瞳の奥に見えたのは。

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1:モンドリア:2017/03/30(木) 14:16

初めて君の瞳を見たとき、君の瞳の奥に見えたのは、美しく羽ばたく純白の翼だった。

2:モンドリア:2017/03/30(木) 14:38

サクラも散り始め、春ももう終わる。辺りも薄暗くなりはじめて、夕陽が落ちていく午後五時過ぎ。誰もいなくなった公園は、何かと落ち着く。もともと人気(ひとけ)のない小さな公園なのだが、高いジャングルジムとブランコ、それから小さな滑り台もあってベンチまである。俺はこの公園を気に入っていた。とくに人がいないところが好きだ。この世に生を受けてからこの公園以外を好きになったことはない。高校生にもなって公園に入り浸るのはなんとなく気も引けたが、落ち着くし好きなのだから仕方がない。だが、今日は先客がいたようだ。
「…水瀬(みなせ)?」
「夕陽(ゆうひ)くん、どうしたの?こんな時間に」
ゆっくり、まったり時間の流れにさからうようにして話す水瀬。
「水瀬こそなんでこんな人気(ひとけ)のないところにいるんだよ」
「私は…なんとなくかな。なんか疲れちゃってさ。夕陽くんは?」
「俺は、暇人なんだよ。いつもここに入り浸ってるんだ。」
「へー、そうなんだ。でも、今日はもう帰ったほうがいいよ。」
「どうして?」
「…うーん、とりあえずあと五分以内に帰ったほうがいいと思うよ、としか言えないな。」
ミステリアスな水瀬には通り名がある。ただの噂話だと思うが「ミステリアスな魔法使い」魔法使いなんてまた誰が考えたのかも知らないが、面白い。だが、本当にここまでミステリアスだったとは。
「…ここにい続けたらどうなる?」
「夕陽くんが、苦しむ。」
ミステリアス…。謎に満ちている。
「でも、水瀬みたいなかよわい乙女がこんなところに一人でいたら危ないと思うよ、一緒に帰らない?」
「私はここに少し用事があるから…先に帰ってて、すぐ終わるはずだから終わったら夕陽くんを追いかけるよ。」
「わかった。じゃあ俺は帰るよ。」
「うん、ありがと…」


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