遥かなる、高みへ。

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1:ゆずか◆Uo:2017/06/25(日) 14:34

「これは‥…」
王は、生まれたばかりの赤ん坊__皇女を見る。
産着にくるまれて、すやすやと眠っている。
しかし。

あってはならぬ紋様が、額に刻まれていた。

2:ゆずか◆Uo:2017/06/25(日) 14:51

ユザリアル王国は、テンスラール大陸の北にあった。
この国は、海の近くだから、漁船がいつも溢れていた。
ユラル皇女は、窓にジイッと張り付いていた。
自分が出られぬ事が多い市場、出られるとしても皇族に関係ある事しか出席できない、サーカステントが張ってある、公園。
「はぁぁ。つまんない!」
窓から離れ、広い部屋のベッドに飛び込む。
「こういう時、“リズム”が使えたら良いのになぁ」
試しに、ユラルは中指をクルクルと回した。
何も、起こらない。
彼女には、チカラ(この国では、リズムと呼ばれている)を持っている。
「何でこういう時に使えないのよっ!」
ガチャッと、ユラルの部屋が開いた。
「皇女様!だらしないですよ!」
教育係の、シーアが入ってきた。
「だって、だってぇ!」
「だっては、言いません!」
フンと、ユラルはそっぽを向いた。
「シーアにはわからないわ!」
シーアは、ユラルのベッドを正しながら、
「ほらほら、コレを見られたら、皇女様は幻滅されるでしょうねぇ」
ユラルは、口をとがらして、
「良いわよ、お姉様が継ぐのよ、この国をね」
クッションを抱え込む。
シーアは呆れながら、
「皇女様は只でさえ、“リズム”で特別な目で見られているのですからね、こういう事はしっかりとしていただかないと‥…」
シーアのお説教を防ぎながら、ユラルは書物を取り出した。
この書物は、ユザリアル王国の神話について書かれている。
ユラルは、ユザリアル王国の神話が好きだった。

3:ゆずか◆Uo:2017/06/27(火) 21:29

女神、ヴィラの神話が特に好きだ。
「全く、皇女様は…!」
シーアのお説教マシンガンは止まらない。
「シーア、五月蝿い!」
書物をパッと読み、片付ける。
口をあんぐりと開けた、シーアをほっぽって、ユラルは部屋を出た。
「あーあ、街に出たいわぁ」
そうだ、と、ユラルは思い付いた。
フード付きのコートをまとい、ソッと城を抜け出そうとする。
門兵が、ユラルの首根っこを掴まえる。
「皇女様、ダメですよ」
「もぅ!」
ユラルは、プウッと頬を膨らませた。


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