場所から」
*・゜゚♯・*:.♭。..。.:*・*:.。. .♪。.:*・゜゚・*♪
わ、少し意識しただけで、すごい違う。
イメージしている人がいいんだなぁ。

「すごいよ!だいぶ違った!鳴海君すごい‼」
「あ、ありがとうございます」
「ね、誰をイメージして吹いたの?」
「それは…内緒ですね。」
軽くはぐらかされた。
「ね〜教えてよ〜。ね〜。」
「内緒です。」
「ね〜。」
「わかりました。教えてあげます。」
「やった!ありがとう!」
すると、思い掛けない事を言った。
「それは奏さんですよ。」
「え…?」
私達の間を太陽は無色に照らしていた。

11:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 18:59

私達の間を太陽は無色に照らしている。
鳴海君の視線はまっすぐ私に向けられていた。
その空気に耐えられず、
「じゃ、じゃあ、もう一度同じ場所から
2人で合わせよう?」
と、声を掛けた。
すると鳴海君は計算していたかのように言った。
「奏さん。ほっぺにまつげが付いてます。」
「え、あ、嘘⁉
どこについてる?」
あたふたとしている私の視界に鳴海君の綺麗な手が伸びてくる。
そして、その手は私のほっぺに触れた。
ぴくっと反応してしまい、視線をそらしていた。
「奏さん…、僕をちゃんと見て。」
ゆっくりと視線を鳴海君の方に向けると、
鳴海君は私をしっかり見ていた。

カタッ
びっくりして物音のした方を見ると、先輩達がいた。
「…練習を始めてもイイデスカ?」
「そんなこと…、良いに決まっているじゃないですか!!!!」
今までの恥ずかしさが一気に出てきて、
心臓の音は鳴海君に聞こえちゃうんじゃないかと思うくらい
大きかった。
そして、触れられた頬に手を伸ばして、
さっき起きた事の現実味を感じていた。

12:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 21:20

帰り道を歩いていく。
お互いに今日も良い日だったね。
なんて、歌詞のある歌を歌ってから帰るけど、
今日は違う。
奏は、もう一度触れられた頬に手を伸ばした。
そういえば、まつげはどうなってたんだろう。
後でそんなことを思いついた。
僕をちゃんと見てってどういう意味なんだろうか。
思い出すと恥ずかしくなって、顔が火照ってくる。
「…鳴海君…。」
「え?」
声がした。蒼だ。
「う、うあっ、そ、蒼‼」
「どうしたの?そんな慌てて。」
「ううん、なんでもない。」
よかった。さっきのひとりごとは聞かれてないみたいだ。
「今日、鳴海君と何かあった?」
「⁉」
…聞かれたかもしれない。
「ううん、何もなかったよ…。」
顔が赤くなっていく。説得力無いよー‼
「ふーん…。そっか、、」
蒼は言葉を吐き捨てた。

13:星空 太陽&◆sk:2016/08/22(月) 21:26

それから間も無く、体育祭がある。
吹奏楽部はそこで曲を吹くので、絶賛練習中だ。
あの出来事以来、私と鳴海君はまともに話せていない。
…大抵私が逃げていくだけなんだけどね。
体育祭では話せると良いな。
とりあえず今は練習!!!!

14:星空 太陽&◆sk:2016/08/23(火) 18:19

今、ホルンパートは個人練習中だ。
だが、僕は気持ちが悪くて仕方がない。
「はぁ…。」
だんだん息も荒くなっていく。
蘇ってくるのは、僕が音楽から離れたこと、
さらに無気力になったことのきっかけの記憶…。
僕の脳裏に広いホールがうつる。
あ、嫌だ。奏さん…、の、おかげで音楽また出来たのに…。
また、出来なくなりそう。
…体育祭があるのに、そこで話そうと思ったのに…。
ホルンを持ったまま、僕は倒れる。
ガシャーン‼
その大きな音でさえも、聞こえなくなってきいた。

