魔法少女は中1です

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1:匿名:2016/12/23(金) 22:00


私は、中学1年生。

魔法少女、やってます。

2:匿名:2016/12/23(金) 22:07


Character


前園 凛 マエゾノリン ♀

主人公。あるトラウマがきっかけで対人恐怖症。運動が得意。


荒川 晴飛 アラカワハルヒ ♀

凛のクラスメイト。クラスのムードメーカー。


佐藤 蓮 サトウレン ♂

凛が魔法少女になっているところを偶然見てしまった、凛のクラスメイト。


鮎川 楓 ?

中性的で性別不明の転校生。ミステリアスな雰囲気を醸し出している。

3:匿名:2016/12/23(金) 22:47


1.きっかけ  Episode_1


水縹の空に、少しくすんだ胡粉色の雲が映える。

蝉が騒々しい夏休み明け、まだまだ残暑は厳しい。

教室の後方の天井には、使えなくなった冷房器具が太陽光に反射して、きらきらと輝いている。

前園凛は額に光る汗を手で拭うと、ホッチキスで留められた2枚の原稿用紙を手に取った。

「私の夢は、魔法使いになることです。」

ゆっくり、堂々と、はっきりと。

凛は小学校1年生の頃から、音読が上手だと言われてきた。

この『音読三原則』さえ意識すれば、誰だって上手くなるのである。

「何故なら、……」

すぅ、と息を吸って次の行を読み始めた時、クラス中が爆笑に包まれた。

……なんで皆笑ってるの?

凛には、皆が笑う理由が全く解らなかった。

「前園さん、あのね、魔法使いには、なれないのよ」

窓側の凛の席に、今にも吹き出しそうな様子で、担任の宮川がやって来た。

産休に入る直前で、心なしかお腹が膨らんでいるように見える。

宮川は、丁度欠席していた凛の前の席の椅子に腰を掛けると、凛の手から原稿用紙を引き抜いた。

「あのね、先生は『将来の夢』を書くように言ったのよ?」

宮川は、凛を諭すように話しかけた。

「で、でも……」

これだって立派な将来の夢じゃないか。

すると、目の前に座っていたの宮川が、ゆっくりと立ち上がった。

凛は、目の前で起こった光景に愕然とした。

「先生!」

そう叫んだ時には、原稿用紙は先生の手からするりと抜けていた。

それは、教室の隅の薄汚れた屑籠の中へと、静かに舞っていった。

先生、なんてことするんですか?!

凛はこう言いたい気持ちをぐっと抑えた。

担任に歯向かう勇気など、微塵も無かったのだ。

先生、酷いよ。折角、頑張って書いたのに。

凛が対人恐怖症になったのは、この時である。


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