もう一度、君に。

本編は>>2から。

主人公
名前:柊 彼乃(ひいらぎ かの)　女
中学１年生

では、本編へ。

[彼乃side]

ピピピ、ピピピ、ピピピ、...。
　部屋中に鳴り響く目覚まし。　
　この間買ったばかりの真新しいベッドから手を伸ばし、スイッチを切る。
　時計を見ると、もう６時半だ。
「嘘、なんで...?」
　昨日６時にセットしておいたはずのアラームは、何故か６時半に鳴った。
　...いや、意味わかんない。なんでよ、もう...。
　ぐしゃぐしゃに乱れた髪を、手ぐしで整える。
　...ん、なんか、短い......?
　あ、昨日髪切ったんだっけ。
　長かった髪を肩口までのボブにして、前髪も眉の下辺りまで切った。
　美容室を思い出しながら立ち上がり、机に向かった。　

　そこで、思い出す。
「あ...!!!」
　机の上には、開きっぱなしのノート。
　そこには、計算式やら歴史、漢字など、びっしり書いてある。
　......が。
　そのノートに挟んである、プリントを見ると。
「やばっ、終わってないじゃんっ!」
　そうだ、昨日の夜、凄く眠くて...。それで、プリントは明日の朝でいいか、
　って思って、６時にアラームセットしたんだ。
　いつもは６時半にセットしておいて、その前に起きるけど、
　最悪の場合６時半に起きれるように。
　え、じゃあ何。６時にアラームセット出来てなかった、てこと?

　いや、こんなことしてる時間が勿体ない。
　...プリント、３枚か。
　頑張れば、学校で終わらせられるかな...?
　そう思い、部屋を出て階段を下り、リビングへ向かう。

　美味しそうなご飯が、ずらりと並んでいるのを見て、
　お腹が鳴りそうなのをこらえる。

　ダメだ、急ぐんだ。私、準備遅いんだから。
　そう思っていても、ついおかずに手を伸ばす。

　ああもう、私!
　ダメだ、ダメだ。

「ちょっと、彼乃?」
　母の機嫌の悪そうな、そんな声が聞こえてくる。

「おかずつまんでる暇なんてないでしょ、早く学校行って!」

　妹は小５でのんびりしてるくせに。
　文句を心の中で呟いて、閉じた。

　歯磨きして顔洗って。
　髪整えて、２階に上がる。

　部屋に戻ると、また開きっぱなしのノートが目に入り、
　嫌になる。
　ノートとプリントをザックに突っ込み、
　制服を掛けてあるハンガーに手をかける。

　黒いブレザーに、赤のリボン、黒地に灰色の
　チェック柄の入ったスカート。

　この辺りでは可愛いと有名な制服。
　私も気に入ってるし、髪を切ったことでさっぱりした
　雰囲気になった。

　ザックを背負い、家族に「いってきます」、と声をかける。

　玄関にある合鍵をもち、外に出る...と。

「...彼乃」

　　
　

いつも見る、綺麗な顔立ち。
　

いつもに増して、一段と綺麗だ。

「れ、蓮...」
「なんだよ、彼乃。今日早くね？」

「プリント、やりわすれてて...さ」
　今さら蓮に恥じることなんてない。
　正直に打ち明けると、蓮は私の頭を撫でた。
「素直でよろしい。いいよ、そんくらい手伝う」
「ほんとっ?」

「や、でも俺、頭わりぃし」
　出来ないかも、と付け加える蓮。

　蓮ってば、信用ならない!
　でも...今の私が成り立ってるのは、蓮のおかげだったりする。

うわぁ、最初からドキっとさせられちゃうじゃん！
頭の中で想像しやすくていいね！
読みやすい！

>>24ありがとう♪

では再開>>27

　なんて考えてる隙に、蓮はこう言った。
「つかさ、お前、こんなとこで立ち止まってる余裕あんのかよ」
　ちょっと笑いながら、蓮が駆け足になる。

「なっ...ないに決まってんじゃん！」
「は!?何その返答。ぜってー頭おかしい奴の反応だろー」

　うっわ、ムカつくー!

「勝手に言ってろ！バカ蓮」
「宿題もろくに出来ない彼乃に言われたくねーしぃ」
　も、もう...!!ほんと、ムカつく！

「そっ、それは蓮が手伝ってくれるからいいのー!」

＊

　学校に着くと、私は早速プリントを出した。
　さっきから言ってる蓮というのは、隣の家に住んでる、
　いわゆる幼なじみの藤澤蓮。

もう、何度「蓮」と呼んだか分からない。

　蓮とは同じクラスだから、行き来とか無くて楽だ。
「は!?」
　蓮は私が出したプリントを見るなり、そんな声を上げる。

「お前...もしかして、全部やってねーの!?」

　頭おかしいだろ!!と、正論だがいちいちムカつくことを言う蓮。
「だ、だから、プリントやってないって言ったじゃん!」
　話聞いてなかったの?私ちゃんと言ったのに!!