15:星空 太陽&◆sk:2016/08/23(火) 18:30

今、ホルンパートは個人練習中。
いつもの場所で。
…ここの三連符どうしてもテンポに合わない。
体育祭で吹く校歌と、国歌、最後にアニソンメドレーを
私は練習している。
ここの吹奏楽部は、人数が少ないから
一年生も大事な戦力になる。
だから、個人で完璧にしてくるために、今は個人練習!!!!
ガシャーン‼
…え?
音がしたのは、鳴海君の練習している部屋の方だ。
胸騒ぎがする。
いつの間にか走っていた。
そして、部屋の扉を勢いよく開けると、
そこには倒れている鳴海君がいた。
先輩達も、後からきて様子に気付いたらしく、
先生を呼びに行ってくれた。
私は鳴海君の方に駆け寄り、顔色を見た。
その顔の閉じた瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。

16:星空 太陽&◆sk:2016/08/24(水) 22:08

「ん…」
気がつくと、僕は保健室にいた。
横には奏さんがいる。
僕が起きた事に気付くと、奏さんは僕の頭を撫でた。
「大丈夫?」
「あ、うん…」
そう言って僕は起き上がろうとしたが、
奏さんはそれを止めて、
「無理しないで」
と言う。
やばい。この状況は…恥ずかしい。
奏さんは僕が大丈夫そうになるまで
頭を撫でていてくれた。

「…何か悲しい事でもあった?」
「え?」
「私が鳴海君の方に行った時、鳴海君、泣いてたんだよ」
「…あー」
僕の、きっかけ。僕の、トラウマ。
それを好きな人に話すのはまだ、勇気が足りない。
だから笑ってごまかすんだ。
「…何もないよ。何で泣いてたんだろうな。」
「そうなんだ。でも、平気そうで良かった。」
平気に見えるなら良かった。
僕は、本当に安心している奏さんの笑顔をみた。
胸が苦しくなる。

でも、僕はどうすることも出来ないから
しばらく奏さんに甘えていた。

奏さんの王子様は、奏さんとどこまで話しているのだろう。
ふと、そんな考えがよぎった。

17:星空 太陽&◆sk:2016/08/25(木) 22:11

「…」
現在、原 奏は非常に恥ずかしいです。
いや〜何でこんな事しちゃったんだろう。
と言うか、そんなこと考えてたら、
いつの間にか、鳴海君寝そうになってるし!
「体調、よくなったらパート部屋来てね」
そう言っていこうとすると、鳴海君に制服の袖を引かれる。
「もう行けるよ。」
「あ、そう?じゃあ行こうか。」
鳴海君を起こして、廊下を一緒に歩いていく。
「…さっきはありがとうございます。
結構気持ちよくて、寝そうになりました。」
「うふふ、そんなに?
でも、良かった。」
私は鳴海君に笑いかける。
お礼も言ってくれて、やって良かったと思う。

18:星空 太陽&◆sk:2016/08/25(木) 22:20

…奏さんはずるい。
撫でてくれた事もあるのに、その上こんな笑顔は反則だ。
この時はまだ知らなくて良い。
僕がこんなにも、赤くなっていることは。

僕には、
超えられない壁があるから、
この先大きな舞台で奏さんと一緒に合奏することは出来ない。

それがすごく悲しくなってきたが、
その壁を越えるためには、もしかしたら
奏さんが鍵になるかもしれない。
そう、直感したんだ。

19:星空 太陽&◆sk:2016/08/25(木) 22:29

良かったら、感想聞かせて下さい。

20:星空 太陽&◆sk:2016/08/29(月) 17:48

えーと…、現在私、すごく困っています。
「ね、どういう関係なの?
原さんと響って。」
君塚さんに問い詰められていた。
それにしても響かー、ちゃんと名前で呼んでくれる人が
いたなんて(笑)
そんなことを考えていると、いつまでたっても
答えない私に苛立ちを覚えたのか、いきなり怒鳴ってくる。
「あのさー、早く答えてくれない?」
「え?何で」
「…」
あ、爆弾発言しちゃったかな(笑)
「だいたいあなたに話してメリットなんて
あると思います?
第一、私と鳴海君はそんな関係じゃないし。」
「じゃあ、何で原さんはあの時
響の頭撫でていたの?」
「…!」
見られてたのか。
「…原さんって響のこと好きって自覚ないの?
好きじゃなきゃ、あんなこと出来ないでしょ‼」
私が、鳴海君のこと…好き?
私が混乱しているのにもかかわらず、
君塚さんは話を進めていく。
「百合、響のこと好きなんだけど、
もし、原さんが響のこと好きじゃなかったら私と響が
付き合えるように仕向けてくれないかなぁ?」
…ズキ。
「…もし私が裏切っても良いなら。」
その言葉に君塚さんは、嫌な顔をする。
私は気にせず歩く。

