ファンダジー小説。
>>002 登場人物
【登場人物】
朝宮 有寿 アサミヤアズ
主人公。中学1年生の吹奏楽部。
アルヴァ
自称異世界の住人。突如、有寿の前に現れる。
登 紫苑 トウシオン
有寿の親友。頭がいい。
笠原 玲桜 カサハラレオ
有寿の親友。勉強は不得意だが、運動ができる。
田中 友悠 タナカトモヒサ
有寿が密かに好意を抱いている男子。
Episode 1.
「あー、疲れた」
肩に重い肩掛けバックを持ちながら、有寿は帰り道を歩いていた。
我が校の吹奏楽部は超強豪校。かの有名なコンクールの常連である。
朝、夕方。
練習はたとえ休日でも、長期休暇でも絶え間なく行われる。
「ふぅ」
家につくと、バックをぽいと投げてすぐさまベットに飛び乗った。
「ふかふかだぁ!」
布団の中に潜ると、そこは楽園。
暖かくて、先生にも先輩にも怒られない。
いつのまにか、有寿は眼鏡を外していた。
寝てはいけないと、眠気をぐっとこらえて掛け布団からでる。
バチッ__
蛍光灯の独特な音が、2階の薄暗い廊下に響いた。
「あぁ、寒っ」
手のひらで二の腕をこすっても、寒いままだ。
「はいこれ」
白い綺羅びやかな手から、毛布を受け取る。
「あぁ、温……」
しばし喜びに浸っていると、有寿はあることに気がついた。
「あ、あ、あんた、だ、誰!?」
毛布を渡してくれたあの手の持ち主は___。
後ろでヒラヒラ〜と手を振っていた。
「さぁ、誰だろうね?」
「けっ、警察呼ぶから!」
有寿は机からスマホを素早く取ると、警察の番号を打ち始めた。
「ちょ、ちょちょちょ。変な人じゃないから」
男はその華奢な手を有寿のスマートフォンに向けると、さっと奪いとる。
「は、なにすんのよ変態!」
「変態って……ひどいなぁ」
男は一歩下がると、帽子をとった。
「僕はアルヴァ……異世界の住人だよ」
有寿は目を見開いた。
「本気で言ってんの……あんた……いや、アルヴァ?頭おかしいんじゃないの?」
やれやれと首を振る。
「これで……どうかな?」
アルヴァはにやりと笑うと、近くの花に何やら話しかけた。
「なにしてるの……え!?」
有寿は思わず後ずさる。
「花が……動いてる」
「ハロー、有寿」
深紅の花は、右の葉を上にあげ、有寿に挨拶をしている。
「はぁぁ?はっ?は?アルヴァ、何してんの……」
アルヴァは帽子をぎゅっと強くかぶると、こう言い放った。
「僕はね、物を喋らせたり、動かしたりすることができるんだ」