誰も見た事のない景色を描く

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1:匿名:2019/02/27(水) 16:44

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中野創(ハジメ)
17歳高校2年生
美術部部長に就任したばかり。

相庭舞衣(マイ)
順調に生きていれば20歳
美術部に所属していた。

2:匿名:2019/02/27(水) 16:50

美術部に入ってから一年半程だった夏の頃、そろそろ先輩方が引退する時期となった。
手取り足取り教えてくださった仲の良い先輩もお別れかと思うと少ししんみりとする。

「先輩、今日までお疲れ様でした」

「うん。創くん、これから美術部引っ張っていってね」

「はい……ん?」

「え、聞いてない?創くん美術部の部長になったんだよ?」

「ま、マジすか…」

「そうそう、だから明日から頑張ってね」

「は、はい…」

そう言って廊下で別れた。
マジかよ…俺部長かよ…あ、でも部長になったってことは準備室も入り放題なのかな?
俺らの学校は何故か美術準備室に無断で入ってはいけないという決まりがあるのだ。でも、美術部の部長なら鍵も持てるし先代の部長も結構入ってた記憶はある。
確かあそこには歴代の先輩方が残していったキャンバスとか、スケッチブックとかが残ってるはず…。
元来、絵画を鑑賞することが好きな創にとってはそこは宝の山のような場所で。
ついに入ることができると思うと誰もいない廊下で小躍りしてしまうレベルだ。誰かに見られたら黒歴史になっていただろう。まぁいい。とにかく明日からが楽しみだ

3:匿名:2019/02/27(水) 17:25

次の日。
部活終了時刻となったので部員を帰らせて今俺は一人で準備室の前に立っている。
ガチャり、キー…っと錆び付いた金属の音が耳に入る。
埃っぽい室内は棚の中にしまわれている圧倒的な量の画集で満ちていた。

「すごい…これ全部、とっといてくれてたんだ……」

見回してふと一つのキャンバスがはみ出ているのが見えた。
そこに歩み寄り指に引っ掛けると埃が舞って咳き込んでしまった。

「けほっ…ん? なに、これ…すごい…」

そこに描かれていたのは一輪の向日葵と一足の靴であった。
シンプルでしかし意味の分からないこういうものは俺の好みで。他人が目を向けないような絵画が好きでよく変人と呼ばれていた。

「これ誰が描いたんだろう…」

キャンバスの後ろを見ると薄くなっているが恐らく描いた人であろう名前が書いてあった。

「m…a…i…まい、さんか」

明日先輩にでも聞いてみようと脳内にその名前をメモしてキャンバスを元に戻して準備室をあとにした。


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