21:星空 太陽&◆sk:2016/08/29(月) 17:52

「っ!これじゃ取引成立しないじゃない‼」
原さんに話しかけたのが悪かった。
百合は知っているよ。
響が原さんのこと好きなのは。
でも、その響の心を奪うために百合は
頑張る。
他の誰にだって嫌われても、良い。
響にだけ嫌われなければ、それで良い。

22:星空 太陽&◆sk:2016/08/29(月) 18:08

…今日君塚さんにあんなこと言われたから、
この2人きりの教室が気まずくてたまらない。
好きなのかなぁ、鳴海君のこと。
そう思い、鳴海君の方に視線を向けると、
鳴海君は私の方を向いた。
「あの、ちょっと聞きたいことあるんですけど…。」
「あ、何?」
曲のことだと思い、譜面に目を向けると、
曲とは違う質問だった。
「…日比谷 おと
って知ってる?」
「あぁ、あの天才子供ピアニストって
言われた人?知ってるよ。
でも、その子ピアノやめちゃったらしいね。
何でかはわからないけどね。」
「あ、そうなんだ。
ありがとう。それだけ。」
「え?あ、うん。」
それからは普通に練習した。
さっきのことは、なかったように…。

23:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 17:40

あっという間に練習は終わり、
私達は明日の体育祭の準備をしていた。
「打楽器こっちだよー!」
「椅子はブルーシートの上に並べて‼」
これがなかなか忙しい。
私、奏は椅子を運ぶ。


『お疲れ様でーす!』
部長の声がかかり、皆は息を吐く。
「明日はいよいよ体育祭です。
私達の演奏で、体育祭を盛り上げましょう!」
「はい!!!!」
こうして挨拶が終わり、
帰る準備をしていると声がかかった。
「奏さん、竹宮君が呼んでる。」
鳴海君だ。
「わかった。ありがとう。」
そう言って行こうと歩くと、鳴海君に腕を掴まれる。
そして、私の耳元で静かに声が聞こえた。
「…明日、演奏出来なかったら、ごめん」
「え?」
私の疑問には答えず、鳴海君は歩いて行ってしまった。

「ごめん、遅くなった。」
「いや、大丈夫。鳴海君に呼び止められたんでしょ?」
「…うん。」
蒼は、見ていたらしい。
「それで、何か私に用があったの?」
こんな風に呼ばれたのは初めてだ。
「あの…。やっぱり良いや。
何でもないけど、一緒に帰ろう?」
「えー、何それー…。」
蒼は、何かを言おうとしたが、言うのをやめた。
そんなことなんて、蒼には滅多にないから
私には、それが不思議だった。

24:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 17:44

そして、体育祭当日!

「楽器持つ人と、譜面台持つ人は
終わったら打楽器手伝ってー!」
また、忙しい。
私は、楽器を運びながら、
譜面台を持っている鳴海君を見て、安心した。
演奏は出来そう。

さあて‼
吹奏楽部ホルンパートとして頑張って行く!

25:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 18:03

僕、響はすごく不安だった。
もう少しで最初の校歌を吹く時間になる…。

思い出すのはまたあのホール。
そのステージで泣く男の子。

「吹奏楽部は、椅子に座ってー‼」
あぁ、もうこんな時間か…。
行こうとすると、めまいがして、
僕はその場に座り込んでしまった。
「…無理なのかなぁ。僕が音楽をやる事は…。
あの日からずっと、僕の音楽は止まっているのか…?」
そんなことを声に出してしまい、つい泣きそうになる。
すると、目の前に人影が見えて、前を向いた。
その人影は楽器を二つ抱えた奏さんだった。
その格好がおかしくて、つい笑ってしまう。
すると、つられるように奏さんも笑った。
「そう‼その笑顔だよ。
鳴海君は楽器上手いから、絶対演奏出来る!
緊張しすぎ!」
僕の止まった世界に光が差したようだった。
その、太陽みたいな笑顔に僕は答えなきゃ。
「はい、楽器!」
「うん。僕頑張るよ!」
そう言って見上げた空には、
澄み渡った空のさらに向こうに黒い雲がかかっていた。

26:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 18:14

演奏は大成功だった。
良かったぁー!
私は浮かれながら自分のクラスの席へ戻る。
そこにはもう鳴海君がいて、
私に向かって手を振ってくれた。
私も手を振りかえす。

「えーと、次の競技はー…、
あ!一年の借り物競争じゃん!」
これは男子競技なので、女子は男子に黄色い声援を送る(笑)
先輩に教えてもらった競技説明に私は思い出し笑いをする。
すると、後ろにいた女子がこんなことを話していた。
「この競技の後って絶対1ペアはカップル出来るらしいよ。」
「え⁉そうなの⁉」
「なんかね、借り物のお題で、
好きな人ってお題が出て来るから、それでカップル出来るんだって。」
「へー!」
…そんな噂があったんだ。
誰か出来るかな?

完全に他人事のように私は笑っていた。

27:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 18:28

「ついに!借り物競争が始まりましたっ!!!!
お!紅組速いです!」
私のクラス、6組は青組だ。
「ファイトー‼」
「いけー‼」
皆楽しそうに応援する。
「オォッと!一位は4組白組!
お題は、校長先生です!」

どんどん皆が走って行く。
「あ!鳴海君頑張って‼」
鳴海君は頑張って走っている。
そして、見事一位だった。
「お題は、教頭先生のつけまつげです!」
どっと笑いが起きる。
その間に1レーススタートしていたみたいだが、
私はあまり気付いていなかった。
すると、前に2組、紫組のハチマキをつけた人が来た。
「奏。」
「あ、蒼?何っ…!」
私は手をつながれ、蒼と走って行く。
「何?蒼。私、借り物⁉」
「うん、そう」
それだけ言って走る。
蒼と私は一位だった。
「お題は、好きな人です!」
そのお題を聞いた瞬間、心臓が止まりそうになる。
「何…で、私…?」
そう聞いた私に蒼は即答する。
「奏が好きだからだよ。」
「…っ!」
「男はさ、他の男に自分の好きな人が取られそうになると、
狼にでもなれるんだよ。」
そう言って蒼は行ってしまった。
その後ろ姿を、ただ呆然と見ていた。

28:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 19:48

「おかえりー‼原さん!」
「あー…、ただいまです。」
さっきからずっと、頭が回らない。
「ね〜!原さんってさっきの男子と付き合ったの⁉」
「え?」
「さっきのお題聞いてたんだ!
その反応は、やっぱり付き合ったの⁉」
「ちょ、違うって!
そんな関係じゃないよ!」
慌てて私は訂正する。
も〜どうしよう〜。

『男はさ、他の男に自分の好きな人が取られそうになると、
狼にでもなれるんだよ。』
…最後の意味がわからない。
他の男って…?

29:星空 太陽&◆sk:2016/09/02(金) 20:01

…、先に手を打たれた。
まさか、竹宮君があそこまでやるとは思わなくて、
ただ、悔しい。
さっき、奏さんは僕の音楽の世界の時を
動かしてくれた。
もし…。
もし、体育祭で演奏出来たら、話したかった事があるんだ。
あの、あの約束を…。


「ひーびきっ!」
またいつもの君塚さんだ。
「さっきのお題びっくりしたね〜。
原さんと2組の男子!
お似合いだね。」
その言葉を聞いた瞬間、何だか、居ても立っても居られなくなった。
「響。これからのお昼一緒に『すいません!用が出来ました。』…」
僕は走る。そして、1人の人影を捕まえて
人のいない倉庫裏に行く。
「…ごめん。いきなり連れ出して。」
顔の赤い奏さんが僕をまっすぐ見つめていた。


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